2,720 / 3,202
みんなで真夏の別荘! Ⅴ
しおりを挟む
翌朝、俺は響子と8時に起きた。
響子は夕べ体力を使ったので、まだ眠っている。
まあ、こいつは元々朝が弱い。
昼も弱いのだが。
当然夜も弱い。
もちろん響子はカワイイ。
俺が起きたのを見て、ロボも起きた。
俺を見ている。
「ロボ、おはよう」
「にゃー」
顔を近づけてロボキッスをする。
「先に食事をして来いよ」
「にゃ」
ロボは下に降りて行った。
俺はしばらく響子の寝顔を眺め、額の髪を撫で上げた。
本当に美しい女になって来た。
そうやっていると、響子が目覚めた。
「うーん」
「まだ眠いなら寝てろよ」
「たかとらー」
「おう」
額にキスをした。
響子が目を閉じながら笑う。
「もう起きるか?」
「うん」
俺は響子をうつぶせにし、軽くマッサージする。
背中を優しくマッサージすると、響子が気持ちよさそうにする。
いつも六花がやっていることだ。
俺たちは響子のためになんでもやる。
響子を起こして一緒に顔を洗いに行った。
パジャマのまま下に降りると、もうみんな朝食を食べ終わっていた。
俺と響子に、目玉焼きと納豆が出て来る。
サラダは響子が好きなシラスとアスパラ、レタスのものだ。
味噌汁は揚げナスと焼きネギ。
響子と二人で食べていると、怜花が近寄って来た。
「石神さん、夕べのバーベキュー楽しかった」
「そうか。じゃあ今日もやるかぁ」
「ほんとですかー!」
「ああ。亜紀ちゃん、大丈夫だよな?」
「はい! ステーキ・鰻大会ですから、似たようなものです!」
「ワハハハハハハハ!」
ステーキと鰻を同時に喰う奴がいるのかは知らない。
俺の御堂や早乙女たちに鰻を喰わせたいという優しい思いと、子どもたちのどす黒い欲望が重なっただけだ。
まあ、俺も鰻だけでなくステーキも喰うが。
本当を言えば、亜紀ちゃんと柳に喰いたいものを聴いて、二人が鰻とステーキを挙げただけだ。
中南米とアフリカではそれほど良い食事を出来ないことも多かった。
食い物に拘りのある二人が我慢して来たのだ。
もちろん、日本へ戻ってからは二人で思い切り食い荒らしてもいるのだが。
亜紀ちゃんがバーベキュー用の海鮮などの食材をメールでスーパーに追加した。
午後にまた予約した食材と一緒に、また店長さんが届けてくれる。
着替えて、みんなで散歩に出た。
別荘では何も無いので、食事が最大の楽しみであり、あとは散歩くらいしかやることがない。
俺と響子とロボ、怜花と久留守、御堂と澪さんを移動車に乗せ、子どもたちが引く。
早乙女と雪野さんは歩きたいと言った。
まあ、少々狭くなった移動車を見てのことだろう。
10本ほどの広口瓶を見て、不思議そうな顔をしていた。
俺が怜花を膝の上に乗せ、響子が久留守を抱きたがった。
非常に危うい。
「ロボ、万一の場合は頼むな」
「にゃ」
ロボが響子の足元に寝そべった。
さり気なく、早乙女が響子の背中側を歩く。
まあ、久留守は落とさなかった。
恒例の倒木の広場に行く。
子どもたちが紅茶の用意をする。
頂き物の「夜のお菓子」ウナギパイも配って行く。
「早乙女、一杯食べとけよ!」
「石神!」
「御堂もな!」
「アハハハハハハハ!」
みんなでのんびりしていると、ルーとハーが移動車に積んだ広口瓶を用意した。
「「ハッチー!」」
御堂や早乙女たちは何をしているのか分からない。
黙って見ていると、すぐにでかいハチが飛んで来る。
ハッチは体長3メートルにも成長(?)していた。
「「「「!」」」」
「あるじさまー、みなさまー、こんにちはー」
「ハッチ、またハチミツちょうだーい!」
「はい、どうぞどうぞ」
ルーが持った広口瓶の口にお尻を挿し込む。
プリプリプリ……
「「「「……」」」」
「石神、これは味方なのか?」
「そうだよ。じゃなきゃ俺たちがニコニコ見てるわけねぇだろう」
「う、うん」
早乙女が目が離せないでいる。
味方であることは納得したが、絵面がシュールだ。
「デュールゲリエのさ、《スズメバチ》って装備があるじゃん」
「ああ、あれは凄いよな!」
「あのモデルはこのハッチだから」
「え?」
「ハッチがさ、分体を大量に作ってさ。それがまたものスゲェ攻撃力なの」
「……」
まあ、理解したかは知らん。
それよりも、早乙女はハッチのお尻からひり出す蜂蜜を見ていた。
「お前の家にも時々持ってくだろ?」
「ああ! あれがこれなのかぁ!」
「双子がよく「ハッチ蜂蜜です」って言ってるだろう!」
「うん、いつもそう言ってもらってる!」
「まったくよ」
「教えてくれよ」
「だからちゃんと言ってるんだって!」
「あ、うん……」
分からんよなー。
「うちも送って貰ってるよね?」
「もちろんだぁ! 早乙女にやってお前にやらねぇもんはねぇ!」
早乙女の表情がちょっと強張る。
「うちはあんな大きな家を貰ってないけどね」
御堂が早乙女に気を遣って言った。
早乙女がニコニコし、雪野さんが顔をそむけて笑った。
「御堂、心配すんな。今建設中だ」
御堂が珍しく本気で慌てた。
「おい、石神! 絶対によせよな!」
「ワハハハハハハハ!」
「僕はあんな家に住めないぞ!」
「おい!」
「御堂さん!」
「あ!」
御堂が必死に早乙女に謝った。
もちろんバカみたいな家という意味ではなく、大き過ぎるという意味だと。
早乙女も雪野さんも笑っていた。
御堂の言う通りなのだろうが。
「そのうちにさ、怜花や久留守が学校に通ってさ」
「そうですね、そんな先じゃないですよね?」
「ええ、それで友達を家に呼ぶじゃないですか」
「まあ!」
「楽しみですね!」
雪野さんが早乙女と話し合っていた。
何を話しているのやら。
「怜花や久留守も、普通の家って行ったことないだろう?」
「そうだ!」
「自分の家が普通だと思ってると、結構衝撃があるだろうなぁ」
「石神の言う通りだ!」
怜花たちは他の家と言えば、俺の家や俺の別荘しか知らない。
まあ別荘はまだいいのだが、他は西条さんの家か。
でもあそこも結構大きい。
また二人が真剣に話し合っていた。
ハッチが飛び去り、みんなで戻った。
響子は夕べ体力を使ったので、まだ眠っている。
まあ、こいつは元々朝が弱い。
昼も弱いのだが。
当然夜も弱い。
もちろん響子はカワイイ。
俺が起きたのを見て、ロボも起きた。
俺を見ている。
「ロボ、おはよう」
「にゃー」
顔を近づけてロボキッスをする。
「先に食事をして来いよ」
「にゃ」
ロボは下に降りて行った。
俺はしばらく響子の寝顔を眺め、額の髪を撫で上げた。
本当に美しい女になって来た。
そうやっていると、響子が目覚めた。
「うーん」
「まだ眠いなら寝てろよ」
「たかとらー」
「おう」
額にキスをした。
響子が目を閉じながら笑う。
「もう起きるか?」
「うん」
俺は響子をうつぶせにし、軽くマッサージする。
背中を優しくマッサージすると、響子が気持ちよさそうにする。
いつも六花がやっていることだ。
俺たちは響子のためになんでもやる。
響子を起こして一緒に顔を洗いに行った。
パジャマのまま下に降りると、もうみんな朝食を食べ終わっていた。
俺と響子に、目玉焼きと納豆が出て来る。
サラダは響子が好きなシラスとアスパラ、レタスのものだ。
味噌汁は揚げナスと焼きネギ。
響子と二人で食べていると、怜花が近寄って来た。
「石神さん、夕べのバーベキュー楽しかった」
「そうか。じゃあ今日もやるかぁ」
「ほんとですかー!」
「ああ。亜紀ちゃん、大丈夫だよな?」
「はい! ステーキ・鰻大会ですから、似たようなものです!」
「ワハハハハハハハ!」
ステーキと鰻を同時に喰う奴がいるのかは知らない。
俺の御堂や早乙女たちに鰻を喰わせたいという優しい思いと、子どもたちのどす黒い欲望が重なっただけだ。
まあ、俺も鰻だけでなくステーキも喰うが。
本当を言えば、亜紀ちゃんと柳に喰いたいものを聴いて、二人が鰻とステーキを挙げただけだ。
中南米とアフリカではそれほど良い食事を出来ないことも多かった。
食い物に拘りのある二人が我慢して来たのだ。
もちろん、日本へ戻ってからは二人で思い切り食い荒らしてもいるのだが。
亜紀ちゃんがバーベキュー用の海鮮などの食材をメールでスーパーに追加した。
午後にまた予約した食材と一緒に、また店長さんが届けてくれる。
着替えて、みんなで散歩に出た。
別荘では何も無いので、食事が最大の楽しみであり、あとは散歩くらいしかやることがない。
俺と響子とロボ、怜花と久留守、御堂と澪さんを移動車に乗せ、子どもたちが引く。
早乙女と雪野さんは歩きたいと言った。
まあ、少々狭くなった移動車を見てのことだろう。
10本ほどの広口瓶を見て、不思議そうな顔をしていた。
俺が怜花を膝の上に乗せ、響子が久留守を抱きたがった。
非常に危うい。
「ロボ、万一の場合は頼むな」
「にゃ」
ロボが響子の足元に寝そべった。
さり気なく、早乙女が響子の背中側を歩く。
まあ、久留守は落とさなかった。
恒例の倒木の広場に行く。
子どもたちが紅茶の用意をする。
頂き物の「夜のお菓子」ウナギパイも配って行く。
「早乙女、一杯食べとけよ!」
「石神!」
「御堂もな!」
「アハハハハハハハ!」
みんなでのんびりしていると、ルーとハーが移動車に積んだ広口瓶を用意した。
「「ハッチー!」」
御堂や早乙女たちは何をしているのか分からない。
黙って見ていると、すぐにでかいハチが飛んで来る。
ハッチは体長3メートルにも成長(?)していた。
「「「「!」」」」
「あるじさまー、みなさまー、こんにちはー」
「ハッチ、またハチミツちょうだーい!」
「はい、どうぞどうぞ」
ルーが持った広口瓶の口にお尻を挿し込む。
プリプリプリ……
「「「「……」」」」
「石神、これは味方なのか?」
「そうだよ。じゃなきゃ俺たちがニコニコ見てるわけねぇだろう」
「う、うん」
早乙女が目が離せないでいる。
味方であることは納得したが、絵面がシュールだ。
「デュールゲリエのさ、《スズメバチ》って装備があるじゃん」
「ああ、あれは凄いよな!」
「あのモデルはこのハッチだから」
「え?」
「ハッチがさ、分体を大量に作ってさ。それがまたものスゲェ攻撃力なの」
「……」
まあ、理解したかは知らん。
それよりも、早乙女はハッチのお尻からひり出す蜂蜜を見ていた。
「お前の家にも時々持ってくだろ?」
「ああ! あれがこれなのかぁ!」
「双子がよく「ハッチ蜂蜜です」って言ってるだろう!」
「うん、いつもそう言ってもらってる!」
「まったくよ」
「教えてくれよ」
「だからちゃんと言ってるんだって!」
「あ、うん……」
分からんよなー。
「うちも送って貰ってるよね?」
「もちろんだぁ! 早乙女にやってお前にやらねぇもんはねぇ!」
早乙女の表情がちょっと強張る。
「うちはあんな大きな家を貰ってないけどね」
御堂が早乙女に気を遣って言った。
早乙女がニコニコし、雪野さんが顔をそむけて笑った。
「御堂、心配すんな。今建設中だ」
御堂が珍しく本気で慌てた。
「おい、石神! 絶対によせよな!」
「ワハハハハハハハ!」
「僕はあんな家に住めないぞ!」
「おい!」
「御堂さん!」
「あ!」
御堂が必死に早乙女に謝った。
もちろんバカみたいな家という意味ではなく、大き過ぎるという意味だと。
早乙女も雪野さんも笑っていた。
御堂の言う通りなのだろうが。
「そのうちにさ、怜花や久留守が学校に通ってさ」
「そうですね、そんな先じゃないですよね?」
「ええ、それで友達を家に呼ぶじゃないですか」
「まあ!」
「楽しみですね!」
雪野さんが早乙女と話し合っていた。
何を話しているのやら。
「怜花や久留守も、普通の家って行ったことないだろう?」
「そうだ!」
「自分の家が普通だと思ってると、結構衝撃があるだろうなぁ」
「石神の言う通りだ!」
怜花たちは他の家と言えば、俺の家や俺の別荘しか知らない。
まあ別荘はまだいいのだが、他は西条さんの家か。
でもあそこも結構大きい。
また二人が真剣に話し合っていた。
ハッチが飛び去り、みんなで戻った。
3
あなたにおすすめの小説
【完結】狡い人
ジュレヌク
恋愛
双子のライラは、言う。
レイラは、狡い。
レイラの功績を盗み、賞を受賞し、母の愛も全て自分のものにしたくせに、事あるごとに、レイラを責める。
双子のライラに狡いと責められ、レイラは、黙る。
口に出して言いたいことは山ほどあるのに、おし黙る。
そこには、人それぞれの『狡さ』があった。
そんな二人の関係が、ある一つの出来事で大きく変わっていく。
恋を知り、大きく羽ばたくレイラと、地に落ちていくライラ。
2人の違いは、一体なんだったのか?
【完結】聖女の手を取り婚約者が消えて二年。私は別の人の妻になっていた。
文月ゆうり
恋愛
レティシアナは姫だ。
父王に一番愛される姫。
ゆえに妬まれることが多く、それを憂いた父王により早くに婚約を結ぶことになった。
優しく、頼れる婚約者はレティシアナの英雄だ。
しかし、彼は居なくなった。
聖女と呼ばれる少女と一緒に、行方を眩ませたのだ。
そして、二年後。
レティシアナは、大国の王の妻となっていた。
※主人公は、戦えるような存在ではありません。戦えて、強い主人公が好きな方には合わない可能性があります。
小説家になろうにも投稿しています。
エールありがとうございます!
【12月末日公開終了】有能女官の赴任先は辺境伯領
たぬきち25番
恋愛
辺境伯領の当主が他界。代わりに領主になったのは元騎士団の隊長ギルベルト(26)
ずっと騎士団に在籍して領のことなど右も左もわからない。
そのため新しい辺境伯様は帳簿も書類も不備ばかり。しかも辺境伯領は王国の端なので修正も大変。
そこで仕事を終わらせるために、腕っぷしに定評のあるギリギリ貴族の男爵出身の女官ライラ(18)が辺境伯領に出向くことになった。
だがそこでライラを待っていたのは、元騎士とは思えないほどつかみどころのない辺境伯様と、前辺境伯夫妻の忘れ形見の3人のこどもたち(14歳男子、9歳男子、6歳女子)だった。
仕事のわからない辺境伯を助けながら、こどもたちの生活を助けたり、魔物を倒したり!?
そしていつしか、ライラと辺境伯やこどもたちとの関係が変わっていく……
※お待たせしました。
※他サイト様にも掲載中
竜帝は番に愛を乞う
浅海 景
恋愛
祖母譲りの容姿で両親から疎まれている男爵令嬢のルー。自分とは対照的に溺愛される妹のメリナは周囲からも可愛がられ、狼族の番として見初められたことからますます我儘に振舞うようになった。そんなメリナの我儘を受け止めつつ使用人のように働き、学校では妹を虐げる意地悪な姉として周囲から虐げられる。無力感と諦めを抱きながら淡々と日々を過ごしていたルーは、ある晩突然現れた男性から番であることを告げられる。しかも彼は獣族のみならず世界の王と呼ばれる竜帝アレクシスだった。誰かに愛されるはずがないと信じ込む男爵令嬢と番と出会い愛を知った竜帝の物語。
芙蓉は後宮で花開く
速見 沙弥
キャラ文芸
下級貴族の親をもつ5人姉弟の長女 蓮花《リェンファ》。
借金返済で苦しむ家計を助けるために後宮へと働きに出る。忙しくも穏やかな暮らしの中、出会ったのは翡翠の色の目をした青年。さらに思いもよらぬ思惑に巻き込まれてゆくーーー
カクヨムでも連載しております。
後宮なりきり夫婦録
石田空
キャラ文芸
「月鈴、ちょっと嫁に来るか?」
「はあ……?」
雲仙国では、皇帝が三代続いて謎の昏睡状態に陥る事態が続いていた。
あまりにも不可解なために、新しい皇帝を立てる訳にもいかない国は、急遽皇帝の「影武者」として跡継ぎ騒動を防ぐために寺院に入れられていた皇子の空燕を呼び戻すことに決める。
空燕の国の声に応える条件は、同じく寺院で方士修行をしていた方士の月鈴を妃として後宮に入れること。
かくしてふたりは片や皇帝の影武者として、片や皇帝の偽りの愛妃として、後宮と言う名の魔窟に潜入捜査をすることとなった。
影武者夫婦は、後宮内で起こる事件の謎を解けるのか。そしてふたりの想いの行方はいったい。
サイトより転載になります。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる