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羽入と紅 Ⅳ
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紅との生活は天国と地獄だった。
紅は俺の世話に一切の手を抜かず、特に料理は絶品だった。
毎回美味かったと礼を言うと、毎回不思議そうな顔をする。
俺が礼を言うのがおかしいのだろうか?
掃除も家全体をくまなく磨き上げ、もちろん俺の部屋も丁寧に掃除してくれる。
ただ、顔は本当に嫌そうだ。
洗濯もしてくれるし、訓練で無理があると必ずマッサージをしてくれ、「Ω軟膏」も塗ってくれる。
買い物も紅がしてくれるし、生活で何不自由が無いばかりか、最高だ。
「おい」
「なんだ?」
「お前の部屋のゴミな」
「ああ」
「生臭いティッシュが多いな」
「!」
「私をオカズにしてないだろうな?」
「しねぇよ!」
「そうか。今後もするなよな?」
「しねぇって!」
デリカシーの欠片もない女だ。
しかし、俺も顔から火を噴くように恥ずかしかった。
その後は、あのティッシュだけは自分で捨てるようにした。
女と関われない生活なので、自分でやるしかねぇ。
風俗に行けばいいのだが、生憎金がねぇ。
そういえば、ここの生活費はどうなっているのだろうか。
気になって夕飯の時に紅に聞いた。
「お前が買って来てくれる食費なんかは、誰が出してくれてるんだ?」
「あ?」
一言で済むはずの返事が、毎回感情を逆なでするような態度が入る。
俺は怒りを抑えてもう一度聞いた。
「だからさ。お前、一日おきに買い物に行くじゃねぇか。あの金はどうなってんだよ?」
「ああ、千万組から金が送られているよ。なんだ、知らなかったのか?」
「聞いてねぇよ! そうか、組が面倒見てくれてたんだ」
「お前は金を使う必要はない。生活に関してはな」
「ん?」
「毎月振り込まれた金は、お前が自由に使えばいい」
「なんだと!」
俺は叫んで立ち上がった。
「どうじたんだ?」
「俺に金が振り込まれてんのかぁ!」
「そうだ。知らなかったのか?」
「聞いてねぇよ!」
これまでは、組のシノギを手伝って給料をもらっていた。
俺は今の今までこれが仕事だとは思っていなかった。
豪華な家、美味い食事、それだけで大層な金が掛かっている。
何か給料的なものが貰えるのは、早乙女さんという人の仕事を手伝ってからだと思っていた。
もう3週間ほど経っていた。
俺は自分のスマホで銀行の口座を確認した。
10万程は入っていたはずだが。
金額を見てびっくりした。
200万円が振り込まれていた。
「おい!」
「なんだ?」
「これから出かけて来る!」
「ああ、そうか」
「いいんだよな?」
「お前の自由だ。明日の訓練に支障が無ければ、自由にしろ」
「おし!」
俺はスーツに着替えて家を飛び出した。
電車の中で、新宿の風俗情報を調べた。
満喫した。
家に戻ると、紅がリヴィングにいた。
テーブルで俺の「カサンドラ」の整備をしていたようだ。
「戻ったか」
「ああ。お前、それは俺のだろう?」
「そうだ。念のために動作確認と整備をしていた」
俺は少し酔っていた。
大金が入ったので、風俗で楽しんだ後で酒を飲んだ。
ガールズバーで、結構高い酒を頼んだ。
その間に、紅は俺の武器を見ていてくれたのか。
「ありがとうな」
「なんだ?」
「いや、俺の武器をメンテしてくれてさ」
また紅がヘンな顔をしていた。
その顔のままで、俺に紅茶を淹れてくれた。
「少し酔っているな」
「ああ、飲んで来たよ」
「楽しんだか?」
「楽しかった」
「そうか」
紅は「カサンドラ」を丁寧に組み上げて俺の前に置いた。
「お前は時々よく分からないことがある」
「なんだよ!」
「何でお前は私などに、いちいち礼を言うのだ?」
「そんなこと! 美味い食事を作ってくれたら有難いだろう! 掃除も洗濯も全部やってくれて、お前には世話になってると思ってるんだよ!」
「当たり前だろう? 私はそう命じられているのだから」
「そうじゃねぇよ! 俺は有難いと思ったから礼を言っているだけだ」
紅が俺を見詰めていた。
「お前は変わっているな」
「お前ほどじゃねぇ!」
「お前は私をアンドロイドだと思っていないのか?」
「あ? そうだよ。ああ、お前がアンドロイドだってことは知ってるよ。でも、俺には全然そんな風に見えねぇ。クソ生意気なことが多いけど、別にそれでもいいよ。お前と一緒に何かやってくんだろ?」
「その通りだ」
「だったら、お前は仲間だ。石神さんのために、一緒にやっていく仲間だろうよ。アンドロイドか人間かなんて関係ない」
「そうか」
紅が幽かに笑ったように見えた。
見間違いだろう。
「風呂が沸いている。入って来い」
「お、おう」
「明日は酒も少し買って来よう。何か飲みたいものはあるか?」
「なに?」
「酒だよ。お前は好きなんだろう?」
「そうだけどよ。じゃあワイルドターキーとか買えるか?」
「大丈夫だ。それが好きな酒か」
「まあ、そうだな。石神さんがお好きな酒らしいよ」
紅が今度ははっきりと笑った。
「そうか。じゃあ、それを買って来よう」
俺は風呂に向かった。
リヴィングで紅が鼻歌を歌っていたので驚いた。
あいつに、あんな感情があるとは思わなかった。
綺麗な歌声だった。
翌日、早乙女さんがうちにやって来た。
既に何度か来てくれているが、今回は本格的な「任務」を話された。
「場所は国立の廃工場なんだ。そこで外道会が「デミウルゴス」を保管しているらしい。組員に混じって何人か妖魔化した奴もいるのが分かっている」
「全員を始末すればいいんですか?」
「いや、妖魔化した連中は殺してもいいが、人間はなるべく生きたまま捕えてくれ。情報が欲しい」
「分かりました」
「紅さんもいいかな?」
「かしこまりました。但し、羽入の安全を優先しますので、人間も殺す可能性もあります」
「分かっている。そのようにして下さい」
「ありがとうございます」
「おい、俺は大丈夫だよ!」
「無理するな。私が守ってやる」
「おい!」
早乙女さんが笑っていた。
「君たちの最初の戦闘だ。俺も一緒に行くよ。見せてもらおう」
「「はい!」」
ようやくの仕事だ。
俺は自分が逸って行くのが分かった。
早く暴れ回りたい。
その日は明日に備えて訓練は無かった。
紅がそう言った。
夕飯はいつも以上に豪勢で、でかいステーキが出た。
言葉が出ない程夢中で食べた。
風呂上がりに、リヴィングに呼ばれた。
酒の用意があった。
「明日は仕事だから一杯だけな」
「お、おう」
ワイルドターキーのロックを紅が作ってくれた。
つまみは鴨のコンフィだった。
何種類かのチーズもある。
「あのさ、お前は飲めないのか?」
「私は飲食はしない。お前が楽しめばいい」
「そうか、残念だな」
「なんだって?」
「お前と一緒に飲めたらなってな。まあ、無理ならしょうがねぇ」
また紅がヘンな顔をしていた。
「私なんかと飲んでもつまらないだろう」
「そんなことはねぇよ。お前は性格は悪いが、とんでもねぇ美人だ」
「なんだって?」
「石神さんと蓮花さんがやったんだろうけどよ。お前はいい女だぜ」
「私はアンドロイドだ」
「ああ、そうだったな」
俺には美人の女にしか見えない。
最初から、今でももちろん。
何かおかしいのか?
俺はゆっくりと酒を飲んだ。
「羽入」
「なんだ?」
「お前、訓練の時に、どうして私の顔を狙わない?」
「あ?」
紅が俺を見詰めていた。
「どうしてだ? 一度も顔面は攻撃しないではないか」
「ああ」
「何か不具合があるのか?」
「そりゃそうだ。お前の綺麗な顔を傷つけたくないからな」
「なんだ?」
「だから言ってるだろう。お前はいい女だって」
「……」
紅が戸惑っていた。
そんな表情は初めてだ。
「お前、もしかして私に惚れているのか?」
「あ、それはねぇ!」
紅が笑って立ち上がった。
「つまみはそれでいいか?」
「十分だよ。これを飲んだら寝る」
「ああ、ゆっくり休め」
「このつまみも美味いな!」
「そうか」
「お前は料理は最高だぜ」
「ウフフ」
紅が部屋から出ようとしたので呼び止めた。
「お前よ!」
「なんだ?」
「笑うとまたいいぜ!」
紅が振り返って俺を睨んだ。
「調子に乗るな」
「あ?」
「今晩はオナニーは控えろ」
「な、なんだよ!」
そのまま紅は出て行った。
俺は一人取り残され、黙って酒を飲んだ。
鴨のコンフィは絶品だった。
紅は俺の世話に一切の手を抜かず、特に料理は絶品だった。
毎回美味かったと礼を言うと、毎回不思議そうな顔をする。
俺が礼を言うのがおかしいのだろうか?
掃除も家全体をくまなく磨き上げ、もちろん俺の部屋も丁寧に掃除してくれる。
ただ、顔は本当に嫌そうだ。
洗濯もしてくれるし、訓練で無理があると必ずマッサージをしてくれ、「Ω軟膏」も塗ってくれる。
買い物も紅がしてくれるし、生活で何不自由が無いばかりか、最高だ。
「おい」
「なんだ?」
「お前の部屋のゴミな」
「ああ」
「生臭いティッシュが多いな」
「!」
「私をオカズにしてないだろうな?」
「しねぇよ!」
「そうか。今後もするなよな?」
「しねぇって!」
デリカシーの欠片もない女だ。
しかし、俺も顔から火を噴くように恥ずかしかった。
その後は、あのティッシュだけは自分で捨てるようにした。
女と関われない生活なので、自分でやるしかねぇ。
風俗に行けばいいのだが、生憎金がねぇ。
そういえば、ここの生活費はどうなっているのだろうか。
気になって夕飯の時に紅に聞いた。
「お前が買って来てくれる食費なんかは、誰が出してくれてるんだ?」
「あ?」
一言で済むはずの返事が、毎回感情を逆なでするような態度が入る。
俺は怒りを抑えてもう一度聞いた。
「だからさ。お前、一日おきに買い物に行くじゃねぇか。あの金はどうなってんだよ?」
「ああ、千万組から金が送られているよ。なんだ、知らなかったのか?」
「聞いてねぇよ! そうか、組が面倒見てくれてたんだ」
「お前は金を使う必要はない。生活に関してはな」
「ん?」
「毎月振り込まれた金は、お前が自由に使えばいい」
「なんだと!」
俺は叫んで立ち上がった。
「どうじたんだ?」
「俺に金が振り込まれてんのかぁ!」
「そうだ。知らなかったのか?」
「聞いてねぇよ!」
これまでは、組のシノギを手伝って給料をもらっていた。
俺は今の今までこれが仕事だとは思っていなかった。
豪華な家、美味い食事、それだけで大層な金が掛かっている。
何か給料的なものが貰えるのは、早乙女さんという人の仕事を手伝ってからだと思っていた。
もう3週間ほど経っていた。
俺は自分のスマホで銀行の口座を確認した。
10万程は入っていたはずだが。
金額を見てびっくりした。
200万円が振り込まれていた。
「おい!」
「なんだ?」
「これから出かけて来る!」
「ああ、そうか」
「いいんだよな?」
「お前の自由だ。明日の訓練に支障が無ければ、自由にしろ」
「おし!」
俺はスーツに着替えて家を飛び出した。
電車の中で、新宿の風俗情報を調べた。
満喫した。
家に戻ると、紅がリヴィングにいた。
テーブルで俺の「カサンドラ」の整備をしていたようだ。
「戻ったか」
「ああ。お前、それは俺のだろう?」
「そうだ。念のために動作確認と整備をしていた」
俺は少し酔っていた。
大金が入ったので、風俗で楽しんだ後で酒を飲んだ。
ガールズバーで、結構高い酒を頼んだ。
その間に、紅は俺の武器を見ていてくれたのか。
「ありがとうな」
「なんだ?」
「いや、俺の武器をメンテしてくれてさ」
また紅がヘンな顔をしていた。
その顔のままで、俺に紅茶を淹れてくれた。
「少し酔っているな」
「ああ、飲んで来たよ」
「楽しんだか?」
「楽しかった」
「そうか」
紅は「カサンドラ」を丁寧に組み上げて俺の前に置いた。
「お前は時々よく分からないことがある」
「なんだよ!」
「何でお前は私などに、いちいち礼を言うのだ?」
「そんなこと! 美味い食事を作ってくれたら有難いだろう! 掃除も洗濯も全部やってくれて、お前には世話になってると思ってるんだよ!」
「当たり前だろう? 私はそう命じられているのだから」
「そうじゃねぇよ! 俺は有難いと思ったから礼を言っているだけだ」
紅が俺を見詰めていた。
「お前は変わっているな」
「お前ほどじゃねぇ!」
「お前は私をアンドロイドだと思っていないのか?」
「あ? そうだよ。ああ、お前がアンドロイドだってことは知ってるよ。でも、俺には全然そんな風に見えねぇ。クソ生意気なことが多いけど、別にそれでもいいよ。お前と一緒に何かやってくんだろ?」
「その通りだ」
「だったら、お前は仲間だ。石神さんのために、一緒にやっていく仲間だろうよ。アンドロイドか人間かなんて関係ない」
「そうか」
紅が幽かに笑ったように見えた。
見間違いだろう。
「風呂が沸いている。入って来い」
「お、おう」
「明日は酒も少し買って来よう。何か飲みたいものはあるか?」
「なに?」
「酒だよ。お前は好きなんだろう?」
「そうだけどよ。じゃあワイルドターキーとか買えるか?」
「大丈夫だ。それが好きな酒か」
「まあ、そうだな。石神さんがお好きな酒らしいよ」
紅が今度ははっきりと笑った。
「そうか。じゃあ、それを買って来よう」
俺は風呂に向かった。
リヴィングで紅が鼻歌を歌っていたので驚いた。
あいつに、あんな感情があるとは思わなかった。
綺麗な歌声だった。
翌日、早乙女さんがうちにやって来た。
既に何度か来てくれているが、今回は本格的な「任務」を話された。
「場所は国立の廃工場なんだ。そこで外道会が「デミウルゴス」を保管しているらしい。組員に混じって何人か妖魔化した奴もいるのが分かっている」
「全員を始末すればいいんですか?」
「いや、妖魔化した連中は殺してもいいが、人間はなるべく生きたまま捕えてくれ。情報が欲しい」
「分かりました」
「紅さんもいいかな?」
「かしこまりました。但し、羽入の安全を優先しますので、人間も殺す可能性もあります」
「分かっている。そのようにして下さい」
「ありがとうございます」
「おい、俺は大丈夫だよ!」
「無理するな。私が守ってやる」
「おい!」
早乙女さんが笑っていた。
「君たちの最初の戦闘だ。俺も一緒に行くよ。見せてもらおう」
「「はい!」」
ようやくの仕事だ。
俺は自分が逸って行くのが分かった。
早く暴れ回りたい。
その日は明日に備えて訓練は無かった。
紅がそう言った。
夕飯はいつも以上に豪勢で、でかいステーキが出た。
言葉が出ない程夢中で食べた。
風呂上がりに、リヴィングに呼ばれた。
酒の用意があった。
「明日は仕事だから一杯だけな」
「お、おう」
ワイルドターキーのロックを紅が作ってくれた。
つまみは鴨のコンフィだった。
何種類かのチーズもある。
「あのさ、お前は飲めないのか?」
「私は飲食はしない。お前が楽しめばいい」
「そうか、残念だな」
「なんだって?」
「お前と一緒に飲めたらなってな。まあ、無理ならしょうがねぇ」
また紅がヘンな顔をしていた。
「私なんかと飲んでもつまらないだろう」
「そんなことはねぇよ。お前は性格は悪いが、とんでもねぇ美人だ」
「なんだって?」
「石神さんと蓮花さんがやったんだろうけどよ。お前はいい女だぜ」
「私はアンドロイドだ」
「ああ、そうだったな」
俺には美人の女にしか見えない。
最初から、今でももちろん。
何かおかしいのか?
俺はゆっくりと酒を飲んだ。
「羽入」
「なんだ?」
「お前、訓練の時に、どうして私の顔を狙わない?」
「あ?」
紅が俺を見詰めていた。
「どうしてだ? 一度も顔面は攻撃しないではないか」
「ああ」
「何か不具合があるのか?」
「そりゃそうだ。お前の綺麗な顔を傷つけたくないからな」
「なんだ?」
「だから言ってるだろう。お前はいい女だって」
「……」
紅が戸惑っていた。
そんな表情は初めてだ。
「お前、もしかして私に惚れているのか?」
「あ、それはねぇ!」
紅が笑って立ち上がった。
「つまみはそれでいいか?」
「十分だよ。これを飲んだら寝る」
「ああ、ゆっくり休め」
「このつまみも美味いな!」
「そうか」
「お前は料理は最高だぜ」
「ウフフ」
紅が部屋から出ようとしたので呼び止めた。
「お前よ!」
「なんだ?」
「笑うとまたいいぜ!」
紅が振り返って俺を睨んだ。
「調子に乗るな」
「あ?」
「今晩はオナニーは控えろ」
「な、なんだよ!」
そのまま紅は出て行った。
俺は一人取り残され、黙って酒を飲んだ。
鴨のコンフィは絶品だった。
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