白樫学園記

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10■眩い太陽☆焼けつく素肌と人魚の誘惑 SIDE:歩(了)

29.人魚の想い

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 オレは空也が話している相手を見ようと、洞窟から少し身を乗り出した。
 だけど相手の姿が見当たらない。空也は海に向かって話し掛けている。
 春日さんの声なんて聞こえないし。

 なんか様子が変だ…。

「今度こそ、一緒に行こう。永遠に一緒だ」

 その言葉を残して、空也が海に飛び込んだ!!

「空也! 」

 オレは慌てて空也の後を追い、海に飛び込んだ。
 大丈夫、ちゃんと泳げるんだから!
 
 真っ暗な海の中、空也を手探りで掴み、岩場まで引っ張った。

『邪魔しないで! 』

 頭の中に声が響いて、辺りを見回すと、ピンクゴールドのカールした長い髪の綺麗な女の人が海からオレを睨んだ。

「ひっ…! 」
 なんだよ、オレお化けとかダメなんだよ!

『その人は私のものよ。返して』
「何、それ…」
 お化けだかなんだかしらないけど、空也があんたのもの!?
 オレはむっとして睨み返した。
『私の恋人よ。遠い昔、人間によって引き離された…愛し合っていたのに! 』
「え…? 多分、ていうか、絶対人違いだよ」
『美しい人間…心も身体も…間違いないわ』
「…いや、でも遠い昔だろ? 」
『早く返して。もう離さない。さっきその人も言ったでしょ』
 おい、人の話聞いてんのかよ。
 このままじゃらちがあかないと思い、悪いけどぐったりした空也の頬を叩いて起こした。

「…あ、ん…」
 空也は虚ろな目を開いた。
「空也、人違いだって、言って! 」
「…ああ」
 よかった…と思った瞬間、空也はその女の人の方に泳いでいき、抱きしめた。

 …え!?

「いつまでも一緒だ」

「ちょっと待って! 」

 オレが空也の方に泳いで行こうとすると、二人が光を放ち、空也の中から空也にそっくりな人がでてきた。

 そして二人は沖の方へ幸せそうに消えた。

 …何!?

 まだぼーっとしている空也と岩場にあがった。
「大丈夫? 」
「ああ…なんか…微かに意識はあったんだけど…」
「…あれは…現実? 人魚? 」
「…さぁ。でも、歩が怖い海に入って助けてくれた」
「あ、そういえば…無我夢中で…」
 空也は強くオレを抱きしめた。
「帰ろう。今夜のことは気になるならまた明日考えよう。オレ、今嬉しくて仕方がない」
 空也は今までに見たことのないくらい、楽しそうにオレの手を握ってコテージに戻った。


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