1,316 / 3,202
蓮花研究所の夜
しおりを挟む
ミユキたちブランと楽しく話した。
最後に目覚めた五人に、俺は天使の名を与えた。
熾天、智天、座天、力天、権天。
話をしても、違和感は無い。
知性はむしろブランたちの中でも最も優秀かもしれない。
大脳の多くを喪い、小脳や間脳まで障害があったのにも拘わらずだ。
ロボも不思議な「再構築」の能力が、一体どのような影響を与えたのか。
もちろん、俺の思いなどは悟らせない。
ブランたちは、子どもたちと楽しく話していた。
やるとは思ったが。
「じゃあ! 再会の「ヒモダンス」! やるよ!」
亜紀ちゃんが号令をかけ、前に集まってやった。
《ヒモ! ヒモ! タンポンポポポン!……》
最初は呆然としていたブランたちも、自分たちのために踊っていることが分かり、手拍子を始め、何人かは前に出て一緒に踊った。
やがて全員がその場で踊る。
子どもたちは一人ずつと握手をし、部屋を出た。
「じゃあ、タカさん! みんなでお風呂に入ってから飲み会ですね!」
「いつも通りだな!」
「はい!」
皇紀は目隠しされ、双子に全身を洗われた。
思わず反応していたが、みんな黙って笑って見ていた。
風呂から上がり、先に飲んでいた一江たちと合流する。
蓮花も一緒だった。
蓮花は俺たちを見て、肴を追加しようとしたが、俺が子どもたちにやらせた。
先にロボのササミを焼かせる。
「御二人から、石神様のことを伺っておりました」
「優し過ぎてコワイって言ってたろ?」
「はい!」
三人が笑った。
「でも、本当に怖いのはこいつらでなぁ。「女子会」なんて、いつも地獄だったよな?」
「部長!」
俺は地獄の女子会の話を蓮花にした。
蓮花が爆笑していた。
「酔って戻すというのはまだ理解の範疇だけどな。部屋中をウンコ塗れにしたり、店で火事を起こしたり、ヤクザが半殺しになったりなぁ。最大は国道246のテロか」
「あれは、もう!」
「まあ、うちの双子が悪かったけどな。でも大体の元凶は栞だったよな?」
「「そうです!」」
蓮花がまた大笑いした。
「あいつの酒癖っていうか、嫉妬深さがなぁ」
「あの、女子会じゃないですけど、部長が病気になった時!」
「おお! クロピョンに殺されかけた時な!」
俺は蓮花に、クロピョンの試練を詳しく話した。
「まあ、俺もちょっと怖くてよ。栞に話すのを先延ばしにしてたんだよな」
「そうですよ! そのせいで私がとんでもない目に遭ったんですから!」
「指を折られて耳を焼かれて顔を骨折したんだよな?」
「そうです!」
「まだ顔の骨折は治ってねぇんだよな?」
「治ってますよ!」
子どもたちが丁度つまみを運んで来た。
亜紀ちゃんが一緒に「栞襲来」の話に加わる。
「タカさんが凄かったんですよ! 怒り心頭の栞さんを、口先で言いくるめちゃって!」
皇紀も加わる。
「わざと倒れて、「今行くから待ってろ!」って! 騙してるのを知ってても感動しました!」
みんなが笑う。
「まあ、みんな必死だったよな! 俺の家が吹っ飛んでもおかしくなかったしよ」
「そうですよねぇ」
「栞に子どもを生ませたのって、もしかしたらあの嫉妬が怖かったせいかもな!」
「栞さん、怒りますよ?」
「だってよ!」
みんなでまた笑った。
「でも、士王ちゃん、カワイイですよね!」
「おう!」
「わたくしも、明日が楽しみです」
蓮花が言い、一江と大森も同様に言った。
「ロックハートとは一悶着ありましたけどね。結局、なるようになりましたねぇ」
「そうだな。今思えば俺たちもいろいろ頑張ったよなぁ」
「一江の頑張りで部長が死に掛けましたけどね」
「おお、そうだ! こいつとんでもねぇんだよ」
俺は一江がネットで俺の動画を拡散し、宇留間に殺されかけた話をした。
「そう言えばよ、今の「業」との因縁も、お前のせいじゃねぇのか?」
「とんでもないですよ! 部長ご自身の問題でしょう!」
「そうかぁ?」
「勘弁して下さい! もしも私のせいだったら、人類の危機ってことじゃないですかぁ!」
「お前ってとんでもねぇんだよな」
「本当に勘弁して下さい!」
「「武神」とか全部やるからさ。後はお前に任せていい?」
「ぶちょぉー!」
みんなで笑った。
夜遅くまで楽しく飲んだ。
俺は蓮花と一緒にもう一度風呂に入った。
二人でゆっくりと愛し合う。
「石神様」
「なんだ?」
「今日は自分の部屋で休みますので」
「あ?」
「先日は石神様と一緒に眠ってしまい、大変な恥を掻きましたゆえ」
「なんだ、お前気にしてたのか!」
俺が笑うと、蓮花が拗ねた。
「女として、大事なことでございます」
蓮花が気絶し、目覚ましも無い俺の部屋で蓮花が寝坊した。
「お前が気をしっかりと持ってりゃいいんだよ」
「石神様が相手では無理でございます」
「じゃあ、今日はその手前で勘弁してやる」
「石神様! お願いでございます!」
俺は蓮花をもう一度攻め、蓮花はちょっとフラつきながら風呂を出て行った。
俺は持って来た刀の中から「常世渡理」を持って、庭で軽く演武した。
俺はその時、自分が見られているとはまったく気付かなかった。
恐ろしく気配を消すことに手練れた相手であったことに加え、殺気が少しも無かったせいだろう。
俺は30分程もそうして舞い、「常世渡理」を鞘に納めて中へ入った。
ロボがベッドで待っていた。
「明日はまた士王に会えるぞー」
「にゃー」
ロボも嬉しそうだった。
ロボは俺の枕元に丸くなった。
寒がりのネコなので、布団を開けてやると、半身を潜らせた。
一度頭から中へ入り、ぐるっと回って顔と上半身を出す。
カワイイ顔にキスをし、俺は眠った。
耳元で、ロボの小さな寝息がした。
それを聞きながら、ぐっすりと眠った。
蓮花研究所の夜が更けて行った。
最後に目覚めた五人に、俺は天使の名を与えた。
熾天、智天、座天、力天、権天。
話をしても、違和感は無い。
知性はむしろブランたちの中でも最も優秀かもしれない。
大脳の多くを喪い、小脳や間脳まで障害があったのにも拘わらずだ。
ロボも不思議な「再構築」の能力が、一体どのような影響を与えたのか。
もちろん、俺の思いなどは悟らせない。
ブランたちは、子どもたちと楽しく話していた。
やるとは思ったが。
「じゃあ! 再会の「ヒモダンス」! やるよ!」
亜紀ちゃんが号令をかけ、前に集まってやった。
《ヒモ! ヒモ! タンポンポポポン!……》
最初は呆然としていたブランたちも、自分たちのために踊っていることが分かり、手拍子を始め、何人かは前に出て一緒に踊った。
やがて全員がその場で踊る。
子どもたちは一人ずつと握手をし、部屋を出た。
「じゃあ、タカさん! みんなでお風呂に入ってから飲み会ですね!」
「いつも通りだな!」
「はい!」
皇紀は目隠しされ、双子に全身を洗われた。
思わず反応していたが、みんな黙って笑って見ていた。
風呂から上がり、先に飲んでいた一江たちと合流する。
蓮花も一緒だった。
蓮花は俺たちを見て、肴を追加しようとしたが、俺が子どもたちにやらせた。
先にロボのササミを焼かせる。
「御二人から、石神様のことを伺っておりました」
「優し過ぎてコワイって言ってたろ?」
「はい!」
三人が笑った。
「でも、本当に怖いのはこいつらでなぁ。「女子会」なんて、いつも地獄だったよな?」
「部長!」
俺は地獄の女子会の話を蓮花にした。
蓮花が爆笑していた。
「酔って戻すというのはまだ理解の範疇だけどな。部屋中をウンコ塗れにしたり、店で火事を起こしたり、ヤクザが半殺しになったりなぁ。最大は国道246のテロか」
「あれは、もう!」
「まあ、うちの双子が悪かったけどな。でも大体の元凶は栞だったよな?」
「「そうです!」」
蓮花がまた大笑いした。
「あいつの酒癖っていうか、嫉妬深さがなぁ」
「あの、女子会じゃないですけど、部長が病気になった時!」
「おお! クロピョンに殺されかけた時な!」
俺は蓮花に、クロピョンの試練を詳しく話した。
「まあ、俺もちょっと怖くてよ。栞に話すのを先延ばしにしてたんだよな」
「そうですよ! そのせいで私がとんでもない目に遭ったんですから!」
「指を折られて耳を焼かれて顔を骨折したんだよな?」
「そうです!」
「まだ顔の骨折は治ってねぇんだよな?」
「治ってますよ!」
子どもたちが丁度つまみを運んで来た。
亜紀ちゃんが一緒に「栞襲来」の話に加わる。
「タカさんが凄かったんですよ! 怒り心頭の栞さんを、口先で言いくるめちゃって!」
皇紀も加わる。
「わざと倒れて、「今行くから待ってろ!」って! 騙してるのを知ってても感動しました!」
みんなが笑う。
「まあ、みんな必死だったよな! 俺の家が吹っ飛んでもおかしくなかったしよ」
「そうですよねぇ」
「栞に子どもを生ませたのって、もしかしたらあの嫉妬が怖かったせいかもな!」
「栞さん、怒りますよ?」
「だってよ!」
みんなでまた笑った。
「でも、士王ちゃん、カワイイですよね!」
「おう!」
「わたくしも、明日が楽しみです」
蓮花が言い、一江と大森も同様に言った。
「ロックハートとは一悶着ありましたけどね。結局、なるようになりましたねぇ」
「そうだな。今思えば俺たちもいろいろ頑張ったよなぁ」
「一江の頑張りで部長が死に掛けましたけどね」
「おお、そうだ! こいつとんでもねぇんだよ」
俺は一江がネットで俺の動画を拡散し、宇留間に殺されかけた話をした。
「そう言えばよ、今の「業」との因縁も、お前のせいじゃねぇのか?」
「とんでもないですよ! 部長ご自身の問題でしょう!」
「そうかぁ?」
「勘弁して下さい! もしも私のせいだったら、人類の危機ってことじゃないですかぁ!」
「お前ってとんでもねぇんだよな」
「本当に勘弁して下さい!」
「「武神」とか全部やるからさ。後はお前に任せていい?」
「ぶちょぉー!」
みんなで笑った。
夜遅くまで楽しく飲んだ。
俺は蓮花と一緒にもう一度風呂に入った。
二人でゆっくりと愛し合う。
「石神様」
「なんだ?」
「今日は自分の部屋で休みますので」
「あ?」
「先日は石神様と一緒に眠ってしまい、大変な恥を掻きましたゆえ」
「なんだ、お前気にしてたのか!」
俺が笑うと、蓮花が拗ねた。
「女として、大事なことでございます」
蓮花が気絶し、目覚ましも無い俺の部屋で蓮花が寝坊した。
「お前が気をしっかりと持ってりゃいいんだよ」
「石神様が相手では無理でございます」
「じゃあ、今日はその手前で勘弁してやる」
「石神様! お願いでございます!」
俺は蓮花をもう一度攻め、蓮花はちょっとフラつきながら風呂を出て行った。
俺は持って来た刀の中から「常世渡理」を持って、庭で軽く演武した。
俺はその時、自分が見られているとはまったく気付かなかった。
恐ろしく気配を消すことに手練れた相手であったことに加え、殺気が少しも無かったせいだろう。
俺は30分程もそうして舞い、「常世渡理」を鞘に納めて中へ入った。
ロボがベッドで待っていた。
「明日はまた士王に会えるぞー」
「にゃー」
ロボも嬉しそうだった。
ロボは俺の枕元に丸くなった。
寒がりのネコなので、布団を開けてやると、半身を潜らせた。
一度頭から中へ入り、ぐるっと回って顔と上半身を出す。
カワイイ顔にキスをし、俺は眠った。
耳元で、ロボの小さな寝息がした。
それを聞きながら、ぐっすりと眠った。
蓮花研究所の夜が更けて行った。
1
あなたにおすすめの小説
【完結】狡い人
ジュレヌク
恋愛
双子のライラは、言う。
レイラは、狡い。
レイラの功績を盗み、賞を受賞し、母の愛も全て自分のものにしたくせに、事あるごとに、レイラを責める。
双子のライラに狡いと責められ、レイラは、黙る。
口に出して言いたいことは山ほどあるのに、おし黙る。
そこには、人それぞれの『狡さ』があった。
そんな二人の関係が、ある一つの出来事で大きく変わっていく。
恋を知り、大きく羽ばたくレイラと、地に落ちていくライラ。
2人の違いは、一体なんだったのか?
【完結】聖女の手を取り婚約者が消えて二年。私は別の人の妻になっていた。
文月ゆうり
恋愛
レティシアナは姫だ。
父王に一番愛される姫。
ゆえに妬まれることが多く、それを憂いた父王により早くに婚約を結ぶことになった。
優しく、頼れる婚約者はレティシアナの英雄だ。
しかし、彼は居なくなった。
聖女と呼ばれる少女と一緒に、行方を眩ませたのだ。
そして、二年後。
レティシアナは、大国の王の妻となっていた。
※主人公は、戦えるような存在ではありません。戦えて、強い主人公が好きな方には合わない可能性があります。
小説家になろうにも投稿しています。
エールありがとうございます!
【12月末日公開終了】有能女官の赴任先は辺境伯領
たぬきち25番
恋愛
辺境伯領の当主が他界。代わりに領主になったのは元騎士団の隊長ギルベルト(26)
ずっと騎士団に在籍して領のことなど右も左もわからない。
そのため新しい辺境伯様は帳簿も書類も不備ばかり。しかも辺境伯領は王国の端なので修正も大変。
そこで仕事を終わらせるために、腕っぷしに定評のあるギリギリ貴族の男爵出身の女官ライラ(18)が辺境伯領に出向くことになった。
だがそこでライラを待っていたのは、元騎士とは思えないほどつかみどころのない辺境伯様と、前辺境伯夫妻の忘れ形見の3人のこどもたち(14歳男子、9歳男子、6歳女子)だった。
仕事のわからない辺境伯を助けながら、こどもたちの生活を助けたり、魔物を倒したり!?
そしていつしか、ライラと辺境伯やこどもたちとの関係が変わっていく……
※お待たせしました。
※他サイト様にも掲載中
竜帝は番に愛を乞う
浅海 景
恋愛
祖母譲りの容姿で両親から疎まれている男爵令嬢のルー。自分とは対照的に溺愛される妹のメリナは周囲からも可愛がられ、狼族の番として見初められたことからますます我儘に振舞うようになった。そんなメリナの我儘を受け止めつつ使用人のように働き、学校では妹を虐げる意地悪な姉として周囲から虐げられる。無力感と諦めを抱きながら淡々と日々を過ごしていたルーは、ある晩突然現れた男性から番であることを告げられる。しかも彼は獣族のみならず世界の王と呼ばれる竜帝アレクシスだった。誰かに愛されるはずがないと信じ込む男爵令嬢と番と出会い愛を知った竜帝の物語。
芙蓉は後宮で花開く
速見 沙弥
キャラ文芸
下級貴族の親をもつ5人姉弟の長女 蓮花《リェンファ》。
借金返済で苦しむ家計を助けるために後宮へと働きに出る。忙しくも穏やかな暮らしの中、出会ったのは翡翠の色の目をした青年。さらに思いもよらぬ思惑に巻き込まれてゆくーーー
カクヨムでも連載しております。
後宮なりきり夫婦録
石田空
キャラ文芸
「月鈴、ちょっと嫁に来るか?」
「はあ……?」
雲仙国では、皇帝が三代続いて謎の昏睡状態に陥る事態が続いていた。
あまりにも不可解なために、新しい皇帝を立てる訳にもいかない国は、急遽皇帝の「影武者」として跡継ぎ騒動を防ぐために寺院に入れられていた皇子の空燕を呼び戻すことに決める。
空燕の国の声に応える条件は、同じく寺院で方士修行をしていた方士の月鈴を妃として後宮に入れること。
かくしてふたりは片や皇帝の影武者として、片や皇帝の偽りの愛妃として、後宮と言う名の魔窟に潜入捜査をすることとなった。
影武者夫婦は、後宮内で起こる事件の謎を解けるのか。そしてふたりの想いの行方はいったい。
サイトより転載になります。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる