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響子の初夢
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1月6日。
仕事始めだ。
部下たちや他の病院の人間たちと挨拶で忙しい。
初日はほとんど仕事は無い。
院長室に呼ばれた。
「石神、入ります!」
新年の挨拶をする。
「毎年、時間が過ぎるのが早くなっている気がするよ」
「まあ、あと300年くらいは生きますから大丈夫ですよ」
「お前よ、俺ももう60代だぞ。もう10年もここにはいられない」
「大丈夫ですって。それにその後も仕事はありますしね」
「なんだと?」
俺は笑顔を向けた。
まだ話してはいないが、院長にはアラスカの病院に入って欲しい。
「ところで、一色六花の件ですが」
「ああ、お前の希望通りに出来るだろう。ただ、他のスタッフとの兼ね合いもあるから、抜本的に内規の方針の見直しにもなるけどな」
「お手数をお掛けします」
「まあ、うちの病院での働き方改革だ。女性が多いんだから、女性にとって有意義な体制を作るのは悪くないと思うぞ」
「そうですね」
育児に関してのことだ。
これまでは育児休暇後の復職は約束していたが、育児そのものを働きながら出来る体制を作るということだ。
一般の企業であれば大事にもなる。
専門の育児要員の確保が必要だし、新生児の医療面でも特殊な体制を整える必要がある。
企業医を置いている会社も多いが、育児面でも特化した医療体制が必要になる。
その点で、病院内であればハードルは一気に下がる。
ナースをそのまま流用出来るし、医療体制はそのままプロだ。
病院であれば、看護師の仕事をしながら子どもの世話は他のスタッフに任せられる。
授乳に関しても、その時間を管理するだけでいい。
問題としては、母子の移動に関してだけだろう。
そこはタクシー会社との契約を考えている。
大まかな案は院長と話しているので、人事や各部署の長との調整で実現出来そうだ。
「じゃあ、今度の土日はまた双子がお邪魔しますね」
「ああ! 楽しみにしてるぞ!」
「宜しくお願いします」
俺は笑って院長室を出た。
響子の部屋へ行った。
「タカトラー!」
セグウェイの巡回を終えた響子が抱き着いて来る。
六花が笑って、装備を先に外すように言った。
響子は六花にパッドなどを外されながら、ずっと俺を見ていた。
ニコニコしている。
「御機嫌だな!」
「うん!」
俺も笑う。
響子の中で六花の妊娠がどう感じられるのか心配もあったが、どうやら大丈夫なようだ。
六花に子どもが生まれることを、響子が楽しみにしている。
寝間着になった響子が、六花の腰に抱き着いてお腹に耳を当てた。
「順調です!」
「バカ! まだそういうことをするな!」
「はーい!」
まあ、いずれは公表されることなので、構わないが。
響子はベッドに横になり、ずっと六花を見詰めていた。
優しく笑っていた。
■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■
「士王兄さん、今日は何をしようか?」
吹雪が聞いた。
アラスカ、「虎の穴」基地の幹部用の食堂。
士王12歳、吹雪11歳。
「今日もみんな出撃してるもんなぁー」
「そうだよね」
各地で起きている「業」のバイオノイドやジェヴォーダンの攻撃によって、世界規模で戦闘が起きている。
「虎」の軍は各国の要請で出撃し、多忙な毎日だった。
「早く僕たちも戦場に行ければいいんだけど」
「吹雪はまだ先だろう。俺は再来月にパリに行くけどな」
「そうなの!」
「ああ、お母さんと一緒にパリに住むことになりそうだ。ヨーロッパ戦線を手伝うことになると思うよ」
「凄いね!」
吹雪は顔を赤くして興奮していた。
「六花さんたちは中東で戦うことが多いよな」
「うん、「紅六花」のみんなと一緒に回っているよ。もう何か月も会ってないなぁ」
「そうか、寂しいか?」
「ううん! ここにはみんながいるし、お父さんも時々会いに来てくれるじゃない」
「そうだな」
二人は食事を終え、コーヒーを頼んだ。
「士王兄さんは、ついにお父さんに認められたんだね」
「ああ。お父さんはずっと俺が戦場に出ることを許さなかったけどな。やっと許してもらえた」
「羨ましいなー。僕も許してもらえるかな?」
「お前はちょっと難しいよ」
「どうしてさ?」
「お前は六花さんに溺愛されてるからな。お父さんはともかく、六花さんが絶対に許さないだろう」
「そんなぁ! 僕も戦場に出たいよ!」
「気持ちは分かるけどな。まあ、もっと強くなって認めてもらえよ」
「うん! じゃあ、士王兄さん、今日も一緒に訓練してくれる?」
「ああ、分かったよ」
コーヒーを飲み終え、二人は食堂を出た。
丁度桜花と椿姫が食堂に入ろうとしていた。
「士王様、どちらへ?」
「桜花! 今日も基地の外へ出るよ」
「じゃあ、私と椿姫がご一緒します」
「いいよ! 吹雪と二人で訓練をするだけだから」
「お二人だけでなんて、いけません!
士王は笑って、二人の食事が終わるまで待つと言った。
「亜紀姉が帰っているはずだから、そっちに行ってるよ」
「分かりました」
士王は吹雪と、亜紀のいる「キャッスル・ディアブロ」に向かった。
「キャッスル・ディアブロ」は亜紀専用の建物であり、外壁に近い場所に建てられている城だった。
攻撃を受けた場合に即座に対応出来るようにという意味があった。
但し、亜紀自身は普段は石神と他の兄弟たちと一緒にいることが多く、中央の「ヘッジホッグ」の石神専用スペースに住んでいる。
任務中に滞在する場所だった。
亜紀は今、最も汚染の深刻なロシア方面で作戦行動中だ。
今は一時帰国し、「キャッスル・ディアブロ」に滞在している。
士王と吹雪が城の入り口に立つと、都市を管理しているマザー・コンピューターが識別して門を開いた。
既に二人の訪問は亜紀に伝わっている。
「士王! 吹雪!」
亜紀が笑顔で二人を迎えた。
亜紀は長いローブのようなガウン姿で、風呂上がりと思われた。
30歳になった亜紀は輝くように美しく、その微笑む笑顔に二人が見惚れた。
「どうしたの?」
「うん、亜紀姉が戻ってるって聞いて、顔を出したんだ」
「そうなんだ! 朝食は?」
「さっき済ませた」
「なんだ。私はこれから食べようと思っていたのに」
「どうぞ。僕たちはこれから訓練に出ようと思ってるから、すぐに出るよ」
「なんだよー!」
亜紀が二人を抱き寄せて頭を撫でた。
「ちょっと待ってなよ! 私も一緒に行くよ!」
「え、でも任務中なんじゃ?」
「終わったよ! シベリアの汚染地域を全部片づけて来たから。しばらくは時間があるよ」
「ほんとに!」
「うん! ここには任務の記憶を写しに来ただけ。ここじゃないと、私のサーチは出来ないからね」
「そうなんだ! じゃあ本当に一緒に行ける?」
「もちろん!」
士王と吹雪が喜んだ。
「後から桜花と椿姫が来るんだ。外に出るなら一緒だって」
「じゃあ、久し振りに二人も揉んでやるかなー!」
「亜紀姉は加減してよ! こないだもみんな潰れちゃったじゃないか!」
「ワハハハハハハハ!」
亜紀が食事を作り始めたので、士王と吹雪も手伝った。
ご飯は炊いてある。
厚切りのハムを10枚焼き、目玉焼きを10枚とサラダ(小)を作る。
味噌汁はナスとミョウガだ。
凄まじい勢いで亜紀が食べて行く。
ものの5分で全てが亜紀の胃に入った。
「相変わらずだね」
「そう?」
「もっとゆっくり食べればいいのに」
「あんたたちを待たせたくないのよ」
「「アハハハハハ!」」
いつものことだった。
亜紀がコーヒーを飲んでいると、桜花と椿姫が来た。
二人は門を開かれない。
「じゃあ行こうか!」
「「はい!」」
三人は外へ出た。
アラスカは春になっていたが、まだ多くの雪が残っている。
亜紀が「虎」の軍が開発した高機動装甲車「ファブニール」を運転し、基地の外へ出た。
仕事始めだ。
部下たちや他の病院の人間たちと挨拶で忙しい。
初日はほとんど仕事は無い。
院長室に呼ばれた。
「石神、入ります!」
新年の挨拶をする。
「毎年、時間が過ぎるのが早くなっている気がするよ」
「まあ、あと300年くらいは生きますから大丈夫ですよ」
「お前よ、俺ももう60代だぞ。もう10年もここにはいられない」
「大丈夫ですって。それにその後も仕事はありますしね」
「なんだと?」
俺は笑顔を向けた。
まだ話してはいないが、院長にはアラスカの病院に入って欲しい。
「ところで、一色六花の件ですが」
「ああ、お前の希望通りに出来るだろう。ただ、他のスタッフとの兼ね合いもあるから、抜本的に内規の方針の見直しにもなるけどな」
「お手数をお掛けします」
「まあ、うちの病院での働き方改革だ。女性が多いんだから、女性にとって有意義な体制を作るのは悪くないと思うぞ」
「そうですね」
育児に関してのことだ。
これまでは育児休暇後の復職は約束していたが、育児そのものを働きながら出来る体制を作るということだ。
一般の企業であれば大事にもなる。
専門の育児要員の確保が必要だし、新生児の医療面でも特殊な体制を整える必要がある。
企業医を置いている会社も多いが、育児面でも特化した医療体制が必要になる。
その点で、病院内であればハードルは一気に下がる。
ナースをそのまま流用出来るし、医療体制はそのままプロだ。
病院であれば、看護師の仕事をしながら子どもの世話は他のスタッフに任せられる。
授乳に関しても、その時間を管理するだけでいい。
問題としては、母子の移動に関してだけだろう。
そこはタクシー会社との契約を考えている。
大まかな案は院長と話しているので、人事や各部署の長との調整で実現出来そうだ。
「じゃあ、今度の土日はまた双子がお邪魔しますね」
「ああ! 楽しみにしてるぞ!」
「宜しくお願いします」
俺は笑って院長室を出た。
響子の部屋へ行った。
「タカトラー!」
セグウェイの巡回を終えた響子が抱き着いて来る。
六花が笑って、装備を先に外すように言った。
響子は六花にパッドなどを外されながら、ずっと俺を見ていた。
ニコニコしている。
「御機嫌だな!」
「うん!」
俺も笑う。
響子の中で六花の妊娠がどう感じられるのか心配もあったが、どうやら大丈夫なようだ。
六花に子どもが生まれることを、響子が楽しみにしている。
寝間着になった響子が、六花の腰に抱き着いてお腹に耳を当てた。
「順調です!」
「バカ! まだそういうことをするな!」
「はーい!」
まあ、いずれは公表されることなので、構わないが。
響子はベッドに横になり、ずっと六花を見詰めていた。
優しく笑っていた。
■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■
「士王兄さん、今日は何をしようか?」
吹雪が聞いた。
アラスカ、「虎の穴」基地の幹部用の食堂。
士王12歳、吹雪11歳。
「今日もみんな出撃してるもんなぁー」
「そうだよね」
各地で起きている「業」のバイオノイドやジェヴォーダンの攻撃によって、世界規模で戦闘が起きている。
「虎」の軍は各国の要請で出撃し、多忙な毎日だった。
「早く僕たちも戦場に行ければいいんだけど」
「吹雪はまだ先だろう。俺は再来月にパリに行くけどな」
「そうなの!」
「ああ、お母さんと一緒にパリに住むことになりそうだ。ヨーロッパ戦線を手伝うことになると思うよ」
「凄いね!」
吹雪は顔を赤くして興奮していた。
「六花さんたちは中東で戦うことが多いよな」
「うん、「紅六花」のみんなと一緒に回っているよ。もう何か月も会ってないなぁ」
「そうか、寂しいか?」
「ううん! ここにはみんながいるし、お父さんも時々会いに来てくれるじゃない」
「そうだな」
二人は食事を終え、コーヒーを頼んだ。
「士王兄さんは、ついにお父さんに認められたんだね」
「ああ。お父さんはずっと俺が戦場に出ることを許さなかったけどな。やっと許してもらえた」
「羨ましいなー。僕も許してもらえるかな?」
「お前はちょっと難しいよ」
「どうしてさ?」
「お前は六花さんに溺愛されてるからな。お父さんはともかく、六花さんが絶対に許さないだろう」
「そんなぁ! 僕も戦場に出たいよ!」
「気持ちは分かるけどな。まあ、もっと強くなって認めてもらえよ」
「うん! じゃあ、士王兄さん、今日も一緒に訓練してくれる?」
「ああ、分かったよ」
コーヒーを飲み終え、二人は食堂を出た。
丁度桜花と椿姫が食堂に入ろうとしていた。
「士王様、どちらへ?」
「桜花! 今日も基地の外へ出るよ」
「じゃあ、私と椿姫がご一緒します」
「いいよ! 吹雪と二人で訓練をするだけだから」
「お二人だけでなんて、いけません!
士王は笑って、二人の食事が終わるまで待つと言った。
「亜紀姉が帰っているはずだから、そっちに行ってるよ」
「分かりました」
士王は吹雪と、亜紀のいる「キャッスル・ディアブロ」に向かった。
「キャッスル・ディアブロ」は亜紀専用の建物であり、外壁に近い場所に建てられている城だった。
攻撃を受けた場合に即座に対応出来るようにという意味があった。
但し、亜紀自身は普段は石神と他の兄弟たちと一緒にいることが多く、中央の「ヘッジホッグ」の石神専用スペースに住んでいる。
任務中に滞在する場所だった。
亜紀は今、最も汚染の深刻なロシア方面で作戦行動中だ。
今は一時帰国し、「キャッスル・ディアブロ」に滞在している。
士王と吹雪が城の入り口に立つと、都市を管理しているマザー・コンピューターが識別して門を開いた。
既に二人の訪問は亜紀に伝わっている。
「士王! 吹雪!」
亜紀が笑顔で二人を迎えた。
亜紀は長いローブのようなガウン姿で、風呂上がりと思われた。
30歳になった亜紀は輝くように美しく、その微笑む笑顔に二人が見惚れた。
「どうしたの?」
「うん、亜紀姉が戻ってるって聞いて、顔を出したんだ」
「そうなんだ! 朝食は?」
「さっき済ませた」
「なんだ。私はこれから食べようと思っていたのに」
「どうぞ。僕たちはこれから訓練に出ようと思ってるから、すぐに出るよ」
「なんだよー!」
亜紀が二人を抱き寄せて頭を撫でた。
「ちょっと待ってなよ! 私も一緒に行くよ!」
「え、でも任務中なんじゃ?」
「終わったよ! シベリアの汚染地域を全部片づけて来たから。しばらくは時間があるよ」
「ほんとに!」
「うん! ここには任務の記憶を写しに来ただけ。ここじゃないと、私のサーチは出来ないからね」
「そうなんだ! じゃあ本当に一緒に行ける?」
「もちろん!」
士王と吹雪が喜んだ。
「後から桜花と椿姫が来るんだ。外に出るなら一緒だって」
「じゃあ、久し振りに二人も揉んでやるかなー!」
「亜紀姉は加減してよ! こないだもみんな潰れちゃったじゃないか!」
「ワハハハハハハハ!」
亜紀が食事を作り始めたので、士王と吹雪も手伝った。
ご飯は炊いてある。
厚切りのハムを10枚焼き、目玉焼きを10枚とサラダ(小)を作る。
味噌汁はナスとミョウガだ。
凄まじい勢いで亜紀が食べて行く。
ものの5分で全てが亜紀の胃に入った。
「相変わらずだね」
「そう?」
「もっとゆっくり食べればいいのに」
「あんたたちを待たせたくないのよ」
「「アハハハハハ!」」
いつものことだった。
亜紀がコーヒーを飲んでいると、桜花と椿姫が来た。
二人は門を開かれない。
「じゃあ行こうか!」
「「はい!」」
三人は外へ出た。
アラスカは春になっていたが、まだ多くの雪が残っている。
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