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9■眩い太陽☆焼けつく素肌と人魚の誘惑 SIDE:希(了)
14.キス……
しおりを挟む珠希の熱い手の平が僕の背中に触れている。
珠希と触れている体のいたるところが、びりびりと痺れているように感じる。その部位全てに意識を集中しているようで、ほんとはどこにも集中できないでいた。
珠希は背中に回していた手を僕の腰に下げると、もっと体が密着するよう引き寄せる。
全身が心臓になってびくんびくんと跳ねるみたいだ。それでも、僕ももっとくっつきたくて、珠希の背中に腕を回してぎゅっと抱き締めた。
「希」
珠希は僕の顔のすぐ側で囁くと、僕のおでこや鼻先にキスを落とす。子犬がするみたいなくすぐったいキス。それは、僕の頬や口の端を掠めたけど、唇には降りて来ない。
そのはがゆさに、体の中で欲求みたいなものが弾けた。
僕は姿勢を変えると、背中に回していた腕を引き抜いて珠希の髪に差し込んだ。
そして、自分から求めるように珠希に口づけた。
珠希の指が少し僕の背中を引っ掻いたから、驚いたんだって分かった。
ゆっくりと唇を啄むようにキスしてから、珠希の口の中に舌を滑り込ませる。ざらりとした舌が、触れあう。ゆっくりゆっくりと、珠希の舌の感触を確かめる。とろけるような、柔らかい感触。
「っあ…ふあ」
意図した訳じゃないのに、口の端から息と一緒に変な声が漏れる。舌と一緒に思考も蕩けて行く。
波の音も潮風の音も、全部遮断される。
始めたのは僕だったけど、いつのまにか珠希は僕の襟足に手を添えていて、頭を固定していた。息が苦しくなって離そうとすると、その手で阻止される。
珠希はもう片方の腕で、僕を掻き抱くように力強く僕を支えている。
「た、まき、も苦し……」
僕は口の端からそう訴えた。やっと頭から手が外されて、僕は深く息を吸い込んだ。
心臓はもう壊れそうにどきどきしている。
ほっとしたのも束の間。珠希が今度は僕の首に顔を埋めて来た。そこを、甘噛みする。鎖骨を舌でなぞると、今度は首にキスをする。
「はぅ…ん」
そこからずくんと体に電気が走って、僕は思わず息を飲んだ。珠希はさっきとは違って僕の背中に手の平をそっと滑らす。全身が神経みたいになった僕は、その柔らかな動きにもびくついた。
気持ちいい…。
その感覚に飲み込まれそうになって恐くて、珠希から体を遠ざけようとしたけど、珠希はあぐらをかいて僕を逃げられないように固定していた。
「た、まき」
僕は不安になって、ずっと無言で喋らない珠希に話し掛けた。
「はっ、んん」
珠希は返事する変わりに、また僕の首を甘噛みする。
「たま、き、だめ、」
僕は乱れた息をなんとか制してそう言った。
すると、やっと珠希は僕の肩から顔を起こして、僕の顔を覗き込む。
「どうして? 気持ちよくない?」
僕は、どう答えればいいのか分からなかった。だって、気持ちいいんだもん。気持ちよくて、自分がどうなるのか分からなくて恐いから、やめてほしい。
でも、それをどういうふうに珠希に伝えればいいのか分からなかった。
「嫌だった?」
珠希の目が心配そうに曇る。
「やじゃ、ないよ」
僕は俯いた。恥ずかしくて、顔が見れない。
「気持ちよかった?」
珠希は念を押すように聞く。僕は恥ずかしかったけど、こくんと頷いた。
「よかった」
珠希は安心したように息を吐きだした。
僕の態度のせいで、珠希は心配になったんだろうか。そう思うと、すごく申し訳ないような気持ちでいっぱいになった。
そうだ。
僕は思いついた。
ゆっくりと寄り添うように珠希に体を添わせる。
「希? どうしたの」
珠希は不思議そうな声を出して、それでも僕を優しく抱き締めてくれる。
僕は、珠希の首筋に、ちゅっとキスをした。珠希がはっと息を呑んだのが分かった。
自分がしてもらって気持ちよかったことを、珠希にもしてあげたいと思ったから。
珠希がしたのと同じように、鎖骨から首をゆっくりと舐め上げて行く。
それから、そっと首に優しく噛み付いた。
「くっ…ん、希、もうい」
僕は珠希がそう言って僕を遠ざけるまで、珠希の漏らす息を聞きながら、ずっとそれを続けた。
「それ以上やったら、襲うよ」
珠希は冗談ぽくそう言って笑ったけど、僕の心臓はまた早鐘を打ちだした。
いつの間にか太陽は、うっすらと赤い筋を水平線に残す程度に沈んでいて、辺りはうす紫色になっていた。
「希のエッチ」
そう言って珠希は僕の顔を覗き込むと笑う。
「え、エッチって、」
僕は思わず反論しようとしたけど、さっき自分の中で感じた欲求とか、自分がとった行動を思い返して、珠希が言うのも間違ってはいないか、と思った。
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