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皇紀の帰宅 Ⅱ
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皇紀の帰還祝いにみんなで「銀河宮殿」へ行った。
俺も飲みたいので、タクシーで出掛ける。
2台に分乗して、俺と皇紀、亜紀ちゃんが一緒に乗る。
「焼肉は久しぶりですよ!」
「そうかよ? 向こうでも肉ばっかだったんじゃねぇのか?」
「まあ、肉も食べましたけど、中華が多かったですね」
「へぇ」
「いつも一緒にいた軍のフローレスさんが中華が大好きで」
「そうなのか」
「まあ、あちこちの中華料理屋でも殺し合いになりましたけどね」
「「ワハハハハハ!」」
俺と亜紀ちゃんが大笑いし、運転手がギョッとしていた。
「銀河宮殿」では大歓迎で迎えられた。
「塩野社長が来られなくて申し訳ないと申しておりました」
「とんでもない! 絶対にやめてくださいね!」
黒猫のシャンと銀猫のアハルが俺たちを席へ案内してくれる。
俺たちが贈ったネコ耳アンドロイドだ。
大人気なのは知っている。
テレビの取材も入り、シャンとアハル目当てに来る客も多い。
「よう、元気そうだな!」
「はい! お客様方にもお店の方々にも、みなさんからよくしていただいてます!」
「そうか!」
席に着くと、すぐに肉が運ばれてくる。
俺たちの好みは分かっているので、そういうスタイルだ。
シャトーブリアンなどは頼んでおけば用意してくれるが、今日はロースとカルビだ。
俺がここでは上品に食えと言っているので、いつもよりもずっと大人しく食べる。
まあ、それでも喧嘩しているが。
久し振りに皇紀がいるので、みんな楽しそうだ。
「皇紀、本当にご苦労だったな」
「いいえ。まあ、最初は戸惑いましたけどね」
「毎日ギャングだのゲリラだの反対勢力の軍人だのを相手にしてたからな」
「え! 悪人狩り!」
亜紀ちゃんが驚く。
「悪人だったかも分からないよ。フローレスさんがタカさんに話は付いてるって、あちこち連れて行って、そのたびに戦闘になるんだから」
「うらやましー!」
「アハハハハ!」
双子が心配そうに皇紀に聞く。
「皇紀ちゃん、戦ったの?」
「大丈夫だったの?」
「うん。タカさんが付けてくれたアンドロイドのルーとハーがほとんどやってたからね」
「あの二人は凄かったよね!」
「ほんと、頼もしかった!」
ルーとハーは戦闘アンドロイドの2体と会っている。
共に戦闘もこなした。
「名前もそうだけどな。性格的にもルーとハーに似た感じにしたからな」
「そうでしたね!」
「え、どんなの?」
「まあ、いつも明るくて皇紀が大好きという感じかな」
「そうなんだ!」
「うれしー!」
皇紀が笑っていた。
まあ、皇紀が少しでも寂しがらないようにだったが。
「まあ、確かにそうだったけどね。でも、過激過ぎですよ、あれは!」
「どうして?」
「だってさ、初日に外に食べに出たんだよ。チンピラに絡まれたら、あっという間に倒しちゃうんだよ。僕がびっくりしてさ、「生きてるの?」って聞いたんだ」
「うん」
「「ご安心下さい」って言うからさ。そうしたら次の瞬間にデザートイーグルで全員の頭を吹っ飛ばしていくんだよ!」
「「「ギャハハハハハ!」」」
「なんで笑うの?」
柳だけがまともだ。
「ずっとそんな感じだよ。最初はギャングの拠点で、その後で軍事施設を襲ってさ。作戦も何も無いんだよ。二人で突っ込んで行って制圧しちゃうんだから」
皇紀が初日からの戦闘の日々を話し、みんなが爆笑した。
柳もなんとか付いてくる。
「まあ、数日後には僕も敵対勢力の拠点破壊だってことは分かったけどね」
「最初は俺に泣きついてたよなぁ」
「そりゃそうですよ! 土地の紹介だって言うのに、毎回戦闘なんですから」
「あの金髪ポンパドールでな」
みんなが笑う。
「土地を見に行っての戦闘はまだ良かったんだよ。問題は街中で食事をしている時に絡まれた時だよ! 店中血まみれになるんだからね!」
「まあ、凄いよな」
「そうですよ! それでフローレスさんなんか、いつも支払いをしないで逃げてくし!」
「でも、そっちは俺の仕掛けじゃないからな」
「本当に落ち着いて昼食をとったのってほとんどなかったですからね」
俺がマニラの「悪魔の金髪頭」が有名になったと話した。
どんどん金髪ポンパドールの男が増えて行ったと話すと、またみんなが爆笑した。
「皇紀が悪い連中を懲らしめるヒーローみたいになったんだよな」
「全然違うんですけどー」
「顕さんにどう説明しようか、大変だったぜ」
「ついに「虎」の軍の話もしましたもんね」
「ああ、まったくそのつもりもなかったんだけどな。人生、何がどうなるか分からんよな!」
みんなが笑った。
「でも、お前は最後の中国強襲は自分がやると言ったよな」
「まあ、最後くらいは。みんなにやらせてばかりでは申し訳ないですから」
「皇紀というのは、そういう男だということだな」
双子がニコニコしていた。
「私たちが折角行ったのにね」
「皇紀ちゃんが自分がやるって言ったよね」
「最も危険な戦闘だったからな。それまではどうにでもなる戦いだった。だから皇紀もルーとハーに任せてもいたんだろう。こいつは他人に辛い思いや危ないことは絶対にさせない男だからな」
「タカさん……」
「「皇紀ちゃん! 大好き!」」
双子が両側から皇紀の頬にキスをした。
焼肉の油でベトベトになった。
でも皇紀は拭きもせずに笑っていた。
「あの、タカさん?」
亜紀ちゃんが聞いた。
「あの、私似のデュールゲリエはいなかったんですか?」
「あ、ああ」
「私も兄弟なのにー!」
「うるせぇな! 2体で十分だったんだよ!」
「用意して下さいよー!」
「亜紀ちゃんはいつも皇紀をいじめてるだろう!」
「そんなことないですよー!」
今日も何度も皇紀が亜紀ちゃんに殴られた。
「じゃあ、今度は亜紀ちゃんタイプを護衛に付けてやる」
「はい!」
亜紀ちゃんがニコニコする。
「お姉ちゃん、もう当分ないけどね」
「それがさ」
俺が言うと皇紀が蒼ざめる。
「こないだ羽入と紅がブラジリアで「業」の軍事施設をぶっ壊したんだよ」
「そ、それが何か……」
「ところがな、周辺のあちこちで、ギャングだのゲリラだのが多くてなぁ」
「……」
「南米にも「虎」の軍の施設を置きたいんだけどよ。またまた大統領の権力がちっちゃくてさ」
「あの、タカさん……」
皇紀が暗くなって行く。
「まあ、ちょっとはゆっくりしろよ。研究だのもあるだろうしな」
「あの、そっちが結構大変なんですけど」
「なんとかしろ!」
「……」
双子が両脇で「私たちも手伝うよ」と言って慰めている。
「じゃあよ、亜紀ちゃんタイプには性行為の機能も付けてやるよ!」
「「えぇ!」」
二人がもう反発した。
「風花の顔にする?」
「ほんとですか!」
亜紀ちゃんに皇紀が殴られた。
「お前は苦労がまだ足りないからな」
「分かりましたー」
そんな話をした。
俺はその後で後悔することになる。
俺も飲みたいので、タクシーで出掛ける。
2台に分乗して、俺と皇紀、亜紀ちゃんが一緒に乗る。
「焼肉は久しぶりですよ!」
「そうかよ? 向こうでも肉ばっかだったんじゃねぇのか?」
「まあ、肉も食べましたけど、中華が多かったですね」
「へぇ」
「いつも一緒にいた軍のフローレスさんが中華が大好きで」
「そうなのか」
「まあ、あちこちの中華料理屋でも殺し合いになりましたけどね」
「「ワハハハハハ!」」
俺と亜紀ちゃんが大笑いし、運転手がギョッとしていた。
「銀河宮殿」では大歓迎で迎えられた。
「塩野社長が来られなくて申し訳ないと申しておりました」
「とんでもない! 絶対にやめてくださいね!」
黒猫のシャンと銀猫のアハルが俺たちを席へ案内してくれる。
俺たちが贈ったネコ耳アンドロイドだ。
大人気なのは知っている。
テレビの取材も入り、シャンとアハル目当てに来る客も多い。
「よう、元気そうだな!」
「はい! お客様方にもお店の方々にも、みなさんからよくしていただいてます!」
「そうか!」
席に着くと、すぐに肉が運ばれてくる。
俺たちの好みは分かっているので、そういうスタイルだ。
シャトーブリアンなどは頼んでおけば用意してくれるが、今日はロースとカルビだ。
俺がここでは上品に食えと言っているので、いつもよりもずっと大人しく食べる。
まあ、それでも喧嘩しているが。
久し振りに皇紀がいるので、みんな楽しそうだ。
「皇紀、本当にご苦労だったな」
「いいえ。まあ、最初は戸惑いましたけどね」
「毎日ギャングだのゲリラだの反対勢力の軍人だのを相手にしてたからな」
「え! 悪人狩り!」
亜紀ちゃんが驚く。
「悪人だったかも分からないよ。フローレスさんがタカさんに話は付いてるって、あちこち連れて行って、そのたびに戦闘になるんだから」
「うらやましー!」
「アハハハハ!」
双子が心配そうに皇紀に聞く。
「皇紀ちゃん、戦ったの?」
「大丈夫だったの?」
「うん。タカさんが付けてくれたアンドロイドのルーとハーがほとんどやってたからね」
「あの二人は凄かったよね!」
「ほんと、頼もしかった!」
ルーとハーは戦闘アンドロイドの2体と会っている。
共に戦闘もこなした。
「名前もそうだけどな。性格的にもルーとハーに似た感じにしたからな」
「そうでしたね!」
「え、どんなの?」
「まあ、いつも明るくて皇紀が大好きという感じかな」
「そうなんだ!」
「うれしー!」
皇紀が笑っていた。
まあ、皇紀が少しでも寂しがらないようにだったが。
「まあ、確かにそうだったけどね。でも、過激過ぎですよ、あれは!」
「どうして?」
「だってさ、初日に外に食べに出たんだよ。チンピラに絡まれたら、あっという間に倒しちゃうんだよ。僕がびっくりしてさ、「生きてるの?」って聞いたんだ」
「うん」
「「ご安心下さい」って言うからさ。そうしたら次の瞬間にデザートイーグルで全員の頭を吹っ飛ばしていくんだよ!」
「「「ギャハハハハハ!」」」
「なんで笑うの?」
柳だけがまともだ。
「ずっとそんな感じだよ。最初はギャングの拠点で、その後で軍事施設を襲ってさ。作戦も何も無いんだよ。二人で突っ込んで行って制圧しちゃうんだから」
皇紀が初日からの戦闘の日々を話し、みんなが爆笑した。
柳もなんとか付いてくる。
「まあ、数日後には僕も敵対勢力の拠点破壊だってことは分かったけどね」
「最初は俺に泣きついてたよなぁ」
「そりゃそうですよ! 土地の紹介だって言うのに、毎回戦闘なんですから」
「あの金髪ポンパドールでな」
みんなが笑う。
「土地を見に行っての戦闘はまだ良かったんだよ。問題は街中で食事をしている時に絡まれた時だよ! 店中血まみれになるんだからね!」
「まあ、凄いよな」
「そうですよ! それでフローレスさんなんか、いつも支払いをしないで逃げてくし!」
「でも、そっちは俺の仕掛けじゃないからな」
「本当に落ち着いて昼食をとったのってほとんどなかったですからね」
俺がマニラの「悪魔の金髪頭」が有名になったと話した。
どんどん金髪ポンパドールの男が増えて行ったと話すと、またみんなが爆笑した。
「皇紀が悪い連中を懲らしめるヒーローみたいになったんだよな」
「全然違うんですけどー」
「顕さんにどう説明しようか、大変だったぜ」
「ついに「虎」の軍の話もしましたもんね」
「ああ、まったくそのつもりもなかったんだけどな。人生、何がどうなるか分からんよな!」
みんなが笑った。
「でも、お前は最後の中国強襲は自分がやると言ったよな」
「まあ、最後くらいは。みんなにやらせてばかりでは申し訳ないですから」
「皇紀というのは、そういう男だということだな」
双子がニコニコしていた。
「私たちが折角行ったのにね」
「皇紀ちゃんが自分がやるって言ったよね」
「最も危険な戦闘だったからな。それまではどうにでもなる戦いだった。だから皇紀もルーとハーに任せてもいたんだろう。こいつは他人に辛い思いや危ないことは絶対にさせない男だからな」
「タカさん……」
「「皇紀ちゃん! 大好き!」」
双子が両側から皇紀の頬にキスをした。
焼肉の油でベトベトになった。
でも皇紀は拭きもせずに笑っていた。
「あの、タカさん?」
亜紀ちゃんが聞いた。
「あの、私似のデュールゲリエはいなかったんですか?」
「あ、ああ」
「私も兄弟なのにー!」
「うるせぇな! 2体で十分だったんだよ!」
「用意して下さいよー!」
「亜紀ちゃんはいつも皇紀をいじめてるだろう!」
「そんなことないですよー!」
今日も何度も皇紀が亜紀ちゃんに殴られた。
「じゃあ、今度は亜紀ちゃんタイプを護衛に付けてやる」
「はい!」
亜紀ちゃんがニコニコする。
「お姉ちゃん、もう当分ないけどね」
「それがさ」
俺が言うと皇紀が蒼ざめる。
「こないだ羽入と紅がブラジリアで「業」の軍事施設をぶっ壊したんだよ」
「そ、それが何か……」
「ところがな、周辺のあちこちで、ギャングだのゲリラだのが多くてなぁ」
「……」
「南米にも「虎」の軍の施設を置きたいんだけどよ。またまた大統領の権力がちっちゃくてさ」
「あの、タカさん……」
皇紀が暗くなって行く。
「まあ、ちょっとはゆっくりしろよ。研究だのもあるだろうしな」
「あの、そっちが結構大変なんですけど」
「なんとかしろ!」
「……」
双子が両脇で「私たちも手伝うよ」と言って慰めている。
「じゃあよ、亜紀ちゃんタイプには性行為の機能も付けてやるよ!」
「「えぇ!」」
二人がもう反発した。
「風花の顔にする?」
「ほんとですか!」
亜紀ちゃんに皇紀が殴られた。
「お前は苦労がまだ足りないからな」
「分かりましたー」
そんな話をした。
俺はその後で後悔することになる。
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