富豪外科医は、モテモテだが結婚しない?

青夜

文字の大きさ
1,341 / 3,202

挿話: ちびトラちゃん

しおりを挟む
 11月下旬の日曜日の朝。
 いつものように双子に起こされた。

 「タカさーん! ごはんですよー!」
 「タカさーん! 大好きですよー!」

 カワイイ。
 俺は目を開き、いつものように双子を抱き締めパンツを降ろしてやろうと思った。
 二人が来ない。
 俺をじっと見ている。

 「誰!!」
 「タカさんは!」

 二人が構えている。

 「おい!」

 俺はそう声を出して異常に気付いた。
 声が高い。
 
 「!」

 俺は自分の身体が変わってしまったことを知った。
 小さい。
 ニャンコ柄パジャマがブカブカだ。
 
 「なんだ!」

 ロボが俺の顔を舐めた。
 最近教えた「チュー」をして来る。
 いつものことだ。

 「え! タカさんなの!」
 「どうしたの!」

 双子が「見た」らしい。
 俺の魂のままだと分かってくれたようだ。

 「分からねぇ。起きたらこうなってた」
 「「!」」

 俺にも何が何だかわからん。

 「「タカさーん!」」

 二人が駆け寄って俺を抱き締めてくれた。
 俺よりもずっと大きい。
 顔に当たるほんのりオッパイが嬉しい。

 「待て! 取り敢えず落ち着こう。まず現実を受け入れないとな」
 「タカさん、身体は大丈夫?」
 「ああ、痛みもだるさもない。命に別状は無さそうだ」
 「攻撃?」
 「分からん。でも、こんなことを出来るくらいなら、殺すことも簡単だっただろう」
 「そっかー」
 「まあ、まずはご飯かな?」
 「そうだな」

 三人で下に降りた。
 ロボも付いて来る。
 先にハーが駆け降り、状況を話す。






 「タカさん!」
 「どうしたんですか!」
 「え! 石神さん?」

 亜紀ちゃんと皇紀、柳が驚く。
 まあ、そりゃそうだろう。

 「おう、まあ突然にな」
 「カワイイー!」

 亜紀ちゃんが俺を抱き締める。
 パンツもブカブカなので、下が脱げてしまった。

 「あ! オチンチンもカワイイ!」
 「おい!」

 柳がまじまじと見ている。
 俺は亜紀ちゃんを引き離し、食事をくれと言った。
 亜紀ちゃんがキッチンで急いで俺の食事を作る。
 
 オムライスだった。
 
 「おい!」
 
 上に旗が付いていた。

 「響子ちゃんが前に使ったものがあったんで」
 「俺は子どもじゃねぇ! それにもっと喰わせろ!」

 小さな茶碗一杯もない。
 お子様ランチのサイズだ。

 「大丈夫ですか?」
 
 取り敢えず食べた。
 目玉焼きとウインナーを食べるとお腹いっぱいになった。

 「あぁー」

 コーヒーは辞めろと言われ、ホットミルク(甘)が出て俺は嘆いた。 


 
 

 食後に身長と体重を計った。
 見た目は小学一年生頃くらいか。
 身長125センチ、体重29キロ。
 俺は大柄だったので、身長は高めだ。
 体重も筋肉質で悪くはない。

 「オチンチン13センチ」

 亜紀ちゃんが勝手に測定していた。
 まあ、悪くはない。
 俺は肩幅、バスト、ウエスト、ヒップ、袖丈、股下などを測定させ、急いで服を買って来いと言った。

 「ブリオーニでありますかね?」
 「あるわけねぇだろう!」

 亜紀ちゃんと柳が伊勢丹へ行った。
 皇紀は急いで家の防衛システムに俺の登録をした。
 俺は「虎王」を持って庭に出た。

 重さはあるが、持てないことはない。
 両手に握り、振ってみた。
 分かる。
 俺には「虎王」が使える。

 これで最悪の事態ではないと悟った。
 子どもたちを守ることが出来る。

 「花岡」も使えそうだ。
 威力は格段に落ちているが。
 双子が一緒に付いて、心配そうに見ていた。

 「タカさん、無理しないでね」
 「オチンチン見えてるしね」

 ズボンとパンツが下がるので、裸でやってた。
 寒いので中へ入った。




 ルーがミルクティ(甘)を淹れてくれた。
 俺はソファで毛布にくるまっている。
 ロボが嬉しそうに毛布に潜り込んで来た。

 「タカさん、落ち込んでる?」
 「いや、そうでもないな。戦えることも分かったしな」
 「ダメだよ! 私たちがいるから!」
 「そうだよ! とにかく今は大人しくして!」
 
 二人に怒られた。

 「まあ、当座はな。でも、いろいろとどうしようかなぁ」
 「他の人には何て言おうか」
 「それはそのまま話すしかねぇな」
 「えーと、一江さんと大森さんたち、六花ちゃん、響子ちゃん、院長先生も?」
 「うーん、しょうがねぇよな」
 「栞さんには?」
 「今は黙っておこう。今は仕事関係だけでな。突然行ったら驚くだろう」
 
 栞は怖い。

 「え! 明日仕事へ行くの!」
 「当たり前だ! いろいろ指示しなきゃいかんしな」
 「うーん、じゃあ一江さんたちは呼んでおこうか」
 「そうだな、頼む」

 ハーが一江に電話した。






 昼前に亜紀ちゃんと柳が戻って来た。
 アルファードに俺の服が目一杯入っている。

 「午後にまた行きますから」
 「おい、そんなにいらないぞ」
 「いえ! ブリオーニとダンヒルにサイズは渡してますから、来週中にはシャツとかスーツも出来ますからね」
 「うーん」
 「イージーオーダーですけどね。それまでは、今日買って来たもので我慢して下さい」
 「分かったよ」

 亜紀ちゃんたちが買って来た洋服をリヴィングに拡げた。
 子ども用のスーツもある。
 俺の好みはどうしようもない。
 今はサイズ優先だ。
 通勤で使えそうなスーツなどの他、それ以外で着る物も多い。
 セーターにジーンズなどもある。
 下着も十分だ。

 「おい!」
 
 女の子用のワンピースやスカートもあった。

 「タカさん、カワイイじゃないですか!」
 「石神さんって、女の子みたいな顔ですよね!」

 「ふざけんなぁ!」

 ウィッグもあった。





 着てみたら、結構可愛かった。
しおりを挟む
感想 61

あなたにおすすめの小説

烏の王と宵の花嫁

水川サキ
キャラ文芸
吸血鬼の末裔として生まれた華族の娘、月夜は家族から虐げられ孤独に生きていた。 唯一の慰めは、年に一度届く〈からす〉からの手紙。 その送り主は太陽の化身と称される上級華族、縁樹だった。 ある日、姉の縁談相手を誤って傷つけた月夜は、父に遊郭へ売られそうになり屋敷を脱出するが、陽の下で倒れてしまう。 死を覚悟した瞬間〈からす〉の正体である縁樹が現れ、互いの思惑から契約結婚を結ぶことになる。 ※初出2024年7月

後宮なりきり夫婦録

石田空
キャラ文芸
「月鈴、ちょっと嫁に来るか?」 「はあ……?」 雲仙国では、皇帝が三代続いて謎の昏睡状態に陥る事態が続いていた。 あまりにも不可解なために、新しい皇帝を立てる訳にもいかない国は、急遽皇帝の「影武者」として跡継ぎ騒動を防ぐために寺院に入れられていた皇子の空燕を呼び戻すことに決める。 空燕の国の声に応える条件は、同じく寺院で方士修行をしていた方士の月鈴を妃として後宮に入れること。 かくしてふたりは片や皇帝の影武者として、片や皇帝の偽りの愛妃として、後宮と言う名の魔窟に潜入捜査をすることとなった。 影武者夫婦は、後宮内で起こる事件の謎を解けるのか。そしてふたりの想いの行方はいったい。 サイトより転載になります。

さようなら、初恋

芙月みひろ
恋愛
彼が選んだのは姉だった *表紙写真はガーリードロップ様からお借りしています

【完結】シュゼットのはなし

ここ
恋愛
子猫(獣人)のシュゼットは王子を守るため、かわりに竜の呪いを受けた。 顔に大きな傷ができてしまう。 当然責任をとって妃のひとりになるはずだったのだが‥。

【12月末日公開終了】有能女官の赴任先は辺境伯領

たぬきち25番
恋愛
辺境伯領の当主が他界。代わりに領主になったのは元騎士団の隊長ギルベルト(26) ずっと騎士団に在籍して領のことなど右も左もわからない。 そのため新しい辺境伯様は帳簿も書類も不備ばかり。しかも辺境伯領は王国の端なので修正も大変。 そこで仕事を終わらせるために、腕っぷしに定評のあるギリギリ貴族の男爵出身の女官ライラ(18)が辺境伯領に出向くことになった。   だがそこでライラを待っていたのは、元騎士とは思えないほどつかみどころのない辺境伯様と、前辺境伯夫妻の忘れ形見の3人のこどもたち(14歳男子、9歳男子、6歳女子)だった。 仕事のわからない辺境伯を助けながら、こどもたちの生活を助けたり、魔物を倒したり!? そしていつしか、ライラと辺境伯やこどもたちとの関係が変わっていく…… ※お待たせしました。 ※他サイト様にも掲載中

課長と私のほのぼの婚

藤谷 郁
恋愛
冬美が結婚したのは十も離れた年上男性。 舘林陽一35歳。 仕事はできるが、ちょっと変わった人と噂される彼は他部署の課長さん。 ひょんなことから交際が始まり、5か月後の秋、気がつけば夫婦になっていた。 ※他サイトにも投稿。 ※一部写真は写真ACさまよりお借りしています。

見捨ててくれてありがとうございます。あとはご勝手に。

有賀冬馬
恋愛
「君のような女は俺の格を下げる」――そう言って、侯爵家嫡男の婚約者は、わたしを社交界で公然と捨てた。 選んだのは、華やかで高慢な伯爵令嬢。 涙に暮れるわたしを慰めてくれたのは、王国最強の騎士団副団長だった。 彼に守られ、真実の愛を知ったとき、地味で陰気だったわたしは、もういなかった。 やがて、彼は新妻の悪行によって失脚。復縁を求めて縋りつく元婚約者に、わたしは冷たく告げる。

竜帝は番に愛を乞う

浅海 景
恋愛
祖母譲りの容姿で両親から疎まれている男爵令嬢のルー。自分とは対照的に溺愛される妹のメリナは周囲からも可愛がられ、狼族の番として見初められたことからますます我儘に振舞うようになった。そんなメリナの我儘を受け止めつつ使用人のように働き、学校では妹を虐げる意地悪な姉として周囲から虐げられる。無力感と諦めを抱きながら淡々と日々を過ごしていたルーは、ある晩突然現れた男性から番であることを告げられる。しかも彼は獣族のみならず世界の王と呼ばれる竜帝アレクシスだった。誰かに愛されるはずがないと信じ込む男爵令嬢と番と出会い愛を知った竜帝の物語。

処理中です...