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百家訪問 Ⅱ
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山頂の偽牧場からハマーで走り、30分後に市内に入った。
六花が調べてくれた蕎麦屋に入る。
六花は同行出来ない代わりに、響子が好きそうな店を調べ上げてくれていた。
「なんか、一番美味い蕎麦らしいぞ」
「そうなんだ!」
響子のテンションも高い。
メニューを見て、響子は割子そばの1段を、俺は天ぷら割子そば3段と天丼を頼んだ。
「可愛らしいお子さんですね」
店の人が響子を見て言う。
響子は喜んでいるが、もう「タカトラのヨメ」とは言わない。
「日本語も堪能なんですよ。今日はここが一番美味しいと聞いて来たんです」
「そうなんですか! じゃあ、頑張って作りますね」
そろそろ昼時なので、店は段々と人が入って来た。
俺は響子に海老の天ぷらをやった。
「さっき食べたばかりだから、無理しないでいいぞ」
「うん!」
響子は可愛らしく蕎麦をすする。
「美味しいよ!」
蕎麦の香りが良く立っている。
いい店だ。
天ぷらも加減が絶妙にいい。
冷酒が欲しくなる。
大満足で店を出た。
そのまま、百家へ向かった。
食後に響子は少し眠る。
そのことも百家には伝えている。
俺は指定された駐車場にハマーを入れた。
既に待っている人がいた。
俺は挨拶し、ハマーから荷物を降ろす。
広大な場所なので、響子はセグウェイで移動する。
話は通していたが、俺の「荷物」を見て案内の人が驚いた。
普通の俺と響子の手荷物は、案内の人が持ってくれた。
奥の国造館に案内された。
宮司や神官の住居になっている。
漆喰の高い白壁に囲まれた敷地だ。
響子は嬉しそうな顔で、俺たちに合わせて進んだ。
大きな屋敷があり、俺たちは板張りの応接室のような部屋へ案内された。
手荷物は部屋へ運んでくれるようだ。
俺は「荷物」を床へ置いた。
茶を出されてしばらく待たされた。
響子は部屋の中を見て回っている。
間もなく、百家の人間が入って来た。
俺は立ち上がり名刺を渡して挨拶した。
老人の男女と、60代の男性、それに40代前半の女性だ。
大宮司の百家尊正(たかまさ)氏と奥さんのいづみさん。
宮司の尊教(たかのり)氏と妹の緑さんだった。
つまり、響子の祖父母と伯父、叔母にあたる。
「突然に押し掛けてしまい、申し訳ありません。静江さんの娘の響子を是非一度こちらへ案内させたく」
「石神さん、その前に、刀を是非テーブルの上に。今、台を用意させますので」
「はい?」
「その刀は床に置いてはなりません」
「はぁ」
俺は二振りの「虎王」、そして「常世渡理」と「流星剣」、銘の分からない二振りの刀を持って来ていた。
「お聞きしていたのに準備もせずに申し訳ございません。神剣に失礼なことをいたしました」
「いえ」
俺は自分がそう言って良いのか分からなかった。
尊教さんが部屋から出て、すぐに大きな刀掛けが幾つか運ばれて来た。
驚いたことに、「常世渡理」の3メートルの長さが納まるものもあった。
俺は断って、台に掛ける。
反りが上になる。
「その子が「響子」なのですね」
尊正さんがそう言った。
「はい。静江さんとアルジャーノン氏の間に生まれた娘です」
四人が顔を綻ばせて響子を見ていた。
「響子ロックハートです」
響子が立ち上がって頭を下げて挨拶した。
「お二人をお待ち申し上げておりました。ただ、響子はこの後でしばらく休むとお聞きしております。まずはこの辺りで、後程またゆっくりと」
「ありがとうございます」
俺と響子は緑さんに案内されて、部屋へ入った。
和室で、響子の布団が敷かれていた。
「石神様は、どうぞご自由に屋敷の中を御歩き下さい」
「ありがとうございます。後程、庭を見せていただければと」
「どうぞ。大したものではございませんが。宜しければ本殿の方へも」
「はい、響子が起きたら一緒にお参りさせて頂きます」
「さようでございますか」
緑さんはにこやかに笑って、部屋を出て行った。
俺は響子を寝間着に着替えさせて、近くの洗面所で歯を軽く磨かせた。
「響子、ついに来たな」
「うん。なんか懐かしい気がする」
「そうか。じゃあ、将来の俺たちの家は、こんな感じの建物にするか」
「素敵ね!」
響子が笑った。
「虎を家の中で飼うか」
「うん!」
「ロボは虎に負けないから大丈夫だ」
「アハハハハ!」
超高度文明のマザーシップを一撃でぶっ壊す。
「庭で遊ばせたら、お前が足を拭ってやるんだぞ?」
「やるよ!」
二人で笑い、やがて響子は眠った。
俺は玄関に回り、庭に出させてもらった。
秋の日差しが温かく、気持ちが良かった。
応接室から「常世渡理」を持ち出していた。
一気に鞘から抜く。
玉砂利を敷き詰めた庭の中央で、演武をする。
「常世渡理」は、薙ぐ度に「シャララン」という美しい響きを奏でる。
どういう構造かは分からない。
刀身が長いため、俺は何度も空中高く跳び、「常世渡理」を振るい、舞った。
舞う度に、空気が清澄になっていく気がする。
楽しくなって、しばらく舞った。
庭の隅で、先ほどの百家の四人と10人ほどの神官らしき方々が見ているのが分かった。
何も言われなかったので、俺はそのまま自由にやらせてもらった。
30分もやらせてもらっただろうか。
俺は刀身を鞘に納め、見ている方々に一礼した。
俺は歩いて行って、また頭を下げた。
「すいませんでした。素晴らしいお庭で夢中になってしまい」
「とんでもございません。大変良いものを観させて頂きました」
「庭の空気が澄みましたね。流石は「常世渡理」です」
尊正さんと尊教さんがそう言った。
「銘を御存知でしたか」
「はい。実物は初めてですが、その長さと神威で間違いなかろうと」
「ご覧になりますか?」
「いいえ! それは人の身で触れてはならぬものです」
「はぁ」
俺も人間だが。
他の方々は屋敷の中へ戻り、緑さんが庭を案内してくれた。
「先ほど、大きな神威を感じて、全員が庭に出ましたの」
「それは、とんだことを!」
「いいえ。とても澄んだ心地のよいもので。思わずどなたかが御降臨になられたのかと」
「はい?」
「石神様がいらしていたことを失念しておりました」
「はぁ?」
よく分かっていない俺のために、緑さんは丁寧に説明してくれた。
「神威というのは、神の威を感ずるということです。一般の人間にはそれは「畏怖」ということになるでしょうが、あやかしの恐怖の威圧とは異なり、生命を高める力です。但し、浴び続ければ生命の器が壊されてしまいます」
「え!」
「御心配なさらぬように。先ほどの神威はとても心地よく、いつまで浴びても良いものでした。石神様の清澄が出ていたのでしょう」
「いいえ、俺なんて……」
俺なんて「イヤラシー大王」だ。
緑さんと庭をゆっくりと歩いたが、ほとんど庭の紹介は無かった。
ただ、美しい庭を俺は味わって歩いた。
「響子に会えて、本当に嬉しく思います」
「そう言って頂けると。以前から響子には、ここを見せたかったんです」
「姉は元気でしょうか?」
「はい。事情があってこちらへは連絡出来ずにいますが、大変お元気ですし、お幸せそうですよ」
「そうですか」
緑さんは薄っすらと微笑んだ。
「姉が連絡出来ない謂れは存じております。それは百家の運命ですので、私共も潔く。でも、響子にはずっと会いたかった」
「そうですか」
「一目見て分かりました。あの子は沢山の愛情を受けて育っておりますね」
「ええ、みんな響子が大好きですよ」
「特に石神様の愛情が」
「アハハハハ! あいつ、今日は言いませんでしたが、ずっと「私がタカトラのヨメです」って言うんですよ。もう可愛くって」
「ウフフフフ」
緑さんが笑った。
「今日は来ていませんが、一色六花という響子の専任の看護師がいるんです。響子が「ヨメです」って言うと、いつも一緒に「そして私が二号です」って。響子と本当に仲良しなんですよ」
「ウフフフフフ」
俺はここに来るに当たり、響子の状況を電話で話していた。
末期がんから奇跡的には助かったが、一生をベッドで暮らすだろうこと。
今も体力が無く、絶対に無理はさせられないこと。
そして静江さんの特殊能力を知っており、響子にも何らかの能力の発現が見られることを話した。
また、更に電話では話せないことがある、と。
百家でも、俺と響子に話したいことがあると告げられた。
「何よりも、響子が幸せそうで安心致しました」
「そうですか」
「身寄りの無い日本で、たった一人で入院していると聞き、可愛そうに思っておりました」
「はい」
「ですが、その心配は無さそうですね。響子を見て分かりました」
「はい」
「それに、姉も幸せだと」
「はい。ロックハート家でも大事にされていますよ。でも、日本のことを忘れたことは無い。今もずっと日本を愛していらっしゃいます」
「さようでございますか」
緑さんは目を潤ませた。
俺たちは屋敷の中へ戻った。
「常世渡理」を台に掛け、与えられた部屋へ戻った。
響子はスヤスヤと眠っていた。
俺は、その美しい寝顔を眺めていた。
六花が調べてくれた蕎麦屋に入る。
六花は同行出来ない代わりに、響子が好きそうな店を調べ上げてくれていた。
「なんか、一番美味い蕎麦らしいぞ」
「そうなんだ!」
響子のテンションも高い。
メニューを見て、響子は割子そばの1段を、俺は天ぷら割子そば3段と天丼を頼んだ。
「可愛らしいお子さんですね」
店の人が響子を見て言う。
響子は喜んでいるが、もう「タカトラのヨメ」とは言わない。
「日本語も堪能なんですよ。今日はここが一番美味しいと聞いて来たんです」
「そうなんですか! じゃあ、頑張って作りますね」
そろそろ昼時なので、店は段々と人が入って来た。
俺は響子に海老の天ぷらをやった。
「さっき食べたばかりだから、無理しないでいいぞ」
「うん!」
響子は可愛らしく蕎麦をすする。
「美味しいよ!」
蕎麦の香りが良く立っている。
いい店だ。
天ぷらも加減が絶妙にいい。
冷酒が欲しくなる。
大満足で店を出た。
そのまま、百家へ向かった。
食後に響子は少し眠る。
そのことも百家には伝えている。
俺は指定された駐車場にハマーを入れた。
既に待っている人がいた。
俺は挨拶し、ハマーから荷物を降ろす。
広大な場所なので、響子はセグウェイで移動する。
話は通していたが、俺の「荷物」を見て案内の人が驚いた。
普通の俺と響子の手荷物は、案内の人が持ってくれた。
奥の国造館に案内された。
宮司や神官の住居になっている。
漆喰の高い白壁に囲まれた敷地だ。
響子は嬉しそうな顔で、俺たちに合わせて進んだ。
大きな屋敷があり、俺たちは板張りの応接室のような部屋へ案内された。
手荷物は部屋へ運んでくれるようだ。
俺は「荷物」を床へ置いた。
茶を出されてしばらく待たされた。
響子は部屋の中を見て回っている。
間もなく、百家の人間が入って来た。
俺は立ち上がり名刺を渡して挨拶した。
老人の男女と、60代の男性、それに40代前半の女性だ。
大宮司の百家尊正(たかまさ)氏と奥さんのいづみさん。
宮司の尊教(たかのり)氏と妹の緑さんだった。
つまり、響子の祖父母と伯父、叔母にあたる。
「突然に押し掛けてしまい、申し訳ありません。静江さんの娘の響子を是非一度こちらへ案内させたく」
「石神さん、その前に、刀を是非テーブルの上に。今、台を用意させますので」
「はい?」
「その刀は床に置いてはなりません」
「はぁ」
俺は二振りの「虎王」、そして「常世渡理」と「流星剣」、銘の分からない二振りの刀を持って来ていた。
「お聞きしていたのに準備もせずに申し訳ございません。神剣に失礼なことをいたしました」
「いえ」
俺は自分がそう言って良いのか分からなかった。
尊教さんが部屋から出て、すぐに大きな刀掛けが幾つか運ばれて来た。
驚いたことに、「常世渡理」の3メートルの長さが納まるものもあった。
俺は断って、台に掛ける。
反りが上になる。
「その子が「響子」なのですね」
尊正さんがそう言った。
「はい。静江さんとアルジャーノン氏の間に生まれた娘です」
四人が顔を綻ばせて響子を見ていた。
「響子ロックハートです」
響子が立ち上がって頭を下げて挨拶した。
「お二人をお待ち申し上げておりました。ただ、響子はこの後でしばらく休むとお聞きしております。まずはこの辺りで、後程またゆっくりと」
「ありがとうございます」
俺と響子は緑さんに案内されて、部屋へ入った。
和室で、響子の布団が敷かれていた。
「石神様は、どうぞご自由に屋敷の中を御歩き下さい」
「ありがとうございます。後程、庭を見せていただければと」
「どうぞ。大したものではございませんが。宜しければ本殿の方へも」
「はい、響子が起きたら一緒にお参りさせて頂きます」
「さようでございますか」
緑さんはにこやかに笑って、部屋を出て行った。
俺は響子を寝間着に着替えさせて、近くの洗面所で歯を軽く磨かせた。
「響子、ついに来たな」
「うん。なんか懐かしい気がする」
「そうか。じゃあ、将来の俺たちの家は、こんな感じの建物にするか」
「素敵ね!」
響子が笑った。
「虎を家の中で飼うか」
「うん!」
「ロボは虎に負けないから大丈夫だ」
「アハハハハ!」
超高度文明のマザーシップを一撃でぶっ壊す。
「庭で遊ばせたら、お前が足を拭ってやるんだぞ?」
「やるよ!」
二人で笑い、やがて響子は眠った。
俺は玄関に回り、庭に出させてもらった。
秋の日差しが温かく、気持ちが良かった。
応接室から「常世渡理」を持ち出していた。
一気に鞘から抜く。
玉砂利を敷き詰めた庭の中央で、演武をする。
「常世渡理」は、薙ぐ度に「シャララン」という美しい響きを奏でる。
どういう構造かは分からない。
刀身が長いため、俺は何度も空中高く跳び、「常世渡理」を振るい、舞った。
舞う度に、空気が清澄になっていく気がする。
楽しくなって、しばらく舞った。
庭の隅で、先ほどの百家の四人と10人ほどの神官らしき方々が見ているのが分かった。
何も言われなかったので、俺はそのまま自由にやらせてもらった。
30分もやらせてもらっただろうか。
俺は刀身を鞘に納め、見ている方々に一礼した。
俺は歩いて行って、また頭を下げた。
「すいませんでした。素晴らしいお庭で夢中になってしまい」
「とんでもございません。大変良いものを観させて頂きました」
「庭の空気が澄みましたね。流石は「常世渡理」です」
尊正さんと尊教さんがそう言った。
「銘を御存知でしたか」
「はい。実物は初めてですが、その長さと神威で間違いなかろうと」
「ご覧になりますか?」
「いいえ! それは人の身で触れてはならぬものです」
「はぁ」
俺も人間だが。
他の方々は屋敷の中へ戻り、緑さんが庭を案内してくれた。
「先ほど、大きな神威を感じて、全員が庭に出ましたの」
「それは、とんだことを!」
「いいえ。とても澄んだ心地のよいもので。思わずどなたかが御降臨になられたのかと」
「はい?」
「石神様がいらしていたことを失念しておりました」
「はぁ?」
よく分かっていない俺のために、緑さんは丁寧に説明してくれた。
「神威というのは、神の威を感ずるということです。一般の人間にはそれは「畏怖」ということになるでしょうが、あやかしの恐怖の威圧とは異なり、生命を高める力です。但し、浴び続ければ生命の器が壊されてしまいます」
「え!」
「御心配なさらぬように。先ほどの神威はとても心地よく、いつまで浴びても良いものでした。石神様の清澄が出ていたのでしょう」
「いいえ、俺なんて……」
俺なんて「イヤラシー大王」だ。
緑さんと庭をゆっくりと歩いたが、ほとんど庭の紹介は無かった。
ただ、美しい庭を俺は味わって歩いた。
「響子に会えて、本当に嬉しく思います」
「そう言って頂けると。以前から響子には、ここを見せたかったんです」
「姉は元気でしょうか?」
「はい。事情があってこちらへは連絡出来ずにいますが、大変お元気ですし、お幸せそうですよ」
「そうですか」
緑さんは薄っすらと微笑んだ。
「姉が連絡出来ない謂れは存じております。それは百家の運命ですので、私共も潔く。でも、響子にはずっと会いたかった」
「そうですか」
「一目見て分かりました。あの子は沢山の愛情を受けて育っておりますね」
「ええ、みんな響子が大好きですよ」
「特に石神様の愛情が」
「アハハハハ! あいつ、今日は言いませんでしたが、ずっと「私がタカトラのヨメです」って言うんですよ。もう可愛くって」
「ウフフフフ」
緑さんが笑った。
「今日は来ていませんが、一色六花という響子の専任の看護師がいるんです。響子が「ヨメです」って言うと、いつも一緒に「そして私が二号です」って。響子と本当に仲良しなんですよ」
「ウフフフフフ」
俺はここに来るに当たり、響子の状況を電話で話していた。
末期がんから奇跡的には助かったが、一生をベッドで暮らすだろうこと。
今も体力が無く、絶対に無理はさせられないこと。
そして静江さんの特殊能力を知っており、響子にも何らかの能力の発現が見られることを話した。
また、更に電話では話せないことがある、と。
百家でも、俺と響子に話したいことがあると告げられた。
「何よりも、響子が幸せそうで安心致しました」
「そうですか」
「身寄りの無い日本で、たった一人で入院していると聞き、可愛そうに思っておりました」
「はい」
「ですが、その心配は無さそうですね。響子を見て分かりました」
「はい」
「それに、姉も幸せだと」
「はい。ロックハート家でも大事にされていますよ。でも、日本のことを忘れたことは無い。今もずっと日本を愛していらっしゃいます」
「さようでございますか」
緑さんは目を潤ませた。
俺たちは屋敷の中へ戻った。
「常世渡理」を台に掛け、与えられた部屋へ戻った。
響子はスヤスヤと眠っていた。
俺は、その美しい寝顔を眺めていた。
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