国一番の大悪女は、今から屋敷の外に出て沢山の人達に愛されにいきます

海咲雪

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13.次の目的は

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それから、数日が経った頃。

放課後、私はクラヴィスに呼び出された。

誰もいない会議室に。

「クラヴィス、何かあったのですか?」

「協力すると言っただろう。パーティーの後も学園でのマリーナの状況はほとんど変わっていない。しかし、少しだけパーティーの後から噂を疑い始めた者もいるかもしれない」

クラヴィスは私に近くの席に座るようにうながした。

「まず大切なことは学園内の評判を上げることだ。我々がいるのは、強い影響力を持つ貴族が沢山通っている学園だ。その場所で評判を上げれば、おのずと良い噂はさらに広がっていくだろう」

そして、クラヴィスはいつも通り予想外のことを仰るのだ。



「ねぇ、マリーナ。馬術大会で優勝して」




「っ!?」




「近々、学園内で馬術大会が開催される。注目の集まる大会で優勝すれば、それだけで印象は変わる。何より優勝すれば、マリーナにさらに視線が集まる。その場で噂とは違う人物だと思わせるような発言をするのも手だろう」

突然のクラヴィスの提案に私は戸惑ってしまった。

「馬術は得意ではなくて……」

「令嬢ならば、経験があるだけで十分だろう。マナーやダンスレッスンとは違い習う者すら少ない」

「しかし!」

「どうしたの? 勇気が出ない?」

「それは……」

「ねぇ、マリーナ。この大会に参加する女性は少ないだろう。だからこそ、面白いし影響力がある」

クラヴィスが私の力になろうとしてくれていることは明白だった。

それでも、まだすぐに了承するほど勇気が出し切れない。

その時、フリクの言葉が頭をよぎった。



「マリーナ、噂を消すのは簡単じゃない。嫌われ者の印象を変えることは難しい」

「だから、行動を起こすことだ。皆に『自分は噂のような人物ではない』と伝えるような行動を」

「マリーナが身をもって分かっている通り、噂は勝手に大きく広がっていく。それは悪い噂だけでなく、良い噂もだ」



皆、私には行動を起こす勇気があると信じてくれているから、アドバイスをくれるのだ。



「参加しますわ。それに参加するなら、優勝する」



私がそう答えると、クラヴィスは優しく微笑んだ。

「では、私も協力する。これでも、馬術は得意だからね」

「良いのですか? クラヴィスも忙しいのでは……」



「それくらいの時間はあるから、気にしなくていい。それに、君と過ごす時間は案外心地良いみたいだ」




クラヴィスはいつも当たり前のように心臓に悪い言葉を仰って、当たり前のように私を助けてくれる。

そのことにとても感謝しているからこそ、クラヴィスの期待に応えたいと思えるのだ。
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