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再び、六花と風花 Ⅷ
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翌朝。
俺たちは、六花と風花のためにパンケーキを焼いた。
普段、風花が食べないようなものを食べさせたかった。
ルーとハーが一生懸命にフルーツなどをカットしていく。
皇紀は生クリームなどを用意する。
亜紀ちゃんはコーンポタージュを作る。
俺はひたすらにパンケーキを焼く。
カットを終えて、双子に六花たちを起こしに行かせる。
「わぁー!」
風花が喜んでくれた。
双子がまた、究極の組み合わせを教えて風花に食べさせる。
風花は、どれも美味しいと言って礼を言っていた。
「ねえ、二人は不思議なものが見えるんでしょ?」
「「え?」」
「私に何か見える?」
「あのね、風花ちゃん。そういうのは教えちゃいけないの」
「教えると悪いこともあるんだよ?」
双子がそう言った。
「そうなんだ。ごめんね。お母さんとか見えたら嬉しいなって思ったの」
「いいの。でもね、サーシャさんは見えない」
「そっかー」
「でもね、風花ちゃんがいつもお祈りしたら、いつか良くなるかも」
「そうか! 頑張るね!」
「いつか良くなる」と二人は言った。
それは、今は良くないということなのだろう。
この世を逃げての自殺というのは、そういうことなのかもしれない。
「あ、石神さんの別荘ですごいものを見たんだよね?」
「「!」」
「どういうものだったのか興味があってね」
「「風花ちゃん!」」
「え、はい!」
「アレは絶対ダメ!」
「話に出すだけで危ないから!」
「は、はい!」
「どーして興味があるの?」
ルーが言った。
「ごめんなさい。石神さんに聞いて」
「タカさん! 何を話したの?」
「ああ、お前らがちょっと言ってたのを気になってな。実はこないだ挨拶に行ったんだよ」
「「あー」」
「石神さんが、冗談でみんなを先に食べてくれって頼んだって」
風花がそう言うと、双子が立ち上がって叫んだ。
「タカさん! 全然反対じゃん!」
「あの時、自分はどうなってもいいとか言ってたよね!」
「おい、どうして知ってる!」
亜紀ちゃんも六花も俺が大声を出したので驚いている。
双子はしまった、という顔をしていた。
「話せ!」
双子はおずおずと話し出した。
便利屋を巻き込んで、俺の後をつけていたこと。
遠くから、特殊な機械で俺の姿と声を拾っていたこと。
「だからお前ら、あんなに遅くまで起きていたのか」
「「ごめんなさい!」」
まあ、いつでもこいつらは、俺のために行動する。
突拍子もないことも多いが、その心根は分かっている。
「分かった。もういい。でももうするなよな」
「「はい!」」
するに決まってるが。
「あのね、アレはほんとうに怖いのね」
「タカさんが話しかけたからびっくりして」
「二人で慌てて助けに行こうとしたの」
「そうしたら、身体が動かなくなっちゃったの」
「そうか」
まったく分からない。
しかし、こいつらが俺のために危険を冒してまで助けようとしたことは分かった。
「アレが、大笑いしてたの」
「笑うなんて思わなかった!」
「それって、良かったってことか?」
「「分からない!」」
まだ隠していることもありそうだが、それは聞かないでおくことにした。
「そうか。じゃあこの話は終わりだ」
俺がそう言うと、亜紀ちゃんが立ち上がった。
「終わりじゃありません! タカさん! また自分を危ない目に遭わせて、私たちのために何かしようとしたんですか!」
猛烈に怒っている。
「そうじゃないよ。ちょっと気になって挨拶をしてきただけだ」
「でも、ルーとハーがさっき言いましたよね!」
俺は双子に助けを求めて見たが、蒼白になって震えている。
鬼モードの亜紀ちゃんはダメらしい。
「い、いや、ちょっと大物らしかったからな! そりゃお前、こういうのは社交辞令というなぁ」
「絶対に許しません! 一週間オチンチン禁止です!」
「はい?」
「毎日確かめますからね! 使ったらモギます!」
「おい」
「いいですね!」
「はい!」
六花が泣きそうな顔になっていた。
ロボに頭を撫でられていた。
なんなんだ、お前らは。
六花と風花が帰る。
「石神さん、お世話になりました」
「いや。なんか悪いな、ヘンな雰囲気になって」
「いえ、私のせいです。すいませんでした」
「そうじゃないよ。身から出た錆っていうのかな、こういうのは?」
風花が笑った。
「石神さんは、優しすぎるんですよ」
「そんなことはないよ」
送ると言ったが、タクシーで帰ると言われた。
「亜紀ちゃんって、怒ると怖いんですね」
「そうだろ? ディアブロ・アキっていうんだよ」
「ディアブロ?」
「スペイン語で「魔王」って意味だ」
「なるほど!」
俺はCDを風花に渡した。
「これは?」
「ロシア民謡を集めたものだ」
「ほんとですか!」
「恥ずかしいんだけど、俺の好きな曲を集めたものだ。だから俺の歌と演奏なんだ。悪いな」
「そんな! 最高です」
「そうか」
俺は苦笑いして渡した。
「あとで、気に入った曲があったらちゃんとしたものを買ってくれ」
「いえ! これで十分です」
風花が大事そうに抱えてくれた。
「石神先生、わ、わたしのー」
「ちゃんとあるよ!」
俺は笑って六花にも一枚渡した。
六花がニコニコする。
タクシーが来た。
二人が乗り込んで窓を開けた。
「石神さん! 今度は姉妹丼をお願いします」
「あ、いやあれはなぁ」
「私、ちゃんと知ってますからぁ!」
「な、なにぃ!」
笑って手を振って去って行った。
「タカさん」
後ろで亜紀ちゃんが怖い声で言った。
「おい、何もしてねぇだろう!」
「したらおしまいですからね」
「はい」
亜紀ちゃんが微笑んで俺の肩を叩く。
「一週間なんて、すぐですよ!」
「お、おう」
別に、俺も構わないんだが。
一体、子どもたちに俺はどういう目で見られているのだろうか。
俺たちは、六花と風花のためにパンケーキを焼いた。
普段、風花が食べないようなものを食べさせたかった。
ルーとハーが一生懸命にフルーツなどをカットしていく。
皇紀は生クリームなどを用意する。
亜紀ちゃんはコーンポタージュを作る。
俺はひたすらにパンケーキを焼く。
カットを終えて、双子に六花たちを起こしに行かせる。
「わぁー!」
風花が喜んでくれた。
双子がまた、究極の組み合わせを教えて風花に食べさせる。
風花は、どれも美味しいと言って礼を言っていた。
「ねえ、二人は不思議なものが見えるんでしょ?」
「「え?」」
「私に何か見える?」
「あのね、風花ちゃん。そういうのは教えちゃいけないの」
「教えると悪いこともあるんだよ?」
双子がそう言った。
「そうなんだ。ごめんね。お母さんとか見えたら嬉しいなって思ったの」
「いいの。でもね、サーシャさんは見えない」
「そっかー」
「でもね、風花ちゃんがいつもお祈りしたら、いつか良くなるかも」
「そうか! 頑張るね!」
「いつか良くなる」と二人は言った。
それは、今は良くないということなのだろう。
この世を逃げての自殺というのは、そういうことなのかもしれない。
「あ、石神さんの別荘ですごいものを見たんだよね?」
「「!」」
「どういうものだったのか興味があってね」
「「風花ちゃん!」」
「え、はい!」
「アレは絶対ダメ!」
「話に出すだけで危ないから!」
「は、はい!」
「どーして興味があるの?」
ルーが言った。
「ごめんなさい。石神さんに聞いて」
「タカさん! 何を話したの?」
「ああ、お前らがちょっと言ってたのを気になってな。実はこないだ挨拶に行ったんだよ」
「「あー」」
「石神さんが、冗談でみんなを先に食べてくれって頼んだって」
風花がそう言うと、双子が立ち上がって叫んだ。
「タカさん! 全然反対じゃん!」
「あの時、自分はどうなってもいいとか言ってたよね!」
「おい、どうして知ってる!」
亜紀ちゃんも六花も俺が大声を出したので驚いている。
双子はしまった、という顔をしていた。
「話せ!」
双子はおずおずと話し出した。
便利屋を巻き込んで、俺の後をつけていたこと。
遠くから、特殊な機械で俺の姿と声を拾っていたこと。
「だからお前ら、あんなに遅くまで起きていたのか」
「「ごめんなさい!」」
まあ、いつでもこいつらは、俺のために行動する。
突拍子もないことも多いが、その心根は分かっている。
「分かった。もういい。でももうするなよな」
「「はい!」」
するに決まってるが。
「あのね、アレはほんとうに怖いのね」
「タカさんが話しかけたからびっくりして」
「二人で慌てて助けに行こうとしたの」
「そうしたら、身体が動かなくなっちゃったの」
「そうか」
まったく分からない。
しかし、こいつらが俺のために危険を冒してまで助けようとしたことは分かった。
「アレが、大笑いしてたの」
「笑うなんて思わなかった!」
「それって、良かったってことか?」
「「分からない!」」
まだ隠していることもありそうだが、それは聞かないでおくことにした。
「そうか。じゃあこの話は終わりだ」
俺がそう言うと、亜紀ちゃんが立ち上がった。
「終わりじゃありません! タカさん! また自分を危ない目に遭わせて、私たちのために何かしようとしたんですか!」
猛烈に怒っている。
「そうじゃないよ。ちょっと気になって挨拶をしてきただけだ」
「でも、ルーとハーがさっき言いましたよね!」
俺は双子に助けを求めて見たが、蒼白になって震えている。
鬼モードの亜紀ちゃんはダメらしい。
「い、いや、ちょっと大物らしかったからな! そりゃお前、こういうのは社交辞令というなぁ」
「絶対に許しません! 一週間オチンチン禁止です!」
「はい?」
「毎日確かめますからね! 使ったらモギます!」
「おい」
「いいですね!」
「はい!」
六花が泣きそうな顔になっていた。
ロボに頭を撫でられていた。
なんなんだ、お前らは。
六花と風花が帰る。
「石神さん、お世話になりました」
「いや。なんか悪いな、ヘンな雰囲気になって」
「いえ、私のせいです。すいませんでした」
「そうじゃないよ。身から出た錆っていうのかな、こういうのは?」
風花が笑った。
「石神さんは、優しすぎるんですよ」
「そんなことはないよ」
送ると言ったが、タクシーで帰ると言われた。
「亜紀ちゃんって、怒ると怖いんですね」
「そうだろ? ディアブロ・アキっていうんだよ」
「ディアブロ?」
「スペイン語で「魔王」って意味だ」
「なるほど!」
俺はCDを風花に渡した。
「これは?」
「ロシア民謡を集めたものだ」
「ほんとですか!」
「恥ずかしいんだけど、俺の好きな曲を集めたものだ。だから俺の歌と演奏なんだ。悪いな」
「そんな! 最高です」
「そうか」
俺は苦笑いして渡した。
「あとで、気に入った曲があったらちゃんとしたものを買ってくれ」
「いえ! これで十分です」
風花が大事そうに抱えてくれた。
「石神先生、わ、わたしのー」
「ちゃんとあるよ!」
俺は笑って六花にも一枚渡した。
六花がニコニコする。
タクシーが来た。
二人が乗り込んで窓を開けた。
「石神さん! 今度は姉妹丼をお願いします」
「あ、いやあれはなぁ」
「私、ちゃんと知ってますからぁ!」
「な、なにぃ!」
笑って手を振って去って行った。
「タカさん」
後ろで亜紀ちゃんが怖い声で言った。
「おい、何もしてねぇだろう!」
「したらおしまいですからね」
「はい」
亜紀ちゃんが微笑んで俺の肩を叩く。
「一週間なんて、すぐですよ!」
「お、おう」
別に、俺も構わないんだが。
一体、子どもたちに俺はどういう目で見られているのだろうか。
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