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12■きらめき☆楽園バースデー SIDE:歩(了)
10.小虎
しおりを挟むドアから飛び出すと、みんながテラスに集まっていた。
「おっはよー。あれ? リンと竜はー? 」
きょろきょろとテラスを見渡すと、リンと竜の姿が見当たらなかった。
「あいつらはいつものことだよ。万年発情期」
「はつじょうき? 」
ふっと、以前目にしたリンと竜のエッチ現場が頭をよぎった。
「ひゃああああ」
「何真っ赤な顔してんだよ、歩だって紫堂先輩と同じ部屋なんだから毎晩…おわっ」
オレはダッシュでシュウに駆け寄って、口を塞いだ。
「まだやってない! 」
オレの言葉に、みんなが一斉に注目した。
「あ、まだなんだ…」
実が意外そうに言った。
あああ! オレのバカ! なんで自分でそういうこと言っちゃうんだよ!
「僕は空也がそこまで我慢できる人間だとは思わなかったよ」
「オレはやればなんだってできる人間なんだよ」
空也が不服そうに珠希に言い返した。
うう、みんなやっぱやることはちゃんとやってんだ…。空也に我慢させてるのは、オレなんだよなぁ…。
「遅れてごめーん」
妙な会話の雰囲気を払拭するように、リンの明るい声が聞こえた。
「今日はね、小虎も一緒に来たいっていうから、連れてきたんだ」
「ことら? 」
何? 動物?
「…おはようございます」
竜の後ろから、もじもじと顔をだして、その子は挨拶をした。
「竜の弟なの。かわいーでしょー? 」
リンがにっこり笑って小虎の頭を撫でた。
「弟ー? かわいー」
そういえば伏せめがちで多い睫毛とか、ぷっくりした唇は竜そっくりなんだけど、小虎はちっちゃくて女の子みたいにかわいかった。
「竜も昔はかわいかったんだけどねー、急にこんなに成長しちゃって。小虎はそのままでいてね」
「でも、リンちゃん、僕お兄ちゃんみたいにかっこよくなりたいよ」
「へー。小虎、いくつ? 」
「中学3年生です。14才で」
「えー、じゃあまだまだおっきくなれんじゃん。オレなんてまだちっこいまんまだぜー。オレ、歩、よろしく」
オレはにっこり笑って小虎に手を差し出した。
「あ、よろしくおねがいします。リンちゃんが言ってた歩くんだ」
小虎はちょっとはにかみながら、オレの手を柔らかく握った。
「やっべー、かわいいー! 」
「あゆと希くんのいちゃいちゃもいいけど、こっちも目の保養になるね」
「同感」
「ん」
リンがにこにこして言うと、空也と竜も頷いた。
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