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早乙女と雪野
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12月の初旬の土曜日。
早乙女と雪野さんが家に来た。
結婚式を終え、その挨拶と礼ということだった。
俺は土産は鳩サブレーにすることと、夕飯を一緒に食べ、一晩泊ることを条件に受け入れた。
夕飯は禁断の「すき焼き」だ。
午後三時に二人が来る。
ポルシェ 911 Carrera 4S Cabrioletだ。
もちろん、俺がプレゼントした。
あいつは絶対に選ばない車だ。
俺は門で出迎え、開いて駐車場へ入れさせた。
「おお、二人によく似合ってるな」
「おい、何で引っ越したマンションに、ポルシェがついてるんだ!」
「ウェルカム・フルーツ的な?」
「おい!」
雪野さんが笑っている。
「石神さん、あんまりもうこんなことは」
「無理ですって! 何しろこいつが石神高虎の親友だなんて言ってるんですから。恥ずかしくない格好になってもらわないと」
「フフフフ」
雪野さんは、俺の家やうちの駐車場に停まっている他の俺の車を見て微笑んでいた。
俺が決して無理をしていないことが分かっただろう。
俺は二人を中へ案内した。
玄関で子どもたちとロボが歓迎する。
ロボは雪野さんを一目で気に入ったらしく、身体を摺り寄せ自分の匂いを付けた。
俺がロボを抱き、二人をエレベーターに乗せてリヴィングへ案内する。
早乙女が俺に鳩サブレーを渡した。
「言われた通り、買って来たよ」
「お前さー」
「なんだ?」
「ご祝儀に十億もやった相手に、鳩サブレーかよ」
「おい! お前がこれにしろって!」
「常識ってもんがあるんだぞ?」
「お前!」
雪野さんが大笑いした。
スーツケースを開いて、俺に包みを渡した。
「こちらも、どうかお納めください」
ラ・メゾン・デュ・ショコラの「アタション」のセットだ。
「おお! 流石は大手企業のお勤めの方! 「アタション」とはいいものを知ってますねぇ」
「まあ。フフフフ」
「公務員はダメだな。チョコレートは明治だと思ってやがる。おい、亜紀ちゃん、お茶にしてみんなで頂こう! ああ、早乙女は鳩サブレーな!」
「はーい!」
ちゃんと早乙女にもチョコレートを出した。
「素敵なお宅ですね」
雪野さんが言った。
「いやー。公安だのヤクザだのが出入りする、ろくでもない家ですよ」
「いいえ。温かないいお宅です」
ロボは雪野さんの足元で寝ている。
本当に温かい人間を知っているのだ。
「ネコちゃんも可愛らしい」
「ロボです。こんなに最初から懐くのは珍しいんですよ」
「そうなんですか!」
「ああ、早乙女にも結構早く馴染みましたけどね。人間にはモテませんが、動物は得意なようで」
「アハハハハ!」
俺たちが披露宴で演奏した曲の話になった。
「主人が隣で絶叫しまして。びっくりしました」
俺たちが爆笑した。
「前にね。部下に命じて俺の関係者の動画を探らせたんです。そうしたら、早乙女のぶっ飛び動画を見つけて」
「アハハハハハ!」
「毎週、酒を飲みながらみんなで見てたんですよ」
「石神、やめてくれ」
早乙女が泣きそうだった。
「お前、あれから新作を出さないな」
「やるわけないだろう!」
「飲み会の楽しみが無くなったじゃないか」
「おい、本当に」
俺たちは笑った。
「しかし、なんだ、あの恰好は」
「ハマショー(浜田省吾)だ」
「あ?」
「なんだ!」
「いや、お前、『忘れな草をあなたに』しか知らねぇじゃねぇか」
俺がそう言うと、早乙女が恥ずかしそうに言った。
「あのさ」
「うん」
「俺、似てるだろ?」
「はい?」
「だから、浜田省吾にさ」
「あー」
みんなで大爆笑した。
雪野さんも大笑いした。
早乙女は真っ赤な顔をして下を向いた。
子どもたちに夕飯の準備をさせ、俺は早乙女たちに家の中を案内した。
階段のプリズムが、丁度西日のスペクトルを描いていた。
二人は驚きながらも、楽しんでくれた。
リヴィングへ戻り、亜紀ちゃんにコーヒーをもらった。
「早乙女と出掛けたりしますか?」
「はい。でもいつも忙しいようで」
俺は早乙女を睨んだ。
「すまない! 今度必ず!」
「雪野さん、こいつはこんなんだから、積極的に誘わないとダメなんですよ」
「ええ、でも私も別に。一緒にいればそれで」
「おい、早乙女。奥さんにこんなに気を遣わせてるぞ」
「すまん!」
「折角、ドライブでも行くように車をやったのに」
「ああ、そうだったのか!」
「本当にお前は!」
雪野さんが笑った。
「今度、羽田空港に行こう!」
「あそこはやめろ!」
「どうしてだ?」
「お前と会いたくねぇ!」
「!」
俺は冗談だと言った。
「でも、もっと遠くへ連れてってやれよ」
「ああ、そうだな」
俺は幾つか、ドライブコースを教えた。
早乙女は部屋の荷物から手帳を持って来て、熱心に書き留めていた。
俺と雪野さんは、微笑みながら、それを見た。
夕飯の準備が整った。
鍋はちゃんと分けてある。
「いいか! 今日は俺たちの大好きな詩人さんとその奥さんだ!」
「「「「「はい!」」」」」
「おい!」
「お前らは兄弟で死肉を奪い合え!」
「「「「はい!」」」」」
「こっちに来なきゃどうでもいいぞ」
「「「「はい!」」」」」
「いただきます!」
「「「「「いただきます!」」」」」
「「いただきます」」
俺たちは賑やかな食事を味わった。
早乙女と雪野さんが、子どもたちの争いに驚いていたが、やがて笑った。
「なんだ、早乙女、おかしいか」
「ああ。石神の家らしい食事だな」
「そうか。お前もちょっと行って来るか?」
「やめろ!」
雪野さんが笑った。
「いいお肉ですね!」
雪野さんが言った。
「そうでしょう? あいつらとはちょっとグレードが違うんですよ」
俺がそう言うと、子どもたちが一斉にこちらを向いた。
「冗談だ!」
また争って喰い出した。
実はいい肉だ。
「すき焼きはなぁ、「ざくろ」と……」
俺が美味い店を教えた。
早乙女がまたメモを取っている。
「まあ、雪野さんが幾らでも知ってるだろう。お前教えてもらえよ」
「うん」
「いえ、私なんてそんなに」
亜紀ちゃんが超旋風脚で仰いだ勢いで肉が浮かび上がる。
真空に吸い上げられるのだ。
ハーが音速拳ででかい塊を掴み、柳がその箸を叩き折った。
その勢いで肉が飛び、こちらへ向かってくる。
俺は早乙女の身体を押して避けさせた。
後ろで喜んで肉を喰っていたロボの頭に当たる。
「「「「「「あ!」」」」」」」
俺たちは叫んだ。
ロボが「シャー!」と鳴き、飛び上がって地獄スクリューキックを柳に見舞った。
柳が吹っ飛ぶ。
「ロボ、ごめんって!」
雪野さんが大笑いした。
大した女だ。
二つの鍋を合わせて、亜紀ちゃんがニコニコしながら雑炊を作った。
早乙女がじっとその顔を見ていた。
「雪野さん、大丈夫ですか?」
「はい! 楽しくて美味しいお食事でした」
「いつもは貴族の家みたいに礼儀正しい食卓なんですよ?」
「はい!」
早乙女もニコニコしている。
雪野さんが嬉しそうなんで幸せなのだろう。
「どうせこいつはいつも仏頂面なんでしょう?」
「そんなことは! 私が作ると美味しいといってくれます」
「ほんとに!」
「石神、なんだよ!」
「ああ、そう言えば、俺が果物を持ってった時にもちゃんと言ってたな」
「俺は普通だ!」
雪野さんが可笑しそうに笑った。
俺たちは地下へ行き、俺がギターを弾いた。
「おい、ハマショー歌えよ」
「いや、俺は」
「『ラストショー』な!」
「待てって!」
早乙女は綺麗な声で歌ったが、生憎歌詞を全部覚えていなかった。
俺が一緒に歌い、助けた。
「なんだ、やっぱり好きなんじゃねぇか」
「いや、そうなんだが」
「前は遠慮して歌わなかったのか?」
「そうではないんだが、ちょっと恥ずかしくてな」
「『忘れな草をあなたに』の方が、どっちかと言えば」
「あのさ、俺って、ちょっと似すぎてるだろ?」
「!」
またみんなで爆笑した。
早乙女と雪野さんが家に来た。
結婚式を終え、その挨拶と礼ということだった。
俺は土産は鳩サブレーにすることと、夕飯を一緒に食べ、一晩泊ることを条件に受け入れた。
夕飯は禁断の「すき焼き」だ。
午後三時に二人が来る。
ポルシェ 911 Carrera 4S Cabrioletだ。
もちろん、俺がプレゼントした。
あいつは絶対に選ばない車だ。
俺は門で出迎え、開いて駐車場へ入れさせた。
「おお、二人によく似合ってるな」
「おい、何で引っ越したマンションに、ポルシェがついてるんだ!」
「ウェルカム・フルーツ的な?」
「おい!」
雪野さんが笑っている。
「石神さん、あんまりもうこんなことは」
「無理ですって! 何しろこいつが石神高虎の親友だなんて言ってるんですから。恥ずかしくない格好になってもらわないと」
「フフフフ」
雪野さんは、俺の家やうちの駐車場に停まっている他の俺の車を見て微笑んでいた。
俺が決して無理をしていないことが分かっただろう。
俺は二人を中へ案内した。
玄関で子どもたちとロボが歓迎する。
ロボは雪野さんを一目で気に入ったらしく、身体を摺り寄せ自分の匂いを付けた。
俺がロボを抱き、二人をエレベーターに乗せてリヴィングへ案内する。
早乙女が俺に鳩サブレーを渡した。
「言われた通り、買って来たよ」
「お前さー」
「なんだ?」
「ご祝儀に十億もやった相手に、鳩サブレーかよ」
「おい! お前がこれにしろって!」
「常識ってもんがあるんだぞ?」
「お前!」
雪野さんが大笑いした。
スーツケースを開いて、俺に包みを渡した。
「こちらも、どうかお納めください」
ラ・メゾン・デュ・ショコラの「アタション」のセットだ。
「おお! 流石は大手企業のお勤めの方! 「アタション」とはいいものを知ってますねぇ」
「まあ。フフフフ」
「公務員はダメだな。チョコレートは明治だと思ってやがる。おい、亜紀ちゃん、お茶にしてみんなで頂こう! ああ、早乙女は鳩サブレーな!」
「はーい!」
ちゃんと早乙女にもチョコレートを出した。
「素敵なお宅ですね」
雪野さんが言った。
「いやー。公安だのヤクザだのが出入りする、ろくでもない家ですよ」
「いいえ。温かないいお宅です」
ロボは雪野さんの足元で寝ている。
本当に温かい人間を知っているのだ。
「ネコちゃんも可愛らしい」
「ロボです。こんなに最初から懐くのは珍しいんですよ」
「そうなんですか!」
「ああ、早乙女にも結構早く馴染みましたけどね。人間にはモテませんが、動物は得意なようで」
「アハハハハ!」
俺たちが披露宴で演奏した曲の話になった。
「主人が隣で絶叫しまして。びっくりしました」
俺たちが爆笑した。
「前にね。部下に命じて俺の関係者の動画を探らせたんです。そうしたら、早乙女のぶっ飛び動画を見つけて」
「アハハハハハ!」
「毎週、酒を飲みながらみんなで見てたんですよ」
「石神、やめてくれ」
早乙女が泣きそうだった。
「お前、あれから新作を出さないな」
「やるわけないだろう!」
「飲み会の楽しみが無くなったじゃないか」
「おい、本当に」
俺たちは笑った。
「しかし、なんだ、あの恰好は」
「ハマショー(浜田省吾)だ」
「あ?」
「なんだ!」
「いや、お前、『忘れな草をあなたに』しか知らねぇじゃねぇか」
俺がそう言うと、早乙女が恥ずかしそうに言った。
「あのさ」
「うん」
「俺、似てるだろ?」
「はい?」
「だから、浜田省吾にさ」
「あー」
みんなで大爆笑した。
雪野さんも大笑いした。
早乙女は真っ赤な顔をして下を向いた。
子どもたちに夕飯の準備をさせ、俺は早乙女たちに家の中を案内した。
階段のプリズムが、丁度西日のスペクトルを描いていた。
二人は驚きながらも、楽しんでくれた。
リヴィングへ戻り、亜紀ちゃんにコーヒーをもらった。
「早乙女と出掛けたりしますか?」
「はい。でもいつも忙しいようで」
俺は早乙女を睨んだ。
「すまない! 今度必ず!」
「雪野さん、こいつはこんなんだから、積極的に誘わないとダメなんですよ」
「ええ、でも私も別に。一緒にいればそれで」
「おい、早乙女。奥さんにこんなに気を遣わせてるぞ」
「すまん!」
「折角、ドライブでも行くように車をやったのに」
「ああ、そうだったのか!」
「本当にお前は!」
雪野さんが笑った。
「今度、羽田空港に行こう!」
「あそこはやめろ!」
「どうしてだ?」
「お前と会いたくねぇ!」
「!」
俺は冗談だと言った。
「でも、もっと遠くへ連れてってやれよ」
「ああ、そうだな」
俺は幾つか、ドライブコースを教えた。
早乙女は部屋の荷物から手帳を持って来て、熱心に書き留めていた。
俺と雪野さんは、微笑みながら、それを見た。
夕飯の準備が整った。
鍋はちゃんと分けてある。
「いいか! 今日は俺たちの大好きな詩人さんとその奥さんだ!」
「「「「「はい!」」」」」
「おい!」
「お前らは兄弟で死肉を奪い合え!」
「「「「はい!」」」」」
「こっちに来なきゃどうでもいいぞ」
「「「「はい!」」」」」
「いただきます!」
「「「「「いただきます!」」」」」
「「いただきます」」
俺たちは賑やかな食事を味わった。
早乙女と雪野さんが、子どもたちの争いに驚いていたが、やがて笑った。
「なんだ、早乙女、おかしいか」
「ああ。石神の家らしい食事だな」
「そうか。お前もちょっと行って来るか?」
「やめろ!」
雪野さんが笑った。
「いいお肉ですね!」
雪野さんが言った。
「そうでしょう? あいつらとはちょっとグレードが違うんですよ」
俺がそう言うと、子どもたちが一斉にこちらを向いた。
「冗談だ!」
また争って喰い出した。
実はいい肉だ。
「すき焼きはなぁ、「ざくろ」と……」
俺が美味い店を教えた。
早乙女がまたメモを取っている。
「まあ、雪野さんが幾らでも知ってるだろう。お前教えてもらえよ」
「うん」
「いえ、私なんてそんなに」
亜紀ちゃんが超旋風脚で仰いだ勢いで肉が浮かび上がる。
真空に吸い上げられるのだ。
ハーが音速拳ででかい塊を掴み、柳がその箸を叩き折った。
その勢いで肉が飛び、こちらへ向かってくる。
俺は早乙女の身体を押して避けさせた。
後ろで喜んで肉を喰っていたロボの頭に当たる。
「「「「「「あ!」」」」」」」
俺たちは叫んだ。
ロボが「シャー!」と鳴き、飛び上がって地獄スクリューキックを柳に見舞った。
柳が吹っ飛ぶ。
「ロボ、ごめんって!」
雪野さんが大笑いした。
大した女だ。
二つの鍋を合わせて、亜紀ちゃんがニコニコしながら雑炊を作った。
早乙女がじっとその顔を見ていた。
「雪野さん、大丈夫ですか?」
「はい! 楽しくて美味しいお食事でした」
「いつもは貴族の家みたいに礼儀正しい食卓なんですよ?」
「はい!」
早乙女もニコニコしている。
雪野さんが嬉しそうなんで幸せなのだろう。
「どうせこいつはいつも仏頂面なんでしょう?」
「そんなことは! 私が作ると美味しいといってくれます」
「ほんとに!」
「石神、なんだよ!」
「ああ、そう言えば、俺が果物を持ってった時にもちゃんと言ってたな」
「俺は普通だ!」
雪野さんが可笑しそうに笑った。
俺たちは地下へ行き、俺がギターを弾いた。
「おい、ハマショー歌えよ」
「いや、俺は」
「『ラストショー』な!」
「待てって!」
早乙女は綺麗な声で歌ったが、生憎歌詞を全部覚えていなかった。
俺が一緒に歌い、助けた。
「なんだ、やっぱり好きなんじゃねぇか」
「いや、そうなんだが」
「前は遠慮して歌わなかったのか?」
「そうではないんだが、ちょっと恥ずかしくてな」
「『忘れな草をあなたに』の方が、どっちかと言えば」
「あのさ、俺って、ちょっと似すぎてるだろ?」
「!」
またみんなで爆笑した。
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