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千石と少女 Ⅳ
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その日は、サーシャたちの家で食事をご馳走になった。
ロシア料理を振る舞ってくれた。
「千石さん、私たちには夢があるんです」
「へぇ、どんな夢なのかな?」
「いつか、故郷に戻って、父たちのお墓を建ててあげたい」
「!」
シベリアからの移送の二人の話は聞いていた。
突然故郷の村を襲われ、サーシャの父親がトラックで軍隊に突っ込んだ。
その隙でみんな逃げたのだと。
だが、ほとんどの村人たちは捕まるか殺されてしまったらしい。
必死に逃げる中で、サーシャたちはそれ見ていた。
「あそこで殺された父たちがどうなったのかは分かりません。でも、もしも遺体が残っていたら、是非葬ってあげたい」
「そうだね」
サーシャもヴァシリーサさんも目に涙を湛えていた。
もちろんそうだろう。
自分たちは何とか助かり、ちゃんと生活も出来ている。
しかし、その自分たちを逃がすために父親は自らを犠牲にした。
放って置けるわけはない。
もちろん、自分たちで何とか出来ることでもない。
だから「夢」なのだ。
サーシャ達は、その夢をずっと抱いている。
俺にも何とか出来ることでは無かったので、話を聞くだけしか出来なかった。
でも、俺も叶えてやりたい「夢」になった。
サーシャが語りながら、押さえていた涙を一粒零した。
笑って、申し訳ないと言った。
東雲さんと飲む機会があり、サーシャたちの「夢」の話をした。
「千石さん。それは気持ちはよく分かりますけどね」
「ええ、分かってます。ロシアは今や敵の本拠地になっている。おいそれと行けるわけがない」
「そうです。まあ」
千石さんが酒を煽った。
「あー! 俺も聞いちゃったからなぁ!」
「東雲さん!」
「石神の旦那に聞いてみますよ!」
「え!」
「そりゃそうだ! 自分の親が命懸けで助けてくれた! だったら墓に葬ってやりたいなんて、当たり前ですよね!」
「はい!」
「じゃあ、決まりだぁ! 電話しますね!」
「今ですか?」
東雲さんが笑った。
「石神の旦那はね、グズグズしてるのが大嫌いなんですよ」
「そうでしょうね」
「そういうお人です!」
「はい!」
東雲さんが電話した。
今アラスカは夜の8時。
日本は昼過ぎのはずだ。
東雲さんがスマホをオープンにする。
「石神さん!」
「東雲かぁ! 今平五郎のカレーを喰おうとしてたんだぞ!」
「すいません!」
東雲さんがサーシャたちのことを話した。
石神さんはずっと黙って聞いていた。
「千石もそこにいるのか?」
「はい! 自分もいます!」
「お前らなぁ、無茶な話をしてる自覚はあるか?」
「はい、もちろんです」
「ロシアのどこに「業」の手が伸びているのか分からない。それなりの準備をして行っても、幾らでも危険な状況は考えられる」
「はい!」
もちろん分かっている。
「ロシア軍なら、どうにでもなる。問題はライカンスロープと妖魔だ」
「はい」
「どんな規模で投入して来るのか予想も出来ない。行った全員が全滅する可能性もある」
「はい、分かってます」
「お前、それでもやるって言うのか」
「はい」
「どうしてだ?」
俺にも明確な合理的理由はもちろん無かった。
作戦としては、絶対に実施してはならないことだ。
戦略的に無意味なことであり、しかも個人的な事情しかないことだからだ。
でも、俺にはやり遂げたい理由があった。
「サーシャの」
「何?」
「あの子の一粒の涙のために」
「……」
俺はそれだけしか伝えられなかった。
それが全てだったからだ。
「分かった。5時間後に行く。お前らは起きて待っていろ」
「「はい!」」
信じられなかった。
俺はただ理由を正直に言っただけで、とても石神さんを動かせるとは思っていなかった。
しかし、東雲さんが笑っていた。
「ね、石神の旦那は最高でしょう?」
「そうですね!」
もう酒は飲まず、石神さんを待つことにした。
東雲さんの家で待機していると、ターナー少将から連絡が来た。
東雲さんが対応する。
「タイガーが来る。お前ら、とんでもないことをしてくれたな!」
「申し訳ありません!」
「私は断固反対だ。理由はもちろん分かるな?」
「もちろんです!」
「でも、タイガーはやるんだろう。まったく困ったものだ」
「はい!」
ヘッジホッグのミーティングルームに呼ばれた。
東雲さんと部屋に入ると、ターナー少将と作戦立案の将校たち、「タイガーファング」の開発責任者と運用責任者、民政局長と部下、それとセイントが来ていた。
石神さんの指示で、これだけのメンバーが即座に集結していた。
そして既に作戦が話し合われていた。
俺たちもその中に入る。
作戦の概要は、超高高度からのロシアへの侵入だった。
「タイガーファング」の特別機があり、成層圏から突入できる機体らしい。
「S(スペース)タイプは現在6機建造されています。敵のレーダーに探知されることなく、目標地点に到達出来ます」
「前回のシベリア移送作戦では、村を襲撃された人間は4か所です。他の人間は様々な地域から極秘裏に運ばれて来ました」
「現場での遺体の回収にどれだけ掛かるか」
「分かりません。襲撃からどのようになっているのかは不明です」
「調査も難しいな」
「はい。現在ロシアに潜入しているエージェントは、大変貴重です」
「セイント、あなたはどう思うか?」
「俺はトラが行けと言えば、どこだって行くぜ。そして必ず成功させてやる」
全員がセイントを見ていた。
そして歓声を挙げた。
「その通りだ! 俺たちは必ずやるぞ!」
ターナー少将が叫んだ。
本当に不思議な連中だ。
何の利益もない作戦のはずが、とんでもなく大事なものを秘めているかのように感じている。
それは石神さんという人物の心のことなのだろうと思った。
石神さんが来た。
セイント以外の全員が起立し、敬礼する。
「みんな集まってるな。聖、悪かったな」
「平気だよ。何でも言ってくれ」
「おし!」
石神さんがターナー少将から話し合った作戦の内容を聞いた。
「分かった。基本的にその流れでいいだろう。それと、こちらから慰霊碑を運ぶ」
石神さんは作戦の実行時間が足りないことを想定し、最初に慰霊碑を建てていくことを話した。
「遺体の回収はどこまで出来るのか分からない。それに放置されていたとして、もう白骨化しているだろう。もしかしたら、それすらないかもしれない。現地での作戦行動は30分を限度とする。遺体が残っていないと判断したら、慰霊碑だけを置いて来てくれ」
『はい!』
「妖魔との遭遇もあり得る。Sタイプには最新鋭の霊素観測レーダーを積み込め」
『はい!』
「俺、亜紀ちゃん、双子、そして聖。この四組がそれぞれの地域へ同行する。それにデュールゲリエ20体と、作業の出来るソルジャー20名、それから……」
石神さんが次々と指示を出し、全員が作戦の詳細を頭に叩き込んだ。
「現地には元の住民を1名同行させる」
「タイガー! それは危険では?」
「慰霊碑をどこに置くとか、また遺体の収容にも助言がもらえるだろう。必ず守れ」
「分かった」
「石神さん! 是非俺をサーシャと一緒に行かせて欲しい!」
石神さんが俺を見た。
「千石、お前は自分の役割を分かっているのか?」
「はい!」
「お前を万一喪えば、「虎」の軍には相当の損害になる」
「分かっています!」
石神さんが微笑んだ。
「まあな。うちの連中はそういうのだからよ。俺も諦めてるよ」
「はい!」
みんなが笑った。
「まったくなぁ。戦争を真面目にしてんのに、お前ら本当に勝つ気があるんだろうなぁ?」
『はい!』
またみんなが笑った。
「千石! お前は5日間、日本の盛岡へ行け!」
「はい!」
「石神家本家に「虎地獄」を頼む。お前なら5日で十分だろう。必ずモノにして来い!」
「はい、必ず!」
それがどういうことかは分からなかったが、セイントが大笑いしていた。
あの常に冷静沈着で無表情なセイントの笑顔が見れた。
「じゃあ、作戦は1週間後だ。頼むぞ!」
『はい!』
物凄い速さで全ては決まった。
俺はあらためて「虎」の軍の素晴らしさを実感した。
ソルジャーや作業員の選抜、慰霊碑の建造、同行する元住民の選抜、その他不測の事態に備えたバックアップの作戦準備などが即座に進められた。
俺はすぐに日本の盛岡へ行った。
石神家本家というものを思い知ることになった。
ロシア料理を振る舞ってくれた。
「千石さん、私たちには夢があるんです」
「へぇ、どんな夢なのかな?」
「いつか、故郷に戻って、父たちのお墓を建ててあげたい」
「!」
シベリアからの移送の二人の話は聞いていた。
突然故郷の村を襲われ、サーシャの父親がトラックで軍隊に突っ込んだ。
その隙でみんな逃げたのだと。
だが、ほとんどの村人たちは捕まるか殺されてしまったらしい。
必死に逃げる中で、サーシャたちはそれ見ていた。
「あそこで殺された父たちがどうなったのかは分かりません。でも、もしも遺体が残っていたら、是非葬ってあげたい」
「そうだね」
サーシャもヴァシリーサさんも目に涙を湛えていた。
もちろんそうだろう。
自分たちは何とか助かり、ちゃんと生活も出来ている。
しかし、その自分たちを逃がすために父親は自らを犠牲にした。
放って置けるわけはない。
もちろん、自分たちで何とか出来ることでもない。
だから「夢」なのだ。
サーシャ達は、その夢をずっと抱いている。
俺にも何とか出来ることでは無かったので、話を聞くだけしか出来なかった。
でも、俺も叶えてやりたい「夢」になった。
サーシャが語りながら、押さえていた涙を一粒零した。
笑って、申し訳ないと言った。
東雲さんと飲む機会があり、サーシャたちの「夢」の話をした。
「千石さん。それは気持ちはよく分かりますけどね」
「ええ、分かってます。ロシアは今や敵の本拠地になっている。おいそれと行けるわけがない」
「そうです。まあ」
千石さんが酒を煽った。
「あー! 俺も聞いちゃったからなぁ!」
「東雲さん!」
「石神の旦那に聞いてみますよ!」
「え!」
「そりゃそうだ! 自分の親が命懸けで助けてくれた! だったら墓に葬ってやりたいなんて、当たり前ですよね!」
「はい!」
「じゃあ、決まりだぁ! 電話しますね!」
「今ですか?」
東雲さんが笑った。
「石神の旦那はね、グズグズしてるのが大嫌いなんですよ」
「そうでしょうね」
「そういうお人です!」
「はい!」
東雲さんが電話した。
今アラスカは夜の8時。
日本は昼過ぎのはずだ。
東雲さんがスマホをオープンにする。
「石神さん!」
「東雲かぁ! 今平五郎のカレーを喰おうとしてたんだぞ!」
「すいません!」
東雲さんがサーシャたちのことを話した。
石神さんはずっと黙って聞いていた。
「千石もそこにいるのか?」
「はい! 自分もいます!」
「お前らなぁ、無茶な話をしてる自覚はあるか?」
「はい、もちろんです」
「ロシアのどこに「業」の手が伸びているのか分からない。それなりの準備をして行っても、幾らでも危険な状況は考えられる」
「はい!」
もちろん分かっている。
「ロシア軍なら、どうにでもなる。問題はライカンスロープと妖魔だ」
「はい」
「どんな規模で投入して来るのか予想も出来ない。行った全員が全滅する可能性もある」
「はい、分かってます」
「お前、それでもやるって言うのか」
「はい」
「どうしてだ?」
俺にも明確な合理的理由はもちろん無かった。
作戦としては、絶対に実施してはならないことだ。
戦略的に無意味なことであり、しかも個人的な事情しかないことだからだ。
でも、俺にはやり遂げたい理由があった。
「サーシャの」
「何?」
「あの子の一粒の涙のために」
「……」
俺はそれだけしか伝えられなかった。
それが全てだったからだ。
「分かった。5時間後に行く。お前らは起きて待っていろ」
「「はい!」」
信じられなかった。
俺はただ理由を正直に言っただけで、とても石神さんを動かせるとは思っていなかった。
しかし、東雲さんが笑っていた。
「ね、石神の旦那は最高でしょう?」
「そうですね!」
もう酒は飲まず、石神さんを待つことにした。
東雲さんの家で待機していると、ターナー少将から連絡が来た。
東雲さんが対応する。
「タイガーが来る。お前ら、とんでもないことをしてくれたな!」
「申し訳ありません!」
「私は断固反対だ。理由はもちろん分かるな?」
「もちろんです!」
「でも、タイガーはやるんだろう。まったく困ったものだ」
「はい!」
ヘッジホッグのミーティングルームに呼ばれた。
東雲さんと部屋に入ると、ターナー少将と作戦立案の将校たち、「タイガーファング」の開発責任者と運用責任者、民政局長と部下、それとセイントが来ていた。
石神さんの指示で、これだけのメンバーが即座に集結していた。
そして既に作戦が話し合われていた。
俺たちもその中に入る。
作戦の概要は、超高高度からのロシアへの侵入だった。
「タイガーファング」の特別機があり、成層圏から突入できる機体らしい。
「S(スペース)タイプは現在6機建造されています。敵のレーダーに探知されることなく、目標地点に到達出来ます」
「前回のシベリア移送作戦では、村を襲撃された人間は4か所です。他の人間は様々な地域から極秘裏に運ばれて来ました」
「現場での遺体の回収にどれだけ掛かるか」
「分かりません。襲撃からどのようになっているのかは不明です」
「調査も難しいな」
「はい。現在ロシアに潜入しているエージェントは、大変貴重です」
「セイント、あなたはどう思うか?」
「俺はトラが行けと言えば、どこだって行くぜ。そして必ず成功させてやる」
全員がセイントを見ていた。
そして歓声を挙げた。
「その通りだ! 俺たちは必ずやるぞ!」
ターナー少将が叫んだ。
本当に不思議な連中だ。
何の利益もない作戦のはずが、とんでもなく大事なものを秘めているかのように感じている。
それは石神さんという人物の心のことなのだろうと思った。
石神さんが来た。
セイント以外の全員が起立し、敬礼する。
「みんな集まってるな。聖、悪かったな」
「平気だよ。何でも言ってくれ」
「おし!」
石神さんがターナー少将から話し合った作戦の内容を聞いた。
「分かった。基本的にその流れでいいだろう。それと、こちらから慰霊碑を運ぶ」
石神さんは作戦の実行時間が足りないことを想定し、最初に慰霊碑を建てていくことを話した。
「遺体の回収はどこまで出来るのか分からない。それに放置されていたとして、もう白骨化しているだろう。もしかしたら、それすらないかもしれない。現地での作戦行動は30分を限度とする。遺体が残っていないと判断したら、慰霊碑だけを置いて来てくれ」
『はい!』
「妖魔との遭遇もあり得る。Sタイプには最新鋭の霊素観測レーダーを積み込め」
『はい!』
「俺、亜紀ちゃん、双子、そして聖。この四組がそれぞれの地域へ同行する。それにデュールゲリエ20体と、作業の出来るソルジャー20名、それから……」
石神さんが次々と指示を出し、全員が作戦の詳細を頭に叩き込んだ。
「現地には元の住民を1名同行させる」
「タイガー! それは危険では?」
「慰霊碑をどこに置くとか、また遺体の収容にも助言がもらえるだろう。必ず守れ」
「分かった」
「石神さん! 是非俺をサーシャと一緒に行かせて欲しい!」
石神さんが俺を見た。
「千石、お前は自分の役割を分かっているのか?」
「はい!」
「お前を万一喪えば、「虎」の軍には相当の損害になる」
「分かっています!」
石神さんが微笑んだ。
「まあな。うちの連中はそういうのだからよ。俺も諦めてるよ」
「はい!」
みんなが笑った。
「まったくなぁ。戦争を真面目にしてんのに、お前ら本当に勝つ気があるんだろうなぁ?」
『はい!』
またみんなが笑った。
「千石! お前は5日間、日本の盛岡へ行け!」
「はい!」
「石神家本家に「虎地獄」を頼む。お前なら5日で十分だろう。必ずモノにして来い!」
「はい、必ず!」
それがどういうことかは分からなかったが、セイントが大笑いしていた。
あの常に冷静沈着で無表情なセイントの笑顔が見れた。
「じゃあ、作戦は1週間後だ。頼むぞ!」
『はい!』
物凄い速さで全ては決まった。
俺はあらためて「虎」の軍の素晴らしさを実感した。
ソルジャーや作業員の選抜、慰霊碑の建造、同行する元住民の選抜、その他不測の事態に備えたバックアップの作戦準備などが即座に進められた。
俺はすぐに日本の盛岡へ行った。
石神家本家というものを思い知ることになった。
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