富豪外科医は、モテモテだが結婚しない?

青夜

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皇紀&風花 結婚式 Ⅳ

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 アラスカまでの輸送も大変だっただろう。
 ターナー大将の下で、来賓の輸送チームが立ち上げられた。
 「虎」の軍の最大規模となる行事に、世界中のVIPが集まるのだ。
 万一のことがあれば、「虎」の軍の信用に関わる。
 アラスカのソルジャーたちが「タイガーファング」総出でそれぞれ迎えに行ったそうだ。
 もちろん十分な護衛を引き連れて。
 タカさんが誘ったのはほんの一部で、ほとんどの国家主席などは向こうからの希望で招待された。
 各国で最高機密扱いで情報が守られたわけだけど、実際にはタマさんが大活躍だったそうだ。
 機密を扱う人間たちにタマさんが精神操作し、絶対に漏洩しないようにした。
 そのお陰で、これほどの世界史上にも類例のない、各国の国家主席が一堂に会する計画が「業」の側には少しも漏れなかった。
 もう、Gなんとかのレベルじゃない。
 「タイガーファング」の数や戦闘機「ニーズヘッグ」の数などを悟られないように、何度もに分けてアラスカと各国を行き来した。
 全員が超VIPの方々だったんだけど、大勢なのでタカさんも全員は出迎えなかった。
 代わりにターナー大将や外交事務次官のウィルソンさんたちが出ていた。
 僕と風花さんも、何組かは出迎えに出た。

 最も驚いたのは、「ローテスラント」のレジーナ様とその眷属だ。
 これにはタカさんも僕たちも出迎えに出た。
 一際大きな輸送用の「タイガーファング」が降りて来て、後部ハッチが開いた。
 レジーナ様たちが一角獣(本物だよー!)たちに曳かれた黒塗りの巨大な馬車に乗って登場し(それ乗って来たのー!)、物凄い豪華な衣装を着て降りてきた。
 眷属の人たち80名が、レジーナ様が降りる時には地面に片膝を付いて敬意を示していた。
 すごいなー。

 「タカトラ」
 「ルイーサ、よく来てくれた」
 「お前の息子の結婚式だ。当然のこと」
 「ありがとう」

 タカさんがレジーナ様の手を引いて、控室に案内した。
 あの「トラ大聖堂」を見て、レジーナ様も御満足の顔だった。
 よかったね、タカさん。
 だけど、吸血鬼って、教会的なものって大丈夫なんだろうか?
 まあ、十字架とかはほとんど無いんだけど。

 レジーナ様の御一行は披露宴会場(なの?)の「トラ・スタジアム・ドーム」への入場もローマ教皇も掠れるほどの存在感で、会場の視線を集めた。

 来賓の席は決まっていて、タカさん的に上下関係が決められ、レジーナ様たちは最上の席が用意された。
 レジーナ様たちのようなVIPの人たちには会場にガラス張りの閲覧部屋が設えられ、レジーナ様は一応ご満悦の様子だった。
 タカさんがホッとしていた。

 その後のショーがまた大掛かりだった。
 セリーヌ・ディオンやテイラー・スウィフト、ブルーノ・マーズやリアーナなど超有名歌手たちの歌唱ショー。
 セイントーラのパフォーマンスや韓国グループなどのキレキレダンス。
 エリーナ・ガランチャやディアナ・ダムラウなどの超一流オペラ歌手の方々の歌唱。
 橘弥生さんのピアノコンサート、ベルリンフィルの演奏。
 橘弥生さんは、ニコラ・アンゲリッシュとの連弾も披露し、会場を驚愕させた。
 タカさんのアイデアだったらしいけど、世界的に一度限りのことだろう。
 その後で、橘さんとタカさんの連弾もあり、これには僕たちも驚いた。
 タカさんが少しピアノを弾けるのは知っていたけど、相当練習したんだろうなー。
 橘さんがタカさんに抱き着いて喜んでいて、タカさんもホッとしていたのが印象的だった。
 あれ、きっとまたやらされるんだろうなぁ。
 いずれも、一度の会場で聴けるものではない。
 これだけでも、会場の観客たちは大満足だった。

 そしてタカさんこと《TORA》の派手なコンサート。
 今回、タカさんこと「虎」の軍の最高司令官が世界的(だよ!)ギタリスト《TORA》であることも公表され、会場が大いに沸いた。
 最初に僕と風花さんをステージに呼んで、僕たちの曲『皇紀&風花 永遠の愛』を演奏してくれた。
 今日のために、タカさんが創ってくれた曲だった。
 そして士王、吹雪、天狼、奈々をステージに座らせて、それぞれの曲を演奏。
 聖さん、御堂さん、早乙女さん、マクシミリアンさん、そして青さんを呼んで。
 青さんが嬉しくて泣いていた。
 栞さん、六花さん、鷹さん、麗星さん、蓮花さん橘弥生さんを呼んで。
 レジーナ様はお一人をステージに上げて、特別に(タカさん、気を遣ってるなー)。
 レジーナ様は大層喜ばれてタカさんと腕を組んで会場に手を振っていた。
 まあ、誰もレジーナ様が誰なのかは知らないのだが、タカさんの扱いと超高貴な雰囲気で只者ではないとは思われただろう。
 タカさんは終始ノリノリで嬉しそうだった。
 やっぱりタカさんはギターを弾いていると最高だ。

 数々の音楽イヴェントでは、スポット的に有名歌手や演奏があり、大御所演歌歌手の北さんやギタリストの西木野善さんなども来て下さった。
 西木野さんはタカさんに「西平貢さんの兄弟子」と紹介され、泣き崩れた。
 もちろん橘弥生さんとのセッションもあり、その凄まじい演奏に、会場が呑まれて演奏後に拍手も無かった。
 少し後で観客が総立ちになり、二人の演奏を褒め称えた。

 そういった超有名人たちに混ざって、石神家の「ヒモダンス」と「オッケーオケケ」などが熱演。
 これには僕と風花さんも参加させられた。
 士王、吹雪、天狼、奈々もいる。
 石神家の伝統ダンスなのだと紹介された。
 オリジンの意地を見せると言って、ルーとハーは全裸だった。

 蓮花さんが『赤道小町ドキッ』をやった。
 会場の照明が消え、真っ暗になった。
 突如上空に光の塊が見え、それが徐々に下降して来る。
 ワイヤーで支えられているようで、「飛行」で支えているのは黒子の衣装のミユキさんだ。
 真っ赤なドレスに大きな翼がついていて、全身にライトと鈴がぶら下がっている。
 ステージまで降りると、ミユキさんがワイヤーを外し、黒子の前鬼さんと後鬼さんが、両側3体ずつのマネキン(蓮花さんと同じ衣装)を装着。
 会場の照明が戻り、蓮花さんにスポットライト。
 なんだか分からないけど、会場に爆ウケだった。
 蓮花さんが嬉しそうに手を振っていた。
 蓮花さん、凄いなー。
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