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虎と龍 Ⅸ
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家に帰り、みんな風呂を済ませてから、リヴィングへ集合した。
柳と一緒に、「人生ゲーム」をする。
俺は早々に結婚し、「響子嫁かぁ」と言うと、柳が膨れっ面をする。
柳も結婚し、「トラちゃん」と旦那を紹介した。
子どもたちが笑って盛り上がる。
しかし、柳は出目が悪く、破産寸前になった。
「しょうがねぇ。じゃあ「石神家救済法」を適用してやろう」
「「救済法」ってなんですか?」
「破産したんじゃ暗くなるからな。みんなでお金をあげようってものだ」
「助かります」
「俺からは10万ドルな。じゃあ柳、「旦那様、みじめなわたくしめにお恵みくださって、ありがとうございます」と言え」
「えぇー!」
「ほら!」
柳は嫌々言う。
他の子どもたちからもお金をもらう度に、柳は悔しそうに言った。
「ほら、柳ちゃん」
ルーが1ドル札を渡す。
「性格悪いぃー!」
「破産した方が良かった気がする」
「そうだよな」
みんな笑った。
俺は響子との間に13人もの子どもを生んだ。
ゲームを片付け、しばらくみんなで雑談する。
「みんな、あの映画を観たの?」
『パラノーマル・アクティビティ』の話題になった。
「柳ちゃん、その話はもうしないで!」
「ほんとーに怖かったぁ!」
双子が今も恐怖をありありと示す。
「みんなでタカさんのベッドで寝たんですよね」
「「そうそう!」」
「花岡さんも怖がってたよなぁ」
「ひどいんですよ! 私にタカさんの隣を譲ってくれませんでした!」
「花岡さんって、大学時代の?」
柳は御堂から聞いているらしい。
「ああ、そうだよ。泊まりに来たんだ」
「へぇー」
柳は察したらしい。
「今日も石神さんと一緒に寝ていいですか?」
「却下」
「ひどーい!」
酷くはねぇだろう。
「ねえ、亜紀ちゃんも一緒に」
「あ、いいですね!」
「あたしたちはいいかな」
「うん、気遣いのできる人間だからね」
双子が訳知り顔でそう言った。
なんだか、うやむやに柳と亜紀ちゃんと一緒に寝ることになった。
まあ、亜紀ちゃんがいるからいいか。
土曜の夜は亜紀ちゃんと梅酒会議をするのだと教える。
今日は柳も一緒だ。
皇紀と双子は自室に戻った。
「タカさんに用事がない時には、いつもやってるんです」
「へぇー、いいわね!」
今日は、つまみにアスパラベーコンを手早く焼き、チーズを何種類かカットした。
「今日はどちらへ行ったんですか?」
「ああ、横浜だ」
「じゃあ、あの工場も見たんですか!」
「うん、キレイだったわぁ」
「うーん、羨ましい。タカさん、また連れてってください!」
「ああ、もうちょっと落ち着いてからな」
「そういえばタカさん、あの卵10個って、タカさんが全部食べたんですか?」
亜紀ちゃんが突然話題を振ってきた。
まずい。
「ああ、割っちゃったんで送って欲しいって言ってたやつ」
「そうです。割ってはいなかったんですが、全部なくなっちゃってて」
「?」
「あれな。まあ、大人の事情ってヤツだ」
「なんですか、それ」
「こう言えばすべてが丸く収まる、という大人の必殺技だよ」
「なんかズルイですね」
亜紀ちゃんはそう言うと、あの日の状況を柳に話す。
「卵だけじゃないんですよ。キッチンの床がビショビショに濡れてて、冷蔵庫から卵の他に、ジュースとかハムとかチーズなんかもなくなってて」
「ほんとうにおかしいわね」
「じゃあ、そろそろ寝ようか!」
「誤魔化さないでください!」
俺は「家長権限」と「大人の事情」で押し通す。
「なんかエッチなことに関連してるんじゃないですか?」
柳が鋭いことを言う。
「そう言えば、あの日緑子さんも泊まってましたよね?」
「関係ねぇ!」
「緑子さん、ずい分とお疲れのご様子でした」
二人が俺を睨んでいる。
「そういえば今日、帰りにいきなりオチンチンの話をされたの」
「エェッー!」
俺は二人を無理矢理両脇に抱え、部屋へ行く。
二人は嫌がりながら喜んで暴れる。
ベッドに放り出して、照明を消した。
「おい、二人とも! 今日は特別に俺のオチンチンを触ってもいいぞ!」
「「触りません!!」」
柳は布団の中で、一瞬俺の股間を握った。
すぐに手を引っ込めた。
柳と一緒に、「人生ゲーム」をする。
俺は早々に結婚し、「響子嫁かぁ」と言うと、柳が膨れっ面をする。
柳も結婚し、「トラちゃん」と旦那を紹介した。
子どもたちが笑って盛り上がる。
しかし、柳は出目が悪く、破産寸前になった。
「しょうがねぇ。じゃあ「石神家救済法」を適用してやろう」
「「救済法」ってなんですか?」
「破産したんじゃ暗くなるからな。みんなでお金をあげようってものだ」
「助かります」
「俺からは10万ドルな。じゃあ柳、「旦那様、みじめなわたくしめにお恵みくださって、ありがとうございます」と言え」
「えぇー!」
「ほら!」
柳は嫌々言う。
他の子どもたちからもお金をもらう度に、柳は悔しそうに言った。
「ほら、柳ちゃん」
ルーが1ドル札を渡す。
「性格悪いぃー!」
「破産した方が良かった気がする」
「そうだよな」
みんな笑った。
俺は響子との間に13人もの子どもを生んだ。
ゲームを片付け、しばらくみんなで雑談する。
「みんな、あの映画を観たの?」
『パラノーマル・アクティビティ』の話題になった。
「柳ちゃん、その話はもうしないで!」
「ほんとーに怖かったぁ!」
双子が今も恐怖をありありと示す。
「みんなでタカさんのベッドで寝たんですよね」
「「そうそう!」」
「花岡さんも怖がってたよなぁ」
「ひどいんですよ! 私にタカさんの隣を譲ってくれませんでした!」
「花岡さんって、大学時代の?」
柳は御堂から聞いているらしい。
「ああ、そうだよ。泊まりに来たんだ」
「へぇー」
柳は察したらしい。
「今日も石神さんと一緒に寝ていいですか?」
「却下」
「ひどーい!」
酷くはねぇだろう。
「ねえ、亜紀ちゃんも一緒に」
「あ、いいですね!」
「あたしたちはいいかな」
「うん、気遣いのできる人間だからね」
双子が訳知り顔でそう言った。
なんだか、うやむやに柳と亜紀ちゃんと一緒に寝ることになった。
まあ、亜紀ちゃんがいるからいいか。
土曜の夜は亜紀ちゃんと梅酒会議をするのだと教える。
今日は柳も一緒だ。
皇紀と双子は自室に戻った。
「タカさんに用事がない時には、いつもやってるんです」
「へぇー、いいわね!」
今日は、つまみにアスパラベーコンを手早く焼き、チーズを何種類かカットした。
「今日はどちらへ行ったんですか?」
「ああ、横浜だ」
「じゃあ、あの工場も見たんですか!」
「うん、キレイだったわぁ」
「うーん、羨ましい。タカさん、また連れてってください!」
「ああ、もうちょっと落ち着いてからな」
「そういえばタカさん、あの卵10個って、タカさんが全部食べたんですか?」
亜紀ちゃんが突然話題を振ってきた。
まずい。
「ああ、割っちゃったんで送って欲しいって言ってたやつ」
「そうです。割ってはいなかったんですが、全部なくなっちゃってて」
「?」
「あれな。まあ、大人の事情ってヤツだ」
「なんですか、それ」
「こう言えばすべてが丸く収まる、という大人の必殺技だよ」
「なんかズルイですね」
亜紀ちゃんはそう言うと、あの日の状況を柳に話す。
「卵だけじゃないんですよ。キッチンの床がビショビショに濡れてて、冷蔵庫から卵の他に、ジュースとかハムとかチーズなんかもなくなってて」
「ほんとうにおかしいわね」
「じゃあ、そろそろ寝ようか!」
「誤魔化さないでください!」
俺は「家長権限」と「大人の事情」で押し通す。
「なんかエッチなことに関連してるんじゃないですか?」
柳が鋭いことを言う。
「そう言えば、あの日緑子さんも泊まってましたよね?」
「関係ねぇ!」
「緑子さん、ずい分とお疲れのご様子でした」
二人が俺を睨んでいる。
「そういえば今日、帰りにいきなりオチンチンの話をされたの」
「エェッー!」
俺は二人を無理矢理両脇に抱え、部屋へ行く。
二人は嫌がりながら喜んで暴れる。
ベッドに放り出して、照明を消した。
「おい、二人とも! 今日は特別に俺のオチンチンを触ってもいいぞ!」
「「触りません!!」」
柳は布団の中で、一瞬俺の股間を握った。
すぐに手を引っ込めた。
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