白樫学園記

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16■ゆらめく月夜☆白樺祭 SIDE:歩(

3.恋を忘れる方法

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 空也が傍に居なくてさみしいけど、こうやってみんなと一緒に居る時間が増えた。わいわい騒いでる間に空也のことなんて忘れられると思っていたのに、空也はいとも簡単にオレの頭の中いっぱいを占領する。

 さっき中庭で見た時、すぐに走って抱きつきたかった。空也のにおいをかいで、頭撫でてもらいたかったのに、もうオレにはそれはできない。

 胸の中は今まで知らなかった甘酸っぱい気持ちでいっぱいだ。

「あゆ、どうしたの?」
 あれから教室へ戻って、お化け屋敷のセットを仕上げるのを手伝っていたオレは、また空也のことを考えて上の空になっていた。リンがオレの顔を覗きこんだ。

「え? あ、うん…。ねぇ、リン。好きな人のこと、忘れるってどうやればいいの?」
「へ? それって…紫堂先輩のこと? 忘れなくても…」
「んー、どうした? あゆあゆ」
「み、岬! 何、邪魔しないでよ!」
 リンと話していると突然後ろからがっしりとクラスメートの岬がオレの肩を組んできた。
 岬はクラスでも人気があって、恋多き男、と言われているらしい。
「忘れたいなら、新しい恋だろ、あゆ」
「新しい恋、かぁ。岬はいつも誰かを忘れたくて恋してんだ?」
「…可愛い顔して天然なのか…痛いトコ突くねぇ。そうだな、オレは一目ぼれした手の届かない人のことをいつも思ってるんだ」
「へぇ、岬でも手が届かないとかあるんだ」
「ちょっと、あゆー。ダメだよ、岬の言うコト間に受けちゃ!」
 オレの肩に手を伸ばす岬の腕を、リンが引き離そうと間に入ってきた。
「リンちゃん。ちょっと黙ってて。オレはあゆと話してんの、な? あゆ」
「あ、うん。でもさぁ、新しい恋なんてそう簡単に見つかるもんじゃないだろ」
「ちなみに、オレが一目惚れした相手は今目の前にいる」
「ああ、リン? 竜がいるもんね」
「はは、あゆ。天然か? あゆのことだって」
 岬が手を伸ばしてオレの頬を触った。
「へ? あはは、何言ってんだよ、ありえねー」
「ありえなく…わっ」
「いい加減あゆから離れろよな、岬」
 岬の顔が近づいてきたかと思ったら急にリンが恐い顔をして岬を掴んで引き離した。

 …もー、なんだよ。ありえねー。オレに一目ぼれとか、手が届かないとか、そんなキャラじゃねえっつの。
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