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防衛システム輸送
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翌週は忙しかった。
防衛システムの搬入は、蓮花の研究所と幾つかの拠点から運ばれたものを、ロックハートの専門家たちが船に入れた。
幾つかの中枢部分は特別な部屋に入れられ、鋼鉄の扉が溶接された。
その作業は皇紀が立ち会った。
俺とレイは主にターナー少将と綿密な作戦の最終的洗い直しをした。
俺とレイが考え得る事態を少将にぶつけ、少将がその対処を答える。
ブレインストーミングだ。
「第七艦隊規模の襲撃があった場合は?」
「衛星で2000キロ圏内を常に見張っている。即座にミサイル攻撃、場合によっては核も使う」
「護衛艦に反乱があった場合は?」
「BC兵器が使用された場合」
「原潜のSLBMの場合」
「大陸間弾道弾の場合」
俺たちは煮詰めていった。
「巨大生物の襲撃は?」
「タイガー、どういう意味だ?」
「「業」は人間を操る技術を持っている。クジラやシャチなどを使ってくるかもしれん」
「生物ならば、50ミリ機関砲で十分に対処できる」
「「ヴァーミリオン」のように特殊兵装していた場合は?」
「それはあまりにも未確定過ぎる。答えられない」
俺たちはブレインストーミングを終えた。
出向の前日の金曜日の晩。
俺たちは壮行会を開いた。
亜紀ちゃん、ルー、ハーの三人が主役だ。
そしてレイ。
俺がシャトーブリアンを死ぬほど喰わせた。
「これでもう思い残すことはねぇな!」
「「「はい!」」」
「残る俺たちは、しばらくご飯に塩をかけて食べるから」
「「「アハハハハ!」」」
「レイ、これを」
俺はレイに「ベルーガ エピキュア バイ ラリック (BELUGA EPICURE by LALIQUE)」を2本渡した。
有名な「ベルーガ」の最高級のウォッカが、工房ラリックの美術品とも言えるガラスのボトルに入っている。
限定商品なので、手に入れるのに苦労した。
「石神さん!」
レイが俺に抱き着いて来た。
「ボトルが美しいからな。飲み終わっても飾っておいてくれ」
「はい! 必ず!」
「短い間だったけど、楽しかった。仕事を終えても是非遊びに来てくれよ」
俺はレイにキスをされた。
「石神さんの虎曜日の女ですから!」
子どもたちが拍手をした。
何の拍手だ?
「娘たちを頼む」
「はい!」
俺は亜紀ちゃんたちも一人一人抱き締め、無事に帰って来いと言った。
その晩は早く寝た。
翌朝4時。
俺はハマーで送った。
横須賀だ。
亜紀ちゃんと双子に緊張はない。
「船の中では大食いはするなよ!」
「はい!」
「大食いって、どれくらいか分かってるのか?」
「うーん、10キロくらい?」
「1キロ以上だ!」
みんなが笑う。
「それと、飯が不味いからって暴れるなよな!」
「暴れませんよ!」
「帰ったら幾らでも喰わせてやるからな」
「「はーい!」」
「レイ、実際航海中の食事って」
「大丈夫ですよ。ちゃんとしたものです。それに石神さんのお子さんを想定して食材も積み込んでます」
「苦労をかけるな!」
「いいえ」
横須賀の港が見えて来た。
「セブンスター」が見える。
タラップの前では、マリーンたちが立っている。
俺のハマーを見つけ、敬礼をしてきた。
みんなが車を降り、それぞれの荷物を持った。
亜紀ちゃんが俺にキスをしてきた。
そのまま俺の頬に両手を当て、じっと俺を見ている。
俺も微笑み、亜紀ちゃんにキスをした。
双子にも、それぞれキスをする。
「レイ!」
レイが笑いながら寄って来て俺にキスをした。
亜紀ちゃんと双子が皇紀の尻に蹴りを入れる。
「じゃあ、行って来い!」
「「「「はい!」」」」
四人がタラップを上がって行く。
最上段で、振り返り手を振った。
俺と皇紀も振り返した。
一時間後、「セブンスター」は出向した。
「さあ、ソープランドでも行くか!」
「アハハハハ!」
俺たちはすぐに家に帰り、行程の再検討をした。
昼に栞が来てくれ、昼食を作ってくれた。
「ちょっと男臭いね」
「そうだろう!」
「アハハハ」
俺たちが寂しがっていないかと来てくれたのだ。
栞は泊っていってくれた。
嫌がる皇紀を無理矢理引っ張り、三人で風呂に入った。
俺が「虚チン花」を見せると、二人で爆笑した。
日曜日に、俺たちは大丈夫だからと栞を帰した。
鷹や六花からも連絡があったが、断った。
寂しい夜を過ごすことが、俺たちの祈りになった。
■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■
「夕食、美味しかったね!」
「うん! まさかあんなに出るとはね!」
ルーとハーは同室。
亜紀ちゃんとレイは個室だった。
今は双子の部屋にみんな集まっている。
二段ベッドに小さなテーブルセットがある。
4人が座れる。
二人掛けのソファもあり、テレビもついていた。
「レイさん、あんなに食べても大丈夫なんですか?」
「はい! 行程は四日の予定ですけど、食糧は十日分積んでいます。もちろん乗員全員の分でです」
「メニューは決まってるの?」
ハーが聞いた。
「決まってはいますが、慣例で教えないことになってるの。毎回楽しみになるでしょ?」
「なるほどー!」
「私たちは、何をしてればいいんですかね?」
「自由にのんびりしてて下さい。でも船旅って時間を持て余すので、運動でもどうですか?」
「いいですね!」
レイは30分後に甲板に着替えて来てくれと言った。
亜紀ちゃんたちがタイガーストライプのコンバットスーツで登ると、マリーンの男たちが10人ほど待っていた。
「ちょっと、彼らに格闘技を教えてくれませんか?」
亜紀ちゃんの顔が獰猛な笑顔になった。
指でかかって来いと示す。
大柄な黒人が笑いながら近づいて来た。
見えない速度の回し蹴りで横腹を薙ぎ、男は20メートルを滑って行った。
もちろん手加減はしている。
インパクトの瞬間にスピードを落としていた。
男たちの目が変わった。
ハーが190センチの黒人の相手をした。
瞬時に背後に回り、バックブリーカーで脳天から落とす。
ルーは立ち技で面白いように男を殴り続ける。
顔面などを腫れ上がらせて、男は降参した。
指揮官の男がそれを知り、毎日の訓練メニューに三人との格闘訓練を加えた。
「悪魔だぜ、あの双子」
「俺なんか、タマを握られて焦った!」
「なんと言っても姉の恐ろしさよな! 俺30メートル上も飛ばされたぜ」
「ああ、あの恐ろしい笑い顔な! 縮みあがるぜ」
マリーンたちの恐怖の時間になった。
ハワイ島が近づいて来た。
寄港することはないが、みんなで島を見に甲板に上がった。
そこまでは、何の事件も無い穏やかな航海だった。
防衛システムの搬入は、蓮花の研究所と幾つかの拠点から運ばれたものを、ロックハートの専門家たちが船に入れた。
幾つかの中枢部分は特別な部屋に入れられ、鋼鉄の扉が溶接された。
その作業は皇紀が立ち会った。
俺とレイは主にターナー少将と綿密な作戦の最終的洗い直しをした。
俺とレイが考え得る事態を少将にぶつけ、少将がその対処を答える。
ブレインストーミングだ。
「第七艦隊規模の襲撃があった場合は?」
「衛星で2000キロ圏内を常に見張っている。即座にミサイル攻撃、場合によっては核も使う」
「護衛艦に反乱があった場合は?」
「BC兵器が使用された場合」
「原潜のSLBMの場合」
「大陸間弾道弾の場合」
俺たちは煮詰めていった。
「巨大生物の襲撃は?」
「タイガー、どういう意味だ?」
「「業」は人間を操る技術を持っている。クジラやシャチなどを使ってくるかもしれん」
「生物ならば、50ミリ機関砲で十分に対処できる」
「「ヴァーミリオン」のように特殊兵装していた場合は?」
「それはあまりにも未確定過ぎる。答えられない」
俺たちはブレインストーミングを終えた。
出向の前日の金曜日の晩。
俺たちは壮行会を開いた。
亜紀ちゃん、ルー、ハーの三人が主役だ。
そしてレイ。
俺がシャトーブリアンを死ぬほど喰わせた。
「これでもう思い残すことはねぇな!」
「「「はい!」」」
「残る俺たちは、しばらくご飯に塩をかけて食べるから」
「「「アハハハハ!」」」
「レイ、これを」
俺はレイに「ベルーガ エピキュア バイ ラリック (BELUGA EPICURE by LALIQUE)」を2本渡した。
有名な「ベルーガ」の最高級のウォッカが、工房ラリックの美術品とも言えるガラスのボトルに入っている。
限定商品なので、手に入れるのに苦労した。
「石神さん!」
レイが俺に抱き着いて来た。
「ボトルが美しいからな。飲み終わっても飾っておいてくれ」
「はい! 必ず!」
「短い間だったけど、楽しかった。仕事を終えても是非遊びに来てくれよ」
俺はレイにキスをされた。
「石神さんの虎曜日の女ですから!」
子どもたちが拍手をした。
何の拍手だ?
「娘たちを頼む」
「はい!」
俺は亜紀ちゃんたちも一人一人抱き締め、無事に帰って来いと言った。
その晩は早く寝た。
翌朝4時。
俺はハマーで送った。
横須賀だ。
亜紀ちゃんと双子に緊張はない。
「船の中では大食いはするなよ!」
「はい!」
「大食いって、どれくらいか分かってるのか?」
「うーん、10キロくらい?」
「1キロ以上だ!」
みんなが笑う。
「それと、飯が不味いからって暴れるなよな!」
「暴れませんよ!」
「帰ったら幾らでも喰わせてやるからな」
「「はーい!」」
「レイ、実際航海中の食事って」
「大丈夫ですよ。ちゃんとしたものです。それに石神さんのお子さんを想定して食材も積み込んでます」
「苦労をかけるな!」
「いいえ」
横須賀の港が見えて来た。
「セブンスター」が見える。
タラップの前では、マリーンたちが立っている。
俺のハマーを見つけ、敬礼をしてきた。
みんなが車を降り、それぞれの荷物を持った。
亜紀ちゃんが俺にキスをしてきた。
そのまま俺の頬に両手を当て、じっと俺を見ている。
俺も微笑み、亜紀ちゃんにキスをした。
双子にも、それぞれキスをする。
「レイ!」
レイが笑いながら寄って来て俺にキスをした。
亜紀ちゃんと双子が皇紀の尻に蹴りを入れる。
「じゃあ、行って来い!」
「「「「はい!」」」」
四人がタラップを上がって行く。
最上段で、振り返り手を振った。
俺と皇紀も振り返した。
一時間後、「セブンスター」は出向した。
「さあ、ソープランドでも行くか!」
「アハハハハ!」
俺たちはすぐに家に帰り、行程の再検討をした。
昼に栞が来てくれ、昼食を作ってくれた。
「ちょっと男臭いね」
「そうだろう!」
「アハハハ」
俺たちが寂しがっていないかと来てくれたのだ。
栞は泊っていってくれた。
嫌がる皇紀を無理矢理引っ張り、三人で風呂に入った。
俺が「虚チン花」を見せると、二人で爆笑した。
日曜日に、俺たちは大丈夫だからと栞を帰した。
鷹や六花からも連絡があったが、断った。
寂しい夜を過ごすことが、俺たちの祈りになった。
■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■
「夕食、美味しかったね!」
「うん! まさかあんなに出るとはね!」
ルーとハーは同室。
亜紀ちゃんとレイは個室だった。
今は双子の部屋にみんな集まっている。
二段ベッドに小さなテーブルセットがある。
4人が座れる。
二人掛けのソファもあり、テレビもついていた。
「レイさん、あんなに食べても大丈夫なんですか?」
「はい! 行程は四日の予定ですけど、食糧は十日分積んでいます。もちろん乗員全員の分でです」
「メニューは決まってるの?」
ハーが聞いた。
「決まってはいますが、慣例で教えないことになってるの。毎回楽しみになるでしょ?」
「なるほどー!」
「私たちは、何をしてればいいんですかね?」
「自由にのんびりしてて下さい。でも船旅って時間を持て余すので、運動でもどうですか?」
「いいですね!」
レイは30分後に甲板に着替えて来てくれと言った。
亜紀ちゃんたちがタイガーストライプのコンバットスーツで登ると、マリーンの男たちが10人ほど待っていた。
「ちょっと、彼らに格闘技を教えてくれませんか?」
亜紀ちゃんの顔が獰猛な笑顔になった。
指でかかって来いと示す。
大柄な黒人が笑いながら近づいて来た。
見えない速度の回し蹴りで横腹を薙ぎ、男は20メートルを滑って行った。
もちろん手加減はしている。
インパクトの瞬間にスピードを落としていた。
男たちの目が変わった。
ハーが190センチの黒人の相手をした。
瞬時に背後に回り、バックブリーカーで脳天から落とす。
ルーは立ち技で面白いように男を殴り続ける。
顔面などを腫れ上がらせて、男は降参した。
指揮官の男がそれを知り、毎日の訓練メニューに三人との格闘訓練を加えた。
「悪魔だぜ、あの双子」
「俺なんか、タマを握られて焦った!」
「なんと言っても姉の恐ろしさよな! 俺30メートル上も飛ばされたぜ」
「ああ、あの恐ろしい笑い顔な! 縮みあがるぜ」
マリーンたちの恐怖の時間になった。
ハワイ島が近づいて来た。
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