富豪外科医は、モテモテだが結婚しない?

青夜

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「紅六花」ビル、再び

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 明日は中華だろうと思い、夕飯は中華にした。
 他人様の所で、あまり大食いをさせないために、という心なのだが、恐らく無駄だろう。

 牛肉とエリンギ炒め。
 海鮮チャーハン。
 ホイコーロー。
 チンジャオロース。
 牛肉の黒胡椒炒め(甘酢ソース)。
 
 煮込むものがないので、結構大変だった。
 響子は中華が好きではないが、俺が作ると食べる。
 柳は食材のカットの一部を担当し、レイはチンジャオロースに挑戦した。
 フライパンを返す時に大量にぶちまけそうになったが、亜紀ちゃんが超高速で別な鍋で回収した。

 「ハナオカ・バンザイ!」

 妙な日本語を覚えていた。

 俺はひたすら海鮮チャーハンを作り、出来上がったものをジャーに入れていく。
 ロボがキッチンに来て物欲しそうに見ているので、亜紀ちゃんが手早く牛肉を焼いて与えた。
 食べた後は、ソファにいる響子と六花の所へ行った。
 響子の隣で寝ようとしているのを六花にちょっかいを出され、ネコキックを浴びせる。




 夕飯を食べ、地下で映画『人造人間ハカイダー』をみんなで観た。
 雨宮慶太の作品だが、この監督は実写版で特撮を撮らせると最高だ。
 独特な厨二病的世界観に、子どもたちと六花、レイが興奮する。
 柳は微妙だった。
 俺が教えてやった『ハカイダーの歌』をみんなで歌う。

 ♪俺ーの名はー 俺ーの名はー ハーカーイダー♪

 みんなノリノリで歌った。
 善も悪もない人造人間ハカイダー。
 まあ、悪なんだが。

 「タカさんみたいですよね!」
 亜紀ちゃんが言った。

 「カッコイイし!」
 「悪いし!」
 ルーとハー。

 「女に優しいし!」
 チンコ野郎。

 「ダークヒーロー、大好きです!」
 金髪オッパイ。

 「タカトラー!」
 甘えん坊。

 「早速やりましょう!」
 超美しいエロ魔神。

 「ニャー」
 ネコ。

 「いいんじゃないですか」
 ノリの悪い田舎娘。




 俺は響子と六花と一緒に風呂に入った。
 「虚チン花」とオチンチンけん玉で喜ばせる。

 響子をロボに任せ、大人たちと不良娘で飲んだ。

 「レイは残念だな」
 「いいえ、楽しんで来て下さい」

 「レイの土産がなぁ、あそこ何にもねぇんだ」
 「ありますよ!」
 六花が言う。

 「そうなのか?」
 「いちご大福!」
 「え、あれってどこでもあるじゃんか」
 「「栃木県いちご研究所」があるんですよ!」
 「そうなの?」
 「「とちひめ」って、石神先生も知らないでしょう?」
 「「とちおとめ」じゃなく?」
 「その上の幻のイチゴです」
 「そうなのか!」

 六花が自慢げに笑う。

 「私も食べたことないんですけど」
 「「「「……」」」」

 まあ、探してみるか。
 レモン牛乳、佐野ラーメンなど六花が言うが、誰も興味を示さなかった。

 「虎チャーハン!」
 「はいはい。じゃあ、もう寝るか」
 「リッカチャンハンって言って下さいよー」
 「そーだよなー、美味しいよなー」

 六花はニコニコ笑った。




 翌朝、6時に起きる。
 響子は眠そうで、六花が歯を磨いてやり、顔を洗ってやる。
 パジャマのまま抱きかかえ、ハマーの特製ベッドに寝かせた。
 後部の荷台で、そこに六花とロボも入る。

 助手席に柳を乗せ、亜紀ちゃんと双子が後ろに座り、皇紀は荷物と一緒に二列目のシートに座る。
 高速をしばらく走っていると、響子が起きた。

 「じゃー、タカさんが好きなアニソン! いくよー!」
 「「「おぉー!」」」
 「えぇー! また違うものをー!」

 亜紀ちゃんが『魔法使いの嫁』のオープニング『Here』を歌う。
 皇紀はMYTH&ROIDの『VORACITY』、『オーバーロードⅢ』のオープニング。
 ルーは平沢進の『Forces』、『ベルセルク』の挿入歌。
 ハーがMiliの『雨と体液の匂い』、『グレイプニル』のオープニング。

 盛り上がった。
 柳がドラエモンを歌った。

 「俺、あれって大嫌いなんだよな」
 「えぇー!」
 「あいつがいるから、のび太ってダメ野郎なんだよ」
 「どうしてですかぁー」
 「だってよ、ちょっと困ったことがあるとすぐにドラエモンに泣きつくじゃない」
 「はい」
 「それでドラエモンが何でも助けちゃうだろ? だからいつまでたっても何も出来ねぇグズのままなのよ」

 「あー」
 「しかもだ。ドラエモンは何一つ傷を負わない。簡単に便利な道具を渡すだけ。じゃあ、感謝もクソもねぇ。甘やかされたドラ息子以下になるしかねぇのよな」
 「なるほど」

 柳がニコニコし出した。

 「どうしたんだよ?」
 「石神さんは、血だらけになって助けてくれましたよね!」
 「何言ってやがる」
 「エヘヘヘヘ」

 俺は『幼女戦記』のオープニングとエンディングを歌った。
 子どもたちはノリノリで一緒に歌う。
 バックミラーを見ると、響子が六花に手を持たれて踊っている。

 《人間に価値など無い 価値無き者同士の争いに 命の徒花を咲かせて見せろ!》

 俺が叫ぶと子どもたちが吼えた。
 まったく、どこのバーサーカーだ。




 響子が起きたので、サービスエリアに立ち寄った。
 響子は車の中で着替えた。

 「たっぷり喰って、向こうじゃちんまり喰え!」
 「「「「はーい!」」」」

 「『鬼平』だぁー!」
 亜紀ちゃんが喜んだ。
 亜紀ちゃんは時代劇が大好きだ。
 俺たちは鰻屋に入る。
 子どもたちと六花はうな重を二人前ずつ頼み、俺と柳は一人前、響子は白焼き丼を頼んだ。
 響子はだし汁をかける。

 「足りなきゃ、お替りしろよ!」
 「「「「はーい!」」」」

 当然した。
 響子もあっさりした味が気に入ったようで、全部食べた。
 亜紀ちゃんが「五鉄」も行きたいと言ったが、止めた。

 「またいつかな」

 絶対ですよ、と言う。
 俺もこんな場所があるのを知らなかった。
 響子はまたベッドに横になる。
 柳が傍につき、六花が助手席に座った。
 美味いものを食べたのにニコニコしている。

 「精がつきましたね!」
 「そうですね!」

 病み上がりの俺も襲ってくる女だ。

 


 「紅六花ビル」が見えて来た。
 午前10時。
 六花が近くなって連絡したので、総勢81名が駐車場に出迎えて待っていた。
 タケの号令一下、駐車場に停めて降りた俺たちに咆哮のような挨拶が起きた。

 一階の中華料理の店内に入る。

 「石神先生」
 「ああ」

 入り口に看板よりもでかいプレートが嵌っていた。

 《「紅六花」総長・「虎」立寄処》

 「お前らバカだろ?」
 「はい!」

 俺がタケに言うと、笑顔で返事した。
 既にテーブルが配置されている。
 夕方から大宴会になるのだろう。
 全員が中に入り、俺は響子、子どもたちと柳を紹介した。

 「また二日間、世話になる! 宜しくな!」

 大歓声が沸いた。
 荷物を子どもたちに頼み、俺は小鉄に挨拶に行った。
 もう準備で忙しそうだ。

 「よう!」
 「あ! 石神さん! お待ちしてました!」
 「いや、却って忙しくさせて悪いな」
 「とんでもありません! 本当に楽しみで!」

 小鉄が笑顔で言った。

 「今日は奴隷を沢山連れて来たからな」
 「いえ! どうかご勘弁を!」
 「ネコの手もあるからな!」
 「アハハハハ!」

 小鉄は俺が送った食材に恐縮していた。

 「ああ、まあうちの子らの食欲を見てくれれば分かるよ」
 「はい、姉ちゃんから聞いてます」
 「肉が出るうちはあんまり近づくなよな」
 「アハハハハ」



 俺が8階に上がると、キッチがコーヒーを淹れてくれていた。

 「じゃあ、タケ、よしこ。まずは孤児院に連れてってくれ」
 「はい。石神さん、本当にありがとうございます」
 
 響子をバカみたいにでかいベッドに休ませ、ロボと残ってもらう。

 「ロボと遊んでてくれ」
 「うん!」

 キッチが一緒にいてくれると言う。
 
 「キッチは六花よりもオセロが上手いぞ」
 「ほんとに!」

 しばらく一緒にいてやれないが、我慢してもらう。




 俺たちは孤児院へ向かった。
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