富豪外科医は、モテモテだが結婚しない?

青夜

文字の大きさ
2,500 / 3,202

カメカメ ぷぅー Ⅲ

しおりを挟む
 「カメカメ(お腹空いたなー)」

 さっき食べたけど、ちょっとしか食べれなかった。
 下を見ると、人間が大勢いる。
 人間は食べちゃダメ。
 そういうことも、なんか刷り込まれてる気がする。

 「カメカメ!(あ、果物あるじゃん!)」

 お店の先で沢山の果物があった。

 「カメカメ!(スイカだぁー!)」

 スイカは大好き。
 すぐに降りてスイカに口吻を挿し込んだ。
 ちゅーちゅー。

 「ギャァァァァァーーーー!」
 「なんかスゴイのがいるぅー!」

 物凄い叫び声が響いた。
 人間が驚いてる。
 あまりに大声だったので、びっくりしてもらしちゃった。


 ぷぅー


 突然人間がバタバタを倒れて行く。
 あ、くっせぇー。
 すぐに飛び立った。





 ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■





 「新宿の東口で大量の昏倒者! あいつです!」
 「またか!」
 「青果店でスイカを!」
 
 知っている。
 アルタ脇に、夏場に果物をジュースにしたりしている店が東口駅前にある。
 
 「大部近いぞ!」

 カメムシ型は近い。
 俺たちももう西口の大ガードを潜ったところだ。
 デュールゲリエが5体、上空で探している。

 「デュールゲリエがレーダーで捉えた! 中央公園だ!」

 全員で急行した。
 新宿署の警官に連絡し、中央公園の人間を避難させるように早乙女さんが依頼した。
 たが、東口の青果店周辺での昏倒事件で、多分新宿署も大混乱だ。
 愛鈴さんがカマロをドリフトさせて左折した。

 「磯良、行くよ!」
 「分かった!」

 現場に着くと、まだ公園内の人間を避難させる警官は到着していなかった。
 デュールゲリエがカメムシ型が逃げないように周囲を警戒している。
 ハンターが全員車両から降りる。
 みんな防疫服を装着していた。
 新宿署の警官が数人やっと来た。





 ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■





 「カメカメ!(なんだこいつら!)」

 銀色の身体の人間がボクを追って来た。

 「カメカメ(こわいよー)」

 怖かったのでもれた。


 ぷぅー


 「カメカメ(あれ、寝ないぞ?)」

 銀色がそのままボクに迫って来る。
 下に木が生えてる場所があったので、そこに逃げた。

 「カメカメ(こわいよー)」

 あ、なんかぶつかった。
 続いてどんどんぶつかってくる。
 銀色が離れた場所から何かのエネルギーを飛ばしているのが分かった。
 全然痛くないけど怖かったのでもれた。


 ぷぅーぷぅーぷぅー


 「カメカメ(なんだ?)」

 銀色が近付いて来て、ボクを蹴った。
 身体が吹っ飛んで木にぶつかった。

 「カメカメ(なにすんだよー)」

 痛くないんだけど、怖いのでもれた。


 ぷぅーぷぅーぷぅーぷぅー


 逃げようとしたけど、結構速い奴だった。
 なんだよぉー。
 あんまりにも怖かったので、特別な奴をもらした。


 ぶっふぉ


 あ、銀色が倒れたぞ!





 ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■





 「亜紀ちゃん! あそこだよ!」

 ハーが叫び、「アドヴェロス」のハンターたちが中央公園にいるのが分かった。
 一般の警官隊が中に入ろうとして倒れた。
 公園の中にも何人も倒れている。
 もう「Ωカメムシ」のガスが蔓延してるんだ。
 防疫服を着込んだハンターたちらしい5人が中に入って倒れた人間を救出して行く。

 「うわぁ! この辺、とんでもない臭いになってるよ!」

 手元の臭気計を握ったルーが叫ぶ。

 「どうする! もう「アドヴェロス」が捕まえちゃう!」
 「「Ωカメムシ」はどこ!」
 「多分あっち!」

 防疫服を着てない柳さんは離れてもらった。
 私とルーとハーが必死に探す。

 「亜紀ちゃん! この臭いはまずい! 犠牲者がどんどん出るよ!」
 「ハー! アレだよ!」
 「アレって何!」
 「ウンコだよ! この公園全体をウンコにして!」
 「なるほど!」
 「ウンコになれば、「Ωカメムシ」の臭いも取れるね!」
 「そういうこと!」

 ハーが「ウンコ100分身」を発動した。
 ウンちゃんの特殊能力で、中央公園をどんどんウンコ化していく。
 私と亜紀ちゃんで倒れている人たちを「アドヴェロス」の所へ運んだ。
 念のため仮面をかぶっているけど、早乙女さんには分かったと思う。

 「御協力、感謝します!」
 「あとは私たちでやりますから!」
 「でも、ハンターも連れて来ているので」
 「いいえ、あの悪臭は危険です! デュールゲリエも倒れてますよ?」
 「えぇ!」

 なんでか私にも分かんない。
 亜紀ちゃんがデュールゲリエを担いで来た。

 「うわ! なんだこの臭いはぁ!」
 「ね、危険ですから」
 「分かりました!」

 「早乙女さん、なんか公園がおかしいぞ!」
 
 早霧さんが早乙女さんに言った。

 「なんだ、あれ!」

 ハーの能力がこっちまで来た。

 「あ、臭いが変わった!」
 「ほんとだ! 臭いけどさっきよりマシだ!」
 「こりゃ、ウンコの臭いか?」

 遠巻きにしていた警官隊から声が聞こえる。
 やったね!

 ハーが上空へ飛んだ。
 ちゃんとケースを抱えているので、捕獲したんだ!

 「敵は回収しました!」
 「そうですか!」
 「では、我々はこれで!」
 「え、あの、この公園は?」
 「後処理はお願いしますね」
 「え?」
 「では!」

 亜紀ちゃんと一緒に飛んだ。
 もう知らないもん。

 「ちょ、ちょっとぉ!」

 下で早乙女さんが叫んでいるのが聞こえた。
 もう知らないもん。
 ほんと、ゴメンナサイ。





 ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■





 家に帰ってからが大変だった。
 防疫服の臭いがまずきつくて、全員脱いだ。
 焼却しようと思ったけど、臭いが散りそうで結局ウンコにした。
 柳さんが絶叫してた。

 ケースも相当臭うけど、これはハーが一生懸命に洗った。
 便利屋さんからもらった特殊な洗剤を使った。
 事故物件の洗浄剤ということだった。
 防護服を脱いでも身体に臭いが付いてたので、庭で裸になってみんなで一生懸命に洗った。
 柳さんは「虎温泉」を準備してくれる。
 ウンコは全部ゴミ袋に入れて、佐藤家に持ってく。
 佐藤家で待機しているデュールゲリエに渡した。

 「これ、なんですか?」
 「ウンコ」
 「……」

 受け取ってくれた。
 早乙女さんから連絡が来た。

 「ルーちゃん! カメムシ型ってどうなったの!」

 ちょっと怒ってるよー。

 「はい、こちらで処分しましたー」
 「え!」
 「あれは保管できないんでー」
 「そうか。それはいいんだけど、中央公園、大変だよ!」
 「あはははははは」
 「いや、笑いごとじゃなくてね!」
 「だって、ああするしか被害を止められなかったじゃないですか」
 「そんなこと言っても! 全部ウンチになってるじゃないか!」
 「しょーがないですよー」
 「ルーちゃん!」
 
 電話を切った。
 まあ、また復興の資金は提供しよう。
 しかし、あの公園って、ぶっ壊れるの何度目だぁー?





 「虎温泉」に入ってると、タカさんからも電話が来た。

 「よう、大変だったようだな?」
 「うん、でも私たちで片付けたから」
 「そうか。早乙女が大分怒ってたぞ」
 「もう、しょうがないよ。物凄い悪臭のライカンスロープだったんだ」
 「あのブガッティのショウルームの奴だろ?」
 「そうそう。「アドヴェロス」でちゃんと保管してなくって」
 「しょうがねぇなぁ」

 よかった、タカさんには何もバレてない。

 「でもよ、臭いだけのライカンスロープなんて、よく作ったよなぁ」
 「うん、それでも強烈だよ? 気絶しちゃうほどなんだからさ」
 「そうかぁ。ああ、また中央公園がえらいことになったって?」
 「ハーがウンちゃんの能力でね。あの臭いは他に取りようがないからね」
 「よく思いついたな!」
 「ワハハハハハハハ!」
 
 わーい、タカさんに褒められたぁー!

 「早乙女たちは、結局ウンちゃんを運んでくるようだ」
 「なるほど!」

 ウンちゃんの能力で、ウンコを真水に変えるのかぁー。

 「今、防疫服を着た警官が、目隠しで周囲をブルーシートで覆っていくとこだって」
 「大変だね」
 「まあな。でもあそこもよ、何度も爆破されて、今回は全ウンコかぁ」
 「アハハハハハハハ!」

 ほんとだよねぇ。

 「まあ、お前らのお陰で助かった。よくやったぞ」
 「うん!」
 「じゃあ、引き続き留守を頼むな!」
 「はい!」

 タカさんは上機嫌だった。





 
 でもさー。
 なんか、助かったけど、ものすごーく不味いことになった気がするよ?
 これ、バレたら相当大変な事案なんじゃ……
しおりを挟む
感想 61

あなたにおすすめの小説

【完結】聖女の手を取り婚約者が消えて二年。私は別の人の妻になっていた。

文月ゆうり
恋愛
レティシアナは姫だ。 父王に一番愛される姫。 ゆえに妬まれることが多く、それを憂いた父王により早くに婚約を結ぶことになった。 優しく、頼れる婚約者はレティシアナの英雄だ。 しかし、彼は居なくなった。 聖女と呼ばれる少女と一緒に、行方を眩ませたのだ。 そして、二年後。 レティシアナは、大国の王の妻となっていた。 ※主人公は、戦えるような存在ではありません。戦えて、強い主人公が好きな方には合わない可能性があります。 小説家になろうにも投稿しています。 エールありがとうございます!

【完結】狡い人

ジュレヌク
恋愛
双子のライラは、言う。 レイラは、狡い。 レイラの功績を盗み、賞を受賞し、母の愛も全て自分のものにしたくせに、事あるごとに、レイラを責める。 双子のライラに狡いと責められ、レイラは、黙る。 口に出して言いたいことは山ほどあるのに、おし黙る。 そこには、人それぞれの『狡さ』があった。 そんな二人の関係が、ある一つの出来事で大きく変わっていく。 恋を知り、大きく羽ばたくレイラと、地に落ちていくライラ。 2人の違いは、一体なんだったのか?

【12月末日公開終了】有能女官の赴任先は辺境伯領

たぬきち25番
恋愛
辺境伯領の当主が他界。代わりに領主になったのは元騎士団の隊長ギルベルト(26) ずっと騎士団に在籍して領のことなど右も左もわからない。 そのため新しい辺境伯様は帳簿も書類も不備ばかり。しかも辺境伯領は王国の端なので修正も大変。 そこで仕事を終わらせるために、腕っぷしに定評のあるギリギリ貴族の男爵出身の女官ライラ(18)が辺境伯領に出向くことになった。   だがそこでライラを待っていたのは、元騎士とは思えないほどつかみどころのない辺境伯様と、前辺境伯夫妻の忘れ形見の3人のこどもたち(14歳男子、9歳男子、6歳女子)だった。 仕事のわからない辺境伯を助けながら、こどもたちの生活を助けたり、魔物を倒したり!? そしていつしか、ライラと辺境伯やこどもたちとの関係が変わっていく…… ※お待たせしました。 ※他サイト様にも掲載中

竜帝は番に愛を乞う

浅海 景
恋愛
祖母譲りの容姿で両親から疎まれている男爵令嬢のルー。自分とは対照的に溺愛される妹のメリナは周囲からも可愛がられ、狼族の番として見初められたことからますます我儘に振舞うようになった。そんなメリナの我儘を受け止めつつ使用人のように働き、学校では妹を虐げる意地悪な姉として周囲から虐げられる。無力感と諦めを抱きながら淡々と日々を過ごしていたルーは、ある晩突然現れた男性から番であることを告げられる。しかも彼は獣族のみならず世界の王と呼ばれる竜帝アレクシスだった。誰かに愛されるはずがないと信じ込む男爵令嬢と番と出会い愛を知った竜帝の物語。

【完結】シュゼットのはなし

ここ
恋愛
子猫(獣人)のシュゼットは王子を守るため、かわりに竜の呪いを受けた。 顔に大きな傷ができてしまう。 当然責任をとって妃のひとりになるはずだったのだが‥。

笑わない妻を娶りました

mios
恋愛
伯爵家嫡男であるスタン・タイロンは、伯爵家を継ぐ際に妻を娶ることにした。 同じ伯爵位で、友人であるオリバー・クレンズの従姉妹で笑わないことから氷の女神とも呼ばれているミスティア・ドゥーラ嬢。 彼女は美しく、スタンは一目惚れをし、トントン拍子に婚約・結婚することになったのだが。

同窓会に行ったら、知らない人がとなりに座っていました

菱沼あゆ
キャラ文芸
「同窓会っていうか、クラス会なのに、知らない人が隣にいる……」  クラス会に参加しためぐるは、隣に座ったイケメンにまったく覚えがなく、動揺していた。  だが、みんなは彼と楽しそうに話している。  いや、この人、誰なんですか――っ!?  スランプ中の天才棋士VS元天才パティシエール。 「へえー、同窓会で再会したのがはじまりなの?」 「いや、そこで、初めて出会ったんですよ」 「同窓会なのに……?」

芙蓉は後宮で花開く

速見 沙弥
キャラ文芸
下級貴族の親をもつ5人姉弟の長女 蓮花《リェンファ》。 借金返済で苦しむ家計を助けるために後宮へと働きに出る。忙しくも穏やかな暮らしの中、出会ったのは翡翠の色の目をした青年。さらに思いもよらぬ思惑に巻き込まれてゆくーーー カクヨムでも連載しております。

処理中です...