富豪外科医は、モテモテだが結婚しない?

青夜

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「アドヴェロス」合同演習 Ⅳ

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 「さー! また訓練の続きをすっぞ!」
 『はい!』

 一通り互いの戦力を見せ合ったので、本格的な合同演習に入った。
 事前に両者で確認している通りだ。
 ルーとハーが訓練メニューを指示してこなしていく。
 「アドヴェロス」は単体、小規模の妖魔やライカンスロープであれば何の問題も無い。
 だから今回は中規模以上の妖魔軍への対応の訓練になる。
 主にソルジャーたちとのフォーメーションに関してだ。
 今日連れて来た桜大隊は対妖魔戦に関しては経験豊富だ。
 《ハイヴ》攻略も何度も経験し、先日は100億の妖魔軍団との戦闘も経験した。
 自分たちの人数を遙かに上回る数の戦闘に於いて、フォーメーションは熟知しているため、桜大隊を同行させたのだ。
 妖魔軍団はルーとハーが「ウンコ1000分身」で仮想する。
 2000体規模は桜大隊には経験済みだが、今回は「アドヴェロス」との共同戦線だ。
 だから当然、それまで経験した形ではない。
 「アフォヴェロス」のハンターたちの持ち味を生かしたフォーメーションになるのだ。
 そのために、ハンターたちの実力を見せた。
 ハンターたちにとっても、それは同様だ。
 本格的な「軍隊」との協力は初めての経験だった。
 双子には、絶対に「ウンコ弾」や「ウンコビーム」は出さないように厳命した。
 前回酷いことになった。
 基本、「花岡」の「小雷」や「槍雷」の威力を抑えたもので攻撃させる。

 訓練メニューを順調にこなし、繰り返すことで段々動きも良くなった。
 ソルジャーたちは軍隊の訓練をこなしているので、主に「アドヴェロス」のハンターたちの動きだ。
 ハンターたちそれぞれの能力を生かした配置になる訓練が中心だ。
 まず前衛に磯良、愛鈴、早霧、葛葉が立ち、中衛に桐谷、麻生、後衛に鏑木と獅子丸を配置してみた。。
 羽入と紅は遊撃的な立ち位置に入ることが多いが、羽入が前衛に出ることもある。
 愛鈴は最前列で磯良たちの防御になると良さそうだ。
 愛鈴だけが防御結界を展開出来るためだ。
 「龍」の能力なのだが、よくは分からん。
 以前は硬い身体で攻撃を受けていたが、そのうちに結界まで張れるようになった。
 柏木さんが言うには、愛鈴が「磯良を護りたい」という願いから生まれた能力ではないかと言っていた。
 紅も後衛的なポジションで支援砲撃を担う。
 今日は「バハムート装備」で来ている。
 訓練を繰り返し、どうやら適切な配置が見えて来た。
 愛鈴と磯良の攻撃力が高いので、前衛に立って敵を撃破する。
 撃ち漏らした敵を早霧と葛葉が撃破。
 鏑木と紅は後方から大火力で支援攻撃。
 鏑木の火力が高いのと、紅の面制圧によって、いい感じになる。
 羽入は遊撃で戦況を見ての攻撃。
 最後方には十河さん。
 獅子丸は撃てば威力がでか過ぎるので、十河さんの護衛をしながら待機させてみた。
 ソルジャーたちはハンターたちと同様に敵戦力に見合った位置に着いて行く。
 桜大隊のソルジャーは全員「花岡」の上級技が撃てるので、中規模の妖魔戦ではまずまずの仕上がりになる。

 
 さて 獅子丸が問題だった。
 獅子丸は基本が近接戦闘であり、早霧や葛葉と同様に前衛の二人が撃ち漏らした敵を担えばいい。
 だが、獅子丸は「ばーん」を手に入れた。
 何度か練習すると、なんかよく分からなくなった。
 本当は戦況で前衛から後衛まで自分の判断で動ければいいのだが、こいつは頭が悪い。

 「お前、どうすっかな」
 「あの、後衛でしょうか?」
 「まあ、そうだなぁ」

 いろいろやってみたが、結局どこでも良かった。
 「ばーん」は一発で大量の敵を撃破してしまう。

 「お前、もしかしてトップハンター?」
 「そ、そんな!」

 でもそうじゃんか。
 磯良以上の破壊力だ。
 但し、使える状況が限られるだろう。
 全てぶっ飛ばしてしまうので、市街地では迷うところだ。

 「なあ、お前さ、出力をコントロール出来る?」
 「いえ、なんか全力でやるしかなくって」
 「そうだよなー」

 ロボもそうだ。
 いい時間になったので、一旦食事休憩とした。
 積んで来た食糧をソルジャーたちが準備する。
 幾つもの寸胴のスープ、それにステーキ弁当だ。
 ルーとハーが森林地帯に飛んで、薪を拾ってくる。
 手分けして寸胴を温めた。
 訓練中は雪野さんと遊んでいたロボがどこかへ飛んでった。
 すぐに爪ででっかい「マッグロ」を引っ掛けて飛んで帰ってきた。

 「おお、「マッグロ」かぁ!」
 「にゃう!」

 前にもロボは海から持って来た。
 大好物だ。
 俺の目の前に降ろし、早く解体しろとせがむ。
 包丁は一応持って来たが、何しろサイズが10メートルだ。
 俺は早霧に刀を借りた。

 「ちょっとその日本刀、貸してくれよ」
 「ああ、いいですよ! 存分に試して下さい!」
 「あんがと」

 「マッグロ」を捌いて行った。
 刃渡りが長いので丁度いい。
 早霧が泣きそうな顔をしていた。

 「あの石神さん、その刀は……」
 「堅いこと言うなよ」
 「はぁ……」

 武士の魂じゃねぇだろうに。
 でもなんか落ち込んでた。
 ちゃんと洗って返した。

 「ほら」
 「はい……」

 10メートルもある「マッグロ」だったので、全員に配った。
 もちろんロボには一番美味い場所を最初にやる。
 ルーとハーが懸命に切って行く。

 「みんなー、摂りにきてぇー!」
 「順番にならんでねー!」

 早乙女が来た。

 「石神、これは食べても大丈夫なのか?」
 「ああ、問題ねぇ。前にも喰ったよ」
 「そうか」

 早乙女が不安そうな顔をしていたが、俺や双子がバクバク喰うのを見て口に入れた。
 調味料も持って来ており、醤油もちゃんとある。
 ワサビもある。
 俺がステーキに付けたりするからだ。

 「あ、美味い!」
 「だろ!」

 他の連中も喰い出した。
 「虎」の軍の食事も美味いが、「マッグロ」は次元が違う。
 ロボも唸りながら食べている。
 俺はハンターたちと一緒に食べたが、みんな「マッグロ」に夢中だ。
 雪野さんと成瀬も「朧」を脱いで夢中で食べている。

 「お醤油があって良かったですね」
 「「虎」の軍に抜かりはねぇ!」
 
 愛鈴が特に喜んでいた。
 満腹になった。
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