白樫学園記

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11■きらめき☆楽園バースデー SIDE:希(了)

14.サバイバルピクニック

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 結局、僕らの英語じゃぜんぜんだめで、10分くらいいろいろ聞こうとしたけど、困った顔をされてしまった。
 僕はあんまり言葉が通じなくって、ちょっと悲しくなった。もっと、英語がんばろう。
「ま、結局予定通りってことで、さ、しゅっぱーつっ」
 アユはぜんぜんそんなこと気にしてないらしく、元気に号令をかけた。
 思わず笑ってしまう。
「ノン、なに笑ってんの?」
 アユが不思議そうに僕を振り返る。
「なんか楽しいなって思って」
「ああ、だよなっ」
 そう言ってアユは早くっ、て走りだした。僕も慌てて後を追う。
 アユはジャングルの中、草を倒しながらずんずん進んで行く。僕は一生懸命その後をついて行く。
「あゆ、ほんとにひとりでこんなとこ来たの?」
「そうそ、ほら上見て? マンゴーなってるだろ? んで、取りながらどんどん中に進んでったんだ」
「へえ……あ、待ってアユっ」
 僕がぼーっと木を見上げていると、ざくざく進んで行くアユの背中が見えた。
「早くこないと置いてくぞー、だって腹へったんだもーん」
 アユはへへっと笑ってスピードを上げた。
 僕も自然と笑いがこぼれて、アユの背中を追っかけて走った。
 背の高い草がたくさん生えている所を抜けると、ごつっとした石と草花でうめ尽くされた坂道、というよりもう崖みたいなところが出て来た。
「ここも、登ったの?」
「おうっ、行くぞー、ここ上がったらもう原っぱだ」
 ほんっと、アユって最高!
 僕らは笑いながら、滑りそうになる足下に気をつけて、ときどきお互いに支えあったりとかしながら、崖を登り切った。

「はあ、疲れ……ほんとだ」
 目の前には、青々とした草原が広がっていた。
「よおっし。ピクニックだ! ノンッおにぎり食べよッ」
 ニッと笑うアユに僕も笑顔を返した。



 おにぎりを食べてお腹いっぱいになった僕らは、草の上にごろんと寝転がった。
 アユとひさしぶりにゆっくりといろんなことを話せた。
 僕はずっと不思議に思っていることがあった。
 アユって、人と仲良くなるのは好きなくせに、相手から積極的に来られたり触れられたりすると、さっと身を引いてしまうことがよくあった。
 だけど、空也先輩とは違った。初めはアユも怒ってたみたいだけど、それでも友だち関係は続いていたし、今となっては……。
「何? 」
 アユが口の端っこにごはんつぶを付けてるから、いつもの光景が頭に浮かんで、なんだか急に恥ずかしくなった。アユは不思議そうに僕を見てる。
「いや、ごはんつぶがついてるよ、あゆ。…空也先輩がいたらここで…慣れたけど…いや、正直まだちょっと慣れない…かな」
「あれ、わざとだよな。手でとりゃいいのに」
 アユは自分でごはんつぶを取って言う。鬱陶しそうに顔をしかめたけど、ほんとはそんなにやじゃないように見える。
 だから、僕は思っていたことを聞いてみた。
「あの人怒っても全く聞かないもん、オレ様ルールの元で行動してるから」
 アユが呆れたように言って、思わず僕は吹き出してしまった。
 たしかに、そうだよね。
 空也先輩は簡単に言うこと聞いたりしないよね。
 でも、きっと、それだけアユのことが好きになって、アユと仲良くなりたかった、っていうことなんだね。
 そう思うと、なんだか胸がほかほかする。

 僕らは少しだけ昼寝をすることにした。


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