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第6話 リメイクの肉じゃが
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佳山たちの幼稚な嫌がらせからお弁当を死守しなければならないのはいつものことだけど、警備の状況が少し変わった。
まず、保冷機能つきのお弁当用トートバッグを持つことにした。そしてそれを移動教室のとき、教科書や筆記用具と一緒に持ち歩く。移動教室用のちいさなトートバッグを持っている女子は何人かいて、それに便乗することにした。
中身の正体はしばらくして佳山にも知られたようだけど、おかげでお弁当への直接攻撃はいっさいなくなった。他のこまごまとした嫌がらせは減らないけど、お弁当をやられる打撃よりずっとマシだ。体育などどうしても手放さなきゃいけないときは、聡が自分の鞄にトートを入れさせてくれた。
ちなみに、発案者は聡である。
「ちょっと面倒だけど、金魚みたいなことがまたあったら俺も嫌だし」
しかし、おかげで中身を心配することなくお昼休憩に挑むことができるので、その安心感が得られただけでもかなり心に余裕ができる。ピリピリして落ちつきがない生活は、冷静な考えも、ちいさな幸せを感じられる隙間も奪ってしまうのだと、その時わかった。
私と聡は、変わらなかった。あれから何度か、聡は父親が夜勤でいない日にうちに遊びにきて、材料持参で料理をふるまってくれた。お母さんと私で何度も悪いよと言ったが、「ひとりで作って食べるより楽しいから」と「ひとりぶんの料理を作るのは意外と難しい」とふたつの理由を並べた。本人がけっこう楽しそうなのでそれ以来、遠慮していない。
二度目に作ったのは、以前聡が話していた鶏肉のケチャップソース焼きだった。そのほかにチーズをたっぷり削ってかけたナポリタンや、マヨネーズとヨーグルトと酢で野菜を和えたロシア風サラダ、厚揚げと大根の優しい味がする煮物、きゅうりとわかめとちりめんじゃこの酢の物。それに、辛く味つけしたマッシュドポテトを生地で包んで油で揚げたサモサなど、見たこともない料理も作ってくれた。ずっと気になっていた、炊飯器のシンガポール・チキンライスも作った。いちばんおいしかったのは、ごはんに乗せたハンバーグにマスタードが効いたグレイビーソースをかけ、さらに目玉焼きを乗せたロコモコだった。
和食も作る聡だが、気のせいか、海外の珍しい料理が多いと思った。気になったけど、なんとなく本人に理由を聞かないまま今に至る。
手伝いを拒否されなかったことが嬉しかった。できることからはじめ、包丁の持ちかたを習い、少しずつ難しいことを教えてくれる。そうして上達してゆくなかで、聡はひとつひとつ褒めてくれた。
お母さんも「ようやくお手伝いできる力量になったか」と遠回しに褒めてくれるので、憎さあまって嬉しさ何倍か。お母さんの手伝いもするようになったので、以前よりはずっと料理ができるようになった気がする。
昨日も晩御飯の肉じゃがを手伝った。野菜を切ったり、鍋を見はったりという程度だったけれど、それでも楽しかった。家族の食べるものを一緒に作ることは、みんなの「おいしい」の言葉を作り、共有することなんだ。
佳山はあいかわらず、私たちふたりが話をしているのが気に食わないらしく、影で文句を言っている。料理なんてしたことがないと、以前彼女は友達に笑って話していた。それ自体は恥ずかしいことじゃないけど、そのくせ男子の前では「お料理大好き~!」とうそぶいているので女は怖い。そんな彼女に、お母さんの料理を潰されたくない。
「正直、自分も悪いとこあったなって思うけど、無理してまで佳山さんみたいな子に好かれようとは思わないし、好かれたところでメリットないし」
聡と一緒にいるときにぼそっと漏らしたことがあった。聡は「毒舌だけど正直だなあ」と言った。彼の眉間に皺が寄っている。
私は見ないふりをした。
* * *
昼休みになると、いつものように時間差で教室を出る。先に出て行った聡は今ごろ、美術準備室で待っているはずだ。
私はお弁当のトートをかかえて、ひと気のない校舎の階段をゆっくりとあがってゆく。まだ寒くはないが、ひんやりとした空気の予兆は、古い石造りの階段をコツコツとあがるあいだに感じられた。秋が近いかな、とぼんやり思いながら、踊り場をまわり、階段を三段ほどあがったときだった。
突然、背後から服を強くひっぱられた。
両手にお弁当のトートを持っていた私はそのまま後ろにひっくり返る。階段で背中を強く打ち、そのまま滑り落ちて踊り場の床に頭をぶつけた。
床の上で二回転した身体はあちこちを打ち、激痛が走る。トートのお弁当箱がガランと音を立てて落ちた。階段を駆け上がる複数の足音とちいさな笑い声が遠ざかる。彼女たちが走る振動が床から伝わってくる。
ああ、やられた、と思った。
背骨を打ったのか、身体がうまく曲がらない。踊り場にうつぶせになったまま、私は痛みがひくのを待った。
最上段から落とせば命にかかわる。警察沙汰になる。そこまで大袈裟になると面倒になる。それを回避するために低い場所から落としたのだ。だから血が出るほど怪我はしていないし、意識もある。ただ、猛烈に痛いだけだ。
ふいに泣きたくなった。冷たい床に頬をつけて、誰も見ていないからいいやと、涙をこぼした。しゃくりあげると、背中が痛んだ。いっそ、もっと高いところから落としてくれ、と思った。死んだらこの惨めな気持ちもなくなるから。
ああ、でもそれは駄目だ、とすぐに考えなおす。
聡が私を待ってくれてるから。
私は痛みを我慢して上半身を起こし、トートから飛び出して転がったお弁当箱を拾い上げた。トートにそれをしまいなおすと、手すりにつかみながら立ちあがり、また階段をあがっていった。今度は背後を確認しながら。
歩くたび、色んなところに痛みが走った。以前までの私なら何もかもどうでもよくなってその場に倒れたままぼーっとしてたかも知れないけど、それだと聡に心配をかけてしまうから。
準備室に入る前、私は目元をこすって涙の跡を消した。ドアをあけると、椅子に座って文学少年然として文庫本を読んでいた聡が顔をあげた。
「遅かったね」学校ではあいかわらず無表情だ。「あと二十分しかないよ、食べよう」
うん、と曖昧に答えて私はいつもどおり彼の正面に座った。トートからお弁当を出す。中身は漏れていない。大丈夫かな、と思いながらふたり揃って「いただきます」を言う。
だけど、嫌な予感に限って当たるものだ。
お弁当箱をあけると、どろっとしたものが蓋の裏側を伝った。それに気づいて、私はすぐに蓋をしめた。
聡が購買のパンにかぶりつこうとしてあけた口を閉じ、どうしたの、と言った。
「ううん、なんでもない」
笑うでもなく、機械がしゃべるようにそう言うと、聡が眉をひそめて「嘘」と言う。
「何かあったんだろ。また、弁当に何かされたのか」
「ち、違うのっ。お弁当じゃなくて……」
聡は立ちあがって私の手を剥がし、お弁当箱をあけた。
昨日の晩御飯で余った肉じゃがを卵でとじてリメイクした、お母さんの、いつもの手作り弁当。カップに入ったそれがはみ出し、他の野菜やソーセージにかかっていた。別のカップに入っていた野菜の和え物は、カップごとひっくりかえっている。中の汁が流れ出て、蓋にべっとりとついていた。ぐちゃぐちゃだ。
私は肩をこわばらせた。呆然と料理を見ている聡の目が、徐々に細められていく。無表情で無口で、冷静な聡が、かかえきれない怒りを孕んでいることが分かる。
「誰がやったの」
冷たく鋭い声。それは独り言のようにも聴こえた。私はふるふると首を振った。
「四季、お弁当箱は絶対水平にして持ってくるよね」
大事そうに、と最後につぶやく聡。呆れたような彼の声。
私はうつむいたまま、箸箱をあけた。
「違うの」
きちんと箸を持って、ぐちゃぐちゃになったお弁当箱を左手で持つ。
「落とされたの」
「弁当箱を?」
「違う、私が」
──階段から。
逃れられない気がして、ほんの少しすがりつきたくて、そう言った。ほとんどささやくような声だった。
しかし、言葉足らずだった。聡はぎりっと歯ぎしりをした。
「先に食べてて」
そう言って走りだそうとする聡の腕を、私は彼が倒れるほど強くつかんだ。
「だめだよ、誰がやったのかも分からないし!」
「佳山さんか、彼女と一緒にいる子の誰かだろ。傍観者の女子たちがそんな危険なことするとは思えないし、直接話をしてくる。別に殴りこみに行かないから」
「もうそれがすでに殴りこみと同等のことしてる、か、らっ……」
言葉は途中で途切れ、私はその場に固まった。聡を止めようと浮かせた腰に激痛が走る。力を入れると、全身の血管の中を鉄球が巡っているみたいに痛い。痛みが増す。目尻に涙を溜めて痛みに耐える私の前に、聡がしゃがみこんだ。
「どうしたの、痛む? 保健室行こうか?」
「大丈夫……落とされたって言っても、すごく低い場所からだから。背中を打っただけ。平気。だから……そんなに強く責めないで。大げさに騒ぎたくない……お願い」
下手に騒ぎを起こしてしまったら。
この美術準備室から二度と出られなくなってしまうから。
二度と、聡と一緒にごはんを食べられなくなってしまうから。
痛みが治まるまでじっと耐え、やがて机に手をついて上半身を起こす私の腰を、聡が支えてくれた。背骨に体重がかかりにくくなったぶん、かなり楽だった。
「とりあえず、椅子に座ろう」
聡がちいさな声で言った。「ごはんを食べたら椅子を並べるから、そこに寝て。できるだけ横になったほうがいい。もしそれでも痛みがひかなかったら、保健室でベッドを借りよう」
そう言って聡はお弁当を風呂敷の上に並べなおした。箸をとって持たせてくれる。聡は購買のパンをひきよせ、私の隣に座った。そして、静かな昼食が再開された。
油絵の具の匂いにつつまれて食べる、ぐちゃぐちゃのお弁当。朝起きたらお母さんが作ってくれていた。寝坊したからごめんね、と言って、昨日の肉じゃがをリメイクしてくれた。きっと、朝の時点ではとても綺麗に並べられていたのだろう。
やわらかい卵があふれて混ざったおかずの上に、ぼたぼたと涙が落ちた。
それでも私は食べた。ぜんぶ、食べた。ひとくちずつ、いつくしむように。
昨日、お母さんと一緒に作った肉じゃが。かわいくなっちゃって、と笑われた。小皿にお玉で出汁をすくい、味見してみて、と手渡された。醤油と砂糖が優しい対比で合わさった、中野家の味。
守りたいものって、どうしてこんなにちいさくて、耐えられないほどいとおしいんだろう……。
聡に直接涙を見せるのはこれが初めてだった。から揚げ弁当のときは感づかれただけに終わったが、今はぜんぶ見られた。みっともなくしゃくりあげて、その拍子に背中が痛んで。聡は私の腰をさすったり、手を伸ばして涙を拭ったりしてくれた。
食べきったお弁当箱をとじて、ていねいに風呂敷に包む。手を合わせて、ふたりそろって「ごちそうさま」と言う。例えどんなに嫌悪されたって、見えないことになったって、このお弁当はごちそうだった。そう思わせる挨拶の言葉だった。
私は大丈夫。痛みの中で何度でもこのぬくもりを思い出すなら大丈夫じゃないかと、証拠もないのに信じきっていた。そのときになってまた涙するのだとしても。
* * *
「なんでそんなに桂山さんに嫌われてるの」
大塚聡よ、実は地球にはオブラートというものがありましてね。
そう言いたくなるほどド直球で聞いてくる聡に面食らった。私は包んだお弁当箱をトートに入れながら、もうちょっと言い方ってもんが……とは思ったけれど、何ひとつ人の事言えないので黙っていた。
「わかるでしょ、私がめっちゃ口悪いって」
不服そうに言うと、聡は目線を斜め上に持っていきながら「まあ、確かにキツい言葉が多いなって思うけど」と言った。
「ここまでされるほどのことじゃないだろ?」
「女子って違うんだと思う。キツい言葉というか、空気読めない物言いが多かったし、相手が求めてる言葉を返すことも下手くそで。……あー、なんか私、男子に生まれてるほうがよかったのかな。腹の探り合いする女子よりも、あけっぴろげに喋れてそう」
「男子だってそれなりにお互い気遣いはあるよ……ズバズバした言い方が笑って許されるのは信頼関係が前提だし、そうなるまでにはコミュニケーションも必要だし」
う、と私は言葉に詰まる。大正論だ。
聡は丸めた購買のパンの袋をポケットにねじこんだ。
「俺のことを止めたのは、桂山さんたちからの逆ギレを喰らわないように?」
「それもあるけど……」
私は頭の中で言葉を整理した。あまり人に迷惑をかけたくない、巻き込みたくない、関わって欲しくない、下手に助けを求めたくない──その理由について。
「私ね、小学校の高学年の時もいじめられてたんだけど、その時は今と違って、何人か友達がいたんだ」
クラスにいた女子の何人かは、低学年からずっと仲良しだった。私がいじめられるようになってからも、ずっと味方をしてくれた。一緒に給食を食べてくれたり、休み時間に遊んでくれたりして、いじめられていることが気にならなくなるようにしてくれた。私はかいつまんでそれを説明する。
「たくさん、たくさん、みんなが庇ってくれた。助けてくれた」
私は制服のスカートの上で両手を握りしめた。
「だけど、六年のある日、私の友達にいじめの矛先が向いたの。きっかけは、体育の時間に私に向かって投げられたボールが、私じゃなくて友達の顔面に当たったこと。多分ただの投げミス。友達は保健室に運ばれて、たくさん謝って、友達もその時は笑ってくれたの。でも、その日からなんでか私じゃなくて、友達がみんないじめられるようになった。逆に私は何もされなくなって、私と仲のいい友達ばかりが狙われて。誰も何も言わなかったけど、少しずつみんなが私と話さなくなって……いつの間にか周りに誰もいなくなって。私は友達全員を失ったまま、小学校を卒業した」
最後まで私を振り返ることがなかった、小学校時代の友達たち。
私と話さなくなった子から順に、いじめられなくなった。それがいじめっこたちの目的だったのだ。
仕方ない。誰だっていじめられたくない。いじめられている友達を守るのはいいけど、自分がいじめられるのは怖いんだ。
だけど、友達が離れていくのは、友達でもなんでもない子が見て見ぬふりをするよりも、ずっとずっと、つらかった。
誰にも別れを惜しまれない卒業式で、私は号泣するみんなの間を抜けて、涙のひとつもこぼさず、黙って校門を出て行った────。
ぎゅっと唇を噛んだ。悔しくて、情けなくて、怒りに手が震える。
いじめそのものへの怒りと、自分のために友達を傷つけてしまった悔しさと──。
だから私は、中学でもいじめられた時、一人で頑張ろうと思った。
友達を巻き込むくらいなら最初から作らないほうがいい。強くなって、跳ね返して、あいつをいじめたらこっちが痛い目に遭うって思われるくらいのほうがいい。誰かから手を差し伸べられてしまったら、その人が今度は白い目で見られてしまう。優しいがために傷ついてしまう。
最初から誰にも助けられない孤独は、大切な友達が離れていく孤独よりも、ずっとマシだ。
聡は最後まで私の話を聞いたあと、長い間黙っていた。だけど、昼休みが終わる直前に「ちょっと待ってて」と言って、美術室を出て行った。五分ほどで戻ってきた彼の手には、中庭の自動販売機で売られているフルーツオレがにぎられていた。それは確かに、私が泣きながら、また飲みたいと思っていたものだった。聡の超能力の前ではその漠然とした私の想いも筒抜けだったらしい。
聡はまた、お金を断固として受けとらなかった。この調子だと卒業までにいくら奢ってもらうことになるのだろう。だが延々と攻防をくりかえすのもレジ前のおばちゃんのようだったので、しかたなく私はパックにストローを差して飲んだ。でろ甘で、だけど優しく染みわたる甘さで、その味に驚き、そして恐れた。
……甘いものって、人を落ちつかせるんだなあ。
昔のことを思い出して震えていた肩や手が、いつもどおりに静まってゆく。
自分用のコーヒー牛乳のパックをあけながら、聡が「四季」と言う。
「うちにおいでよ」
「え?」
私は捨て猫か。
「あ、ごめん、言葉が足りなすぎた。うちに、ごはんを食べにおいで。一緒に作ろう。レシピを調べてあげるから、食べたいものを考えといて。俺の家で、食べたいものを」
聡はそう言って、優しく笑った。私のよく知っているその頬笑みが、私の中で絵の具のように溶けてあざやかに広がる。
あたたかい風が、あけはなした窓から入ってきた。
まず、保冷機能つきのお弁当用トートバッグを持つことにした。そしてそれを移動教室のとき、教科書や筆記用具と一緒に持ち歩く。移動教室用のちいさなトートバッグを持っている女子は何人かいて、それに便乗することにした。
中身の正体はしばらくして佳山にも知られたようだけど、おかげでお弁当への直接攻撃はいっさいなくなった。他のこまごまとした嫌がらせは減らないけど、お弁当をやられる打撃よりずっとマシだ。体育などどうしても手放さなきゃいけないときは、聡が自分の鞄にトートを入れさせてくれた。
ちなみに、発案者は聡である。
「ちょっと面倒だけど、金魚みたいなことがまたあったら俺も嫌だし」
しかし、おかげで中身を心配することなくお昼休憩に挑むことができるので、その安心感が得られただけでもかなり心に余裕ができる。ピリピリして落ちつきがない生活は、冷静な考えも、ちいさな幸せを感じられる隙間も奪ってしまうのだと、その時わかった。
私と聡は、変わらなかった。あれから何度か、聡は父親が夜勤でいない日にうちに遊びにきて、材料持参で料理をふるまってくれた。お母さんと私で何度も悪いよと言ったが、「ひとりで作って食べるより楽しいから」と「ひとりぶんの料理を作るのは意外と難しい」とふたつの理由を並べた。本人がけっこう楽しそうなのでそれ以来、遠慮していない。
二度目に作ったのは、以前聡が話していた鶏肉のケチャップソース焼きだった。そのほかにチーズをたっぷり削ってかけたナポリタンや、マヨネーズとヨーグルトと酢で野菜を和えたロシア風サラダ、厚揚げと大根の優しい味がする煮物、きゅうりとわかめとちりめんじゃこの酢の物。それに、辛く味つけしたマッシュドポテトを生地で包んで油で揚げたサモサなど、見たこともない料理も作ってくれた。ずっと気になっていた、炊飯器のシンガポール・チキンライスも作った。いちばんおいしかったのは、ごはんに乗せたハンバーグにマスタードが効いたグレイビーソースをかけ、さらに目玉焼きを乗せたロコモコだった。
和食も作る聡だが、気のせいか、海外の珍しい料理が多いと思った。気になったけど、なんとなく本人に理由を聞かないまま今に至る。
手伝いを拒否されなかったことが嬉しかった。できることからはじめ、包丁の持ちかたを習い、少しずつ難しいことを教えてくれる。そうして上達してゆくなかで、聡はひとつひとつ褒めてくれた。
お母さんも「ようやくお手伝いできる力量になったか」と遠回しに褒めてくれるので、憎さあまって嬉しさ何倍か。お母さんの手伝いもするようになったので、以前よりはずっと料理ができるようになった気がする。
昨日も晩御飯の肉じゃがを手伝った。野菜を切ったり、鍋を見はったりという程度だったけれど、それでも楽しかった。家族の食べるものを一緒に作ることは、みんなの「おいしい」の言葉を作り、共有することなんだ。
佳山はあいかわらず、私たちふたりが話をしているのが気に食わないらしく、影で文句を言っている。料理なんてしたことがないと、以前彼女は友達に笑って話していた。それ自体は恥ずかしいことじゃないけど、そのくせ男子の前では「お料理大好き~!」とうそぶいているので女は怖い。そんな彼女に、お母さんの料理を潰されたくない。
「正直、自分も悪いとこあったなって思うけど、無理してまで佳山さんみたいな子に好かれようとは思わないし、好かれたところでメリットないし」
聡と一緒にいるときにぼそっと漏らしたことがあった。聡は「毒舌だけど正直だなあ」と言った。彼の眉間に皺が寄っている。
私は見ないふりをした。
* * *
昼休みになると、いつものように時間差で教室を出る。先に出て行った聡は今ごろ、美術準備室で待っているはずだ。
私はお弁当のトートをかかえて、ひと気のない校舎の階段をゆっくりとあがってゆく。まだ寒くはないが、ひんやりとした空気の予兆は、古い石造りの階段をコツコツとあがるあいだに感じられた。秋が近いかな、とぼんやり思いながら、踊り場をまわり、階段を三段ほどあがったときだった。
突然、背後から服を強くひっぱられた。
両手にお弁当のトートを持っていた私はそのまま後ろにひっくり返る。階段で背中を強く打ち、そのまま滑り落ちて踊り場の床に頭をぶつけた。
床の上で二回転した身体はあちこちを打ち、激痛が走る。トートのお弁当箱がガランと音を立てて落ちた。階段を駆け上がる複数の足音とちいさな笑い声が遠ざかる。彼女たちが走る振動が床から伝わってくる。
ああ、やられた、と思った。
背骨を打ったのか、身体がうまく曲がらない。踊り場にうつぶせになったまま、私は痛みがひくのを待った。
最上段から落とせば命にかかわる。警察沙汰になる。そこまで大袈裟になると面倒になる。それを回避するために低い場所から落としたのだ。だから血が出るほど怪我はしていないし、意識もある。ただ、猛烈に痛いだけだ。
ふいに泣きたくなった。冷たい床に頬をつけて、誰も見ていないからいいやと、涙をこぼした。しゃくりあげると、背中が痛んだ。いっそ、もっと高いところから落としてくれ、と思った。死んだらこの惨めな気持ちもなくなるから。
ああ、でもそれは駄目だ、とすぐに考えなおす。
聡が私を待ってくれてるから。
私は痛みを我慢して上半身を起こし、トートから飛び出して転がったお弁当箱を拾い上げた。トートにそれをしまいなおすと、手すりにつかみながら立ちあがり、また階段をあがっていった。今度は背後を確認しながら。
歩くたび、色んなところに痛みが走った。以前までの私なら何もかもどうでもよくなってその場に倒れたままぼーっとしてたかも知れないけど、それだと聡に心配をかけてしまうから。
準備室に入る前、私は目元をこすって涙の跡を消した。ドアをあけると、椅子に座って文学少年然として文庫本を読んでいた聡が顔をあげた。
「遅かったね」学校ではあいかわらず無表情だ。「あと二十分しかないよ、食べよう」
うん、と曖昧に答えて私はいつもどおり彼の正面に座った。トートからお弁当を出す。中身は漏れていない。大丈夫かな、と思いながらふたり揃って「いただきます」を言う。
だけど、嫌な予感に限って当たるものだ。
お弁当箱をあけると、どろっとしたものが蓋の裏側を伝った。それに気づいて、私はすぐに蓋をしめた。
聡が購買のパンにかぶりつこうとしてあけた口を閉じ、どうしたの、と言った。
「ううん、なんでもない」
笑うでもなく、機械がしゃべるようにそう言うと、聡が眉をひそめて「嘘」と言う。
「何かあったんだろ。また、弁当に何かされたのか」
「ち、違うのっ。お弁当じゃなくて……」
聡は立ちあがって私の手を剥がし、お弁当箱をあけた。
昨日の晩御飯で余った肉じゃがを卵でとじてリメイクした、お母さんの、いつもの手作り弁当。カップに入ったそれがはみ出し、他の野菜やソーセージにかかっていた。別のカップに入っていた野菜の和え物は、カップごとひっくりかえっている。中の汁が流れ出て、蓋にべっとりとついていた。ぐちゃぐちゃだ。
私は肩をこわばらせた。呆然と料理を見ている聡の目が、徐々に細められていく。無表情で無口で、冷静な聡が、かかえきれない怒りを孕んでいることが分かる。
「誰がやったの」
冷たく鋭い声。それは独り言のようにも聴こえた。私はふるふると首を振った。
「四季、お弁当箱は絶対水平にして持ってくるよね」
大事そうに、と最後につぶやく聡。呆れたような彼の声。
私はうつむいたまま、箸箱をあけた。
「違うの」
きちんと箸を持って、ぐちゃぐちゃになったお弁当箱を左手で持つ。
「落とされたの」
「弁当箱を?」
「違う、私が」
──階段から。
逃れられない気がして、ほんの少しすがりつきたくて、そう言った。ほとんどささやくような声だった。
しかし、言葉足らずだった。聡はぎりっと歯ぎしりをした。
「先に食べてて」
そう言って走りだそうとする聡の腕を、私は彼が倒れるほど強くつかんだ。
「だめだよ、誰がやったのかも分からないし!」
「佳山さんか、彼女と一緒にいる子の誰かだろ。傍観者の女子たちがそんな危険なことするとは思えないし、直接話をしてくる。別に殴りこみに行かないから」
「もうそれがすでに殴りこみと同等のことしてる、か、らっ……」
言葉は途中で途切れ、私はその場に固まった。聡を止めようと浮かせた腰に激痛が走る。力を入れると、全身の血管の中を鉄球が巡っているみたいに痛い。痛みが増す。目尻に涙を溜めて痛みに耐える私の前に、聡がしゃがみこんだ。
「どうしたの、痛む? 保健室行こうか?」
「大丈夫……落とされたって言っても、すごく低い場所からだから。背中を打っただけ。平気。だから……そんなに強く責めないで。大げさに騒ぎたくない……お願い」
下手に騒ぎを起こしてしまったら。
この美術準備室から二度と出られなくなってしまうから。
二度と、聡と一緒にごはんを食べられなくなってしまうから。
痛みが治まるまでじっと耐え、やがて机に手をついて上半身を起こす私の腰を、聡が支えてくれた。背骨に体重がかかりにくくなったぶん、かなり楽だった。
「とりあえず、椅子に座ろう」
聡がちいさな声で言った。「ごはんを食べたら椅子を並べるから、そこに寝て。できるだけ横になったほうがいい。もしそれでも痛みがひかなかったら、保健室でベッドを借りよう」
そう言って聡はお弁当を風呂敷の上に並べなおした。箸をとって持たせてくれる。聡は購買のパンをひきよせ、私の隣に座った。そして、静かな昼食が再開された。
油絵の具の匂いにつつまれて食べる、ぐちゃぐちゃのお弁当。朝起きたらお母さんが作ってくれていた。寝坊したからごめんね、と言って、昨日の肉じゃがをリメイクしてくれた。きっと、朝の時点ではとても綺麗に並べられていたのだろう。
やわらかい卵があふれて混ざったおかずの上に、ぼたぼたと涙が落ちた。
それでも私は食べた。ぜんぶ、食べた。ひとくちずつ、いつくしむように。
昨日、お母さんと一緒に作った肉じゃが。かわいくなっちゃって、と笑われた。小皿にお玉で出汁をすくい、味見してみて、と手渡された。醤油と砂糖が優しい対比で合わさった、中野家の味。
守りたいものって、どうしてこんなにちいさくて、耐えられないほどいとおしいんだろう……。
聡に直接涙を見せるのはこれが初めてだった。から揚げ弁当のときは感づかれただけに終わったが、今はぜんぶ見られた。みっともなくしゃくりあげて、その拍子に背中が痛んで。聡は私の腰をさすったり、手を伸ばして涙を拭ったりしてくれた。
食べきったお弁当箱をとじて、ていねいに風呂敷に包む。手を合わせて、ふたりそろって「ごちそうさま」と言う。例えどんなに嫌悪されたって、見えないことになったって、このお弁当はごちそうだった。そう思わせる挨拶の言葉だった。
私は大丈夫。痛みの中で何度でもこのぬくもりを思い出すなら大丈夫じゃないかと、証拠もないのに信じきっていた。そのときになってまた涙するのだとしても。
* * *
「なんでそんなに桂山さんに嫌われてるの」
大塚聡よ、実は地球にはオブラートというものがありましてね。
そう言いたくなるほどド直球で聞いてくる聡に面食らった。私は包んだお弁当箱をトートに入れながら、もうちょっと言い方ってもんが……とは思ったけれど、何ひとつ人の事言えないので黙っていた。
「わかるでしょ、私がめっちゃ口悪いって」
不服そうに言うと、聡は目線を斜め上に持っていきながら「まあ、確かにキツい言葉が多いなって思うけど」と言った。
「ここまでされるほどのことじゃないだろ?」
「女子って違うんだと思う。キツい言葉というか、空気読めない物言いが多かったし、相手が求めてる言葉を返すことも下手くそで。……あー、なんか私、男子に生まれてるほうがよかったのかな。腹の探り合いする女子よりも、あけっぴろげに喋れてそう」
「男子だってそれなりにお互い気遣いはあるよ……ズバズバした言い方が笑って許されるのは信頼関係が前提だし、そうなるまでにはコミュニケーションも必要だし」
う、と私は言葉に詰まる。大正論だ。
聡は丸めた購買のパンの袋をポケットにねじこんだ。
「俺のことを止めたのは、桂山さんたちからの逆ギレを喰らわないように?」
「それもあるけど……」
私は頭の中で言葉を整理した。あまり人に迷惑をかけたくない、巻き込みたくない、関わって欲しくない、下手に助けを求めたくない──その理由について。
「私ね、小学校の高学年の時もいじめられてたんだけど、その時は今と違って、何人か友達がいたんだ」
クラスにいた女子の何人かは、低学年からずっと仲良しだった。私がいじめられるようになってからも、ずっと味方をしてくれた。一緒に給食を食べてくれたり、休み時間に遊んでくれたりして、いじめられていることが気にならなくなるようにしてくれた。私はかいつまんでそれを説明する。
「たくさん、たくさん、みんなが庇ってくれた。助けてくれた」
私は制服のスカートの上で両手を握りしめた。
「だけど、六年のある日、私の友達にいじめの矛先が向いたの。きっかけは、体育の時間に私に向かって投げられたボールが、私じゃなくて友達の顔面に当たったこと。多分ただの投げミス。友達は保健室に運ばれて、たくさん謝って、友達もその時は笑ってくれたの。でも、その日からなんでか私じゃなくて、友達がみんないじめられるようになった。逆に私は何もされなくなって、私と仲のいい友達ばかりが狙われて。誰も何も言わなかったけど、少しずつみんなが私と話さなくなって……いつの間にか周りに誰もいなくなって。私は友達全員を失ったまま、小学校を卒業した」
最後まで私を振り返ることがなかった、小学校時代の友達たち。
私と話さなくなった子から順に、いじめられなくなった。それがいじめっこたちの目的だったのだ。
仕方ない。誰だっていじめられたくない。いじめられている友達を守るのはいいけど、自分がいじめられるのは怖いんだ。
だけど、友達が離れていくのは、友達でもなんでもない子が見て見ぬふりをするよりも、ずっとずっと、つらかった。
誰にも別れを惜しまれない卒業式で、私は号泣するみんなの間を抜けて、涙のひとつもこぼさず、黙って校門を出て行った────。
ぎゅっと唇を噛んだ。悔しくて、情けなくて、怒りに手が震える。
いじめそのものへの怒りと、自分のために友達を傷つけてしまった悔しさと──。
だから私は、中学でもいじめられた時、一人で頑張ろうと思った。
友達を巻き込むくらいなら最初から作らないほうがいい。強くなって、跳ね返して、あいつをいじめたらこっちが痛い目に遭うって思われるくらいのほうがいい。誰かから手を差し伸べられてしまったら、その人が今度は白い目で見られてしまう。優しいがために傷ついてしまう。
最初から誰にも助けられない孤独は、大切な友達が離れていく孤独よりも、ずっとマシだ。
聡は最後まで私の話を聞いたあと、長い間黙っていた。だけど、昼休みが終わる直前に「ちょっと待ってて」と言って、美術室を出て行った。五分ほどで戻ってきた彼の手には、中庭の自動販売機で売られているフルーツオレがにぎられていた。それは確かに、私が泣きながら、また飲みたいと思っていたものだった。聡の超能力の前ではその漠然とした私の想いも筒抜けだったらしい。
聡はまた、お金を断固として受けとらなかった。この調子だと卒業までにいくら奢ってもらうことになるのだろう。だが延々と攻防をくりかえすのもレジ前のおばちゃんのようだったので、しかたなく私はパックにストローを差して飲んだ。でろ甘で、だけど優しく染みわたる甘さで、その味に驚き、そして恐れた。
……甘いものって、人を落ちつかせるんだなあ。
昔のことを思い出して震えていた肩や手が、いつもどおりに静まってゆく。
自分用のコーヒー牛乳のパックをあけながら、聡が「四季」と言う。
「うちにおいでよ」
「え?」
私は捨て猫か。
「あ、ごめん、言葉が足りなすぎた。うちに、ごはんを食べにおいで。一緒に作ろう。レシピを調べてあげるから、食べたいものを考えといて。俺の家で、食べたいものを」
聡はそう言って、優しく笑った。私のよく知っているその頬笑みが、私の中で絵の具のように溶けてあざやかに広がる。
あたたかい風が、あけはなした窓から入ってきた。
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友希が出会った少女は今どこにいるのか。どうして友希は事故にあったのか。そもそも起きた事故とは何だったのか。
この作品は少しだけ不思議な一人の少年の切ない恋の物語です。
イラストはいもねこ様よりいただきました。ありがとうございます!
第5回ライト文芸大賞で奨励賞をいただきました。
応援してくださった皆様、そして選考してくださった編集部の方々、本当にありがとうございました。
椿の国の後宮のはなし
犬噛 クロ
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架空の国の後宮物語。
若き皇帝と、彼に囚われた娘の話です。
有力政治家の娘・羽村 雪樹(はねむら せつじゅ)は「男子」だと性別を間違われたまま、自国の皇帝・蓮と固い絆で結ばれていた。
しかしとうとう少女であることを気づかれてしまった雪樹は、蓮に乱暴された挙句、後宮に幽閉されてしまう。
幼なじみとして慕っていた青年からの裏切りに、雪樹は混乱し、蓮に憎しみを抱き、そして……?
あまり暗くなり過ぎない後宮物語。
雪樹と蓮、ふたりの関係がどう変化していくのか見守っていただければ嬉しいです。
※2017年完結作品をタイトルとカテゴリを変更+全面改稿しております。
下っ端宮女のひたむき後宮恋譚 ~前世の夢を追いかけていたらいつのまにか寵愛されていました~
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