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《ダウラギリ山》攻略戦 Ⅲ
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俺たちはアメリカの登山チームという偽装で現地に赴いた。
ロックハート家がスポンサーとなり、幾つかの企業が協賛して大規模なダウラギリ山南壁ルートの攻略チームというカバーだった。
一応だが、未だ誰も踏破に成功していない「南壁ルート」への挑戦として、ニュースなどでも一部扱われた。
それは、「虎」の軍の協力を得て達成するということのアピールでもあった。
俺と紅が登頂のアタック隊として前面に出て、それをデュールゲリエのハオユーとズハンがサポートするということが発表された。
紅は人間としてだ。
しかもダウラギリ山を登攀した多くの登山家がやった「アルパインスタイル」ではなく、酸素ボンベを使い、緊急時にはベースキャンプから「虎」の軍の救助が入るという形だ。
だから、表面的には「虎」の軍の非軍事面での活動をアピールするという平和的アピールの意味もあった。
つまり、そうやって「虎」の軍が世界世論の賛同を欲しがっているというアピールでもある。
石神さんは便乗して中南米やアフリカでの内戦の仲裁や、先日ブラジルで開催された、内戦に参加した兵士同士の親善サッカー試合のことなども発表し、「虎」の軍が平和活動に勤しんでいるというようなイメージ戦略も繋げた。
世界中のマスコミが好意的に受け入れて報道し、実際に「虎」の軍のイメージ戦略にも役立った。
そして俺たちの「ダウラギリ山」の登攀は、華々しい挑戦ではないことも強調され、そのことも登山家たちの賛同を得た。
まず、夏場の比較的環境の良い時期での登山。
そうすることで、今後正当な登山家の挑戦が色褪せないようにとの配慮があった。
またアルパインスタイルの無酸素登山などの本格的なものではないことも、堂々と発表された。
もちろん、「虎」の軍がサポートするということは、「業」の側に不要な警戒を抱かせない目的もあった。
ダウラギリ山の《ハイヴ》は妖魔の数が極端に少なく、俺たちに感知されていないと敵は考えている可能性もあるためだ。
実際に単なる「トンネル」に過ぎないとも言え、他の《ハイヴ》と違って攻略対象としては考えにくい。
《ハイヴ》は幾らでもあり、わざわざ不活性なダウラギリ山に向かう必要性は低いと考えるべきだろう。
石神さんの勘でなければ、本当にその通りだった。
どこまで敵に通用するのかは分からなかったが、平和活動の一環として「虎」の軍が同行することが最初から公にされたことで、警戒が薄まる可能性はあった。
登山チームの発表は結構大々的で、アメリカのマスコミを中心にヨーロッパの方でも大いに扱われた。
日本国内でも同じで、御堂総理が直々に日本人の登山家の勇敢な挑戦と仰っていて恥ずかしかった。
それと、紅は「霧島紅」という名前で公表され、俺たちは夫婦の登山家となっている。
登山家としては全くの無名なのだが、そのことはあまり触れられなかった。
念のために偽の経歴が用意されたが、別に目を引くような実績でも無かった。
今回は「虎」の軍の推薦ということで、それだけで全てが納得された。
ジャングルマスターさんの情報操作もあってのことだ。
マスコミの取材も幾つか受けたが、あらかじめ準備されたものであり、俺たちがボロを出す心配は無かった。
あとは勝手に虚構の物語が加わり、俺と紅は爆笑した。
石神さんが考えた、ラインホルト・メスナーを尊敬する俺たちの熱い物語だった。
たった一週間しか訓練を受けていないド素人であることは、誰も想像もしないだろう。
400名もの大きなチームで現地のポーターも雇わない、完全な独立チームだった。
ポーターの必要が無かったのは、南壁の下にベースキャンプを作るためだった。
ある程度の危険はあるが、比較的そこまでは何とか辿り着ける。
まあ、そこからが本番で、南壁は山頂まで切り立った3000メートルもの断崖になっているのだ。
逆に南壁の下には平地のような部分があり、俺たちはそこにベースキャンプを構えることになった。
傍から見ると、4人のアタックチームに対して400名もの人間が同行するのはどうかと思うだろう。
一応は未踏破の南壁の調査も兼ねているということになっているので誤魔化せるだろうか。
「羽入、大丈夫か?」
「ああ、やっぱ寒いな」
「高山病はどうだ?」
「そっちは問題ない。酸素ボンベ様々だな」
「そうか。我慢せずに何かあったら言え」
「ああ」
登山なぞしたこともない俺にとって、ダウラギリ山は想像を絶する環境だった。
真夏にも関わらず、稜線に出ると雪がふんだんに残っており、気温もまったく違う。
紅が慎重に進路を誘導してくれなければ、俺にはどうにもならなかったに違いない。
ハオユーとズハンも俺たちに協力してくれる。
デュールゲリエは登山技術に関しては専門家以上になっている。
一通りの技術を、量子AIが展開してさらに磨き上げるためだ。
もちろん紅も同じだ。
低温に関する抵抗力も十分で、大気圏外の極低温の環境でも難なく稼働できる。
ベースキャンプ予定地までの登山は切り立った崖もあれば、雪に隠れたクレバスもある。
山頂が見えているので方向は間違えようも無いが、進むルートは紅たちの誘導がなければ命を落とす。
景色の美しさなど、ただの一度も感じなかった。
必死に紅に付いて来ただけだ。
ベースキャンプまでみんなで登って来たが、目の前に高い壁が見えた時には、とにかくホッとした。
もちろんそうではなく、そこからが本当の難所だ。
ここまでも相当きついコースだった。
標高はすでに5000メートルを超え、険しい岩場を歩いて来た。
紅たちはともかく、ド素人の俺がここまで来れたのは、「花岡」を使っていたことと、俺をフォローする紅のお陰だ。
巨大な岸壁を前にベースキャンプが設置され、あとは俺と紅、ハオユーとズハンだけで登って行く。
ベースキャンプにはルーとハーが控えている。
また、精鋭のソルジャーたちとデュールゲリエが200人ずつ待機している。
ルーとハーは俺と紅の救出だが、ソルジャーたちは救出と同時に俺たちの任務が失敗した場合の強襲部隊の役割も担っている。
俺たちは《ハイヴ》内部に出来るだけ突入し、出来る限りの調査をして脱出するという任務を負っている。
非常に危険な作戦であり、難しい作戦だ。
ソルジャーは「虎酔会」という部隊名であり、強者の多い「虎」の軍の中でも最精鋭部隊の一つだった。
元は小島将軍の私兵だったと聞いている。
小島将軍自らが、石神さんのために引き渡したそうだ。
小島将軍がどれほど多くの私兵を持っているのかは知らないが、特に石神さんに心酔している人間たちだったそうだ。
彼らは500名の兵士としてアラスカで凄まじい鍛錬を乗り越え、「虎」の軍の最精鋭部隊となった。
石神さんは今回の作戦でその「虎酔会」を回してくれた。
「虎酔会」の方々も俺と同じできつかったはずだが、誰も音を挙げることも、愚痴も文句も一つもなかった。
まさしく精鋭の、鋼の部隊だった。
そして同時に、こよなく石神さんを崇拝する優しい人たちでもあった。
若い俺などに気さくに話し掛けてくれ、大事にしてくれた。
作戦の中心を担う俺と紅、ハオユーとズハンを心底から応援してくれた。
俺にとっては、紅たちを仲間と認めてくれたことが最も嬉しかった。
本当に優秀なのは紅たちなのだ。
紅たちがいなければ、俺などには何も出来ない。
俺がそういうことを言うと、隊長の御影さんが笑って言った。
「まあ、その通りだけどな。でも、兵士は優秀さよりも重要なことがあるぜ」
「はい?」
「それはな、命を懸けるかどうかだ」
「!」
「お前も紅も、ハオユーとズハンも、命を懸けてこの作戦に挑むんだろう?」
「その通りです!」
「だったらよ、俺たちは仲間だ。全力で応援するぜぇ!」
「はい! 宜しくお願いします!」
嬉しかった。
紅たちに「命」があると考えてくれている。
そのことが、無性に嬉しかった。
ロックハート家がスポンサーとなり、幾つかの企業が協賛して大規模なダウラギリ山南壁ルートの攻略チームというカバーだった。
一応だが、未だ誰も踏破に成功していない「南壁ルート」への挑戦として、ニュースなどでも一部扱われた。
それは、「虎」の軍の協力を得て達成するということのアピールでもあった。
俺と紅が登頂のアタック隊として前面に出て、それをデュールゲリエのハオユーとズハンがサポートするということが発表された。
紅は人間としてだ。
しかもダウラギリ山を登攀した多くの登山家がやった「アルパインスタイル」ではなく、酸素ボンベを使い、緊急時にはベースキャンプから「虎」の軍の救助が入るという形だ。
だから、表面的には「虎」の軍の非軍事面での活動をアピールするという平和的アピールの意味もあった。
つまり、そうやって「虎」の軍が世界世論の賛同を欲しがっているというアピールでもある。
石神さんは便乗して中南米やアフリカでの内戦の仲裁や、先日ブラジルで開催された、内戦に参加した兵士同士の親善サッカー試合のことなども発表し、「虎」の軍が平和活動に勤しんでいるというようなイメージ戦略も繋げた。
世界中のマスコミが好意的に受け入れて報道し、実際に「虎」の軍のイメージ戦略にも役立った。
そして俺たちの「ダウラギリ山」の登攀は、華々しい挑戦ではないことも強調され、そのことも登山家たちの賛同を得た。
まず、夏場の比較的環境の良い時期での登山。
そうすることで、今後正当な登山家の挑戦が色褪せないようにとの配慮があった。
またアルパインスタイルの無酸素登山などの本格的なものではないことも、堂々と発表された。
もちろん、「虎」の軍がサポートするということは、「業」の側に不要な警戒を抱かせない目的もあった。
ダウラギリ山の《ハイヴ》は妖魔の数が極端に少なく、俺たちに感知されていないと敵は考えている可能性もあるためだ。
実際に単なる「トンネル」に過ぎないとも言え、他の《ハイヴ》と違って攻略対象としては考えにくい。
《ハイヴ》は幾らでもあり、わざわざ不活性なダウラギリ山に向かう必要性は低いと考えるべきだろう。
石神さんの勘でなければ、本当にその通りだった。
どこまで敵に通用するのかは分からなかったが、平和活動の一環として「虎」の軍が同行することが最初から公にされたことで、警戒が薄まる可能性はあった。
登山チームの発表は結構大々的で、アメリカのマスコミを中心にヨーロッパの方でも大いに扱われた。
日本国内でも同じで、御堂総理が直々に日本人の登山家の勇敢な挑戦と仰っていて恥ずかしかった。
それと、紅は「霧島紅」という名前で公表され、俺たちは夫婦の登山家となっている。
登山家としては全くの無名なのだが、そのことはあまり触れられなかった。
念のために偽の経歴が用意されたが、別に目を引くような実績でも無かった。
今回は「虎」の軍の推薦ということで、それだけで全てが納得された。
ジャングルマスターさんの情報操作もあってのことだ。
マスコミの取材も幾つか受けたが、あらかじめ準備されたものであり、俺たちがボロを出す心配は無かった。
あとは勝手に虚構の物語が加わり、俺と紅は爆笑した。
石神さんが考えた、ラインホルト・メスナーを尊敬する俺たちの熱い物語だった。
たった一週間しか訓練を受けていないド素人であることは、誰も想像もしないだろう。
400名もの大きなチームで現地のポーターも雇わない、完全な独立チームだった。
ポーターの必要が無かったのは、南壁の下にベースキャンプを作るためだった。
ある程度の危険はあるが、比較的そこまでは何とか辿り着ける。
まあ、そこからが本番で、南壁は山頂まで切り立った3000メートルもの断崖になっているのだ。
逆に南壁の下には平地のような部分があり、俺たちはそこにベースキャンプを構えることになった。
傍から見ると、4人のアタックチームに対して400名もの人間が同行するのはどうかと思うだろう。
一応は未踏破の南壁の調査も兼ねているということになっているので誤魔化せるだろうか。
「羽入、大丈夫か?」
「ああ、やっぱ寒いな」
「高山病はどうだ?」
「そっちは問題ない。酸素ボンベ様々だな」
「そうか。我慢せずに何かあったら言え」
「ああ」
登山なぞしたこともない俺にとって、ダウラギリ山は想像を絶する環境だった。
真夏にも関わらず、稜線に出ると雪がふんだんに残っており、気温もまったく違う。
紅が慎重に進路を誘導してくれなければ、俺にはどうにもならなかったに違いない。
ハオユーとズハンも俺たちに協力してくれる。
デュールゲリエは登山技術に関しては専門家以上になっている。
一通りの技術を、量子AIが展開してさらに磨き上げるためだ。
もちろん紅も同じだ。
低温に関する抵抗力も十分で、大気圏外の極低温の環境でも難なく稼働できる。
ベースキャンプ予定地までの登山は切り立った崖もあれば、雪に隠れたクレバスもある。
山頂が見えているので方向は間違えようも無いが、進むルートは紅たちの誘導がなければ命を落とす。
景色の美しさなど、ただの一度も感じなかった。
必死に紅に付いて来ただけだ。
ベースキャンプまでみんなで登って来たが、目の前に高い壁が見えた時には、とにかくホッとした。
もちろんそうではなく、そこからが本当の難所だ。
ここまでも相当きついコースだった。
標高はすでに5000メートルを超え、険しい岩場を歩いて来た。
紅たちはともかく、ド素人の俺がここまで来れたのは、「花岡」を使っていたことと、俺をフォローする紅のお陰だ。
巨大な岸壁を前にベースキャンプが設置され、あとは俺と紅、ハオユーとズハンだけで登って行く。
ベースキャンプにはルーとハーが控えている。
また、精鋭のソルジャーたちとデュールゲリエが200人ずつ待機している。
ルーとハーは俺と紅の救出だが、ソルジャーたちは救出と同時に俺たちの任務が失敗した場合の強襲部隊の役割も担っている。
俺たちは《ハイヴ》内部に出来るだけ突入し、出来る限りの調査をして脱出するという任務を負っている。
非常に危険な作戦であり、難しい作戦だ。
ソルジャーは「虎酔会」という部隊名であり、強者の多い「虎」の軍の中でも最精鋭部隊の一つだった。
元は小島将軍の私兵だったと聞いている。
小島将軍自らが、石神さんのために引き渡したそうだ。
小島将軍がどれほど多くの私兵を持っているのかは知らないが、特に石神さんに心酔している人間たちだったそうだ。
彼らは500名の兵士としてアラスカで凄まじい鍛錬を乗り越え、「虎」の軍の最精鋭部隊となった。
石神さんは今回の作戦でその「虎酔会」を回してくれた。
「虎酔会」の方々も俺と同じできつかったはずだが、誰も音を挙げることも、愚痴も文句も一つもなかった。
まさしく精鋭の、鋼の部隊だった。
そして同時に、こよなく石神さんを崇拝する優しい人たちでもあった。
若い俺などに気さくに話し掛けてくれ、大事にしてくれた。
作戦の中心を担う俺と紅、ハオユーとズハンを心底から応援してくれた。
俺にとっては、紅たちを仲間と認めてくれたことが最も嬉しかった。
本当に優秀なのは紅たちなのだ。
紅たちがいなければ、俺などには何も出来ない。
俺がそういうことを言うと、隊長の御影さんが笑って言った。
「まあ、その通りだけどな。でも、兵士は優秀さよりも重要なことがあるぜ」
「はい?」
「それはな、命を懸けるかどうかだ」
「!」
「お前も紅も、ハオユーとズハンも、命を懸けてこの作戦に挑むんだろう?」
「その通りです!」
「だったらよ、俺たちは仲間だ。全力で応援するぜぇ!」
「はい! 宜しくお願いします!」
嬉しかった。
紅たちに「命」があると考えてくれている。
そのことが、無性に嬉しかった。
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