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第一章:ようこそ、桜陽(おうよう)学園へ
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「……うそ、だろ」
スーツケースを引きずりながら校門をくぐった瞬間、俺は絶句した。
門の向こう側、広がる桜並木の下には、まるで宝塚の舞台のように整った学生たちが行き交っていた。だが、俺の視線を釘付けにしたのは、彼らが全員、セーラー服にスカート姿だったということだ。
そう、男子も、である。
「おお、君が新入生の如月蒼真(きさらぎ そうま)くんかね?」
声をかけてきたのは、いかにも品の良さそうな白髪の校長だった。彼の後ろに控える教師らしき人物も、当然のようにセーラー服を着ている。
「えっと……あの、これって、文化祭か何かですか?」
「いいや、これは桜陽学園の正装だよ。男子も女子も関係ない。“制服の平等”を掲げてもう50年になる。我が校の誇りだ」
「……マジですか?」
「もちろんだとも。君にも、今日からこの制服を着てもらうよ」
現実がゆっくりと俺にのしかかってくる。
――俺の高校生活、詰んだかもしれない。
転校の理由は、父親の海外転勤だった。仕方なく田舎の母方の祖母の家に引っ越し、近くの高校に転入した。それがこの「桜陽学園」だった。
入学案内にあった「制服について」のページを流し読みした俺は、まさかこんな重大な事実を見逃していたなんて。
それから30分後。
俺は生徒会室に通され、手渡された新品の制服を前に、うなだれていた。
「嘘だろ……まじで、着るのか、俺……」
「不安そうね?」
声をかけてきたのは、生徒会副会長の**朝比奈 優(あさひな ゆう)**先輩。涼しげな目元にサラサラのショートカット、身長は俺と同じくらいだが――やっぱり彼もセーラー服に身を包んでいた。
「……先輩、男子、ですよね?」
「うん。だけど、制服って“性別”より“個性”を見せるためのものだって、思ってる。君も、少しずつ慣れていけるよ」
その日、俺は人生で初めてスカートを履いた。
違和感、恥ずかしさ、見られる視線。全部が重くのしかかって、足元がふらつく。でも――
「似合ってるよ」
優先輩の笑顔だけが、少しだけ心を軽くしてくれた。
これは、俺がスカートを履くことになった高校生活と、自分の価値観を変えていく物語だ。
スーツケースを引きずりながら校門をくぐった瞬間、俺は絶句した。
門の向こう側、広がる桜並木の下には、まるで宝塚の舞台のように整った学生たちが行き交っていた。だが、俺の視線を釘付けにしたのは、彼らが全員、セーラー服にスカート姿だったということだ。
そう、男子も、である。
「おお、君が新入生の如月蒼真(きさらぎ そうま)くんかね?」
声をかけてきたのは、いかにも品の良さそうな白髪の校長だった。彼の後ろに控える教師らしき人物も、当然のようにセーラー服を着ている。
「えっと……あの、これって、文化祭か何かですか?」
「いいや、これは桜陽学園の正装だよ。男子も女子も関係ない。“制服の平等”を掲げてもう50年になる。我が校の誇りだ」
「……マジですか?」
「もちろんだとも。君にも、今日からこの制服を着てもらうよ」
現実がゆっくりと俺にのしかかってくる。
――俺の高校生活、詰んだかもしれない。
転校の理由は、父親の海外転勤だった。仕方なく田舎の母方の祖母の家に引っ越し、近くの高校に転入した。それがこの「桜陽学園」だった。
入学案内にあった「制服について」のページを流し読みした俺は、まさかこんな重大な事実を見逃していたなんて。
それから30分後。
俺は生徒会室に通され、手渡された新品の制服を前に、うなだれていた。
「嘘だろ……まじで、着るのか、俺……」
「不安そうね?」
声をかけてきたのは、生徒会副会長の**朝比奈 優(あさひな ゆう)**先輩。涼しげな目元にサラサラのショートカット、身長は俺と同じくらいだが――やっぱり彼もセーラー服に身を包んでいた。
「……先輩、男子、ですよね?」
「うん。だけど、制服って“性別”より“個性”を見せるためのものだって、思ってる。君も、少しずつ慣れていけるよ」
その日、俺は人生で初めてスカートを履いた。
違和感、恥ずかしさ、見られる視線。全部が重くのしかかって、足元がふらつく。でも――
「似合ってるよ」
優先輩の笑顔だけが、少しだけ心を軽くしてくれた。
これは、俺がスカートを履くことになった高校生活と、自分の価値観を変えていく物語だ。
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