1,531 / 3,202
「カタ研」親睦合宿
しおりを挟む
少し遡って、5月のゴールデンウィークの最後の2日間。
亜紀ちゃんと双子と柳は、「カタ研」の仲間と俺の別荘へ出掛けた。
もちろん、俺の許可を得てであり、響子を除いた13人のメンバーとロボだった。
上坂さんが父親のクラウンを借り、あとはハマーH2に乗り込む。
一泊なので荷物は少ない。
上クラの上坂さんと坂上、それにジョナサンと平がクラウンに。
他の9人とロボはハマーに乗る。
まあ、楽しんで来て欲しい。
■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■
朝の8時に新宿駅の西口ロータリーに集合した。
柳さんと真夜、ロボ、パレボレは一緒に家を出る。
パレボレは一晩歩いてうちの外で待っていた。
一度忘れた振りをして門を出て走り出すと、慌てて追い掛けて来た。
ロボはロボベッドだ。
助手席に真夜が乗っている。
柳さんは双子と後ろのシート。
陽菜ちゃん、茜ちゃん、壇之浦くんが来たら、その後ろのシートだ。
パレボレは後部のベンチシート。
の下の床にいるように言った。
「ありがとうございます」
礼を言っていた。
最近、少し素直になってきた。
新宿でみんなが揃い、私が先導する。
高速の料金や飲み食いはすべて「部費」だ。
最初はみんなが遠慮していたが、本当に資金があることを知って納得してくれた。
「本格的な活動をしたいんです。そのために必要な資金は用意しました」
部長の柳さんが言い、みんなが喜んだ。
まあ、飲み食いが多いのだが。
でも、少しずつ「業」の強大さ、凶悪さが知らされるにつれ、部員も真面目に考えるようになってくれている。
この合宿では、一層絆を深めたい。
もうみんな友達だが。
途中のサービスエリアで休憩を取った。
いつものように、柳さんと私、ルーとハーで食事を集める。
他のメンバーが私たちを笑って見ている。
カレー4人前、天ぷら蕎麦4人前、ホットドッグ4本、後でソフトクリームを買いに行く。
「昼食は別荘で食べるんだよね?」
上坂さんが笑って聞いて来た。
「「「「はい!」」」」
そう言ってあったはずなのだが。
おかしな人だ。
別荘には昼前に着いた。
全員が、想像以上の大きさと豪華さに驚いていた。
「スゴイね! 本当に石神さんの家の別荘なんだ」
「タカさんのですけどね。毎年夏にはここに来るんです」
「そうなんだ!」
「最近は冬なんかにも。何も無い場所ですけど、ゆっくり出来ますよ」
「いや、驚いたよ」
みんなで荷物を降ろして中へ運び込んだ。
中山さんが待っていてくれ、お土産をお渡しした。
「今回は石神先生はいらっしゃらないんですね」
「はい。中山さんたちに宜しくと言っていました」
「また夏には楽しみにしてますから」
「はい! いつもありがとうございます」
部屋割りを決めた。
私と真夜とロボはタカさんの寝室。
ルーとハーはいつもの自分たちの部屋。
柳さんと上坂さん、陽菜と茜がそれぞれ同室。
坂上さんとジョナサン、平くんと壇之浦くんが同室。
パレボレは外のウッドデッキでダンボールハウス。
「パレボレの部屋は無いのかい?」
「ああ、何か一度ああいうもので寝てみたいって」
「そうなんだ」
「……」
昼食は軽くショートパスタを茹でた。
石神家流に、基本はポロネーゼだがハモンセラーノ、アスパラ、ナスを上に乗せて彩を出す。
柳さんと私、ルーとハーで作った。
お替りは幾らでもある。
ロボには鴨肉とササミを焼いた。
「タカさんがいないと不思議な感じだね」
ハーが言った。
その通りだった。
いつでもここには必ずタカさんがいた。
テーブルのタカさんの席には誰も座っていない。
「陰膳作る?」
「やめて!」
食べ終わったロボがタカさんの席に登って横になった。
タカさんの匂いがするのかもしれない。
昼食の後で、自由時間にした。
私と柳さん、坂上さんとで買い出しに行く。
今晩は当然バーベキューだ。
いつものスーパーに向かった。
「毎年行くんで、店長さんと顔見知りなんですよ」
「そーなの」
「私たちが行くと、店内で『ワルキューレの騎行』が流れるんですよ」
「なにそれ!」
「タカさんの登場音楽なんです」
「アハハハハハ!」
坂上さんに、前にタカさんが鳴るとカッコイイなと話したら、やってくれるようになったことを話した。
スーパーで、「石神家専用」の駐車スペースがあることに、坂上さんが驚いていた。
店長さんが駐車場からの入り口で出迎えてくれた。
「亜紀様、ようこそ。お待ちしておりました」
「今回もお世話になります。今日は父は来ていないんですが」
「はい! いつものようにさせていただきます」
三人でカートを引きながら、食べたい食材を中へ入れて行く。
精肉コーナーで予約した肉を受け取り、レジへ向かった。
すぐに店長さんが来て、私たち専用のレジを開いてくれ、荷物を配達すると言ってくれた。
笑顔でフードコートへ案内され、私たちに注文を聞いて持って来てくれる。
おみやげにまたタイ焼きを頂いてしまった。
「では、ごゆっくりと」
店長さんが去って行き、坂上さんが驚いて言う。
「ねぇ! 一体どうなってるんだよ!」
「アハハハハハ」
私たちがいつも大量に購入することと、タカさんがいろいろなアイデアを出して、それが大成功したことを話した。
「前は隣の新館って無かったんですよ。タカさんのアイデアで売り上げが爆上げして。それで建ったんです」
「すごいな!」
私が幾つかのアイデアを話すと、坂上さんが驚いていた。
「じゃあ、ちょっと新館を覗いて行きましょうか」
みんなで、「子ども広場」に向かった。
大きなテレビが置いてあり、そこでエンドレスでタカさんと六花さんのブレイクダンスが流れている。
「あ! 石神さんじゃないか!」
「一緒に踊っているのは、恋人の六花さんです」
「綺麗な人だなぁ!」
子どもたちがテレビの前でクルクル回ろうとしている。
私と柳さんで中に入って、ブレイクダンスを踊った。
子どもたちが大騒ぎになった。
帰りながら、坂上さんにタカさんと「セイントーラ」の話をした。
感動していた。
「セイントーラって、有名なダンスグループだよね!」
「はい! こないだ東京ドームでの御堂さんのライブにも来てくれたんですよ!」
「ああ! 見た!」
みんなで楽しく話しながら帰った。
別荘に戻ると、パレボレが外でロボのトイレを洗っていた。
ロボがウッドデッキにトイレを探しに出て来た。
パレボレが洗っているのを見ると、我慢できずに、ダンボールハウスで出した。
《ぷりぷり……しゃー》
「……」
「夜までには乾くよ!」
私は日向に持って行ってやった。
「……」
みんなで中へ入り、お茶とケーキを食べた。
みんなで楽しくお喋りしたが、パレボレはずっと黙っていた。
亜紀ちゃんと双子と柳は、「カタ研」の仲間と俺の別荘へ出掛けた。
もちろん、俺の許可を得てであり、響子を除いた13人のメンバーとロボだった。
上坂さんが父親のクラウンを借り、あとはハマーH2に乗り込む。
一泊なので荷物は少ない。
上クラの上坂さんと坂上、それにジョナサンと平がクラウンに。
他の9人とロボはハマーに乗る。
まあ、楽しんで来て欲しい。
■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■
朝の8時に新宿駅の西口ロータリーに集合した。
柳さんと真夜、ロボ、パレボレは一緒に家を出る。
パレボレは一晩歩いてうちの外で待っていた。
一度忘れた振りをして門を出て走り出すと、慌てて追い掛けて来た。
ロボはロボベッドだ。
助手席に真夜が乗っている。
柳さんは双子と後ろのシート。
陽菜ちゃん、茜ちゃん、壇之浦くんが来たら、その後ろのシートだ。
パレボレは後部のベンチシート。
の下の床にいるように言った。
「ありがとうございます」
礼を言っていた。
最近、少し素直になってきた。
新宿でみんなが揃い、私が先導する。
高速の料金や飲み食いはすべて「部費」だ。
最初はみんなが遠慮していたが、本当に資金があることを知って納得してくれた。
「本格的な活動をしたいんです。そのために必要な資金は用意しました」
部長の柳さんが言い、みんなが喜んだ。
まあ、飲み食いが多いのだが。
でも、少しずつ「業」の強大さ、凶悪さが知らされるにつれ、部員も真面目に考えるようになってくれている。
この合宿では、一層絆を深めたい。
もうみんな友達だが。
途中のサービスエリアで休憩を取った。
いつものように、柳さんと私、ルーとハーで食事を集める。
他のメンバーが私たちを笑って見ている。
カレー4人前、天ぷら蕎麦4人前、ホットドッグ4本、後でソフトクリームを買いに行く。
「昼食は別荘で食べるんだよね?」
上坂さんが笑って聞いて来た。
「「「「はい!」」」」
そう言ってあったはずなのだが。
おかしな人だ。
別荘には昼前に着いた。
全員が、想像以上の大きさと豪華さに驚いていた。
「スゴイね! 本当に石神さんの家の別荘なんだ」
「タカさんのですけどね。毎年夏にはここに来るんです」
「そうなんだ!」
「最近は冬なんかにも。何も無い場所ですけど、ゆっくり出来ますよ」
「いや、驚いたよ」
みんなで荷物を降ろして中へ運び込んだ。
中山さんが待っていてくれ、お土産をお渡しした。
「今回は石神先生はいらっしゃらないんですね」
「はい。中山さんたちに宜しくと言っていました」
「また夏には楽しみにしてますから」
「はい! いつもありがとうございます」
部屋割りを決めた。
私と真夜とロボはタカさんの寝室。
ルーとハーはいつもの自分たちの部屋。
柳さんと上坂さん、陽菜と茜がそれぞれ同室。
坂上さんとジョナサン、平くんと壇之浦くんが同室。
パレボレは外のウッドデッキでダンボールハウス。
「パレボレの部屋は無いのかい?」
「ああ、何か一度ああいうもので寝てみたいって」
「そうなんだ」
「……」
昼食は軽くショートパスタを茹でた。
石神家流に、基本はポロネーゼだがハモンセラーノ、アスパラ、ナスを上に乗せて彩を出す。
柳さんと私、ルーとハーで作った。
お替りは幾らでもある。
ロボには鴨肉とササミを焼いた。
「タカさんがいないと不思議な感じだね」
ハーが言った。
その通りだった。
いつでもここには必ずタカさんがいた。
テーブルのタカさんの席には誰も座っていない。
「陰膳作る?」
「やめて!」
食べ終わったロボがタカさんの席に登って横になった。
タカさんの匂いがするのかもしれない。
昼食の後で、自由時間にした。
私と柳さん、坂上さんとで買い出しに行く。
今晩は当然バーベキューだ。
いつものスーパーに向かった。
「毎年行くんで、店長さんと顔見知りなんですよ」
「そーなの」
「私たちが行くと、店内で『ワルキューレの騎行』が流れるんですよ」
「なにそれ!」
「タカさんの登場音楽なんです」
「アハハハハハ!」
坂上さんに、前にタカさんが鳴るとカッコイイなと話したら、やってくれるようになったことを話した。
スーパーで、「石神家専用」の駐車スペースがあることに、坂上さんが驚いていた。
店長さんが駐車場からの入り口で出迎えてくれた。
「亜紀様、ようこそ。お待ちしておりました」
「今回もお世話になります。今日は父は来ていないんですが」
「はい! いつものようにさせていただきます」
三人でカートを引きながら、食べたい食材を中へ入れて行く。
精肉コーナーで予約した肉を受け取り、レジへ向かった。
すぐに店長さんが来て、私たち専用のレジを開いてくれ、荷物を配達すると言ってくれた。
笑顔でフードコートへ案内され、私たちに注文を聞いて持って来てくれる。
おみやげにまたタイ焼きを頂いてしまった。
「では、ごゆっくりと」
店長さんが去って行き、坂上さんが驚いて言う。
「ねぇ! 一体どうなってるんだよ!」
「アハハハハハ」
私たちがいつも大量に購入することと、タカさんがいろいろなアイデアを出して、それが大成功したことを話した。
「前は隣の新館って無かったんですよ。タカさんのアイデアで売り上げが爆上げして。それで建ったんです」
「すごいな!」
私が幾つかのアイデアを話すと、坂上さんが驚いていた。
「じゃあ、ちょっと新館を覗いて行きましょうか」
みんなで、「子ども広場」に向かった。
大きなテレビが置いてあり、そこでエンドレスでタカさんと六花さんのブレイクダンスが流れている。
「あ! 石神さんじゃないか!」
「一緒に踊っているのは、恋人の六花さんです」
「綺麗な人だなぁ!」
子どもたちがテレビの前でクルクル回ろうとしている。
私と柳さんで中に入って、ブレイクダンスを踊った。
子どもたちが大騒ぎになった。
帰りながら、坂上さんにタカさんと「セイントーラ」の話をした。
感動していた。
「セイントーラって、有名なダンスグループだよね!」
「はい! こないだ東京ドームでの御堂さんのライブにも来てくれたんですよ!」
「ああ! 見た!」
みんなで楽しく話しながら帰った。
別荘に戻ると、パレボレが外でロボのトイレを洗っていた。
ロボがウッドデッキにトイレを探しに出て来た。
パレボレが洗っているのを見ると、我慢できずに、ダンボールハウスで出した。
《ぷりぷり……しゃー》
「……」
「夜までには乾くよ!」
私は日向に持って行ってやった。
「……」
みんなで中へ入り、お茶とケーキを食べた。
みんなで楽しくお喋りしたが、パレボレはずっと黙っていた。
1
あなたにおすすめの小説
【完結】狡い人
ジュレヌク
恋愛
双子のライラは、言う。
レイラは、狡い。
レイラの功績を盗み、賞を受賞し、母の愛も全て自分のものにしたくせに、事あるごとに、レイラを責める。
双子のライラに狡いと責められ、レイラは、黙る。
口に出して言いたいことは山ほどあるのに、おし黙る。
そこには、人それぞれの『狡さ』があった。
そんな二人の関係が、ある一つの出来事で大きく変わっていく。
恋を知り、大きく羽ばたくレイラと、地に落ちていくライラ。
2人の違いは、一体なんだったのか?
芙蓉は後宮で花開く
速見 沙弥
キャラ文芸
下級貴族の親をもつ5人姉弟の長女 蓮花《リェンファ》。
借金返済で苦しむ家計を助けるために後宮へと働きに出る。忙しくも穏やかな暮らしの中、出会ったのは翡翠の色の目をした青年。さらに思いもよらぬ思惑に巻き込まれてゆくーーー
カクヨムでも連載しております。
【完結】聖女の手を取り婚約者が消えて二年。私は別の人の妻になっていた。
文月ゆうり
恋愛
レティシアナは姫だ。
父王に一番愛される姫。
ゆえに妬まれることが多く、それを憂いた父王により早くに婚約を結ぶことになった。
優しく、頼れる婚約者はレティシアナの英雄だ。
しかし、彼は居なくなった。
聖女と呼ばれる少女と一緒に、行方を眩ませたのだ。
そして、二年後。
レティシアナは、大国の王の妻となっていた。
※主人公は、戦えるような存在ではありません。戦えて、強い主人公が好きな方には合わない可能性があります。
小説家になろうにも投稿しています。
エールありがとうございます!
後宮なりきり夫婦録
石田空
キャラ文芸
「月鈴、ちょっと嫁に来るか?」
「はあ……?」
雲仙国では、皇帝が三代続いて謎の昏睡状態に陥る事態が続いていた。
あまりにも不可解なために、新しい皇帝を立てる訳にもいかない国は、急遽皇帝の「影武者」として跡継ぎ騒動を防ぐために寺院に入れられていた皇子の空燕を呼び戻すことに決める。
空燕の国の声に応える条件は、同じく寺院で方士修行をしていた方士の月鈴を妃として後宮に入れること。
かくしてふたりは片や皇帝の影武者として、片や皇帝の偽りの愛妃として、後宮と言う名の魔窟に潜入捜査をすることとなった。
影武者夫婦は、後宮内で起こる事件の謎を解けるのか。そしてふたりの想いの行方はいったい。
サイトより転載になります。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる