719 / 3,202
最後の花見
しおりを挟む
四月に入った。
俺たちは柳の歓迎を兼ねて、花見をすることにした。
丁度、手に入れた付近の土地に、見事な桜の大樹があった。
広い敷地で、思い切り楽しめる。
前の晩、帰って来たレイも交えて酒を飲んだ。
俺はとっておきの身欠きにしんを出す。
亜紀ちゃんのリクエストで巾着卵を作り、亜紀ちゃんはわさび海苔の大根サラダを作った。
レイはハモンセラーノを器用にナイフで削って行く。
柳はロボのためにマグロを炙った。
「さあ、じゃあ乾杯!」
「「「かんぱーい!」」」
「にゃー」
「明日も呑むから軽めにな」
「「「はーい!」」」
「にゃ」
レイと柳は顔合わせを済ませている。
大柄なアメリカ人の美人に、柳がビビった。
「御堂さんのお嬢さんですね」
「はい!」
レイが優しく微笑むと、柳も緊張を解いた。
レイは御堂のことをいろいろと尋ねる。
柳が笑顔で話して行った。
やはり、欧米人は仲良くなるのが上手い。
「レイ、明日はアビーも来れそうか?」
「はい。楽しみだと言ってました」
「そうか」
響子も呼んでいるので、たまには来いとアビゲイルを誘った。
そのために、花見はテーブルと椅子を用意した。
「タカさん、千両さんたちも来るんですよね」
亜紀ちゃんがニコニコして言う。
「ああ。東雲たちも来るからな。久しぶりに会わせてやろう」
「エヘヘヘ」
「私、花見なんて久しぶりです」
柳が言う。
「そうなのか? 御堂の所ならいろいろ場所はありそうだけどなぁ」
「子どもの頃はしてたんですが。父が忙しくなっちゃって」
「あいつは真面目だからな。休日でも急患のために備えている」
「はい」
「それとな。澪さんの負担を考えてるんだろうよ」
「ああ、なるほど!」
「大勢が集まるだろうからな。澪さんは大変だ」
「そうだったんですね」
「タカさんも、あんまりやりませんよね?」
亜紀ちゃんが聞いて来た。
「そうだな」
「なんでですか?」
「別にやる意味が無いからな。桜を見たけりゃ見に行けばいいし。酒が飲みたければ飲めばいいんだ」
「うーん」
「俺は大勢でワイワイやるのは、そんなに好きじゃないんだよ」
「何となく分かりますけどー」
「花見っていうのはな、飲むための口実だ」
「はぁ」
「まあ、親しい人間同士で楽しむのは別にいいと思うけどな」
「なんか、矛盾してません?」
俺は笑った。
確かにそうだ。
「自らやろうとしないだけで、そういう場も楽しむと言うかな。まあ、何となく上に立っちゃったから、たまにはいろんな連中を楽しませてやろうってことだ」
「ああ、なるほど」
「特に東雲たちな。あいつらは多分きつく言われているんだろう。俺が不快になるような真似はするなってなぁ。だから酒もあんまり飲まない。いつ俺に呼び出されてもいいようにな」
「はい」
俺は亜紀ちゃんにあんまり身欠きにしんを喰うなと言った。
食べ物の好みが似て来て困る。
「じゃあ、タカさんは今までも花見ってあんまりしなかったんですか?」
「そうだなぁ。二十年振りだな」
「へぇー」
俺は最後の花見を思い出した。
■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■
「タカトラ」
「なんだ?」
「いつもお金のあんまりないタカトラ」
「なんだ、このやろう」
俺は笑って奈津江を見た。
「ほら、もうすぐ桜が満開だよ?」
「ああ!」
「お花見に行こうよ!」
「いいな!」
俺たちは笑い合った。
「お弁当を作ってさ!」
「ああ、全部俺がな!」
「お酒もちょっと飲もうよ」
「それも俺が用意すんのな!」
奈津江が俺の腕を叩く。
「私は最高のスマイル持って行くから」
「ああ、最高だよな!」
それだけでいい。
奈津江が笑顔でいてくれるのが、一番いい。
俺たちはどこに行こうかと話し合った。
あんまり大勢いる場所じゃない方がいい。
俺は発想を変えて、みんながいない時間帯にした。
夜の1時くらいから朝方にかけて。
夜桜もいいものだ。
「高虎、頭いい!」
「お前のためならな!」
「「アハハハハハ!」」
学生だった俺たちは、時間は自由になる。
平日の水曜日の夜を選んだ。
目黒の名所だ。
ライトアップもいいらしい。
当日、俺と奈津江は東横線の最終に乗って、中目黒で降りた。
ゆっくりと二人で歩いて、中の橋近辺を散策した。
「わぁー、綺麗ね!」
「そうだなぁ」
二人でライトアップされた目黒川を歩いた。
奈津江が俺に腕を絡めて来た。
「あ、あそこにしようよ!」
丁度丸テーブルがあり、ベンチがあった。
1時過ぎ。
俺たちが弁当などを拡げていると、いきなりライトが消えた。
「「あ!」」
周辺の街灯で、なんとか見える。
奈津江が俺を睨んでいる。
「ダメ彼氏」
「おい」
「何とかしなさいよ!」
「はいはい」
俺は念のために持って来た、太い蝋燭を出した。
直径8センチほどで、それほど長くはない。
「へぇ!」
奈津江が微笑んだ。
持って来て良かった。
一晩中ライトは点いていないのでは、と考えたのだ。
手元が明るくなり、俺たちは幻想的な雰囲気に包まれた。
奈津江が俺が作って来たサンドイッチを食べる。
辛子マヨネーズのハムサンドだ。
「美味しいよ」
「良かったよ」
俺も微笑んだ。
俺たちは楽しく話しながら過ごした。
「ああ、本当に綺麗」
「そうだな」
「ライトアップもいいけど、こうして暗がりの桜もいいよね」
「そうだな」
「何よ、あんまり嬉しくないの?」
「いや、俺はお前がいれば、どこだっていいんだよ」
「もう!」
奈津江は周りを見てから、俺にキスをしてくれた。
俺は安いウイスキーを飲み、奈津江は俺が持って来た紅茶を飲んだ。
見回りの警官に声を掛けられた。
「お花見?」
「はい!」
「本当はダメなんだけどね」
「あの」
「なんだい?」
「彼女、日光がダメな病気で」
「え! そうなの!」
「はい。だから夜の間に桜を見せてやりたくて」
「そうなんだ!」
「すいません」
「あ、ああ……僕は何も見なかった。でも、本当に気を付けてね」
「はい、ありがとうございます」
「そうだったかぁ。だからあんなに色が白いんだね」
「そうなんです」
「まあ、彼女を大事にしてね」
「はい!」
警官が去り、奈津江が大笑いした。
「高虎って、時々とんでもない嘘をつくよね!」
「お前のためだろう!」
「うん、ありがとう」
二人で笑った。
「きっと、交番で話題になるよ」
「なんて?」
「病気の美少女と夜桜を見ているカッチョイイ男の話だな!」
「アハハハハ!」
「奈津江は綺麗だからなぁ」
「高虎もカッチョイイよ」
俺たちは桜を眺めた。
街灯の僅かな明かりの桜が美しかった。
「高虎」
「なんだよ」
「私を選んでくれてありがとう」
「お前しか見えないよ」
「嘘だ!」
「本当だよ。お前のためならどんな嘘も吐くし、何でもするよ」
「ウフフフフ」
その数か月後に奈津江は死んだ。
あの日に時間が止まってくれたら。
俺は何百万回もそう思った。
俺たちは柳の歓迎を兼ねて、花見をすることにした。
丁度、手に入れた付近の土地に、見事な桜の大樹があった。
広い敷地で、思い切り楽しめる。
前の晩、帰って来たレイも交えて酒を飲んだ。
俺はとっておきの身欠きにしんを出す。
亜紀ちゃんのリクエストで巾着卵を作り、亜紀ちゃんはわさび海苔の大根サラダを作った。
レイはハモンセラーノを器用にナイフで削って行く。
柳はロボのためにマグロを炙った。
「さあ、じゃあ乾杯!」
「「「かんぱーい!」」」
「にゃー」
「明日も呑むから軽めにな」
「「「はーい!」」」
「にゃ」
レイと柳は顔合わせを済ませている。
大柄なアメリカ人の美人に、柳がビビった。
「御堂さんのお嬢さんですね」
「はい!」
レイが優しく微笑むと、柳も緊張を解いた。
レイは御堂のことをいろいろと尋ねる。
柳が笑顔で話して行った。
やはり、欧米人は仲良くなるのが上手い。
「レイ、明日はアビーも来れそうか?」
「はい。楽しみだと言ってました」
「そうか」
響子も呼んでいるので、たまには来いとアビゲイルを誘った。
そのために、花見はテーブルと椅子を用意した。
「タカさん、千両さんたちも来るんですよね」
亜紀ちゃんがニコニコして言う。
「ああ。東雲たちも来るからな。久しぶりに会わせてやろう」
「エヘヘヘ」
「私、花見なんて久しぶりです」
柳が言う。
「そうなのか? 御堂の所ならいろいろ場所はありそうだけどなぁ」
「子どもの頃はしてたんですが。父が忙しくなっちゃって」
「あいつは真面目だからな。休日でも急患のために備えている」
「はい」
「それとな。澪さんの負担を考えてるんだろうよ」
「ああ、なるほど!」
「大勢が集まるだろうからな。澪さんは大変だ」
「そうだったんですね」
「タカさんも、あんまりやりませんよね?」
亜紀ちゃんが聞いて来た。
「そうだな」
「なんでですか?」
「別にやる意味が無いからな。桜を見たけりゃ見に行けばいいし。酒が飲みたければ飲めばいいんだ」
「うーん」
「俺は大勢でワイワイやるのは、そんなに好きじゃないんだよ」
「何となく分かりますけどー」
「花見っていうのはな、飲むための口実だ」
「はぁ」
「まあ、親しい人間同士で楽しむのは別にいいと思うけどな」
「なんか、矛盾してません?」
俺は笑った。
確かにそうだ。
「自らやろうとしないだけで、そういう場も楽しむと言うかな。まあ、何となく上に立っちゃったから、たまにはいろんな連中を楽しませてやろうってことだ」
「ああ、なるほど」
「特に東雲たちな。あいつらは多分きつく言われているんだろう。俺が不快になるような真似はするなってなぁ。だから酒もあんまり飲まない。いつ俺に呼び出されてもいいようにな」
「はい」
俺は亜紀ちゃんにあんまり身欠きにしんを喰うなと言った。
食べ物の好みが似て来て困る。
「じゃあ、タカさんは今までも花見ってあんまりしなかったんですか?」
「そうだなぁ。二十年振りだな」
「へぇー」
俺は最後の花見を思い出した。
■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■
「タカトラ」
「なんだ?」
「いつもお金のあんまりないタカトラ」
「なんだ、このやろう」
俺は笑って奈津江を見た。
「ほら、もうすぐ桜が満開だよ?」
「ああ!」
「お花見に行こうよ!」
「いいな!」
俺たちは笑い合った。
「お弁当を作ってさ!」
「ああ、全部俺がな!」
「お酒もちょっと飲もうよ」
「それも俺が用意すんのな!」
奈津江が俺の腕を叩く。
「私は最高のスマイル持って行くから」
「ああ、最高だよな!」
それだけでいい。
奈津江が笑顔でいてくれるのが、一番いい。
俺たちはどこに行こうかと話し合った。
あんまり大勢いる場所じゃない方がいい。
俺は発想を変えて、みんながいない時間帯にした。
夜の1時くらいから朝方にかけて。
夜桜もいいものだ。
「高虎、頭いい!」
「お前のためならな!」
「「アハハハハハ!」」
学生だった俺たちは、時間は自由になる。
平日の水曜日の夜を選んだ。
目黒の名所だ。
ライトアップもいいらしい。
当日、俺と奈津江は東横線の最終に乗って、中目黒で降りた。
ゆっくりと二人で歩いて、中の橋近辺を散策した。
「わぁー、綺麗ね!」
「そうだなぁ」
二人でライトアップされた目黒川を歩いた。
奈津江が俺に腕を絡めて来た。
「あ、あそこにしようよ!」
丁度丸テーブルがあり、ベンチがあった。
1時過ぎ。
俺たちが弁当などを拡げていると、いきなりライトが消えた。
「「あ!」」
周辺の街灯で、なんとか見える。
奈津江が俺を睨んでいる。
「ダメ彼氏」
「おい」
「何とかしなさいよ!」
「はいはい」
俺は念のために持って来た、太い蝋燭を出した。
直径8センチほどで、それほど長くはない。
「へぇ!」
奈津江が微笑んだ。
持って来て良かった。
一晩中ライトは点いていないのでは、と考えたのだ。
手元が明るくなり、俺たちは幻想的な雰囲気に包まれた。
奈津江が俺が作って来たサンドイッチを食べる。
辛子マヨネーズのハムサンドだ。
「美味しいよ」
「良かったよ」
俺も微笑んだ。
俺たちは楽しく話しながら過ごした。
「ああ、本当に綺麗」
「そうだな」
「ライトアップもいいけど、こうして暗がりの桜もいいよね」
「そうだな」
「何よ、あんまり嬉しくないの?」
「いや、俺はお前がいれば、どこだっていいんだよ」
「もう!」
奈津江は周りを見てから、俺にキスをしてくれた。
俺は安いウイスキーを飲み、奈津江は俺が持って来た紅茶を飲んだ。
見回りの警官に声を掛けられた。
「お花見?」
「はい!」
「本当はダメなんだけどね」
「あの」
「なんだい?」
「彼女、日光がダメな病気で」
「え! そうなの!」
「はい。だから夜の間に桜を見せてやりたくて」
「そうなんだ!」
「すいません」
「あ、ああ……僕は何も見なかった。でも、本当に気を付けてね」
「はい、ありがとうございます」
「そうだったかぁ。だからあんなに色が白いんだね」
「そうなんです」
「まあ、彼女を大事にしてね」
「はい!」
警官が去り、奈津江が大笑いした。
「高虎って、時々とんでもない嘘をつくよね!」
「お前のためだろう!」
「うん、ありがとう」
二人で笑った。
「きっと、交番で話題になるよ」
「なんて?」
「病気の美少女と夜桜を見ているカッチョイイ男の話だな!」
「アハハハハ!」
「奈津江は綺麗だからなぁ」
「高虎もカッチョイイよ」
俺たちは桜を眺めた。
街灯の僅かな明かりの桜が美しかった。
「高虎」
「なんだよ」
「私を選んでくれてありがとう」
「お前しか見えないよ」
「嘘だ!」
「本当だよ。お前のためならどんな嘘も吐くし、何でもするよ」
「ウフフフフ」
その数か月後に奈津江は死んだ。
あの日に時間が止まってくれたら。
俺は何百万回もそう思った。
0
あなたにおすすめの小説
【完結】狡い人
ジュレヌク
恋愛
双子のライラは、言う。
レイラは、狡い。
レイラの功績を盗み、賞を受賞し、母の愛も全て自分のものにしたくせに、事あるごとに、レイラを責める。
双子のライラに狡いと責められ、レイラは、黙る。
口に出して言いたいことは山ほどあるのに、おし黙る。
そこには、人それぞれの『狡さ』があった。
そんな二人の関係が、ある一つの出来事で大きく変わっていく。
恋を知り、大きく羽ばたくレイラと、地に落ちていくライラ。
2人の違いは、一体なんだったのか?
【完結】聖女の手を取り婚約者が消えて二年。私は別の人の妻になっていた。
文月ゆうり
恋愛
レティシアナは姫だ。
父王に一番愛される姫。
ゆえに妬まれることが多く、それを憂いた父王により早くに婚約を結ぶことになった。
優しく、頼れる婚約者はレティシアナの英雄だ。
しかし、彼は居なくなった。
聖女と呼ばれる少女と一緒に、行方を眩ませたのだ。
そして、二年後。
レティシアナは、大国の王の妻となっていた。
※主人公は、戦えるような存在ではありません。戦えて、強い主人公が好きな方には合わない可能性があります。
小説家になろうにも投稿しています。
エールありがとうございます!
【12月末日公開終了】有能女官の赴任先は辺境伯領
たぬきち25番
恋愛
辺境伯領の当主が他界。代わりに領主になったのは元騎士団の隊長ギルベルト(26)
ずっと騎士団に在籍して領のことなど右も左もわからない。
そのため新しい辺境伯様は帳簿も書類も不備ばかり。しかも辺境伯領は王国の端なので修正も大変。
そこで仕事を終わらせるために、腕っぷしに定評のあるギリギリ貴族の男爵出身の女官ライラ(18)が辺境伯領に出向くことになった。
だがそこでライラを待っていたのは、元騎士とは思えないほどつかみどころのない辺境伯様と、前辺境伯夫妻の忘れ形見の3人のこどもたち(14歳男子、9歳男子、6歳女子)だった。
仕事のわからない辺境伯を助けながら、こどもたちの生活を助けたり、魔物を倒したり!?
そしていつしか、ライラと辺境伯やこどもたちとの関係が変わっていく……
※お待たせしました。
※他サイト様にも掲載中
竜帝は番に愛を乞う
浅海 景
恋愛
祖母譲りの容姿で両親から疎まれている男爵令嬢のルー。自分とは対照的に溺愛される妹のメリナは周囲からも可愛がられ、狼族の番として見初められたことからますます我儘に振舞うようになった。そんなメリナの我儘を受け止めつつ使用人のように働き、学校では妹を虐げる意地悪な姉として周囲から虐げられる。無力感と諦めを抱きながら淡々と日々を過ごしていたルーは、ある晩突然現れた男性から番であることを告げられる。しかも彼は獣族のみならず世界の王と呼ばれる竜帝アレクシスだった。誰かに愛されるはずがないと信じ込む男爵令嬢と番と出会い愛を知った竜帝の物語。
芙蓉は後宮で花開く
速見 沙弥
キャラ文芸
下級貴族の親をもつ5人姉弟の長女 蓮花《リェンファ》。
借金返済で苦しむ家計を助けるために後宮へと働きに出る。忙しくも穏やかな暮らしの中、出会ったのは翡翠の色の目をした青年。さらに思いもよらぬ思惑に巻き込まれてゆくーーー
カクヨムでも連載しております。
後宮なりきり夫婦録
石田空
キャラ文芸
「月鈴、ちょっと嫁に来るか?」
「はあ……?」
雲仙国では、皇帝が三代続いて謎の昏睡状態に陥る事態が続いていた。
あまりにも不可解なために、新しい皇帝を立てる訳にもいかない国は、急遽皇帝の「影武者」として跡継ぎ騒動を防ぐために寺院に入れられていた皇子の空燕を呼び戻すことに決める。
空燕の国の声に応える条件は、同じく寺院で方士修行をしていた方士の月鈴を妃として後宮に入れること。
かくしてふたりは片や皇帝の影武者として、片や皇帝の偽りの愛妃として、後宮と言う名の魔窟に潜入捜査をすることとなった。
影武者夫婦は、後宮内で起こる事件の謎を解けるのか。そしてふたりの想いの行方はいったい。
サイトより転載になります。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる