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宝物と腐ったみかん
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南と会って数日後。
俺のスマホに南から連絡が来た。
俺は病院の時分の部屋で受けた。
「石神くん、こないだはありがとう」
「いや、俺も南に会えて嬉しかったよ」
「うん! それでね、早速書き始めたんだ」
「そうか! 早いな!」
「出版社の担当さんは大喜びでね。早速、出版企画を通す準備をするって」
「良かったなぁ!」
「ありがとう。でもね、今回はちょっと今までと違ったようにしたいの」
「どういうことだ?」
南が言っている意味が分からない。
「今はさ、ネットで好きに小説が書けるでしょ?」
「そうなのか?」
「そうなの。石神くん、知らない?」
俺が知らないし、ネットのことがよく分からないと言うと、南は笑って説明してくれた。
「だからね、ネットで私が好きなように書いて、本は別途で書くってこと」
「ふーん、分からないけど、二種類の話になるってことか?」
「そう! ネットでは架空の話もどんどん書くよ。小説でもそうなんだけど、もっと現実的というかな」
「へぇー。面白そうじゃないか」
「ほんとに? そう思ってくれる?」
「架空の話なら、どんどん好き勝手にも書けるだろうしな。ああ、ちょっとネタを提供しようか?」
「絶対に下さい! 石神くんの話なら全部欲しい!」
南が喜んだ。
「例えばさ、山を吹っ飛ばす暗殺拳とか、友達の家の床下の火を吹くでかい蛇とか」
「えー! なにそれ! 面白そう!」
「まあ、ちょっと思いついたのをまとめて送るよ」!
「ほんとに欲しい! 絶対に送ってね!」
「ああ、約束だ」
「ありがとう!」
電話を切った。
南の書く非現実的な世界はどんな風になるんだろう。
俺も楽しみだった。
一江のデスクに、でかいカップがあった。
近所の有名コーヒー・チェーン店のものだ。
暑いのでアイスコーヒーだろう。
俺は近寄ってカップを取り上げ、ストローで吸う。
「あー! 何すんですか! 返して下さいよー!」
そう言うので、口の中のものをストローから戻した。
「……」
「ちょっと部屋へ来い」
「……」
「おい、俺が大人しく言ってる間に……」
「はい!」
一江が入り、ドアを閉めた。
「お前、亜紀ちゃんに南の情報を渡したか?」
「え!」
「お前なぁ、勘弁しろよ。お陰で南が昨日うちに来たんだ」
「そうなんですか。でもそんなに不味いことは」
「何言ってんだよ! 南が「業」の標的になったらどうすんだ!」
「は!」
一江が青ざめる。
「まあ、もう無いとは思うけどな。昨日俺が亜紀ちゃんに話したから。だけど、お前もしっかりしてくれよなぁ」
「分かりました。申し訳ありません」
「お前、前に俺の昔の関係者を集めてるとか言ってたじゃない」
「はい」
「それはしっかり防御しておいてくれよな」
「はい、分かってます」
一江の情報収集能力は高い。
有用な反面、どうしても俺の弱点にもなりかねない。
今後も締めて行こう。
俺の周りには、どうにも「良い人」が多すぎる。
俺にはありがた過ぎて、どうにも、だ。
人の縁は美しい。
俺にはみんなが宝物だ。
■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■
「ルーさん! ハーさん! 暑い中、わざわざありがとうございます!」
都立〇〇工業高校の少林寺拳法部道場。
この高校の不良たちのたまり場だ。
少林寺拳法部部長・鬼瓦が双子を迎えた。
双子の出資でつい先日取り付けられた大型エアコンのお陰で涼しい。
大勢の部員や男たちが道場に正座して集まっていた。
「お二人と皇紀さんのお陰で、俺たち期末テストと実技テストは本当に助かりました!」
「うん、みんな底辺からの出発だったけど、なかなかいい成績じゃない!」
ルーが笑顔で褒めた。
目の前には全員の通知表が集まっている。
ハーと二人で全部を確認した。
「全員上位グループに入って、三人がトップね」
「はい! 全てお二人のお陰です!」
「実技は皇紀さんの教え方がとにかく上手くて! 機械の使い方もですけど、何より溶接がもうプロ並みだって褒められました!」
ルーとハーはニコニコして、ジョッキに入れられたジュースを飲む。
この工業高校に乗り込んで頭だった奴らを全員ボコッた。
圧倒的な実力差はすぐに伝わり、双子は高校を支配する。
しかし、通常のそれではなかった。
二人は「人材育成」と称して、不良たちに徹底的な英才教育をほどこした。
小学生から教えられることに最初は抵抗があった不良たちも、力づくで勉強させられ、半年でみるみる成績があがった。
一旦実力向上の実績を知ると、あとは一層早かった。
ある日、皇紀が来た。
「あんだ、てめぇ!」
「あの、妹たちに言われて」
「あんだと?」
胸倉を掴打奴が、宙を舞って投げ出された。
数人で殴りかかると、一瞬で飛ばされる。
「待ってください! 僕は石神皇紀です!」
「!」
「まさか! ルーさんとハーさんか!」
「そうですよ!」
全員が土下座した。
「っした!」
「え、なに?」
皇紀は妹たちから旋盤などの使い方や溶接の技術を教えて欲しいと言われていた。
「はい! お二人からお兄様が来るってお聞きしてましたぁ!」
「聞いてたの?」
「はい!」
皇紀は教え方の段階を10段ほど下げた。
スーパー・イージー・モードだ。
小学校低学年に教えるやり方で始めた。
週に一度のことだったが、双子の指導もあったせいで、みんな真面目に取り組みみるみる上達していった。
春の全国高校生工業技術大会で、一人が優勝し、一人が四位入賞を果たした。
学校始まって以来の快挙だった。
全員が皇紀を神と讃えた。
「みんな、よく頑張ったね!」
「今日は一杯食べてね!」
ルーとハーがにこやかに言った。
「おす!」
全員が双子に向かって90度に腰を折った。
外でバーベキューが始まった。
4台のバーベキュー台はみんなで作った。
食材は全て、双子が費用を出した。
200万円だ。
それで牛肉100キロと魚介類や野菜などが大量に揃った。
みんなでどんどん焼いて行く。
凄まじいスピードで食材をカットしていく双子に、全員が声援を送った。
「今日は「宮のタレ」を用意したからねー」
「うっめぇ! なんだこりゃ!」
「こんなの初めてだぜ!」
「くっそうまいわ!」
みんな感動しながら食べ、双子に何度も感謝する。
「きみたちわー! 腐ったみかんじゃありましぇん!」
ハーが言った。
「はい?」
「時代が違うかー」
「ハー、すべったね」
双子は20キロ食べたが、肉は全然減らない。
50人いる。
「おかしいね?」
「亜紀ちゃん呼ぶ?」
二人は一休みしてから、また食べようと話し合った。
「それでは、ここは暑いんで部室の方へどうぞ!」
鬼瓦が言った。
「えー、でも部室にはエアコンを入れてないじゃん」
「はい! 下の連中に、よく冷やしておくよう指示しました!」
「へぇー! 鬼ちゃん、やるじゃん!」
「ありがとうございます!」
鬼瓦が二人を部室へ案内した。
「なんか臭わない?」
「うん、スースーする臭い?」
部室の前まで来た時。
ドッカーーーーーン!
部室のドアと窓ガラスが吹っ飛んだ。
僅かに先に割れた窓から、一瞬炎が伸びた。
「「にゃんだ?」」
冷感スプレーを大量に撒いた。
引火した。
二人は走った。
「てっしゅうぅーーーーー!!!」
言っている間に、次々と指示を出し、バーベキューの痕跡を消す。
「台は体育館の裏へ持ってけ! 食材はブルーシートに包め! お前ら急いで道着に着替えて道場へ! お前らはとにかく運べ! 鬼瓦は部室の前で倒れてろ! お前らは誰か来てから部室へ入って様子を見ろ! お前らは……」
悪魔の超絶思考で二人が指示を出し、何とか片付けてから消防車と救急車が来た。
もちろん、双子は自分たちはいなかったと念を押して既に去っていた。
タクシーを捕まえて、家に戻る。
「腐ったみかんだったね」
「そうだったね」
■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■
「おい、亜紀ちゃん。都内の高校で爆発だってよ」
「へぇー、なんでです?」
「それがよ、暑かったんで冷感スプレーを大量に部室に撒いたんだと」
「アホですか!」
「まったくなー。ああいうバカな連中とは関わりたくねぇもんだな」
「ほんとにほんとに!」
俺はリヴィングのテレビで亜紀ちゃんと話した。
「「にゃははははは」」
俺のスマホに南から連絡が来た。
俺は病院の時分の部屋で受けた。
「石神くん、こないだはありがとう」
「いや、俺も南に会えて嬉しかったよ」
「うん! それでね、早速書き始めたんだ」
「そうか! 早いな!」
「出版社の担当さんは大喜びでね。早速、出版企画を通す準備をするって」
「良かったなぁ!」
「ありがとう。でもね、今回はちょっと今までと違ったようにしたいの」
「どういうことだ?」
南が言っている意味が分からない。
「今はさ、ネットで好きに小説が書けるでしょ?」
「そうなのか?」
「そうなの。石神くん、知らない?」
俺が知らないし、ネットのことがよく分からないと言うと、南は笑って説明してくれた。
「だからね、ネットで私が好きなように書いて、本は別途で書くってこと」
「ふーん、分からないけど、二種類の話になるってことか?」
「そう! ネットでは架空の話もどんどん書くよ。小説でもそうなんだけど、もっと現実的というかな」
「へぇー。面白そうじゃないか」
「ほんとに? そう思ってくれる?」
「架空の話なら、どんどん好き勝手にも書けるだろうしな。ああ、ちょっとネタを提供しようか?」
「絶対に下さい! 石神くんの話なら全部欲しい!」
南が喜んだ。
「例えばさ、山を吹っ飛ばす暗殺拳とか、友達の家の床下の火を吹くでかい蛇とか」
「えー! なにそれ! 面白そう!」
「まあ、ちょっと思いついたのをまとめて送るよ」!
「ほんとに欲しい! 絶対に送ってね!」
「ああ、約束だ」
「ありがとう!」
電話を切った。
南の書く非現実的な世界はどんな風になるんだろう。
俺も楽しみだった。
一江のデスクに、でかいカップがあった。
近所の有名コーヒー・チェーン店のものだ。
暑いのでアイスコーヒーだろう。
俺は近寄ってカップを取り上げ、ストローで吸う。
「あー! 何すんですか! 返して下さいよー!」
そう言うので、口の中のものをストローから戻した。
「……」
「ちょっと部屋へ来い」
「……」
「おい、俺が大人しく言ってる間に……」
「はい!」
一江が入り、ドアを閉めた。
「お前、亜紀ちゃんに南の情報を渡したか?」
「え!」
「お前なぁ、勘弁しろよ。お陰で南が昨日うちに来たんだ」
「そうなんですか。でもそんなに不味いことは」
「何言ってんだよ! 南が「業」の標的になったらどうすんだ!」
「は!」
一江が青ざめる。
「まあ、もう無いとは思うけどな。昨日俺が亜紀ちゃんに話したから。だけど、お前もしっかりしてくれよなぁ」
「分かりました。申し訳ありません」
「お前、前に俺の昔の関係者を集めてるとか言ってたじゃない」
「はい」
「それはしっかり防御しておいてくれよな」
「はい、分かってます」
一江の情報収集能力は高い。
有用な反面、どうしても俺の弱点にもなりかねない。
今後も締めて行こう。
俺の周りには、どうにも「良い人」が多すぎる。
俺にはありがた過ぎて、どうにも、だ。
人の縁は美しい。
俺にはみんなが宝物だ。
■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■
「ルーさん! ハーさん! 暑い中、わざわざありがとうございます!」
都立〇〇工業高校の少林寺拳法部道場。
この高校の不良たちのたまり場だ。
少林寺拳法部部長・鬼瓦が双子を迎えた。
双子の出資でつい先日取り付けられた大型エアコンのお陰で涼しい。
大勢の部員や男たちが道場に正座して集まっていた。
「お二人と皇紀さんのお陰で、俺たち期末テストと実技テストは本当に助かりました!」
「うん、みんな底辺からの出発だったけど、なかなかいい成績じゃない!」
ルーが笑顔で褒めた。
目の前には全員の通知表が集まっている。
ハーと二人で全部を確認した。
「全員上位グループに入って、三人がトップね」
「はい! 全てお二人のお陰です!」
「実技は皇紀さんの教え方がとにかく上手くて! 機械の使い方もですけど、何より溶接がもうプロ並みだって褒められました!」
ルーとハーはニコニコして、ジョッキに入れられたジュースを飲む。
この工業高校に乗り込んで頭だった奴らを全員ボコッた。
圧倒的な実力差はすぐに伝わり、双子は高校を支配する。
しかし、通常のそれではなかった。
二人は「人材育成」と称して、不良たちに徹底的な英才教育をほどこした。
小学生から教えられることに最初は抵抗があった不良たちも、力づくで勉強させられ、半年でみるみる成績があがった。
一旦実力向上の実績を知ると、あとは一層早かった。
ある日、皇紀が来た。
「あんだ、てめぇ!」
「あの、妹たちに言われて」
「あんだと?」
胸倉を掴打奴が、宙を舞って投げ出された。
数人で殴りかかると、一瞬で飛ばされる。
「待ってください! 僕は石神皇紀です!」
「!」
「まさか! ルーさんとハーさんか!」
「そうですよ!」
全員が土下座した。
「っした!」
「え、なに?」
皇紀は妹たちから旋盤などの使い方や溶接の技術を教えて欲しいと言われていた。
「はい! お二人からお兄様が来るってお聞きしてましたぁ!」
「聞いてたの?」
「はい!」
皇紀は教え方の段階を10段ほど下げた。
スーパー・イージー・モードだ。
小学校低学年に教えるやり方で始めた。
週に一度のことだったが、双子の指導もあったせいで、みんな真面目に取り組みみるみる上達していった。
春の全国高校生工業技術大会で、一人が優勝し、一人が四位入賞を果たした。
学校始まって以来の快挙だった。
全員が皇紀を神と讃えた。
「みんな、よく頑張ったね!」
「今日は一杯食べてね!」
ルーとハーがにこやかに言った。
「おす!」
全員が双子に向かって90度に腰を折った。
外でバーベキューが始まった。
4台のバーベキュー台はみんなで作った。
食材は全て、双子が費用を出した。
200万円だ。
それで牛肉100キロと魚介類や野菜などが大量に揃った。
みんなでどんどん焼いて行く。
凄まじいスピードで食材をカットしていく双子に、全員が声援を送った。
「今日は「宮のタレ」を用意したからねー」
「うっめぇ! なんだこりゃ!」
「こんなの初めてだぜ!」
「くっそうまいわ!」
みんな感動しながら食べ、双子に何度も感謝する。
「きみたちわー! 腐ったみかんじゃありましぇん!」
ハーが言った。
「はい?」
「時代が違うかー」
「ハー、すべったね」
双子は20キロ食べたが、肉は全然減らない。
50人いる。
「おかしいね?」
「亜紀ちゃん呼ぶ?」
二人は一休みしてから、また食べようと話し合った。
「それでは、ここは暑いんで部室の方へどうぞ!」
鬼瓦が言った。
「えー、でも部室にはエアコンを入れてないじゃん」
「はい! 下の連中に、よく冷やしておくよう指示しました!」
「へぇー! 鬼ちゃん、やるじゃん!」
「ありがとうございます!」
鬼瓦が二人を部室へ案内した。
「なんか臭わない?」
「うん、スースーする臭い?」
部室の前まで来た時。
ドッカーーーーーン!
部室のドアと窓ガラスが吹っ飛んだ。
僅かに先に割れた窓から、一瞬炎が伸びた。
「「にゃんだ?」」
冷感スプレーを大量に撒いた。
引火した。
二人は走った。
「てっしゅうぅーーーーー!!!」
言っている間に、次々と指示を出し、バーベキューの痕跡を消す。
「台は体育館の裏へ持ってけ! 食材はブルーシートに包め! お前ら急いで道着に着替えて道場へ! お前らはとにかく運べ! 鬼瓦は部室の前で倒れてろ! お前らは誰か来てから部室へ入って様子を見ろ! お前らは……」
悪魔の超絶思考で二人が指示を出し、何とか片付けてから消防車と救急車が来た。
もちろん、双子は自分たちはいなかったと念を押して既に去っていた。
タクシーを捕まえて、家に戻る。
「腐ったみかんだったね」
「そうだったね」
■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■
「おい、亜紀ちゃん。都内の高校で爆発だってよ」
「へぇー、なんでです?」
「それがよ、暑かったんで冷感スプレーを大量に部室に撒いたんだと」
「アホですか!」
「まったくなー。ああいうバカな連中とは関わりたくねぇもんだな」
「ほんとにほんとに!」
俺はリヴィングのテレビで亜紀ちゃんと話した。
「「にゃははははは」」
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