こわれて

九丸(ひさまる)

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第十二章

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 男はぐつぐつ煮たった鍋を眺めていた。
 時々思い出したようにかき混ぜる。
 鍋には砕いた女の骨が入っていた。とても全部は入りきらないので一部だけだが、煮立ててスープを作るつもりだった。浴槽の血はこのスープと混ぜて使うことにしている。内臓は浴室で、腸や大腸は便を取り除き、他と一緒に綺麗に洗ってある。
「無駄にしないで食べるって難しいんだね。俺はあまり大食いじゃないから、全部食べるの一苦労だよ」
 男は眼に楽しそうに話しかけた。
「頑張ってたくさん君を食べるね」
 男は時折話しかけながら、まるで女に自慢の手料理を振る舞うのが楽しみで作っているようだと感じていた。食べるのは男だけなのに……。食材は女なのにも関わらず……。
 男はさっき、余りの空腹と食欲に負けて、女の股肉を焼いて食べてみた。味付けは塩と胡椒だけのシンプルなもので。熱したフライパンに女の肉が香ばしく焼けていく。外側から熱が通っていき、中心の赤色が鮮やかになってくるのが切り口から見える。二、三回ひっくり返して表面に焦げ色が着いてきたところで、熱いうちに食べる。ぐちゅ、くちゅ……。もむ、もむ……。ごくん……。これが人の肉の味か……。不味いなんて何かの本で読んだことあったけど、そんなことはないな。何だろう? 鶏や豚や牛とも違うこの味と感触は……。いろいろためそう……。
 男は煮込んで焼いて、女を余すことなく食べていく。そして腹が脹れれば寝る。また起きては食べ、自慰をして寝る。女の肉が減れば減るほど、本当にひとつになっていくような気がしていた。
 女の眼はより強く男を魅入る。男はその眼に魅入られながら自慰をする。快感はよりいっそう強くなる。
 もうどれくらいたったのか、男には時間の感覚がなかった。
 とうとう女の身体は無くなった。
「なるべく綺麗に食べたつもりだけど、これでいいかい?」
 男は女の眼に問いかける。
「ここまで綺麗に食べてくれてありがとう。これで永遠にひとつよ……」
 女の眼が男に感謝を告げる……。
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