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2■学園生活スタート☆ぼくたち山田兄弟 SIDE:歩(了)
12.ロンドンのカップケーキ
しおりを挟む12.ロンドンのカップケーキ
「うう…ん」
…あれ?ここどこだっけ?
まだ半分寝ぼけてる頭できょろきょろと周りを見回した。
うん~?
オレの部屋ってこんなだっけ?
ごろんとふかふかのでかいベッドから転げ落ちて、部屋を出てみた。
ふかふかの絨毯を這ってリビングらしき部屋に行くと、薔薇のモチーフが埋め込まれた白いローテーブルの上にあるものにオレはまたもや釘付けになった。
ぐぅぅぅ。
…やばい。
なんだこれ?アニメにでてくるみたいなカップケーキ。
これくらいだったら食べても怒られないよな。
ていうか、オレの朝飯?
ちょっと少ないけど、うまそう。
ひとつ摘んで、ぱくっと食べてみた。
クリームチーズだ。
おいしぃぃぃ。
「…お前、懲りないな」
ついにみっつめのチョコチップを頬張っていると背後から今一番聞きたくない声が…。
口を押さえて振り向いたら、空也がシャワーを浴びたらしく、上半身裸で立っていた。
くそう。
昨日は服を来てたから分からなかったけど、綺麗な筋肉がほどよくついて引き締められた体は、男のオレから見ても惚れ惚れするものだった。
「いいじゃん、カップケーキくらい。金持ちなのにケチぃ」
「まぁいいけどな。それが例えロンドンで一日限定30個ずつしか販売しないカップケーキをわざわざ自家用機で取り寄せたものだとしても」
「…うっ!」
確かに、普通にカップケーキにしてはうますぎると思ったけど…。
「嘘だよ、いいよ別に。どうせ食うだろうと思ってたから」
「…ありがと」
…そういえば、昨日…
空也の顔を見た途端、昨日の出来事がカシャカシャと頭の中でスライドショーの様に蘇った。
「…あ、あのさ、昨日オレが泣いてたとか、誰にも言わないでね?特にノンには…」
「はぁ?泣いてたっけ?それよりさっさと部屋もどって準備した方がいいぞ。今日は入学式だろ」
「あ!そうだった!えっと、ありがと」
そう言って部屋を出たけど、空也は無表情のままネクタイをしめていた。
…なんだよ、あいつ。
嫌な奴なのか、いい奴なのかわかんない。
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