富豪外科医は、モテモテだが結婚しない?

青夜

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大銀河連合「天下一ぶ Ⅲ

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 ベスト4決定。
 いよいよ残り2試合。

 「もう、優勝ですね!」

 亜紀ちゃんが嬉しそうに言う。

 「まだ早い。今後は大技の応酬になる。喰らえば俺たちだって無事には済まないぞ」
 「皇紀がいますよ?」
 「皇紀も死んじゃうよ!」
 「いいよね?」

 亜紀ちゃんの頭を引っぱたいた。

 「2試合あるんだ! 皇紀が死んだ後はどうすんだよ!」
 「え、僕死ぬの?」
 
 俺は《グランマザー》に聞いた。

 「ルールで闘技場に足が付いていなければならないとか、高い位置からの攻撃はダメとかあるか?」
 「禁止されてはいませんが」
 
 「よし、これからは高機動で攻撃と回避だ。亜紀ちゃんはなるべく早く「最後の涙」をぶちかませ!」
 「はい!」
 「亜紀ちゃんがもたもたしてたら、他の奴が撃ってもいい」
 「え! 待ってて下さいよー!」
 「僕、死ぬんだ……」

 俺は皇紀を抱き寄せた。

 「お前は俺が抱えて飛ぶからな」
 「タカさん!」
 「拠点防衛タイプのお前は高機動は得意じゃねぇからなぁ」
 「ありがとうございます!」

 「サイヤ人は戦闘種族だっ!!!!なめるなよーーっ!!!!」
 「いや、柳。それ一番不味いって」

 


 第4試合。
 魔人ボウ星人。
 両手から大火力の火球を打ち出して来る。
 第3試合では、敵陣を高熱で包み込んで壊滅させていた。
 接近戦でも火球を撃って来るので、恐らく耐熱性能は高い。

 試合開始。

 俺たちは「飛行・鷹閃花」で高速機動で舞い上がった。

 「オォォォォォーーーー! なんということだぁ! 未だかつて、飛行アビリティでこの闘技場で戦った奴はいない!」
 「おい、それって「ア〇セル・ワールド」の……」
 「綺麗な翼だぁ! あれが本当の姿なのかぁ!」
 「いや、翼はねぇし。なんなんだ、こいつら」

 魔人ボウたちも驚いているが、すぐに陣形を組んで俺たちに火球を撃って来た。

 「俺が惹き付ける! 亜紀ちゃん! ぶちかませ!」
 「はい!」

 俺は皇紀を盾にして魔人ボウたちに近づいた。

 「タカさん! アチチチチチ!」

 皇紀の身体が火球を防いでくれる。
 俺は砲撃を誘導しつつ特大の「ブリューナク」をぶっ放した。

 魔人ボウたちが消し炭となって消えた。

 「「「「「……」」」」」

 「おお! 勝ったぞ!」

 地上に降りて、俺は宣言した。

 「タカさん! 私がやるんでしたよね!」
 「熱いよー」

 亜紀ちゃんが怒り、皇紀が泣いていた。

 「おとうさんを……いじめるなーっ!」
 「俺は絶対御堂をいじめねぇ!」

 柳の頭を引っぱたいた。

 俺たちの「飛行」が会場をずっと興奮させていた。
 そんなに特殊な能力なのか。



 
 控室に戻ると、《グランマザー》が俺たちを絶賛した。

 「まさか! 飛行を身に着けていらしたとは! 驚きました!」
 「空を飛べる知的生命体って無いのか?」
 「はい! どうしても軽量化のために脳の発達が出来ず。石神様たちは最初の飛行生命体です!」
 「いや、いつも飛んでるわけじゃねぇんだが」

 「タカさん! 次は絶対私がやるんですよー!」
 「分かったよ!」

 亜紀ちゃんが激オコだ。

 「あの、最後の決勝戦は6名での勝ち抜き戦となります」
 「なんだ、変わるのか?」
 「はい。最初の人間が斃されたら交代です」
 「最後まで残っていた方が勝ちということか」
 「その通りでございます」

 「はい! 私一番!」
 「じゃあ、それでいいよ」

 サル星人の試合を観戦した。
 5メートルの伸長で、全身がワイヤーのような強靭な筋肉のようなもので覆われている。
 相手は二本足で立つトカゲのような連中で、鋭い鉤爪で攻撃するが、全く効かなかった。
 俺はずっとサル星人の動きを見ていた。
 ワイヤーを捩ったような筋肉がそれほど膨れてはいない。
 しかし、サル星人たちの破壊力は絶大だ。
 繰り出す単純なブロウだけで、相手チームの身体が四散していく。
 
 「まだ全然全力じゃねぇな」
 
 動く度に、敵チームが破壊されて行く。
 一切の無駄が無いばかりか、動きがそのまま破壊になっている。

 「「機」を見ているのか」

 言い換えれば未来予測と言ってもいい。
 相手や状況の変化の兆しに反応して動いているのだ。
 見ている側にしてみれば、まるで相手が攻撃に吸い寄せられているように見える。

 「あれが、数百回のこの大会の常勝チームです」
 「おい、さっき俺たちが斃した連中は優勝候補だって言ってなかったか?」
 「ああ言えば観客が興奮するからです」
 「なんだよ、それ」

 《グランマザー》が微笑んだ。

 「今回は石神様たちが参戦なさいました。ようやく彼らの牙城も崩せるかと」
 「へぇー」

 確かに強い。
 聖と同等ではないかと思った。
 相手チームもそれなりに強かったが、まるで弄ばれるようにして全滅した。




 決勝戦前に、ちょっとしたイヴェントがあった。
 俺たちの感覚とは違うが、短いショーがあり、何かのキャラクターのようなものが闘技場を駆けまわる。

 「地球の文化を真似てみました。なかなか良いものですね」
 「なんか違うぞ?」
 「オホホホホ」

 俺たちはそれを眺めながら話していた。

 「先鋒は亜紀ちゃん」
 「はい!」
 「次鋒は俺だ」
 「え、タカさんは最後じゃないの?」
 「あいつらは強い。聖と同等と思っておけ」
 「そんなに!」

 「皇紀は怪我をしているしな」
 「それってタカさんのせいだよね?」
 「かわいそうに!」
 「いや、だからさ」

 「皇紀の仇を討つぞ!」
 「さっき討ったじゃん」
 
 うるさいルーとハーの口を塞いだ。

 「皇紀は大将な! お前の番まで回ったら棄権していいから」
 「いたいよー」



 いよいよ最後の戦いだ。
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