260 / 368
11■きらめき☆楽園バースデー SIDE:希(了)
16.誕生日パーティー
しおりを挟む「あの、珠希、ごめんね。心配かけちゃって」
「ああ……ほんと、なんもなくてよかった」
そう言うと、珠希は力一杯ぎゅっと抱き締めてくれる。
「楽しかった? ピクニック」
珠希はにっこり笑う。
「うん。すっごく楽しかったよ」
「そっか、ならよかった。でも次からは、メモかなにか残してくれてると、安心するな」
「うん。ごめんなさい。けど……珠希だって、起きたらいなかった」
「ああ、そうだね、うん。それは僕も悪かったよ」
「どこ行ってたの?」
「ああ、ちょっと。用事があって。とにかくっ。無事でよかったよ。さあ行こうか」
「え? どこに?」
珠希は僕の手を引いて歩き出す。
「さ、空也たちも行くよ」
「ああ」
珠希は空也先輩にも声をかけて、歩いて行く。
コテージから車道に出ると、初日に乗ったのと同じ車が二台停まっていた。
「どこ行くの?」
「本邸だよ。みんなでいっしょに夕食食べよう」
「僕初めてっ」
そう言うと、珠希は微笑んだ。
車に乗り込む前、アユと目が合った。
「今日、最高に楽しかったな。ノン」
「うんっ、アユ」
僕らは顔を見合わせて、にひひっと笑った。
本邸はもちろん、寮や学園みたいな西洋式の建物で、とっても豪華だったけど、なんだかそういうのにも見なれてしまって、僕らはそれほど驚かなかった。
伯父さんの趣味もだいぶ分かってきた。
僕とアユは、珠希と空也先輩に客室で着替えるように言われた。
「…そういえば今日はサバイバルだったから随分汚れてるね、僕ら」
「あ。ほんとだー。服も破けてる!」
シャワーを浴びて戻ると、用意されていた服に着替える。
「まぁ、オシャレだとは思うけどね…オレとしてはもっと大人っぽいのがよかった…」
アユは、身につけた服を見下ろして、言う。
フリルのシャツ、リボンに、イギリスの子供が履いてそうなハーフパンツにジャケット。
こんな服を僕らに着せたがるのって……。
「僕、思うに、これ…」
「伯父さん!? やっぱ」
アユも同じことを考えていたらしくって、僕らは笑った。
『誕生日おめでとう!!!!』
フロアに降りた瞬間、僕らは盛大な拍手とクラッカーのおっきな音、それからみんなの笑顔に迎えられた。
僕らはまだ状況が把握できなくって、目をぱちくりして顔を見合わせていた。
「ノンノンー! アユアユー! やっぱり似合う! かわいい!!!」
あれ? っと思った瞬間には、もう力いっぱい抱き締められていた。
「おじさん!?」
「ごめんね、今日はせっかくバースデイパーティなのに、仕事があるからすぐ帰らなきゃいけないんだ。でも顔だけでも見れて良かった。おめでとう、二人とも」
「ありがとう伯父さん」
わざわざ仕事の合間を縫って来てくれたなんて。
ようやくおじさんに解放された僕らは、部屋をきょろきょろと見まわした。
豪華な飾り付け、それに部屋のまん中にはタワーみたいにそびえる大きなケーキ。
それから、シャンパングラスがたくさんピラビッドみたいに積み上げてあって、給仕の人がそこへピンク色のシャンパンを流して行くのを見た。
アユも僕も、なにもかもが特別すぎて、目を丸くしてばっかりだった。
「気に入った?」
そっと後ろから包み込むように抱き締められた。
目の前にピンク色のシャンパンが差し出される。
「うん。昨日だって、すごく楽しかったのに。まだこんなにお祝してもらえるなんて、なんか……」
「泣いちゃいそ?」
珠希は見透かしたようにそう言って微笑む。
「珠希、今朝いなかったのは、この準備をしてくれてたから?」
「そう。ごめんね。ひとりにして」
そう言いながら珠希は僕の髪に口付ける。
「さ、こっちおいで」
珠希が僕の後ろから横に回って、手をとるとケーキの側に立った。
ケーキの上には16の文字のキャンドルが刺さっていた。
すぐにアユと空也先輩も来た。
照明が消えて、僕らはせーので火を吹き消した。
「お、オレ…ほんとにすっげぇ、しあわせぇ…」
「ぼ、ぼくも…」
そう言った瞬間、もうこらえられなくなって、目からぽろぽろっと涙が落ちてしまった。
隣を見ると、アユも同じだった。
すぐにみんなの手が伸びてきて、順平やシュウや実、それにリンくん、みんなに頭がぐしゃぐしゃになるまで撫で回されて、僕もアユも笑った。
0
あなたにおすすめの小説
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
男子寮のベットの軋む音
なる
BL
ある大学に男子寮が存在した。
そこでは、思春期の男達が住んでおり先輩と後輩からなる相部屋制度。
ある一室からは夜な夜なベットの軋む音が聞こえる。
女子禁制の禁断の場所。
BL 男達の性事情
蔵屋
BL
漁師の仕事は、海や川で魚介類を獲ることである。
漁獲だけでなく、養殖業に携わる漁師もいる。
漁師の仕事は多岐にわたる。
例えば漁船の操縦や漁具の準備や漁獲物の処理等。
陸上での魚の選別や船や漁具の手入れなど、
多彩だ。
漁師の日常は毎日漁に出て魚介類を獲るのが主な業務だ。
漁獲とは海や川で魚介類を獲ること。
養殖の場合は魚介類を育ててから出荷する養殖業もある。
陸上作業の場合は獲った魚の選別、船や漁具の手入れを行うことだ。
漁業の種類と言われる仕事がある。
漁師の仕事だ。
仕事の内容は漁を行う場所や方法によって多様である。
沿岸漁業と言われる比較的に浜から近い漁場で行われ、日帰りが基本。
日本の漁師の多くがこの形態なのだ。
沖合(近海)漁業という仕事もある。
沿岸漁業よりも遠い漁場で行われる。
遠洋漁業は数ヶ月以上漁船で生活することになる。
内水面漁業というのは川や湖で行われる漁業のことだ。
漁師の働き方は、さまざま。
漁業の種類や狙う魚によって異なるのだ。
出漁時間は早朝や深夜に出漁し、市場が開くまでに港に戻り魚の選別を終えるという仕事が日常である。
休日でも釣りをしたり、漁具の手入れをしたりと、海を愛する男達が多い。
個人事業主になれば漁船や漁具を自分で用意し、漁業権などの資格も必要になってくる。
漁師には、豊富な知識と経験が必要だ。
専門知識は魚類の生態や漁場に関する知識、漁法の技術と言えるだろう。
資格は小型船舶操縦士免許、海上特殊無線技士免許、潜水士免許などの資格があれば役に立つ。
漁師の仕事は、自然を相手にする厳しさもあるが大きなやりがいがある。
食の提供は人々の毎日の食卓に新鮮な海の幸を届ける重要な役割を担っているのだ。
地域との連携も必要である。
沿岸漁業では地域社会との結びつきが強く、地元のイベントにも関わってくる。
この物語の主人公は極楽翔太。18歳。
翔太は来年4月から地元で漁師となり働くことが決まっている。
もう一人の主人公は木下英二。28歳。
地元で料理旅館を経営するオーナー。
翔太がアルバイトしている地元のガソリンスタンドで英二と偶然あったのだ。
この物語の始まりである。
この物語はフィクションです。
この物語に出てくる団体名や個人名など同じであってもまったく関係ありません。
【完結】 男達の性宴
蔵屋
BL
僕が通う高校の学校医望月先生に
今夜8時に来るよう、青山のホテルに
誘われた。
ホテルに来れば会場に案内すると
言われ、会場案内図を渡された。
高三最後の夏休み。家業を継ぐ僕を
早くも社会人扱いする両親。
僕は嬉しくて夕食後、バイクに乗り、
東京へ飛ばして行った。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる