富豪外科医は、モテモテだが結婚しない?

青夜

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亜紀ちゃんたち、石神家へ

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 さてと。
 私と真夜、真昼は盛岡の石神家本家へ飛んだ。
 タカさんに言われて、2週間鍛錬することになってる。
 2時くらいに到着し、聞いている山頂の鍛錬場に降りた。
 剣士のみなさんたちが真剣で鍛錬していた。
 私たちが降りると、聖さんと天丸さんが来た。

 「よう、来たか」
 「聖さん! お久し振りです! 天丸さんも!」
 「ああ、亜紀ちゃん、久し振り」
 
 思わず聖さんに抱き着き、天丸さんの両手を持ってブンブンした。
 真夜と真昼も挨拶する。

 「亜紀ちゃん!」
 「虎蘭さん!」
 「よく来たね」
 「虎水さん!」

 お二人にも抱き着いた。
 あ、虎白さんが来た。

 「遅ェじゃねぇか」
 「すいません!」
 「まあいいや。すぐに着替えろ」
 「はい!」

 「虎ヘッジホッグ」に入って三人で着替えた。
 タイガーストライプのコンバットスーツだ。
 聖さんと同じだぁ!

 「ほら、これ」
 「え、日本刀持つんですか?」

 いきなりぶっ飛ばされた。

 「お前ら、何しに来たんだよ?」
 「す、すいません!」

 分かんないよー!
 とにかく日本刀(抜き身だよー!)を持って虎白さんの後ろについてった。
 何をするのかと思ったら、普通に型を教えてくれる。
 その通りに刀を動かしていく。
 30分もやったか。

 「よし、覚えたな」

 ん?

 下から背負子に乗せられたおばあさんが来た。
 あ、もしかしてタカさんが言ってた真白さん?
 え、どういうこと?
 もしかして……

 「虎白、今度はこいつらかい?」
 「ああ、そうだ。高虎の娘とその友達だってよ」
 「へぇ」
 「血は繋がってねぇ」
 「そうかい」
 「ま、関係ねぇか」
 「そうだね」

 「「「……」」」

 離れた場所で、聖さんと天丸さんが心配そうに見ながら鍛錬している。
 やっぱかぁ……
 仕方ないので覚悟を決めた。

 「真夜、真昼」
 「はい、なんですか亜紀さん」
 「これからあの真白さんに鍼を打たれる」
 「はい?」
 「とんでもなく痛いらしい」
 「そうなんですか」
 「でも、耐えるんだよ」
 「「はい!」」
 「絶対に強くなるから!」
 「「はい!」」

 がんばるぞー!


 《ギャァァァァァァーーーーー!》


 自分でも、これまで出したことが無いでかい声で悲鳴を挙げた。
 まだ施術されてない真夜と真昼が脅えた目で見ていた。
 いけない、我慢しなきゃ怖がる!


 《ギャァァァァァァーーーーー!》
    

 全然我慢できませんでしたー。
 
 物凄い激痛の身体を無理矢理立たされて、虎白さんが私に刀を持たされて相手をさせられた。
 全身が斬られ、刺されて行く。
 そのうちに、後ろで真夜の絶叫が聴こえた。

 「ちっとは動けよ! 高虎の娘なんだろうがぁ!」
 「!」

 身体の中に火が付いた。

 「ウォォォォォーーーー!」
 「ふん」

 頭の中が真っ赤になって、夢中で斬り掛かった。
 激痛は遠のき、熱さだけを感じるようになった身体を動かしていく。
 
 「おい、起きろ」

 あれ?
 真っ暗だぞ?
 全身はまた痛みがある。
 
 「目を開けろ!」

 目を開いたら、ちゃんと見えた。
 あー、気絶して目を閉じてたのかぁー。
 全然覚えてない。

 「立て、やっぞ」
 「はい!」

 まだまだ痛いけど、さっきよりも動ける!
 だからちょっと余裕が出て来て、真夜を虎蘭さんが、真昼を虎水さんが相手しているのが見えた。
 二人とも辛そうだけど頑張ってる!

 「おう、こなれて来たか!」
 「どんどん来て下さい!」
 「マジで?」

 微笑みながら虎白さんがまた私をブスブスやる。

 《ギャァァァァァァーーーーー!》

 ちょっと、待ってぇー!
 それから三回気絶して、その日は鍛錬を終えた。




 後から気付いたけど、斬られ刺された傷が結構塞がってる。
 私は聖さんに背負われて運ばれている途中で、それに気付いた。

 「あの、聖さん」
 「ああ、起きたか」
 「傷が塞がってるんですけど」
 「お前が気絶するとよ、虎白さんが「Ω」と「オロチ」を呑ませてたんだよ」
 「え、そうなんですか!」
 
 感動したぁ!
 虎白さんは優しい人だぁ!

 「虎白さん、優しいですね!」
 「まあ、それはそうだけどよ。でも呑ませたのは、鍛錬が続けられるからだぜ?」
 「へ?」
 「アレがなきゃ、一回気絶したら終わりだしよ。それに傷の手当てで面倒だかんな」
 「……」

 私の感動をかえして……

 山を降りると、私たちは虎蘭さんの家に入れて頂いた。
 今日からしばらく、ここでお世話になるようだ。
 虎水さんと一緒に住んでいるそうだけど、大きな家なんで部屋は一杯あるそうだ。
 
 「ねえ、ご飯食べられる?」
 「はい!」
 「「……」」

 真夜と真昼は辛そうだった。
 虎水さんが笑って、二人におかゆを作ってくれた。
 二人がお礼を言ってなんとか口に入れて行く。
 一口入れると、二人の顔が輝いた。

 「「おいしい!」」
 「そう? あ、言っとくけど、虎蘭が何か作ったら口に入れちゃダメよ?」
 「「?」」
 「虎水!」
 「アハハハハハハハ!」

 私はニジマスの焼物とキノコと鳥肉の味噌鍋をいただいた。
 それとキュウリの糠漬け。
 どれも本当に美味しかった!

 「美味しいです!」
 「そう、良かった! 高虎さんもここの食事が大好きなの」
 「そう聞いてます! 本当に美味しいです!」
 「ウフフフフ」

 食事は里の女性たちが用意してくれているらしい。
 時々虎水さんが自炊している。
 虎蘭さんは危険な食材を使うので、何も作ってないそうだ。
 虎水さんから幾つかお話を伺って、私たちは大笑いした。

 「虎蘭さん、赤ちゃんはどうですか?」
 「うん、順調よ。橋田病院でちゃんと診てもらってるの」
 「そうなんですか!」

 話しながら私がどんどん食べるので、虎蘭さんたちが笑っていた。

 「ああ、忘れてた。亜紀ちゃんは一杯食べるんだよね」
 「え、あ、すいません!」
 「いいんだよ。今日は真夜ちゃんたちが食べなかったから一杯あるからね」
 「そんな! 二人の分以上に食べちゃいましたよね!」
 「いいよ」

 どうやら虎蘭さんたちの分も食べてしまったようだ。
 私が申し訳なくて何か作ろうと立ち上がった。

 「アレ?」

 膝が崩れて立てなかった。

 「ほら、無理だよ。「虎地獄」の初日で立てるわけないんだから。普通の御飯が食べれたのが不思議なんだよ?」
 「へ? はぁ」
 
 申し訳ないけど、もう目を開けていられなかった。
 薄っすらとした意識で、布団に寝かされたのを感じた。
 ありがとうございますー……
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