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早乙女家で正月
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響子と鷹、一江たちを送り、家に戻ったのは正午過ぎだった。
さっき食べたばかりなので、肉蕎麦(肉多目)を作ってみんなで食べた。
「あー、楽しかったですね!」
亜紀ちゃんがコーヒーを持って来て言う。
「お前らは好き勝手にやってたけどな!」
「エヘヘヘヘヘ」
今日は正月の3日。
俺は5日までのんびり過ごそうと思っている。
のんびりするぞー。
電話が来た。
早乙女だった。
「石神! 帰って来てたんだな!」
「新年の挨拶はどうした!」
「ああ、すまん! あけましておめでとうございます」
「それで用件はなんだ!」
「お前も挨拶しろよ!」
した。
「あのさ、海外で年末年始を過ごしたから、うちで正月らしいことをしないかと思って」
「正月らしいこと?」
「ああ、餅つきの用意をしているんだ」
「そうなのか」
「うちは3人だし、怜花も食べられないし、石神たちを誘おうって雪野さんが」
「お前は思ってないんだな」
「そうじゃない! 絶対に来て欲しいよ!」
俺は冗談だと笑った。
「だけどなー、おまえんちって、アレがいるだろ?」
「石神が持って来たんだろう!」
俺は子どもたちに、餅つきに行くかと聞いた。
もちろん全員行きたいと言う。
「分かった、世話になるよ。もち米はどのくらいある?」
「3キロだ」
「全然足りんな。ああ、うちで持って行く」
「ありがとう!」
亜紀ちゃんに御堂家もち米を15キロ用意するように言った。
「助かりましたー! もち米ってなかなか使わないんで」
「だよなー」
聞くと、あと120キロあると言われた。
俺はやっぱり20キロ持って行くと言った。
早速うちで炊き、双子にイカを20杯買って来るように言った。
3時に早乙女の家に行く。
子どもたちがお釜やイカなどの食材とバーベキュー台などを抱えている。
メイド・アンドロイドのスーが門の前で待っていてくれ、俺たちを中へ入れた。
玄関が開くと、もう「柱」がいた。
「あけましておめでとうございます」
俺が挨拶すると、頭(?)を下げて俺の手を取ってエレベーターホールまで案内した。
して欲しくもなかった。
早乙女も降りて来て、あらためて全員で挨拶する。
3階のリヴィングで、コーヒーとケーキをもらった。
子どもたちがお釜をコンセントに入れる。
「かえって手間を掛けてしまったな」
「いいって。お前たちが俺たちのために言ってくれたんだからな」
「そうか」
早乙女は楽しそうだった。
俺たちはアラスカやニューヨークの話を聞かせた。
「アラスカじゃ、一番いいVIP用の酒場を栞が破壊して、こいつらはニューヨークでスパイダーマンごっこをして大変だったんだ」
「あ! ニュースで見ましたよ! あれは石神さんのお子さんたちだったんですね」
「そうなんですよ」
早乙女と雪野さんが大笑いした。
「お前らはどうしてたんだ?」
「普通だよ。特に事件も無かったから、大晦日は二人で蕎麦を食べて紅白を見て。元旦はおせち料理を雪野さんが作ってくれたんで」
「おう、幸せだな!」
「うん」
「俺は大変だったけどな!」
「「アハハハハハ!」」
初詣は行ったのかと聞いた。
「いや、怜花がいるんで人込みはちょっとな」
「そうか。俺たちは明日高尾山に行くんだけど、良かったら一緒に来るか?」
「本当か!」
「ああ。明日はもう大分人も減っているだろう。俺もゆっくりしたいからな」
「頼むよ」
「お願いします」
そういうことになった。
子どもたちも喜んでいる。
一休みしたので、餅つきをすることにした。
3階の広いテラスでやる。
子どもたちがお釜を持って来る。
皇紀がバーベキュー台の準備をする。
最初に早乙女と雪野さんでやる。
初めてらしいが、まあ楽しそうでいい。
量が量だけに、あとはスピードを速めて俺と亜紀ちゃんでやる。
双子と交代しながらやった。
突いた餅は雪野さんが作った雑煮に入るものと、磯辺焼き、それにイカメシ、黄な粉、串団子などにしてどんどん作っていく。
「イカメシか!」
「ああ、好きか?」
「大好物だ!」
雪野さんが言って下さいと小声で早乙女に言っていた。
俺はロボのために鯛と車エビを焼いた。
雪野さんが早乙女を連れて一度中へ入った。
早乙女が寸胴の雑煮の汁を持ち、雪野さんはおはぎにするつもりなのだろう、餡を持って来た。
怜花は温かくしてロボと一緒に囲い付きのシートで見ていた。
俺が時々近づくと喜んで両手を伸ばして来た。
カワイイ。
寒かったが、椅子を外へ出してみんなで雑煮を食べた。
俺も餅を入れて食べた。
突きたての餅は美味い。
俺は餅を平たくして五平餅を作った。
味噌だれは家で作っている。
みんなが集まって来て、片端から食べられた。
「俺の分は残しておけー!」
子どもたちが喰い掛けを寄越した。
「ふざけんなぁ!」
最後の一本は食べられた。
早乙女が雪野さんとイカメシを美味そうに食べていた。
怜花はバーベキュー台の傍に寄せて、雪野さんが雑煮の汁や、小さく千切った餅を少し食べさせていた。
半分ほどなくなって、俺たちは中へ入った。
みんなでワイワイと食べた。
「やっぱり石神たちが来ると楽しいな!」
「そうかよ」
雪野さんもニコニコしている。
まあ、俺も楽しい。
餅がまだある。
俺は雪野さんに断ってチーズや大葉、ネギ、納豆などを貰った。
キッチンでチーズ乗せや大葉とネギとマヨネーズ、納豆焼きなどを作った。
「チーズ! 絶対美味しいよ!」
「大葉とネギは新鮮ですね!」
大体消費した。
残りは早乙女家で食べてもらおう。
子どもたちに片づけをさせ、俺は早乙女と酒を少し熱燗を飲んだ。
「楽しかったよ」
「そうだな」
雪野さんがおせちの残りを持って来る。
「美味いですね!」
「そんな、素人料理ですよ」
「いや、美味いよな、早乙女!」
「うん!」
こいつは雪野さんが作れば何でも美味い。
だから自分の好物なども言う発想が無かったのだろう。
子どもたちの片付けが終わった。
「お陰で正月気分を味わえたよ」
「それは良かった」
俺たちは帰ることにした。
早乙女と雪野さんが見送りに来てくれた。
1階のエレベーターホールで「柱」が手を振って来た。
俺も振り返す。
小テーブルがあり、空の皿が乗っていた。
「なんだ、あれは?」
「ああ、さっき磯辺焼きなんかを「柱さん」にも持って来たんだ」
「無いけど?」
「食べてくれたんだろう?」
「「「「「……」」」」」
「にゃ……」
とっとと帰った。
さっき食べたばかりなので、肉蕎麦(肉多目)を作ってみんなで食べた。
「あー、楽しかったですね!」
亜紀ちゃんがコーヒーを持って来て言う。
「お前らは好き勝手にやってたけどな!」
「エヘヘヘヘヘ」
今日は正月の3日。
俺は5日までのんびり過ごそうと思っている。
のんびりするぞー。
電話が来た。
早乙女だった。
「石神! 帰って来てたんだな!」
「新年の挨拶はどうした!」
「ああ、すまん! あけましておめでとうございます」
「それで用件はなんだ!」
「お前も挨拶しろよ!」
した。
「あのさ、海外で年末年始を過ごしたから、うちで正月らしいことをしないかと思って」
「正月らしいこと?」
「ああ、餅つきの用意をしているんだ」
「そうなのか」
「うちは3人だし、怜花も食べられないし、石神たちを誘おうって雪野さんが」
「お前は思ってないんだな」
「そうじゃない! 絶対に来て欲しいよ!」
俺は冗談だと笑った。
「だけどなー、おまえんちって、アレがいるだろ?」
「石神が持って来たんだろう!」
俺は子どもたちに、餅つきに行くかと聞いた。
もちろん全員行きたいと言う。
「分かった、世話になるよ。もち米はどのくらいある?」
「3キロだ」
「全然足りんな。ああ、うちで持って行く」
「ありがとう!」
亜紀ちゃんに御堂家もち米を15キロ用意するように言った。
「助かりましたー! もち米ってなかなか使わないんで」
「だよなー」
聞くと、あと120キロあると言われた。
俺はやっぱり20キロ持って行くと言った。
早速うちで炊き、双子にイカを20杯買って来るように言った。
3時に早乙女の家に行く。
子どもたちがお釜やイカなどの食材とバーベキュー台などを抱えている。
メイド・アンドロイドのスーが門の前で待っていてくれ、俺たちを中へ入れた。
玄関が開くと、もう「柱」がいた。
「あけましておめでとうございます」
俺が挨拶すると、頭(?)を下げて俺の手を取ってエレベーターホールまで案内した。
して欲しくもなかった。
早乙女も降りて来て、あらためて全員で挨拶する。
3階のリヴィングで、コーヒーとケーキをもらった。
子どもたちがお釜をコンセントに入れる。
「かえって手間を掛けてしまったな」
「いいって。お前たちが俺たちのために言ってくれたんだからな」
「そうか」
早乙女は楽しそうだった。
俺たちはアラスカやニューヨークの話を聞かせた。
「アラスカじゃ、一番いいVIP用の酒場を栞が破壊して、こいつらはニューヨークでスパイダーマンごっこをして大変だったんだ」
「あ! ニュースで見ましたよ! あれは石神さんのお子さんたちだったんですね」
「そうなんですよ」
早乙女と雪野さんが大笑いした。
「お前らはどうしてたんだ?」
「普通だよ。特に事件も無かったから、大晦日は二人で蕎麦を食べて紅白を見て。元旦はおせち料理を雪野さんが作ってくれたんで」
「おう、幸せだな!」
「うん」
「俺は大変だったけどな!」
「「アハハハハハ!」」
初詣は行ったのかと聞いた。
「いや、怜花がいるんで人込みはちょっとな」
「そうか。俺たちは明日高尾山に行くんだけど、良かったら一緒に来るか?」
「本当か!」
「ああ。明日はもう大分人も減っているだろう。俺もゆっくりしたいからな」
「頼むよ」
「お願いします」
そういうことになった。
子どもたちも喜んでいる。
一休みしたので、餅つきをすることにした。
3階の広いテラスでやる。
子どもたちがお釜を持って来る。
皇紀がバーベキュー台の準備をする。
最初に早乙女と雪野さんでやる。
初めてらしいが、まあ楽しそうでいい。
量が量だけに、あとはスピードを速めて俺と亜紀ちゃんでやる。
双子と交代しながらやった。
突いた餅は雪野さんが作った雑煮に入るものと、磯辺焼き、それにイカメシ、黄な粉、串団子などにしてどんどん作っていく。
「イカメシか!」
「ああ、好きか?」
「大好物だ!」
雪野さんが言って下さいと小声で早乙女に言っていた。
俺はロボのために鯛と車エビを焼いた。
雪野さんが早乙女を連れて一度中へ入った。
早乙女が寸胴の雑煮の汁を持ち、雪野さんはおはぎにするつもりなのだろう、餡を持って来た。
怜花は温かくしてロボと一緒に囲い付きのシートで見ていた。
俺が時々近づくと喜んで両手を伸ばして来た。
カワイイ。
寒かったが、椅子を外へ出してみんなで雑煮を食べた。
俺も餅を入れて食べた。
突きたての餅は美味い。
俺は餅を平たくして五平餅を作った。
味噌だれは家で作っている。
みんなが集まって来て、片端から食べられた。
「俺の分は残しておけー!」
子どもたちが喰い掛けを寄越した。
「ふざけんなぁ!」
最後の一本は食べられた。
早乙女が雪野さんとイカメシを美味そうに食べていた。
怜花はバーベキュー台の傍に寄せて、雪野さんが雑煮の汁や、小さく千切った餅を少し食べさせていた。
半分ほどなくなって、俺たちは中へ入った。
みんなでワイワイと食べた。
「やっぱり石神たちが来ると楽しいな!」
「そうかよ」
雪野さんもニコニコしている。
まあ、俺も楽しい。
餅がまだある。
俺は雪野さんに断ってチーズや大葉、ネギ、納豆などを貰った。
キッチンでチーズ乗せや大葉とネギとマヨネーズ、納豆焼きなどを作った。
「チーズ! 絶対美味しいよ!」
「大葉とネギは新鮮ですね!」
大体消費した。
残りは早乙女家で食べてもらおう。
子どもたちに片づけをさせ、俺は早乙女と酒を少し熱燗を飲んだ。
「楽しかったよ」
「そうだな」
雪野さんがおせちの残りを持って来る。
「美味いですね!」
「そんな、素人料理ですよ」
「いや、美味いよな、早乙女!」
「うん!」
こいつは雪野さんが作れば何でも美味い。
だから自分の好物なども言う発想が無かったのだろう。
子どもたちの片付けが終わった。
「お陰で正月気分を味わえたよ」
「それは良かった」
俺たちは帰ることにした。
早乙女と雪野さんが見送りに来てくれた。
1階のエレベーターホールで「柱」が手を振って来た。
俺も振り返す。
小テーブルがあり、空の皿が乗っていた。
「なんだ、あれは?」
「ああ、さっき磯辺焼きなんかを「柱さん」にも持って来たんだ」
「無いけど?」
「食べてくれたんだろう?」
「「「「「……」」」」」
「にゃ……」
とっとと帰った。
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