白樫学園記

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13■艶めく初秋☆夕焼けロマネスク SIDE:希(了)

14.月曜日の朝

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「おっはよん。希、なに? なんかいいことあった?」
「へっ? え?」
 月曜日、教室に入ろうとすると、後ろからシュウに声をかけられた。
「だってさー、さっき見かけたけど、久慈先輩とさらに甘~い雰囲気だったからさあ」
「えっ、い、つもと一緒だよっ」
 僕は慌てて取り繕った。
「ええ? そう?」
 シュウは全く信じていないみたいで笑ってる。そりゃ、確かに……あったかも、いいこと。
 土曜日の夜、初めての経験をして、そのまま僕は気を失って、眠ってしまった。
 起きてから、はじめは少しおしりが痛いような気もしたけど、ぜんぜん大丈夫になって。
 僕らは日曜日、ほとんどベッドから抜け出さずに、だらだらと過ごした。
 いつもきちんとしている珠希だから、おじさんの島でもそんなことしなかったのに。
 なぜか、珠希も僕もベッドから出たくなくて、お互いの体を触ったり、キスしたり、ただとりとめのない話をしたりして過ごした。
 すごく、幸せだった。
「やっぱあったんだ、すっごい幸せそうそうな顔してるっ、希ちゃんのエッチー」
「えっ、べつにないよっ」
「うそだっうそだっ、」
 シュウに後ろから抱きつかれながら、教室に入った。
「どうしたの? 楽しそうだね」
「あ、春海くんおはよう」
「おはよ、はるちゃん。聞いてよー希ったらエッチなことしたくせに、教えてくれないんだよ、」
「えっ……」
「ちょッ、シュウッなんでそんなこと僕一言も言ってないもんっ」
「朝から甘ーい空気出して、とろんとした目してたくせにぃ」
 シュウは僕の反論を無視して、一人で楽しそうに笑いながら、自分の席へ向かった。
 残された僕と、春海くん……は、絶句しちゃってるっ。
「あ、あの、春海くん、あんなの冗談だからねっ? シュウが言ったこと」
「えっ……ほんとに?」
「うん、うんうん、もう忘れてっ」
「じゃあ、久慈先輩とはまだエッチしてないの?」
「へっ!?」
 突然春海くんが真剣な顔で聞いてきた。
「え、あ、うん」
「ほんとに?」
「うん、してないよ」
 春海くんの勢いに押されぎみになる。
 嘘は、ついてないよね? だって、ほんとのエッチは、まだだもん。
「でも、やっぱり、キスとかはした?」
「えっ? あ、えと」
 僕が答えに困っておたおたしていると、チャイムが鳴って先生が入って来た。


 慌てて席についたおかげで、春海くんの質問には答えずにすんだけど、視線を感じて顔をあげると、前の方から春海くんがなにか言いたげな顔でこっちを見ていたからびっくりした。
 そんなに僕が珠希とキスしたかどうか知りたいのかな。
 僕は春海くんの視線に曖昧な笑顔を返した。


 ショートホームルームの間考えていた。
 そしてぽっと頭に浮かんで来たのは、春海くんの真剣な顔……もしかして、春海くんって珠希のことが好きなのかも。
 同じクラスになってから、クラスのみんなとだいぶ仲良くなったけど、順平とシュウと3人でいることが多いし、春海くんはまた違う友達といつも一緒にいるから、ちゃんと話したことってなかった。
 だから、春海くんの恋のことなんて、当然知らないし。
 だけど、珠希のことを好きな子はきっとすごくたくさんいただろうし、僕が付き合い出したからって、それがゼロになったっていうことはないはずだし。
 そうなのかな、そうなのかな。
 視線をちらっと上げてみると、また春海くんと目が合った。
 やっぱり、そうなのかも。
 なんだかわかんないけど、そういうのって、複雑な気持ちになるよ。

***
 休み時間はほとんど白樺祭の話題で持ち切りだ。
 メニューも決まったし、機材も原くんのおかげで心配する必要ない。
 衣装も、春海くんが考えたいくつかのパターンの中から、好きなのを選んで注文することになった。
 春海くんは衣装の中心で、みんなにいろいろ質問されたりして忙しかったから、放課後まで話すことはなかった。
 なんだか、ほっとしてしまう自分がいて、ちょっとだけ嫌な気持ちになった。

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