富豪外科医は、モテモテだが結婚しない?

青夜

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真夏の別荘 愛する者たちと Ⅲ 誕生日2

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 話し終えると、双子が泣きながら俺に抱き着いて来た。

 「なんだよ!」
 「「タカさーん!」」
 「おい、だからなんなんだ!」
 
 交代で俺の唇に濃厚なディープキスをして来やがる。

 「おい!」
 「「タカさん、大好きぃー!」」
 「てめぇら、いい加減に!」
 
 またディープキスされた。
 唐揚げの味がしやがる。
 響子があまりのことに口を開けて見ている。

 「タカさん! 私たちを引き取ってくれて、私たちの誕生日を祝ってくれたよね!」
 「タカさんがどんなに辛かったか知らなかったの! ごめんなさい!」
 
 俺にもようやく分かった。

 「ああ、あの時か」
 「あ! 私が無理矢理!」

 栞も思い出したようだ。
 栞の提案でやった、双子の誕生日パーティだった。
 亜紀ちゃんや皇紀も一緒に誕生日として祝った。

 「ごめんなさい、あなた。あの時、私が無理矢理やらせたんだよね?」
 「おい、そんなことを言うなよ。楽しくやったじゃないか」
 「でも、あなたは辛かったんだよね?」
 「そんなことはねぇよ」

 誕生日の祝いのことは、俺の勝手なワガママだ。
 子どもたちを引き取って、バースデーは祝わないなんて、栞に言われるまで自分では気づけなかった。
 山中家では毎年やっていたのだろうに。
 俺に遠慮して、子どもたちも口にすることは無かったのだ。
 しかも、あれ以来、まともに誕生日なんて祝ってもいない。
 俺がこんなだから、子どもたちでひっそりと何かやってはいたようだが。
 
 「俺の方こそ悪かったよ。お前たちには関係の無いことなんだよな」
 「そんなことないよ!」
 「私たちはタカさんの家族だよ!」
 「そうですよ! タカさんが辛いことなんかしたくありません!」
 「僕もですよ! 今日、お話を聞けて良かったです!」

 響子が俺の胸に顔を埋めて泣いた。

 「タカトラ! 私には毎年誕生日を祝ってくれてたよね!」
 「当たり前だろう。お前は俺のヨメなんだからな」
 「タカトラぁー!」
 「おいおい、本当に泣くなよ。響子の誕生日を祝いたいからやってたんだって」
 「でもぉー!」

 困った。
 余計な話をしてしまった。
 俺は、貧しくて愛する女にろくなことが出来なかった。
 あの日、やっと美味い物を食べさせることが出来て嬉しかったのだ。
 今、子どもたちがはしゃぎながら食べていることが嬉しかったのだ。
 そういう話をするつもりが、余計なことまで話してしまった。

 「俺は、お前たちがガンガン喰ってくれることが嬉しいんだよ。だからこれからもどんどん食べてくれな。俺は本当にそれが嬉しいんだ」
 「保奈美さんに謝りたいです!」
 「亜紀ちゃん!」
 「だって! タカさんが本当に美味しい物を食べさせて誕生日を祝いたいのは保奈美さんじゃないですかぁ!」
 「ばか! お前たちもみんなも同じだ!」
 「でも!」

 双子が両側から抱き着き、響子が前から抱き着いている。
 亜紀ちゃんは背中から抱き着いた。
 柳はまた迷っている。

 「おい、本当に勘弁してくれ。今日は口が滑っただけだ。誕生日は申し訳ないが、どうにもな。他のことでは遠慮なく言ってくれよ」
 「タカさぁーん!」

 また俺の周囲で泣き始める。

 「俺は本当にダメな親父だな。お前たちの入学式や卒業式もそうだった。皇紀には本当に済まないと思っている。もう、お前にはそういう行事はねぇからな」
 「タカさん! 全然構いませんよ!」
 「柳が気付いてくれなければ、亜紀ちゃんの晴れの入学式にも顔を出さないところだった。柳、ありがとうな」
 「そんな、石神さん!」

 やっと柳が機会を捉えて、亜紀ちゃんの脇から俺に抱き着いて来た。
 別に来なくてもいいんだが。
 見ると早乙女がまた大泣きしている。
 こいつはまったく。

 「タカさん! もう誕生日は忘れて下さい! 保奈美さんと再会してからです!」
 「いや、そうもなぁ」
 「みんな、いいよね!」
 「「「「はい!」」」」

 「いや、士王や吹雪や天狼とか関係ねぇからなぁ」
 「あなた、いいんですよ。それに全然やってくれてないし」
 「ワハハハハハハ!」

 無理矢理笑った。

 「吹雪も大丈夫ですよ」
 「いや、去年も今年もやったじゃん」
 「ハウゥ!」

 まあ、毎日近くにいるからな。
 大したことはしてないが。

 「天狼も今年は行ったしな。もういい加減、俺のワガママも終わりだ。保奈美とは再会したいが、それはまた別な話だよな」
 「私たちはいいですよ!」

 亜紀ちゃんが言う。

 「まあ、そう言うな。特別なパーティはともかく、何かをするようにしよう。もちろん、柳もな。俺もみんなの誕生日を忘れているわけじゃないんだ」
 「「「「タカさーん!」」」」
 「石神さーん!」

 俺も決心した。
 祝い事はなるべくするようにしよう。
 おかしな雰囲気になったが、何とか空気を戻した。

 「そういえば、茜ちゃん、大分強くなったよ!」
 「そうらしいな」

 茜は双子が時々教えている。
 働きながらで、昼夜もよく引っ繰り返る奴なのでなかなか時間は取れないが。
 でも、自分でもトレーニングを懸命にしているので、なかなか仕上がって来たらしい。

 「茜ちゃんはそろそろ本格的に訓練をしたいって」
 「そうか」

 茜は戦場に保奈美を探しに行きたいと言っている。
 俺は迷っていたが、あいつの心は止められるはずもない。
 だからちゃんと仕上げてからにするつもりではいる。

 「本格的に「虎」の軍へ編入すれば給料も出せるからな。本人がそのつもりなら考えてみよう」
 「うん!」
 「茜ちゃんね、才能は無いけど本当に一生懸命なの」
 「すごい頑張るんだよ」
 「ああ、そうだろうな」

 それはよく分かる。
 保奈美のことを誰よりも敬愛している女なのだ。
 頑張ること以外に無いのであれば、あいつは必ず誰よりも頑張る。
 才能だの体格だのは一切関係ない。
 届くまで、どうにかなるまで頑張る奴だ。
 だから信頼出来る奴なのだ。

 そろそろアラスカへ送るか。

 響子が俺を見てニコニコしていた。
 そういえば、響子も茜のことが大好きだ。

 その響子の笑顔を見ていると、俺には何か明るい未来が拡がったような気持がした。
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