199 / 368
9■眩い太陽☆焼けつく素肌と人魚の誘惑 SIDE:希(了)
8.いざ買い物へ
しおりを挟むしばらくすると、アユが戻って来た。
「夏、おじさんの島に行くことになったんだね」
「あ、そうだった、ごめん言うの忘れてたよ」
「ううん、それよりも、伯父さん島とか持ってるんだね」
「ああ、俺それはさすがにびびったよー」
アユは笑う。
「さ、早く着替えて降りよ。空也が車呼んだって言ってたし。買い物行こっ」
「うん、アユ、僕どれ着て行ったらいいと思う?」
最近はどこかに出かけるっていうこともなかったから、服に頭を悩ませることもなかったんだけど。
「うーんと、じゃあコレとコレ」
そう言ってアユが選んでくれたのは、フレッドペリーの淡いピンク色のポロシャツと、ひざの破けた細みのブラックジーンズだった。
「これでいい?」
「おうっ、似合う似合うー」
そう言って誉めてくれると、兄弟な上に同じ顔でも嬉しくなる。だって、アユは自慢の弟だもん。
アユは古着屋さんで買ったポップなロゴの水色のタイトなTシャツに、細みのジーンズ。
「アユそれ似合うよね、ほんと」
「これ、すごい気に入ってるんだ。さ、じゃあ降りよ。なんかあの銀のカードでお金下ろせるんだって」
***
校内のATMでお金をおろした後、僕らは珠希と空也先輩と合流して正門に向かった。
僕らは唖然として立ち尽くした。
真っ黒でつやぴかで、長い車がデンと停まっている。
「あのさー、空也、こんな車で買い物行くの?」
「こんな、ってなんだよ? あ、白い方がよかったとか?」
「そういうんじゃなくってッ」
アユの訴えは、空也先輩には全く届かない。
「まあまあ、せっかく空也が呼んだんだから。乗ろうよ」
珠希が僕らを促して、みんなで仲良く車の中に納まった。
またしても僕は言葉を失った。
「うあっ、すごっ冷蔵庫空けてい? わっ、なにこの箱すんごいおいしそうなチョコ入ってるんだけどっ。空也っ食べていい? ノンも食うっ?」
高級感溢れる皮張りの広々とした車内で畏縮する僕と逆で、アユは一気にテンション最高潮。
珠希も空也先輩も、笑いながらその様子を見ている。
「ほら、落ち着けって、全部食っていいから」
空也先輩がアユの腰に手をまわして抱き寄せると、アユはやっとおとなしくなった。
「じゃあ、お姫さまたちはどこへ行きたいの? どこへでも連れてくよ?」
「うーんと、じゃあまずはデパート!」
アユが言う。
空也先輩は運転席とのしきりをパワーウィンドウで下げて、慣れた様子で行き先を告げた。
***
郊外にある学校だから。デパートまでもかなりの距離がある。僕らはドライブ気分で楽しく過ごしていた、んだけど。
「ほら、なんでそんな口の周りに付けてんだ」
空也先輩はそう言うと、アユに近付いて……な、舐めた!
アユは、それを嫌がるどころか、なんだかぽうっとした目で見上げてる。
「空也…そんなことしたら、俺また」
「ここじゃまずいって。そんな顔で見んなよ」
空也先輩はアユのほっぺを撫でる。
……なにかが違う。
なんか、わかんないんだけど。ふたりの様子が変だよ。
珠希は黙ったままだし、こういうのって、普通なの?
びくびくしながら珠希を見上げると、僕を微笑みながら見ていた。
「ふたり、仲良くなってよかったよね」
そう言って微笑む。
……?ん。そっか。仲良しなだけだよね。
そんなふうに言われたら、なんかエッチなこと考えちゃった自分が恥ずかしくなる。
で、でも。
「空也ぁ」
「んん?」
「ちゅうだけ、だめ?」
「だめって、今ふたりきりじゃないし」
「そんなの、珠希とアユなら気にしないよ? きっと」
……あ、アユ! 気にするよ! 僕すんごい気にすると思うよっ! 目の前でキスとかされたら、どうすれば!
心の中ではそう叫んでいたけど、実際にはびっくりしすぎて口からなにも出て行かなかった。
ドッドッドッと動悸が。
「んじゃ、ちょっとだけだぞ?」
「うん」
熱っぽい目で空也先輩を見上げるアユ。あんな顔、初めて見た。
空也先輩はシートから体を起こして、アユに顔を近付ける。
み、みちゃいけないって思うのに、どうしてか目が離せない!
と思った瞬間、目の前が真っ暗になった。少しして、珠希が手のひらで僕の目を覆ったんだと分かった。
正直、ほっとした。
「だめだよ、あんなの見ちゃ。希は僕のことだけ見てて」
珠希が耳もとでそう囁くまでは。珠希の吐息がかかる度、うなじのあたりにぞわぞわとするくすぐったいような気持ちいいような感覚が。
また新たに心臓がドッドッドッと脈打ち始める。
0
あなたにおすすめの小説
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
男子寮のベットの軋む音
なる
BL
ある大学に男子寮が存在した。
そこでは、思春期の男達が住んでおり先輩と後輩からなる相部屋制度。
ある一室からは夜な夜なベットの軋む音が聞こえる。
女子禁制の禁断の場所。
BL 男達の性事情
蔵屋
BL
漁師の仕事は、海や川で魚介類を獲ることである。
漁獲だけでなく、養殖業に携わる漁師もいる。
漁師の仕事は多岐にわたる。
例えば漁船の操縦や漁具の準備や漁獲物の処理等。
陸上での魚の選別や船や漁具の手入れなど、
多彩だ。
漁師の日常は毎日漁に出て魚介類を獲るのが主な業務だ。
漁獲とは海や川で魚介類を獲ること。
養殖の場合は魚介類を育ててから出荷する養殖業もある。
陸上作業の場合は獲った魚の選別、船や漁具の手入れを行うことだ。
漁業の種類と言われる仕事がある。
漁師の仕事だ。
仕事の内容は漁を行う場所や方法によって多様である。
沿岸漁業と言われる比較的に浜から近い漁場で行われ、日帰りが基本。
日本の漁師の多くがこの形態なのだ。
沖合(近海)漁業という仕事もある。
沿岸漁業よりも遠い漁場で行われる。
遠洋漁業は数ヶ月以上漁船で生活することになる。
内水面漁業というのは川や湖で行われる漁業のことだ。
漁師の働き方は、さまざま。
漁業の種類や狙う魚によって異なるのだ。
出漁時間は早朝や深夜に出漁し、市場が開くまでに港に戻り魚の選別を終えるという仕事が日常である。
休日でも釣りをしたり、漁具の手入れをしたりと、海を愛する男達が多い。
個人事業主になれば漁船や漁具を自分で用意し、漁業権などの資格も必要になってくる。
漁師には、豊富な知識と経験が必要だ。
専門知識は魚類の生態や漁場に関する知識、漁法の技術と言えるだろう。
資格は小型船舶操縦士免許、海上特殊無線技士免許、潜水士免許などの資格があれば役に立つ。
漁師の仕事は、自然を相手にする厳しさもあるが大きなやりがいがある。
食の提供は人々の毎日の食卓に新鮮な海の幸を届ける重要な役割を担っているのだ。
地域との連携も必要である。
沿岸漁業では地域社会との結びつきが強く、地元のイベントにも関わってくる。
この物語の主人公は極楽翔太。18歳。
翔太は来年4月から地元で漁師となり働くことが決まっている。
もう一人の主人公は木下英二。28歳。
地元で料理旅館を経営するオーナー。
翔太がアルバイトしている地元のガソリンスタンドで英二と偶然あったのだ。
この物語の始まりである。
この物語はフィクションです。
この物語に出てくる団体名や個人名など同じであってもまったく関係ありません。
【完結】 男達の性宴
蔵屋
BL
僕が通う高校の学校医望月先生に
今夜8時に来るよう、青山のホテルに
誘われた。
ホテルに来れば会場に案内すると
言われ、会場案内図を渡された。
高三最後の夏休み。家業を継ぐ僕を
早くも社会人扱いする両親。
僕は嬉しくて夕食後、バイクに乗り、
東京へ飛ばして行った。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる