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3■球技大会☆双子スター誕生!? SIDE:希(了)
6.ノンの観察眼
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部屋に戻る途中。急にアユが僕の手をぎゅっと掴んだ。
「どうしたの?」
「ううん、急いで部屋帰ろう」
アユはそう言ってずんずん進んで行く。
たくさんの生徒とすれ違って、きっと今朝と同じように見られていたんだろうけど、僕の頭の中は別のことでいっぱいで、気にならなかった。
「ノン、なんかあった? 珠希になんかされた?」
部屋の中に入った途端、アユは僕の顔を心配そうにじっと見てそう言った。
「へ……? なんで?」
僕はアユの言った意味がわからなかった。どうして珠希が出てくるのかも。
「ちょっと座ろ」
そう言ってソファに座る。
「なんか、ランチの時もずっと元気なかったし、どうしたのかと思って」
「元気? だけど?」
「うそだっ」
アユは怒ったみたいな顔して、唇をぎゅっと噛んでる。
でも、僕、ほんとに元気だし。アユが心配することなんてないんだよ? でも……。
でも、もしも僕に元気がないように見えたんだとしたら、きっと、考え事してたからだ。
「あの……アユ、心配してくれたんだね。でも、僕ほんとに元気なんだ。ただ、考え事してただけ」
「考え事って?」
アユはまだ信じてないみたいに、僕をいぶかしげに見てる。
「あの、うんと、えと、あの」
僕は、今日実から聞いたことを、言っていいのか分からなかった。それに、男と男、のこと。アユはどういうふうに思うんだろう。
「ノンー」
アユはため息混じりに僕の名前を呼ぶと、ソファにどさっと背中を預けた。
「よし、喋れるおまじない」
ほとんど仰向けになりながら、ノンはブレザーのぽけっとからなにか出した。それをテーブルに出す。
それは、いろんな色の銀紙に包まれたチョコレートとボンボンだった。
「さっきランチの時、空也が持って帰っていいって言ったから、カゴにあったの全部もらってきたんだ」
そう言ってアユは笑う。
昔っから、アユはいっつも服のどこかに甘いお菓子を持っていて、僕になにかあると、それをくれた。
「アユ……」
「なぁんて顔してんだよ、ほら、これうまかったぞ。食べてみて」
そう言ってアユがくれた丸いボンボンを口に入れる。チョコの中からブランデー漬けのチェリーが出てきた。
「おいし……」
「だろ? で? なに考えてたの。俺には話せない?」
そう言って弟にまっすぐに見つめられると、僕は情けなくなって、ふるふると首を振った。
「じゃ、話して」
「うん……あのさ、今日順平と実と話してて、いろいろ聞いたんだ。それが気になってて……」
「うん、」
「あのね、アユはどう思う? オトコとオトコが付き合ったりとか、キ、キ……スしたりとかするの」
「キッ!?」
僕がやっとのことでそう言うと、アユはがばっと顔を起こして僕を見ていた。
「キス! したのか?? されたのかッ? 珠希に?」
「エッ? 違う、そんなことしてないよっ」
どうしてそこで僕と珠希の話になるのか分からなくって、僕は目を丸くした。
「なんで珠希と僕?」
「え? あ、いや。違うんならいい」
変なアユ。
「ねえ、どう思う?」
「どう思うって、ノンはどう思ってんの?」
「僕は……正直、わかんない。だって、女の子ともつき合ったことないんだよ? アユはモテてたし、キスだってしたことあるでしょ? でも、僕はないし。だから、よくわかんないんだ。でも、ここってそういうこと、多いみたい。男と男が付き合うとか、キス、するとか」
「ああ……んん」
アユは小さな声で、もごもごと何か言った。さっきまで僕に話せってすごい勢いだったのに、急にしゅんとしてしまった。
不思議に思いながら、言葉を続ける。
「でもね、僕考えてみたんだ。もしも誰かが誰かのことすっごく好きなら、男でも女でも関係ないのかな、って」
「んん、」
相変わらずアユは押し黙っている。
もしかして……。
「アユ、もしかして、好きな人出来た?」
「はあッ?」
僕がそう言うと、アユは我に返ったようにおっきな声を出した。
僕はテーブルに転がっていた青い包み紙のチョコを剥いて、アユの口に放り込んだ。
「んあ、なにいきなり」
アユは口をもぐもぐさせながら、驚いた顔で言う。
「アユだって。僕になにか話したいことあるんじゃないの?」
絶対、そうだ。
ごまかされないぞ。
僕はそう思って、アユの目をじいいいっとみつめた。
「え? そんなの、ないよっ」
アユの言葉がたどたどしくなって、よけいに怪しい。
僕は瞬きもせずに、アユの目から目を離すまいとした。
「うぐ……負けた、そのビームに」
アユは両手で自分の顔を覆うと、ばふっとソファに倒れた。
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