現代龍騎士の憂鬱~隙のない高スペック部長と隙だらけのだらしない私~

影燈

文字の大きさ
22 / 31

23

しおりを挟む

ロビーに着くと、みんなすでに集まっていた。

「遅刻だぞ、如月」

川瀬が嫌味たっぷりに言う。
昨日のことは覚えてないのかな。

「すみません」

私が頭を下げると、闘護部長が割って入ってきた。

「もういいだろう。バスの出発まであと10分ある」

「はい」

部長の顔を見ると、昨日のことを思い出してしまう。
奥さんがいるんだ。
胸が締め付けられるような感覚。

「如月、気分悪そうだな。大丈夫か?」

部長が心配そうに声をかけてくる。

「平気です」

「本当か? 顔色悪いぞ」

「二日酔いなだけです」

私の返事に部長は眉をひそめた。

「昨日そんなに飲んでたのか」

「ええ、まあ」

「気をつけろよ。おまえは今後、体調管理が大切になる」

そう言って部長は背を向けた。

みんなでバスに乗り込む。
私は涼子の隣に座った。

「ねえねえ、昨日どうだった?」

涼子が小声で話しかけてくる。

「え?」

「課長とさ」

ああ、そういえば涼子は課長と二次会に行くって言ってたっけ。

「どうだったの?」

「うーん、まあまあかな。お酒飲むとすごく話しやすくなるんだけど、奥さんの話ばっかりで」

「奥さん?」

「そう。奥さんがどうのこうのって」

「へえー」

「キナは? 部長と何かあったの?」

「え?」

「だって美佳さんが朝からずっと不機嫌そうで、部長の悪口言ってたよ。何かあったんでしょ?」

「ああ」

そうか。美佳さん、朝から部長の悪口を。
昨日のことを根に持ってるんだ。

「ちょっと誤解されちゃったみたい」

「へえー、どんな風に?」

「いや、ほんとに何もなくて。ただ話してただけなんだけど」

「そっかー。でもキナ、部長のこと好きでしょ?」

「えっ」

「バレバレだよ。部長見る目が違うもん」

そんなに見透かされてたのか。
顔が熱くなる。

「でも無理だよ。部長、結婚してるし」

「え? してないよ」

「してるって。美佳さんが言ってた」

「美佳さんが? あーそっか。キナ、勘違いしてるんだ」

「勘違い?」

「うん。美佳さんが言ってたのは、闘護部長じゃなくて総務部長の話だよ。美佳さん、総務部長のことが好きだったんだって。でもその人が結婚しちゃったから、それで落ち込んでるんだよ」

「え?」

「だから闘護部長は独身だよ。キナ、チャンスあるんじゃない?」

涼子の言葉に、私の中で何かが弾けた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

「お前を愛する事はない」を信じたので

あんど もあ
ファンタジー
「お前を愛することは無い。お前も私を愛するな。私からの愛を求めるな」 お互いの利益のために三年間の契約結婚をしたアヴェリンとロデリック。楽しく三年を過ごしたアヴェリンは屋敷を出ていこうとするのだが……。

「がっかりです」——その一言で終わる夫婦が、王宮にはある

柴田はつみ
恋愛
妃の席を踏みにじったのは令嬢——けれど妃の心を折ったのは、夫のたった一言だった 王太子妃リディアの唯一の安らぎは、王太子アーヴィンと交わす午後の茶会。だが新しく王宮に出入りする伯爵令嬢ミレーユは、妃の席に先に座り、殿下を私的に呼び、距離感のない振る舞いを重ねる。 リディアは王宮の礼節としてその場で正す——正しいはずだった。けれど夫は「リディア、そこまで言わなくても……」と、妃を止めた。 「わかりました。あなたには、がっかりです」 微笑んで去ったその日から、夫婦の茶会は終わる。沈黙の王宮で、言葉を失った王太子は、初めて“追う”ことを選ぶが——遅すぎた。

さようならの定型文~身勝手なあなたへ

宵森みなと
恋愛
「好きな女がいる。君とは“白い結婚”を——」 ――それは、夢にまで見た結婚式の初夜。 額に誓いのキスを受けた“その夜”、彼はそう言った。 涙すら出なかった。 なぜなら私は、その直前に“前世の記憶”を思い出したから。 ……よりによって、元・男の人生を。 夫には白い結婚宣言、恋も砕け、初夜で絶望と救済で、目覚めたのは皮肉にも、“現実”と“前世”の自分だった。 「さようなら」 だって、もう誰かに振り回されるなんて嫌。 慰謝料もらって悠々自適なシングルライフ。 別居、自立して、左団扇の人生送ってみせますわ。 だけど元・夫も、従兄も、世間も――私を放ってはくれないみたい? 「……何それ、私の人生、まだ波乱あるの?」 はい、あります。盛りだくさんで。 元・男、今・女。 “白い結婚からの離縁”から始まる、人生劇場ここに開幕。 -----『白い結婚の行方』シリーズ ----- 『白い結婚の行方』の物語が始まる、前のお話です。

三十年後に届いた白い手紙

RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。 彼は最後まで、何も語らなかった。 その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。 戴冠舞踏会の夜。 公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。 それは復讐でも、告発でもない。 三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、 「渡されなかった約束」のための手紙だった。 沈黙のまま命を捨てた男と、 三十年、ただ待ち続けた女。 そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。 これは、 遅れて届いた手紙が、 人生と運命を静かに書き換えていく物語。

完結 辺境伯様に嫁いで半年、完全に忘れられているようです   

ヴァンドール
恋愛
実家でも忘れられた存在で 嫁いだ辺境伯様にも離れに追いやられ、それすら 忘れ去られて早、半年が過ぎました。

『魔力ゼロの欠陥品』と蔑まれた伯爵令嬢、卒業パーティーで婚約破棄された瞬間に古代魔法が覚醒する ~虐げられ続けた三年間、倍返しでは足りない~

スカッと文庫
恋愛
「貴様のような無能、我が国の王妃には相応しくない。婚約を破棄し、学園から追放する!」 王立魔道学園の卒業パーティー。きらびやかなシャンデリアの下、王太子エドワードの声が冷酷に響いた。彼の隣には、愛くるしい表情で私を嵌めた男爵令嬢、ミナが勝ち誇ったように寄り添っている。 伯爵令嬢のリリアーヌは、入学以来三年間、「魔力ゼロの欠陥品」として学園中の嘲笑を浴び続けてきた。 婚約者であるエドワードからは一度も顧みられず、同級生からはゴミのように扱われ、ミナの自作自演による「いじめ」の濡れ衣まで着せられ……。 それでも、父との「力を隠せ」という約束を守るため、泥を啜るような屈辱に耐え抜いてきた。 ――だが、国からも学園からも捨てられた今、もうその約束を守る必要はない。 「さようなら、皆様。……私が消えた後、この国がどうなろうと知ったことではありませんわ」 リリアーヌが身につけていた「魔力封印の首飾り」を自ら引き千切った瞬間、会場は漆黒の魔力に包まれた。 彼女は無能などではない。失われた「古代魔法」をその身に宿す、真の魔道の主だったのだ。 絶望する王太子たちを余目に、隣国の伝説の魔術師アルベルトに拾われたリリアーヌ。 彼女の、残酷で、甘美な復讐劇が今、幕を開ける――。

【完結】子爵令嬢の秘密

りまり
恋愛
私は記憶があるまま転生しました。 転生先は子爵令嬢です。 魔力もそこそこありますので記憶をもとに頑張りたいです。

旦那様、離婚しましょう ~私は冒険者になるのでご心配なくっ~

榎夜
恋愛
私と旦那様は白い結婚だ。体の関係どころか手を繋ぐ事もしたことがない。 ある日突然、旦那の子供を身籠ったという女性に離婚を要求された。 別に構いませんが......じゃあ、冒険者にでもなろうかしら? ー全50話ー

処理中です...