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2■学園生活スタート☆ぼくたち山田兄弟 SIDE:歩(了)
10.最初の晩餐
しおりを挟む10.最初の晩餐
テーブルの上には豪華絢爛な料理が並んでいた。
向かいの席で楽しそうに話しているノンと珠希が羨ましくて肉をもぐもぐ食べながら眺めていると、空也が頭を小突いてきた。
「いてっ。何すんだよ」
「昼間のことは忘れろ。お前みたいなガキには興味ない」
「なんだよ、それ!オレだって男なんか興味ねーんだから…」
なんだよコイツ、やっぱ感じわりー!
ムカついて手元にあったグラスの中身を一気にあけた。
「あ!あゆ、それ…」
ゴクン
「ん?」
「お前ワインは楽しんで飲むもんだぞ」
呆れた顔で空也が言った。
「…ワイン?」
「どうしたの?」
「あの、あゆお酒ダメなんです…、手がつけられなくて」
「まさか暴れるとかじゃないだろうな…」
お酒?
「なんで?これジュースじゃん」
「え?あゆ大丈夫なの?」
「何言ってんの、真剣な顔しちゃって、ノンってば変な奴ー」
あはははは、ってなんかすごくおもしろい。
「笑い出しちゃったよ…」
「…だって、すごくおもしろいんだもん、何?この過剰装飾。伯父さんもわけわかんないものつくるよね」
「笑うところか?」
「だってさぁ、空也胡散臭いし」
「…空也先輩だろう。胡散臭いって…」
「きゃはは」
なんかおかしくっておかしくってたまらない。
「先輩、すいません」
「なんでノン謝ってんのぉ?」
「気にするな、ちょっと頭冷やしてきてやる」
「いじめないようにね」
珠希がにっこり笑って手を振ると、体が宙に浮いた。
ん?オレ、いじめられるの?
「やだぁ、ノン~」
空也に抱きかかえられて、個室から出てさっきとは違うエレベーターに乗った。
「ねぇ、空也~下ろしてよ。どこ行くのぉ?」
「オレの部屋。酔いさませよ」
「酔ってないってばぁ。ちゃんと歩ける」
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