最弱スキル《リサイクル》で世界を覆す ~クラス追放された俺は仲間と共に成り上がる~

KABU.

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第四章:「大陸統一戦争」

第45話:炎と再生

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 世界が、燃えていた。
 紅焔と白光が絡み合い、空を裂き、風そのものを焼き払っていく。
 音が消えた。熱がすべての感覚を奪い、ただ光だけが残る。

 その中心で、蓮と真司は立っていた。
 剣と拳が重なり、互いの力がぶつかり合う。
 空気が爆ぜ、地面が抉れ、周囲の結界が悲鳴を上げる。

 「お前……まだ立てるのかよ」
 真司の声は掠れている。口端から血が滴り、蒸気と共に蒸発した。
 蓮は短く息を吐き、片目を細めた。
 「まだ“壊れてない”。それだけだ」



 周囲では、リアとセリナが必死に援護を続けていた。
 セリナは結界の破損箇所を修復しながら叫ぶ。
 「蓮! もう無理よ! 魔力の回路が焼けてる!」
 リアはその横で、戦場の熱風を斬り裂きながら歯を食いしばる。
 「止まれって言っても止まんねぇ奴だろ、あいつは!」

 彼女の視線の先――
 炎と光が渦を巻き、二人の姿を包み込んでいた。



 「なぁ、蓮」
 真司の拳が蓮の肩を貫き、火が肉を裂いた。
 「お前が《リサイクル》で救おうとしてるもんは、ほんとに“生き返る”のか?」
 蓮は痛みに顔を歪めながらも、剣を引かない。
 「生き返るかどうかじゃない。――“もう一度、生きるチャンスを作る”だけだ」

 「綺麗事だな!」
 真司の炎が爆ぜた。
 「壊れたもんは戻らねぇ! 燃えた命は灰になる! ……それでも“再生”なんて言えるのかよ!」
 蓮の剣が唸る。
 「言えるさ。灰の中にも、まだ燃え残りはある!」

 衝突。
 剣と拳が再びぶつかり、二人の間で閃光が弾けた。
 その爆発の余波だけで、周囲の瓦礫がすべて宙に浮く。



 時間の感覚が、溶けていく。
 互いの攻撃が、もはや理屈を超えていた。
 剣が大地を裂き、炎が空を焦がす。
 蓮の足が止まり、真司の拳が頬をかすめた。
 「どうした、“再生の王”! その程度か!」
 「違う……俺は王なんかじゃない!」
 蓮が叫び、全身に魔力が走る。
 「俺は――“壊れた世界の修理屋”だッ!!」

 その言葉と同時に、蓮の剣が眩く輝いた。
 砕けた大地、溶けた鉄、灰になった空気――
 それらすべてが光の粒となり、剣に吸い込まれていく。

 「《リサイクル・コンバージェンス》」
 世界の残骸を“材料”に変え、再び形を与える究極の技。

 真司の目が一瞬だけ見開かれる。
 「……全部、拾ってんのかよ……!」

 「お前が燃やしたものも、俺が直す。だから――お前はもう焼かなくていい」
 「勝手に、終わらせんな!」
 真司が吠える。「《炎帝・極焔掌》ッ!!」
 拳から溢れた炎が龍の形を取り、蓮に襲い掛かる。

 蓮は一歩も退かず、剣を地に突き立てた。
 「《リサイクル・シェルター》」
 炎の奔流が衝突した瞬間、光の花が咲いた。



 爆風。
 世界が赤と白で塗りつぶされ、音が遠のく。
 砂煙の向こうに、ふらつきながらも立ち上がる二つの影。

 真司は膝をついた。
 腕の炎が消え、拳が震えている。
 「……負け、たのか……俺が……?」

 蓮は無言で近づき、折れた剣をそのまま土に突き立てた。
 そして手を差し出す。
 「俺は壊すために戦ってない。
  “もう一度、立ち上がるため”に戦ってる。
  お前も、まだ――燃え尽きてない」

 真司はその手を見つめ、乾いた笑いを漏らした。
 「……あの頃のまんまだな。お前、変わんねぇよ」
 「お前も、根っこは変わってない」
 「……違ぇよ。俺は、人を焼いた。仲間も、敵も、まとめて」
 「なら、その罪も――俺が直す」

 沈黙。
 そして、炎の勇者はゆっくりと蓮の手を掴んだ。
 掌の中で、炎がわずかに灯る。
 だがそれは、破壊の火ではなく、温もりのように柔らかかった。

 「……あぁ、分かったよ。お前の“再生”、見せてもらう」
 「これでいい。ようこそ、“連合”へ」



 風が止んだ。
 リアが駆け寄り、息を整えながら蓮の肩を支える。
 「バカ、何度死にかけりゃ気が済むんだ」
 「お前こそ、毎回文句しか言わないな」
 「言わなきゃ死ぬでしょ、あんた」
 その言い合いに、セリナが小さく微笑む。
 「でも……これで、またひとつ救えましたね」

 蓮は空を見上げた。
 燃えた雲が風に流れ、空の青が戻っていく。
 その下で、藤堂真司が膝をつき、両手を地につけた。

 「俺の力、あんたに預ける。……炎の勇者、藤堂真司。再生連合に、忠誠を誓う」

 その声は、炎よりもまっすぐだった。
 蓮は静かに頷く。
 「ようこそ、真司」

 再生と炎――
 破壊と癒しが、ようやく同じ場所に立った瞬間だった。



 その日、廃都メルディナの空には、二つの光が並んで輝いた。
 ひとつは、燃え尽きることを知らない炎。
 もうひとつは、壊れても立ち上がる再生の光。

 そしてその中心に立つ男――篠原蓮は、静かに呟いた。
 「これで、“再生同盟”がひとつ進む」

 風が吹き抜ける。
 それは、燃え跡に新しい芽を運ぶ風だった。

 ――炎と再生。
 異なる二つの力が、ようやく同じ世界を見た。
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