富豪外科医は、モテモテだが結婚しない?

青夜

文字の大きさ
860 / 3,215

御堂家、大騒動 Ⅳ

しおりを挟む
 昼食は蕎麦だった。
 但し、量が半端ではない。
 大量の天ぷら各種が大皿に山盛りでたくさんある。
 蕎麦なのか天ぷらなのか。
 ちなみに、天丼もある。
 蕎麦屋で天丼と蕎麦を頼む人間は多い。
 まあ、いいか。

 俺は昼食の後で麗星を迎えに行った。
 亜紀ちゃんが付いて来る。

 「まさか麗星さんにここで会えるとは思いませんでした」
 「ほんとになー」
 「最近、なんだかしょっちゅう会ってますよね」
 「そういえばなー」
 「綺麗な人ですよね?」
 「まーなー」

 「虎曜日ですかね?」
 「やめれー!」

 俺のうちはなんかおかしい。
 俺はのんびりと人生を楽しみたいのに。
 子どもたちもどっかヘンだ。
 
 「しかし、妖怪関連でこんなに苦労するなんて思わなかったぜ」
 「アハハハハハ!」
 「俺は鬼太郎じゃねぇんだ!」
 「私、猫娘好きですよ?」
 「そういう問題じゃねぇ!」
 「アハハハハハ!」

 水木しげるがいたら、大喜びだったろう。

 「妖怪ポスト、作ります?」
 「ばかやろう! 俺が相談する側だぁ!」
 「アハハハハハ!」

 松本空港に着いた。
 やはり小さい。
 軽井沢に来る人間が多く利用している。
 ロビーで待っていると、麗星が来た。
 麻の薄いベージュのスーツだ。
 奇しくも俺と同じだった。

 「石神さん!」
 「遠いところ、本当に済みません」
 「いいえ! 私も羅天遠呂智様にお会いしたかったですし」
 「ありがとうございます。じゃあ、早速行きましょう」

 亜紀ちゃんが麗星の荷物を持った。
 麗星は助手席に上がる。
 俺のハマーに乗るのが夢だったと麗星が言った。

 「言ってくれれば、こないだドライブも行きましたのに」
 「それは残念でございました」
 
 俺はもう一度オロチの話を麗星にした。
 麗星は、スマホの画面を俺に示した。

 「これです!」

 《大虹龍破魔王 最大五体在》

 「……」
 「ほら、書いてますでしょ?」
 「そうですね」

 真っ白い半紙に墨で書かれていた。
 「最大」なんて言葉は昔は使わない。
 
 「あの、もうその話はいいですから」
 「そうですか?」
 
 道は驚くほど空いていた。
 恐らく、また麗星があやかしを使役しているのだろう。
 30分ほどで御堂家に着いた。

 「立派なお屋敷ですね」
 「歴史のある家系ですからね。道間家と同じですよ」
 「なるほど」

 御堂が出迎えた。
 一瞬、並んだ俺と麗星を見る。
 やはり、同じ服装なのが気になったようだ。

 「ようこそ、道間様。御堂正嗣です」
 「御堂様、今日は急に押しかけてしまいまして」
 「いいえ、こちらこそ。どうぞ中へ」

 座敷に通され、茶を出してもらった。
 正巳さんと菊子さん、それに柳も来る。
 亜紀ちゃん以外の子どもたちとロボは部屋にいる。

 「早速なんですが、着くなりロボとオロチがやり合ったのは」
 「恐らく、互いの格を示したのでしょう。余程の差があれば、片方が逃げるだけです。でも、近い格だったので、力を示し合ったのかと」
 「なるほど!」

 「その後何事も無いということは、両者が認め合ったということかと。もうご心配はいりません」
 「もし、そうでなかった場合は?」
 「そのままどちらが上かを示し合って、この辺りは……」
 「え!」

 御堂が俺を見ている。

 「オホホホ! まあ、石神様がいらっしゃるので、そういうことも無かったとは思いますよ」

 早く言え!

 「格が互いに認められなければ、どちらかが退散して終わっていたかと。でも、二体とも普通にしているのであれば、お互いに納得したのですよ」
 「そうですか」

 ホッとした。

 「それに、二体とも石神様が大好きな様子。争うことはないでしょう」
 「安心しました」
 「石神様は女性関係も上手くこなしていらっしゃいますしね」
 「ちょっと!」

 御堂が笑った。




 俺たちは庭に出た。
 正巳さんたち全員も付いて来る。
 皇紀と双子、ロボもいつの間にか一緒にいた。
 縁側に来る。
 俺は麗星と御堂以外を少し離れているように言った。

 「おーい、オロチー!」

 俺が呼びかけると麗星が驚いた。
 でも黙っている。
 軒下で巨体が移動する音がする。

 「麗星さんって人を連れて来たんだ! 紹介したいから、子どもたちも連れて来てくれ!」
 「石神さん!」

 麗星が俺の腕を掴んだ。
 しばらくすると、オロチがでかい顔を出し、遅れて五匹の小さなヘビが来る。

 「こ、これは!」

 麗星の腕を掴む力が強まる。

 「おお、ありがとうな! 子どもたちもカワイイなぁ!」

 俺はオロチの頭を抱いた。
 麗星は驚きながらも、オロチと小さなヘビを見る。
 俺を見て頷く。

 「こちらが麗星さんだ。俺の友達だから、これからも宜しくな」

 オロチは長い舌を麗星に向け出し入れした。
 宜しくねってことだろう。
 分らんが。

 「ほら、麗星さんも」
 「は、はい! 道間麗星です。お会い出来て光栄でございます」
 「麗星さんは、お前が「羅天遠呂智」だって言うんだ。そうなのか?」

 オロチがでかい口を開いた。
 みんな驚く。

 「へぇー、そうなんだ」
 「石神、分かるのか!」
 「分かるわけねぇだろう!」

 麗星が笑った。

 「オロチ様、何か必要なことがございましたら、なんなりと。道間家はオロチ様の味方です」

 麗星が言うと、オロチが頭を揺らした。

 「それと、「大虹龍破魔王」様方のご誕生、真におめでとうございます。これで世の乱れはつつがなく収まりましょう」

 オロチは麗星に頭を寄せた。
 五匹は俺の足元にまとわりついている。

 「おし! じゃあ虹栞、虹花、虹鷹、虹柳、ニジンスキーな!」
 「石神様!」

 麗星が慌てた。

 「名前くらい付けてやらないとなー」
 「そ、それは!」

 オロチは俺の肩に胴を乗せ、俺の顔を舌で舐めまくった。
 喜んでいるらしい。
 麗星が卒倒した。

 「麗星さん!」

 俺はオロチに戻ってゆっくりしてくれと言い、急いで麗星を運んだ。





 座敷に寝かせ、起きた麗星に、散々説教された。
しおりを挟む
感想 61

あなたにおすすめの小説

裏切りの代償

中岡 始
キャラ文芸
かつて夫と共に立ち上げたベンチャー企業「ネクサスラボ」。奏は結婚を機に経営の第一線を退き、専業主婦として家庭を支えてきた。しかし、平穏だった生活は夫・尚紀の裏切りによって一変する。彼の部下であり不倫相手の優美が、会社を混乱に陥れつつあったのだ。 尚紀の冷たい態度と優美の挑発に苦しむ中、奏は再び経営者としての力を取り戻す決意をする。裏切りの証拠を集め、かつての仲間や信頼できる協力者たちと連携しながら、会社を立て直すための計画を進める奏。だが、それは尚紀と優美の野望を徹底的に打ち砕く覚悟でもあった。 取締役会での対決、揺れる社内外の信頼、そして壊れた夫婦の絆の果てに待つのは――。 自分の誇りと未来を取り戻すため、すべてを賭けて挑む奏の闘い。復讐の果てに見える新たな希望と、繊細な人間ドラマが交錯する物語がここに。

初夜に暴言を吐いた夫は後悔し続ける──10年後の償い【完結保証】

星森 永羽
恋愛
王命により、辺境伯ロキアのもとへ嫁いだのは、金髪翠眼の美しき公爵令嬢スフィア。 だが、初夜に彼が告げたのは、愛も権限も与えないという冷酷な宣言だった。噂に踊らされ、彼女を「穢れた花嫁」と罵ったロキア。 しかし、わずか一日でスフィアは姿を消し、教会から届いたのは婚姻無効と慰謝料請求の書状──。 王と公爵の怒りを買ったロキアは、爵位も領地も名誉も奪われ、ただの補佐官として生きることに。 そして十年後、運命のいたずらか、彼は被災地で再びスフィアと出会う。 地位も捨て、娘を抱えて生きる彼女の姿に、ロキアの胸に去来するのは、悔恨と赦しを乞う想い──。 ⚠️本作はAIの生成した文章を一部に使用しています。

月弥総合病院

御月様(旧名 僕君☽☽‪︎)
キャラ文芸
月弥総合病院。極度の病院嫌いや完治が難しい疾患、診察、検査などの医療行為を拒否したり中々治療が進められない子を治療していく。 また、ここは凄腕の医師達が集まる病院。特にその中の計5人が圧倒的に遥か上回る実力を持ち、「白鳥」と呼ばれている。 (小児科のストーリー)医療に全然詳しく無いのでそれっぽく書いてます...!!

とっていただく責任などありません

まめきち
恋愛
騎士団で働くヘイゼルは魔物の討伐の際に、 団長のセルフイスを庇い、魔法陣を踏んでしまう。 この魔法陣は男性が踏むと女性に転換するもので、女性のヘイゼルにはほとんど影響のない物だった。だか国からは保証金が出たので、騎士を辞め、念願の田舎暮らしをしようとしたが!? ヘイゼルの事をずっと男性だと思っていたセルフイスは自分のせいでヘイゼルが職を失っただと思って来まい。 責任を取らなければとセルフイスから、 追いかけられる羽目に。

完結‼️翡翠の歌姫は 後宮で声を隠す〜特殊な眼を持つ歌姫が、2人の皇子と出会い、陰謀に巻き込まれながら王家の隠した真実に迫る

雪城 冴
キャラ文芸
1/23本編完結‼️ 【中華サスペンス】 皇帝が隠した禁忌の秘密。 それを“思い出してはいけない少女”がいた―― 【あらすじ】 特殊な眼を持つ少女・翠蓮(スイレン)は、不吉を呼ぶとして忌み嫌われ、育ての父を村人に殺されてしまう。 居場所を失った彼女は、宮廷直属の音楽団の選抜試験を受けることに。 しかし、早速差別の洗礼を受けてしまう。 そんな翠蓮を助けたのは、危険な香りをまとう皇子と、天女のように美しいもう一人の皇子だった。 それをきっかけに翠蓮は皇位争いに巻き込まれ、選抜試験も敵の妨害を受けてしまう。 彼女は無事合格できるのか。 ◆二章◆ 仲間と出会い、心を新たにするも次なる試練が待ち受ける。 それは、ライバル歌姫との二重唱と、メンバーからの嫌がらせだった。 なんとか迎えた本番。翠蓮は招かれた地方貴族から、忌み嫌われる眼の秘密に触れる。 ◆三章◆ 翠蓮の歌声と真心が貴妃の目にとまる。しかし後宮で"寵愛を受けている"と噂になり、皇后に目をつけられた。 皇后の息子から揺さぶりをかけられ、もう一人の皇子とは距離が急接近。 しかし、後宮特有の嫌がらせの中で翠蓮は、自分の存在が皇子に迷惑をかけていると知る。 わずかに芽生えていた恋心とも尊敬とも付かない気持ちは、押さえつけるしかなかった。 ◆最終章◆ 後宮で命を狙われ、生死をさまよう翠蓮は、忘れていた記憶を取り戻す。 かつて王家が封じた“力”とは? 翠蓮の正体とは? 身分違いの恋の行方は? 声を隠すか歌うのか。 運命に選ばれた少女が、最後に下す決断とは―― ※架空の中華風ファンタジーです ※アルファポリス様で先行公開しており、書き溜まったらなろう、カクヨム様に移しています ※表紙絵はAI生成

あまりさんののっぴきならない事情

菱沼あゆ
キャラ文芸
 強引に見合い結婚させられそうになって家出し、憧れのカフェでバイトを始めた、あまり。  充実した日々を送っていた彼女の前に、驚くような美形の客、犬塚海里《いぬづか かいり》が現れた。 「何故、こんなところに居る? 南条あまり」 「……嫌な人と結婚させられそうになって、家を出たからです」 「それ、俺だろ」  そーですね……。  カフェ店員となったお嬢様、あまりと常連客となった元見合い相手、海里の日常。

✿ 私は夫のことが好きなのに、彼は私なんかよりずっと若くてきれいでスタイルの良い女が好きらしい 

設楽理沙
ライト文芸
累計ポイント110万ポイント超えました。皆さま、ありがとうございます。❀ 結婚後、2か月足らずで夫の心変わりを知ることに。 結婚前から他の女性と付き合っていたんだって。 それならそうと、ちゃんと話してくれていれば、結婚なんて しなかった。 呆れた私はすぐに家を出て自立の道を探すことにした。 それなのに、私と別れたくないなんて信じられない 世迷言を言ってくる夫。 だめだめ、信用できないからね~。 さようなら。 *******.✿..✿.******* ◇|日比野滉星《ひびのこうせい》32才   会社員 ◇ 日比野ひまり 32才 ◇ 石田唯    29才          滉星の同僚 ◇新堂冬也    25才 ひまりの転職先の先輩(鉄道会社) 2025.4.11 完結 25649字 

理想の『女の子』を演じ尽くしましたが、不倫した子は育てられないのでさようなら

赤羽夕夜
恋愛
親友と不倫した挙句に、黙って不倫相手の子供を生ませて育てさせようとした夫、サイレーンにほとほとあきれ果てたリリエル。 問い詰めるも、開き直り復縁を迫り、同情を誘おうとした夫には千年の恋も冷めてしまった。ショックを通りこして吹っ切れたリリエルはサイレーンと親友のユエルを追い出した。 もう男には懲り懲りだと夫に黙っていたホテル事業に没頭し、好きな物を我慢しない生活を送ろうと決めた。しかし、その矢先に距離を取っていた学生時代の友人たちが急にアピールし始めて……?

処理中です...