富豪外科医は、モテモテだが結婚しない?

青夜

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幻の「おケケ日記」

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 2月二週目の土曜日。
 ベッドでロボとイチャイチャしていると、双子に起こされた。

 「あ、タカさん起きてる!」
 「よう!」
 「「おはようございます!」」
 「おはよう。朝食か?」
 「「はい!」」

 「じゃあ、まずお前らを喰うかー!」
 
 双子が喜んでベッドに入って来る。
 ロボも一緒にじゃれる。

 「おう、今日はどんなパンツ履いてんだー!」
 「「ギャハハハハハ!」」

 俺はいつものように二人のパンツを降ろした。
 お尻に頬ずりする。
 すべすべだ。

 「「ギャハハハハハ!」」

 二人が暴れる。
 ハーが両足で俺の頭を挟んだ。

 「!」



 生えてた。



 「おい! お前らいつの間に!」
 「「え?」」

 「いつから生えてんだ!」
 「「?」」
 「ここだよ!」
 「タカさん、エッチ」
 「なんだよ!」
 「いつも見てたじゃん」
 「見てねぇよ!」

 気付かなかった。
 一緒に風呂に入ることもあるが、背中と髪を洗うだけで、そこは見ていない。
 隠しもしないが、俺も興味が無い。
 数か月前だということだった。

 「そんなぁー!」
 「なんで?」

 ハーが不思議そうに言った。

 「お前らの「おケケ日記」を楽しみにしてたのに!」
 「なにそれ?」

 俺は説明してやった。

 「こうな、産毛の頃から毎日写真を撮ってだな。お前らのおケケの成長を記録して楽しむんだよ!」

 二人に頭を引っぱたかれた。

 「「ヘンタイ!」」
 
 「知ってるだろ?」
 「「ああー!」」

 早速カメラを出して撮ろうとしたら、二人に蹴られた。
 走って逃げて行った。




 俺は仏間に行って山中と奥さんに報告した。

 「ついにな、ルーとハーに毛が生えたぞ」

 二人は笑っていた。
 やっぱり嬉しいのだ。
 まあ、いつも笑ってる写真だが。

 リヴィングに行き、朝食の席で発表した。

 「ルーとハーに毛が生えた! おめでとう!」
 
 みんなが俺を見ていた。

 「さんはい! 「おめでとー!」」

 またバカなことを言ってるとか、亜紀ちゃんたちが話していた。

 「おい! おめでとうだろう!」

 「はいはい、おめでとさんですね」
 「またですか」
 「何の話ですか?」
 「「ばーか」」

 「……」

 黙って食べた。
 なんだよ、ちきしょー。




 俺は六花を呼んで響子の部屋で待ち合わせた。

 「タカトラー!」
 「よう!」
 「今日はどうしたの?」
 「お前を見たくてな」
 「そうなんだぁ!」

 響子が無邪気に喜ぶ。
 六花も来た。
 響子は更に喜んだ。
 六花に説明した。

 「ルーとハーに毛が生えてたんだよ」
 「そうなんですか!」
 「ああ、全然気付かなかった。時々一緒に風呂とか入るんだけどな」
 「背中しか洗いませんもんね」
 「そうなんだ。別に見ることもなかったんだよなー」
 
 六花は分かってくれる。

 「俺はあいつらの成長の記録で「おケケ日記」を付けようと楽しみにしてたのに!」
 「なるほど!」
 「毎日な、写真を撮ってだな」
 「はいはい」
 「100分の1ミリを測れる電子ノギスで長さの記録を付けてだな」
 「すごいですね!」
 「ちょっと舐めて味を見る」
 「ブッフォー!」
 「ミネラルとか大事だろ?」
 「なるほど!」
 「喜んでくれると思ったんだけどなー」
 「そうですよね。私の日記付けます?」
 「毎日か!」
 「毎日ですよ!」

 「「ワハハハハハハ!」」

 響子が睨んでいる。
 額に皺を寄せ、口元を歪めている。

 「ということでな!」
 「分かりました!」

 あ・うんの呼吸だ。

 「響子、ちょっとケポリン見せてくれよ!」
 「やだ」
 「そんなこと言わないでさ。ケポリン、カワイイじゃん!」
 「やだ」

 俺が近付くと離れる。

 「なー、ちょっとだけ!」
 「やだよー!」
 「響子、天井のシミを数えている間に終わりますよ」
 「六花、なに言ってるの!」

 二人で笑いながら響子を捕まえる。
 くすぐる。

 「ニャハハハハハー! やめてー! ニャハハ!」

 スルッと脱がせた。
 ケポリンはいる。

 「石神先生! どうですか!」
 「ちょっと待て! 響子じっとしてろ!」
 「やだぁー!」

 よく見た。

 「あ!」
 「生えてますか!」
 「うん! なんか産毛だ!」
 「やりましたね!」
 「よし! 写真を撮るぞ!」
 「はい!」

 突然、響子が大泣きした。

 「おい!」
 「響子!」

 二人で必死に謝った。
 六花がパンツを戻し、お尻をポンポンする。

 「悪かったって!」
 「ちょっと調子に乗り過ぎました!」
 「絶対ゆるさない!」

 急いでオークラのプリンを買って来た。

 「これで勘弁してくれ」
 「もう!」

 「でもこれで響子も大人だな!」
 「そうですね!」
 「そうなの?」

 「そうだよ! また一段と響子は綺麗になるんだな!」
 「たいへんですね!」
 「エヘヘヘヘ」

 機嫌が直った。

 「じゃー、ちょっと写真撮っとくか!」
 「ロックハート家に送りましょうよ!」
 「おお! アルと静江さんも喜ぶな!」
 「そうかな?」
 「「そうだよー!」」

 「やっぱイヤ」

 撮らせてくれなかった。
 もう騙されねぇ。
 三人でセグウェイで遊び、帰った。

 六花とオークラの「山里」で食事をした。

 
 「子どもだったのになぁ」
 「成長するんですね」
 「そうだな」
 「ちょっと寂しいですかね」
 「そうなんだよなぁ」

 二人でしんみりした。

 「お前、いつから生えた?」
 「うーん、五年生くらいですかね」
 「俺、四年生」
 「早いですね!」
 「毎日オチンチン体操してたからな!」
 「流石ですね!」





 ホテルを出て、仕方ないので六花のマンションでおケケをじっくり観察した。
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