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竹流 アゼルバイジャンへ
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保奈美の行方はまだ不明だ。
散々「国境なき医師団」に問い合わせ、「虎」の軍として圧力も掛けた。
その結果分かったのは、ミラーの率いる一団は完全に「国境なき医師団」から逸脱し、勝手に活動しているらしい。
一応、脱退しているわけではないようだが、ほとんど連絡は入れていないようだ。
だから、「国境なき医師団」でもミラーらの居場所は不明なのだと。
ミラーは独自に資金を手にしており、父親のコネクションもあり自由に活動できる。
指導者としては、そこそこのやり手のようだ。
それだけに、俺たちも行方を掴めないでいる。
保奈美については、ミラーが重用しているようで、ずっと一緒にいるらしい。
他にも15名ほどを引き連れて各地の戦火の地域や医療不足の場所に赴いている。
だが、俺は聖からミラーの正体を聞いている。
医療行為に嘘はないが、多分に売名行為であり人間的な美点からの行動ではない。
いずれ政治家なりで世に出るための下地造りなのだろう。
今後「虎」の軍は各地の戦場を回ることになる。
その中で、ミラーの行方を捜して行くつもりだ。
茜にはそうしながら戦場を巡ってもらい、独自に保奈美の行方を捜してもらう。
4月に入り、茜は中南米に旅立って行った。
「業」の《ハイヴ》や軍事施設、研究施設が世界中に幾つも建設されており、それを巡って周辺で「業」と手を結ぼうとする連中と、「虎」の軍を求める軍とで交戦が始まりつつあった。
世界規模でその二つの勢力の戦争が始まっている。
本格的に激化する前に、茜に保奈美を保護して欲しい。
竹流が中学校を卒業し、「虎」の軍に入った。
もう幾つかの戦場に出ているので、本格的に竹流に任務を与えることにした。
何しろ竹流の戦闘力は「虎」の軍の中でも最上位の集団になる。
俺、聖、亜紀ちゃんたち、石神家剣聖、そういった人間たちに並ぶ。
これも茜と同じく、竹流の真面目な性格と、連城十五から引き継いだ遺伝的なものによるのだろう。
中国政府は西安を「虎」の軍に明け渡すことを決め、また周辺でも「虎」の軍の基地建設を検討していた。
ロシアと地続きをアジア各本面に基地を建設し、ロシアの包囲を固めるつもりだ。
しかし、西安には《刃》が出現した。
あの超絶の強さの怪物は、聖ですら瀕死の重傷を負った。
聖は今も傷が癒えていない。
だから西安の基地建設は一時中断することになった。
ロシア包囲網の他の基地の建設を進めることにし、そのうちの一つアゼルバイジャンに竹流を派遣することにした。
アゼルバイジャンの首都バクーに隣接して「虎」の軍の拠点を築く予定だった。
その拠点の防衛の中核として、竹流を置く。
アゼルバイジャンの基地には東雲を司令官として派遣した。
東雲は気のいい奴だし、小春もいる。
竹流の面倒を見てもらうように言ってある。
まあ、どちらも人間的に問題は無い。
上手くやってくれるだろう。
■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■
神様に言われて、僕はアセルバイジャンに赴いた。
首都バクー近郊に、「虎」の軍の基地を建設する。
防衛任務だ。
その最初から立ち会うことになった。
初めのうちはバクーのホテルに滞在していたけど、すぐに基地予定地に住居が建設され、僕たちはそこへ移ることになった。
鉄筋の4階建ての建物で、ソルジャー20名と建設要員140名が滞在する。
まだ防衛システムは全くないので、敵襲があれば、僕たちで対応するしかない。
司令官の東雲さんが僕に気遣ってくれ、初めての生活にもすぐに慣れた。
食事もしょっちゅう一緒にしてくれ、東雲さんの奥さんの小春さんが毎回美味しい食事を作ってくれた。
東雲さんも小春さんも優しく、気持ちの良い人たちだ。
他のソルジャーの方々も僕に優しくしてくれる。
何人か、桜さんの作戦でご一緒した元千万組の方々もいて、特に親しくして下さる。
僕は防衛任務で持ち場にいる他は、訓練をし、過ごしていた。
「竹流、たまには街に行って来いよ」
「ええ、でもやることがありますから」
「ばかやろう。虎の旦那は休みの使い方も、そりゃあお上手なんだ。お前も勉強しろ」
「はい!」
東雲さんから、街で遊んで来いとよく言われた。
最初はあまり気が進まなかったけど、神様のようになるために、たまには出掛けようと思った。
バクーの街にはいろいろなものがある。
東京のようには行かないけど、結構活気があった。
食事をしようと飲食店を探していると、テラスで綺麗な女の人を見つけた。
日本人のようで、僕は思わず声を掛けた。
「あの、日本人の方ですか?」
僕は日本語しか出来ない。
「ええ、あなたも!」
「はい!」
やはり日本人の方で、良かった、
「こんな場所で日本人に会うなんて!」
「そうですか。僕も嬉しいですよ」
「日本語で話したのなんて、本当に久しぶりよ!」
「アハハハハハハ!」
お互いに自己紹介をした。
「西野保奈美です」
「連城竹流です」
西野さんは170センチ近くあり、髪はショートにしている。
お化粧はしていないけど、綺麗な顔の人だった。
僕のことはみんなが呼ぶ「竹流」と呼んで欲しいと言った。
西野さんは、医療のお仕事で来ているそうだ。
僕は「虎」の軍の仕事なのだとは話せずに、建築関係でとお話しした。
西野さんに誘われて、一緒に食事をした。
「そうなんだ。まだ若いのに偉いね」
「はい! 神様にお願いして、その会社に入れてもらったんです」
「神様?」
「ああ! 僕は孤児だったんですけど、そこで大変お世話になった方のことを「神様」ってお呼びしてるんです」
「そうなんだ。とってもいい人なのね」
「はい、最高です!」
まだ、バクー市郊外に軍事基地を建設することは秘密だ。
申し訳ないけど、西野さんにもお話し出来なかった。
西野さんはしばらく日本を離れているそうで、結構世界中を回っているらしい。
医療グループのチームで行動しているらしく、日本を懐かしんでいた。
「日本へは帰らないんですか?」
「うん。ちょっとね、仕事の関連もあるんだけど、私、本当は人を探しているの」
「そうなんですか?」
「昔の恋人。高校時代のね。その人が世界のどこかにいると思って、ずっと海外で活動しているの」
「凄いですね!」
素敵なお話だ。
「でもね、会えることはないのは分かってるの」
「なんでですか?」
「だって全く宛は無いのよ。その人がどこにいるのかも全然知らない。日本じゃないことだけは分かっているけど、どの国にいるのかすら知らないの」
「そんな……」
西野さんが寂しそうな顔をする。
「だけどさ、ジッとしてられなかった。日本にいないのが分かってて、日本にいられなかった。バカみたいだよね」
「そんなことありません! 西野さんは素敵です!」
「そう?」
「それに、西野さん! 奇跡は起きるんですよ!」
「え?」
「神様が教えてくれました! 僕も奇跡を見ました!」
「そうなんだ」
「はい!」
西野さんが嬉しそうに笑った。
「竹流君、また会いたいな」
「はい! 僕はしばらくこの街の近くにいますので。街には休日のたびに来ますよ」
「本当に! 私もしばらくこの街に滞在しそうなの。次の仕事がまだ段取りが付かなくてね」
「そうなんですか!」
「〇〇というホテルに泊まってる。西野って言って貰えれば伝わるようにしておくわ」
「はい! 必ずご連絡します!」
「楽しみにしてるね!」
とてもいい方にお会い出来た。
東雲さんが勧めてくれたお陰だ。
帰ってから東雲さんに話すと、喜んでくれた。
散々「国境なき医師団」に問い合わせ、「虎」の軍として圧力も掛けた。
その結果分かったのは、ミラーの率いる一団は完全に「国境なき医師団」から逸脱し、勝手に活動しているらしい。
一応、脱退しているわけではないようだが、ほとんど連絡は入れていないようだ。
だから、「国境なき医師団」でもミラーらの居場所は不明なのだと。
ミラーは独自に資金を手にしており、父親のコネクションもあり自由に活動できる。
指導者としては、そこそこのやり手のようだ。
それだけに、俺たちも行方を掴めないでいる。
保奈美については、ミラーが重用しているようで、ずっと一緒にいるらしい。
他にも15名ほどを引き連れて各地の戦火の地域や医療不足の場所に赴いている。
だが、俺は聖からミラーの正体を聞いている。
医療行為に嘘はないが、多分に売名行為であり人間的な美点からの行動ではない。
いずれ政治家なりで世に出るための下地造りなのだろう。
今後「虎」の軍は各地の戦場を回ることになる。
その中で、ミラーの行方を捜して行くつもりだ。
茜にはそうしながら戦場を巡ってもらい、独自に保奈美の行方を捜してもらう。
4月に入り、茜は中南米に旅立って行った。
「業」の《ハイヴ》や軍事施設、研究施設が世界中に幾つも建設されており、それを巡って周辺で「業」と手を結ぼうとする連中と、「虎」の軍を求める軍とで交戦が始まりつつあった。
世界規模でその二つの勢力の戦争が始まっている。
本格的に激化する前に、茜に保奈美を保護して欲しい。
竹流が中学校を卒業し、「虎」の軍に入った。
もう幾つかの戦場に出ているので、本格的に竹流に任務を与えることにした。
何しろ竹流の戦闘力は「虎」の軍の中でも最上位の集団になる。
俺、聖、亜紀ちゃんたち、石神家剣聖、そういった人間たちに並ぶ。
これも茜と同じく、竹流の真面目な性格と、連城十五から引き継いだ遺伝的なものによるのだろう。
中国政府は西安を「虎」の軍に明け渡すことを決め、また周辺でも「虎」の軍の基地建設を検討していた。
ロシアと地続きをアジア各本面に基地を建設し、ロシアの包囲を固めるつもりだ。
しかし、西安には《刃》が出現した。
あの超絶の強さの怪物は、聖ですら瀕死の重傷を負った。
聖は今も傷が癒えていない。
だから西安の基地建設は一時中断することになった。
ロシア包囲網の他の基地の建設を進めることにし、そのうちの一つアゼルバイジャンに竹流を派遣することにした。
アゼルバイジャンの首都バクーに隣接して「虎」の軍の拠点を築く予定だった。
その拠点の防衛の中核として、竹流を置く。
アゼルバイジャンの基地には東雲を司令官として派遣した。
東雲は気のいい奴だし、小春もいる。
竹流の面倒を見てもらうように言ってある。
まあ、どちらも人間的に問題は無い。
上手くやってくれるだろう。
■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■
神様に言われて、僕はアセルバイジャンに赴いた。
首都バクー近郊に、「虎」の軍の基地を建設する。
防衛任務だ。
その最初から立ち会うことになった。
初めのうちはバクーのホテルに滞在していたけど、すぐに基地予定地に住居が建設され、僕たちはそこへ移ることになった。
鉄筋の4階建ての建物で、ソルジャー20名と建設要員140名が滞在する。
まだ防衛システムは全くないので、敵襲があれば、僕たちで対応するしかない。
司令官の東雲さんが僕に気遣ってくれ、初めての生活にもすぐに慣れた。
食事もしょっちゅう一緒にしてくれ、東雲さんの奥さんの小春さんが毎回美味しい食事を作ってくれた。
東雲さんも小春さんも優しく、気持ちの良い人たちだ。
他のソルジャーの方々も僕に優しくしてくれる。
何人か、桜さんの作戦でご一緒した元千万組の方々もいて、特に親しくして下さる。
僕は防衛任務で持ち場にいる他は、訓練をし、過ごしていた。
「竹流、たまには街に行って来いよ」
「ええ、でもやることがありますから」
「ばかやろう。虎の旦那は休みの使い方も、そりゃあお上手なんだ。お前も勉強しろ」
「はい!」
東雲さんから、街で遊んで来いとよく言われた。
最初はあまり気が進まなかったけど、神様のようになるために、たまには出掛けようと思った。
バクーの街にはいろいろなものがある。
東京のようには行かないけど、結構活気があった。
食事をしようと飲食店を探していると、テラスで綺麗な女の人を見つけた。
日本人のようで、僕は思わず声を掛けた。
「あの、日本人の方ですか?」
僕は日本語しか出来ない。
「ええ、あなたも!」
「はい!」
やはり日本人の方で、良かった、
「こんな場所で日本人に会うなんて!」
「そうですか。僕も嬉しいですよ」
「日本語で話したのなんて、本当に久しぶりよ!」
「アハハハハハハ!」
お互いに自己紹介をした。
「西野保奈美です」
「連城竹流です」
西野さんは170センチ近くあり、髪はショートにしている。
お化粧はしていないけど、綺麗な顔の人だった。
僕のことはみんなが呼ぶ「竹流」と呼んで欲しいと言った。
西野さんは、医療のお仕事で来ているそうだ。
僕は「虎」の軍の仕事なのだとは話せずに、建築関係でとお話しした。
西野さんに誘われて、一緒に食事をした。
「そうなんだ。まだ若いのに偉いね」
「はい! 神様にお願いして、その会社に入れてもらったんです」
「神様?」
「ああ! 僕は孤児だったんですけど、そこで大変お世話になった方のことを「神様」ってお呼びしてるんです」
「そうなんだ。とってもいい人なのね」
「はい、最高です!」
まだ、バクー市郊外に軍事基地を建設することは秘密だ。
申し訳ないけど、西野さんにもお話し出来なかった。
西野さんはしばらく日本を離れているそうで、結構世界中を回っているらしい。
医療グループのチームで行動しているらしく、日本を懐かしんでいた。
「日本へは帰らないんですか?」
「うん。ちょっとね、仕事の関連もあるんだけど、私、本当は人を探しているの」
「そうなんですか?」
「昔の恋人。高校時代のね。その人が世界のどこかにいると思って、ずっと海外で活動しているの」
「凄いですね!」
素敵なお話だ。
「でもね、会えることはないのは分かってるの」
「なんでですか?」
「だって全く宛は無いのよ。その人がどこにいるのかも全然知らない。日本じゃないことだけは分かっているけど、どの国にいるのかすら知らないの」
「そんな……」
西野さんが寂しそうな顔をする。
「だけどさ、ジッとしてられなかった。日本にいないのが分かってて、日本にいられなかった。バカみたいだよね」
「そんなことありません! 西野さんは素敵です!」
「そう?」
「それに、西野さん! 奇跡は起きるんですよ!」
「え?」
「神様が教えてくれました! 僕も奇跡を見ました!」
「そうなんだ」
「はい!」
西野さんが嬉しそうに笑った。
「竹流君、また会いたいな」
「はい! 僕はしばらくこの街の近くにいますので。街には休日のたびに来ますよ」
「本当に! 私もしばらくこの街に滞在しそうなの。次の仕事がまだ段取りが付かなくてね」
「そうなんですか!」
「〇〇というホテルに泊まってる。西野って言って貰えれば伝わるようにしておくわ」
「はい! 必ずご連絡します!」
「楽しみにしてるね!」
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