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6 ~海棠の独白~
しおりを挟む霧島正輝のことを知ったのは、黄龍会傘下の組が薬物の取引を行っている現場でのことだった。
うちの組では禁止している筈の薬物を生成し、取引を行う馬鹿な連中は予想以上に多かった。
黄龍会は傘下の組も多く、特に新規参入した組では薬物禁止の掟が行き届いていないことが多い。
昔からの系列組織でも、親父の代では禁止していなかったから、薬を取り扱っていた組もあるはずだ。
だが、禁じる理由とメリットを説明して徹底させてきた。
各組の組長や幹部レベルは徹底しているだろうが、その下のチンピラレベルでは、いかに上から命じられても旨みが多いと感じる薬物を切って捨てることは難しい。
その日、麻薬の取引が行われる情報を得た私は、自らその現場を取り押えて愚かな組に落とし前をつけさせるつもりだった。
ところがその取引に警察が乱入し、検挙していった。
その警察の中に彼、霧島正輝がいた。
何度か同じようなことがあり、現場から離れた位置から観察していた私にも判るぐらい、毎回彼は憤っていた。
同行している刑事に制止されるほど、必要以上に暴力を振るっていた。
その時はヤクザに恨みでもあるのかと思っていたが、何となく気になった。
彼を調べるうちに彼の知人が薬物中毒による死を迎えていたことと、執拗に薬物の情報を集めていることを知った。
下からの報告を受けてから、何枚か隠し撮りした正輝の写真を見たが、どれも鋭い目でなにかを睨みつけているようだった。
他の表情をしている写真が一枚もなかったのだ。
中の上といった平凡な容貌で、人によっては男前と感じるかもしれないが、その目つきがやや男ぶりを下げている。
ある時、滅多に変わらないその表情が、相棒らしき年配の刑事に拳骨を落とされて、憤慨しながらも気恥ずかしそうに変化した。
それが年齢よりも幼く見えさせ、可愛いと思わせた。
彼の他の表情を見てみたい。
鋭い眼光で射貫く目が、快楽で蕩けるさまが見てみたい。
私は周到に準備を行った。
私はそれとなく薬取引の情報が彼の耳に入るようにして罠をはった。
捕り物がひと段落ついていたこともあり、彼は油断していたのだろう。
あっさりと私の手元に落ちてきた。
捕えた彼は、刑事らしく鍛えた体つきをしていた。
抵抗されるのも面倒だったので、四肢を拘束させてもらった。
それでも口づけの際に舌を噛まれた。
調べた限りでは男との経験はなさそうだ。躾け甲斐がある。
ノンケの彼の快楽を引きずり出すのは少々手こずった。
最初は私の愛撫に鳥肌を立てていたし、男なんか抱いて何が楽しいのかという貌だった。
だが、初めて後孔を暴いた時の苦痛にゆがめる顔も、前立腺をじっくり攻めた時の快楽を逃がそうと首を振り、涙を零す姿も私を煽った。
いろんな顔を引きずり出そうと、やり過ぎたようだ。
まさか熱を出すとは思わなかった。
何度も抱いているうちに正輝も諦めたのか、嫌そうな顔をしながらもあまり抵抗しなくなった。
だが、決して自分からは求めない。
どれだけ快楽に落としても、イかせてくれとも言わないのだ。
彼の口から強請る言葉を聞きたくなり、業を煮やした私は媚薬を使った。
闇金をしている部門では、借金の取り立てに女を風俗に沈めることが多いが、借金をした人間の身内に女がいない場合もある。
それでも若い男がいれば、そっち専門の変態に需要があるので、男を受け入れる身体にして売るのだが、その時に役立つ媚薬だ。
ノンケの男には男に身体を売ることはハードルが高い。
だから媚薬で男に抱かれる快楽を教え込んでから風俗で働かせるか、AVで借金の返済をさせる。
その媚薬の中に通称『ノンケ殺し』『ノンケ食い』とも呼ばれる催淫剤があり、それを正輝に使ってみた。
それが予想以上の効果を発揮した。
普段の正輝の気の強さがなりを潜め、一転して快楽を貪欲に求めるさまは、凶悪的に色気を醸し出していた。
目じりに涙を浮かべながら強請ってきたときの可愛さ...。
そのギャップに嵌まってしまった。
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