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8■きらめく初夏☆物憂い木漏れ日 SIDE:歩(了)
16.月夜の告白
しおりを挟む「寒くない? 」
春日さんの手が、後ろからオレの脇に回ってきて、オレを引き寄せた。
ここは街灯もなく、暗い。微かな月の光で、暗闇に慣れた目で見える程度だ。
泥がついているせいで、服が湿って少し肌寒くて、ぴったりとくっついてる春日さんの肌があったかかった。
「ほんとに無茶をする子だね」
「…すいません」
「はは。謝らなくてもいいよ。あれでしょ、テスト前でこの環境に嫌気がさして逃げ出そうとしたんでしょ」
「…うーん、それもあるけど、ただ街に出て買い物したかったんだよね」
「買い物? 車で行けばいいじゃない」
「呼ぶ車なんてないから、オレ」
「歩くん、確か理事長の甥でしょ、理事長か、空也にでも頼めばいいのに」
「…なんか、やだったんだもん、人に甘えるの」
今思うと、別にどうでもいいことのような気もする。意地張らないで叔父さんに頼めばよかったよ。
春日さんが肩を揺らして、くすくすと笑った。
「君みたいな子が空也を夢中にさせるなんてね」
「え? 夢中だなんて…冷たいじゃん、オレに…春日さんの方がよっぽど仲いいし」
「まぁ、僕はね。仲いいと言うか…」
仲がいいと言うか? その言葉が含んだ意味が何なのか、気になってオレは首を傾げた。
「ああ、僕はかつての姫君に振りまわされた人間のうちの一人だから」
かつての姫君ってのは、空也で…じゃあ、春日さんも…。
「空也のつまみ食いしまくってたっていうのは…」
「知ってるんだ。空也はね、特定の恋人なんて作らずに、やりたい時にやっちゃうような奴だからね。それでも周りは何も言わなかったけど。寧ろ空也とやれるなら、ってみんな必死だったし」
…やるって…。確かに空也がつまみ食いしてたって話は聞いてたけど、そういう露骨な話を改めて聞くとなんだか嫌な気分になるな。
オレなんて童貞なのに、空也はオレに出会うまでにたくさんの人と経験してるわけだし。
別にこの年で童貞なんて珍しくないし、男同士なんて一生経験しない方が当たり前なんだろうけど。
もしかして、春日さんも空也のこと好きなんだろうか。
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