富豪外科医は、モテモテだが結婚しない?

青夜

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おしべとめしべの話

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 俺には、ちょっとした不満があった。
 少し前からだが、響子が俺の膝に乗らなくなった。
 前は昼食後に俺と一緒に俺の部屋へ行き、膝に乗るのを楽しみにしていた。
 それが、俺が誘っても一緒に来なくなった。

 「いい、このまま寝るから」
 「そうか」

 悲しい。
 まあ、身長170センチほどになり、膝に乗るのもおかしいのかも知れない。
 でも俺は乗って欲しい。

 それと、俺がパンツを降ろすのを前は喜んでいた。
 今では徹底的に嫌がる。
 何故だろう?

 一緒に風呂に入るのはそのままだ。
 いっちょまえに「カァー!」とか言ってる。
 背中も流す。
 でも、前を洗うのはちょっと抵抗があるようだ。

 下にケポリンじゃない毛が生え、胸もほんのり膨らんで来た。
 それからだ。
 不思議だ。




 六花に相談した。

 「おかしんだよ」
 「そうですね」

 六花も不思議がっている。
 
 何でも話す一江にも相談した。

 「おかしいんだよ」
 「あの、それって普通のことじゃ?」
 「え?」

 一江はおかしい。

 鷹に相談した。
 金曜の夜に鷹のマンションに泊まり、一緒に風呂に入りながら話した。

 「鷹は俺と風呂に入るのは平気じゃん」
 「まあ、慣れましたかね」
 「前も洗わせてくれるじゃん」
 「まあ、ちょっとアレですが」
 「パンツを脱がすと喜ぶじゃん」
 「まあ、タイミングというか」
 「おかしいよな!」
 「えーと、はい」

 やっぱり鷹も同意してくれた。
 嬉しくなっていつもよりも一生懸命に前を洗い、ベッドで思い切り愛し合った。
 失神した。




 土曜日の夜に、亜紀ちゃんと一緒に風呂に入った。
 響子の話をする。

 「亜紀ちゃんは俺と風呂に入るのに抵抗ゼロだよな?」
 「たのしーです!」
 「そうだよなぁ。前を洗っても平気だよな?」
 「いやです!」
 「パンツを脱がすと嬉しいよな?」
 「殴りますよ!」

 ちょっと噛み合わない。
 でもオッパイもワカメも隠してない。

 「それは、響子ちゃんが恥ずかしがってるんですよ」

 裸族の女が言った。
 
 「なんだと?」
 「普通は誰かに裸を見せるのは嫌なんですから」
 「まあな。でも、もう散々見てるんだぞ?」
 「もうお仕舞なんです」
 「え!」
 「ここからは有料です」
 「悪質サイトかぁ!」
 「そんなの見てるんですかぁ!」

 ちょっと噛み合わない。

 「まあ、子どもから大人になって来たってことですよ」
 「そりゃそうだけどなぁ」
 「どこの家だって、そのうち父親と一緒にお風呂は入らないですから」
 「そうなのか?」
 「そうですよ」
 「亜紀ちゃんは?」
 「私はタカさんのものですから」
 「ふーん」

 まあ、双子もオッパイが出て来て毛も生えたが、一緒に入りたがる。

 「でも、響子だぞ」
 「ヨメですけどね」
 「俺のオチンチンにぶら下がろうとして転ぶ奴だぞ?」
 「そんなことしてるんですか」
 「6キロまでは耐えるんだけどなぁ」
 「そういう問題じゃないですよね?」

 鍛えれば10キロまで出来ると言うと、亜紀ちゃんに頭をはたかれた。

 「しかしよ。セクシャルな意味で恥ずかしがってるとしてだよ」
 「はい」
 「そういう知識をどこで仕入れるんだ?」
 「響子ちゃん、タブレット持ってるじゃないですか。そういうので幾らでも検索できますよ」
 「あいつのは、完全にチャイルド仕様にしてるんだ。一江に頼んで、イヤらしいものは検索できないようにしてる」
 「それでも、抜け道はあるんじゃないですか?」
 「学校に行ってねぇんだ。性教育は何も知らないだろう」
 「発想に無いってことですか」
 「そうなんだよ」

 二人でおかしいと話した。
 まあ、偏った感覚を持たせるのも不味いということで、響子に男女のことを少しずつ教えようということになった。

 「石動コレクションから選ぶかぁ」

 亜紀ちゃんに引っぱたかれた。




 翌週。

 響子が眠った後で、タブレットの検索履歴を見てみた。
 俺が前に教えた太陽の動画や宇宙の動画。
 俺の名前やフェラーリ・ダンディ等。
 ネコ動画。
 ファッション関連。
 そんな感じだ。
 「お気に入り」も、その範疇だった。
 非常に健康的だ。

 「どうしたんですか?」

 六花が声を掛けて来た。

 「いや、響子が最近、俺に裸を見せるのを避けてるじゃん」
 「ああ、そうですね」
 「ネットでヘンな知識を集めてるんじゃないかと」
 「なるほど」
 「でも、別に何も無かったよ」
 「そーですかー」

 六花も考え込んだ。

 「ちょっと私も注意しておきますね」
 「ああ、頼むよ。別に性的なことに興味を持ってもいいんだけどな」
 「はい」
 「ヘンに不潔なことだとか、考えて欲しくないんだ」
 「そうですよね!」
 「男女の愛の行為だからな」
 「石神先生! 大好きです!」
 「アハハハハ」

 六花が持っていた週刊誌をベッドに置き、響子の髪を撫でた。
 響子が可愛くてしょうがないのだ。

 俺は何げなく、六花の週刊誌を見た。

 《特集:カレを喜ばせるマル秘テクニック!》

 「ん?」

 開くと、物凄いウルテク記事だった。
 俺は六花が休憩中に読んでいるものの棚へ行った。

 《アナル拡張上級者篇》
 《飲尿プレイのすすめ》
 《縄遊び:縛ってもらうと感度10倍!》
 《拉致監禁物語》
 《私、100人に輪されました:ある少女の独白》
 《3Pからの極楽世界》

 「……」

 俺は六花に振り返った。

 「石神先生?」
 「おい、これってお前のだよな?」
 「そうですけど?」
 「お前、これらをいつも置いたまま帰るの?」
 「はい」
 
 俺は近づいて、拳骨を脳天に落した。

 「イタイ!」
 「お前ぇ! 響子が見るだろうがぁ!」
 「は!」

 もう一度拳骨を落とした。

 「お前だったかぁ」
 「すみません」

 俺は伝手を辿って性教育の専門家に相談し、いい本を紹介してもらった。
 「六花文庫」を全部入れ替える。






 「タカトラー」
 「おう!」
 「男の子って大変なんだね」
 「そうかもな!」
 
 響子が俺を心配そうに見ていた。

 「私が大人になるまで待っててね」
 「よろしくな!」

 嬉しいことを言ってくれる。

 一応、うちの双子にも何冊か渡した。

 「えーと、別に今更」
 「タカさん、遅いよ」
 「そうだよなー」




 いらなかった。
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