富豪外科医は、モテモテだが結婚しない?

青夜

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ロシア核施設急襲作戦 Ⅲ

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 偵察機「ディケー」を5機編隊で飛ばし、ロシアを400往復させた。
 マッハ220で飛行しているので、ロシア空軍も何も出来なかった。
 ロシア全土の詳細な情報が得られた。
 もちろん核兵器の探査がメインであり、特殊な観測装置で核兵器の所在と種類、規模を観測することが出来る。
 これは特殊なセンサーはもちろんだが、超量子コンピューター「ウラノス」の高度な解析によって判明するものだ。
 ウラン、ディ-テリウム(二重水素)とトリチウム(三重水素)の存在を確定出来る。
 だからその製造工場を含めて、俺たちの攻撃目標となった。
 予想以上に多く、320か所がロシア国内に確認された。

 作戦の実行に於いて、一つ不都合なことが事前に判明していた。
 「花岡」の技で生じるプラズマが、万一にも核兵器を暴発させる可能性だった。
 敵国を攻撃する通常の戦争であればともかく、周辺に「人間」がいることが考えられる。
 多くは兵士ではあろうが、俺たちの敵はあくまでも「業」だ。
 だからプラズマの生じない「異界魔導」を使える「グレイプニル」に全てを任せることとなったのだ。
 ルイーサに話すと、自分たちですべてやると言ってくれた。
 そのための作戦は俺たちが詳細に検討した。
 まずスリーマンセルでの行動部隊を編成し、それが10組。
 移動は「飛行:鷹閃花」だ。
 「グレイプニル」の精鋭に、徹底して教えた。
 俺たちが破壊したモスクワに「タイガーファング」で降下し、そこから320の目標へ飛ぶ。
 各攻撃目標では3分以内に破壊を終え、次の目標へ行く。
 そのために、詳細な破壊目標の構造と情報を各員に渡した。
 「グレイプニル」の精鋭たちは、それを頭に叩き込んでいく。
 モスクワでは予備隊が待機し、予想外の事態に対応する。
 大まかにはそういう作戦だった。

 「グレイプニル」たちには蓮花研究所の「ポッド」を使わせ、作戦のシミュレーションを行なった。
 モスクワからの移動、攻撃、次の目標への移動……
 さながら実際の作戦行動と同じ訓練となり、全員が驚いていた。
 そして俺は密かにルイーサを「虎星」へ招待し、ある「実験」を行なった。
 
 「ルイーサ、桜大隊を同行させる」
 「ああ、構わん。「あれ」をやるのだな?」
 「まあ、状況次第だな。現地で判断するよ」
 「タカトラは試してみたいんじゃないのか?」
 「考えているよ。まだ見せたくねぇ気持ちもあるが、俺はこの作戦で一人も犠牲者を出したくねぇんだ」
 
 ルイーサが微笑んだ。

 「我が眷族のことならば気にするな。戦場で我のために死ぬことは、あやつらの誇りぞ」
 「そう言うな。お前の眷族も俺には大事な仲間なんだ」
 「そうか。では宜しく頼む」
 「もちろんだ」

 俺とルイーサは、ある新局面のものを用意していた。
 まだ極秘のものなので、俺とルイーサ自身しか知らない。
 だが俺は次の作戦でそれを使う可能性を考えていた。
 何しろ敵地での強襲作戦なのだ。



 
 5月中旬。
 《オペレーション・ソドム》が発令された。
 アラスカとドイツから輸送型「タイガーファング」が飛び、モスクワで合流する。
 アラスカからは桜大隊総勢100名、ドイツからは「グレイプニル」総勢31名が乗って来た。
 それに日本から石神家の剣聖4名が俺に同行している。
 虎白さん、豪虎さん、虎風さん、それに新たに剣聖になった虎水だ。
 もちろん4名の剣士は「業」の反撃に備える。
 桜大隊も反撃のための要員だが、「グレイプニル」との共同作戦の面もあった。
 今後は「虎」の軍と「グレイプニル」との合同作戦があるだろうから、試験的に桜大隊を使った。
 桜大隊はそういう作戦で起用するつもりだった。
 「グレイプニル」の兵士が少ないのは「飛行:鷹閃花」を習得しているのがそれだけだからな。
 今回は高速で移動しつつ攻撃と離脱を繰り返す必要がある。

 桜はルイーサの威容にビビっている。
 こいつにはいつも苦労を掛けるが。仕方がない。
 石神家本家と共同作戦をさせ、まだ攻略法が未熟なままで《ハイヴ》を攻撃させ、《無量》を預からせて恋愛の報告をさせた。
 どれも上手くやったとは言い難いが、いつも真面目に取り組んでくれている。
 ルイーサには慣れることも無いだろうが、まあガンバレ。
 何しろルイーサは存在の次元が違い過ぎるのだ。
 俺にしてからが恋人と言いながら、持て余すこともあるのだ。
 まあ、ルイーサの方では桜など全く眼中にない。
 そこそこやる男なのだが、ルイーサの感覚では有象無象と変わりがないのだろう。
 鷹が相当気に入られたのは全く稀有なことだ。
 もちろん、眷属である「グレイプニル」の連中も同じ感覚だ。

 大隊長のマルコルムが俺に挨拶に来た。
 
 「美獣様、今日は宜しくお願い致します」
 「ああ、こちらこそな。こっちは桜大隊を連れて来た。好きに使ってくれ」
 「かしこまりました。美獣様の兵士たち、大切にいたします」
 「必要ねぇよ。存分に使ってくれ。擦り切れても構わん」
 「ハッ!」

 マルコルムが桜に挨拶した。

 「先日、レンカ・ラボラトリーでお会いしましたね」
 「はい、未熟者ですが、精一杯に勤める所存です。どうか宜しくお願いします」
 「危険な目には遭わせません。どうかごゆるりと」
 「!」

 どうやら桜はいらないらしい。
 もちろん、自分たちの戦力に絶大な自信があるのだ。
 俺の手前、はっきりとは言わないが、「何しに来た」というところだろう。
 「グレイプニル」はどいつも誇り高い。
 まあ、実力もその通りなのだが。
 続いて虎白さんたちの方へ行った。

 「コハク様、先日はお見事な技を拝見いたしました、今日はわざわざのお越し、感謝いたします」
 「おう、宜しくな!」
 「はい、万一の場合には、どうか美獣様を御守り下さい」
 「あ? 高虎は大丈夫だよ。お前らが危うい時には俺らが出るからな」
 「その時にはどうか。でも、我々も無様はさらしません」
 「まあ安心してガンバレ」
 「はい、ありがとう存じます」

 マルコルムが虎白さんたちには深々と頭を下げていた。
 桜が困った顔で俺を見ていた。
 明らかに虎白さんたちには態度が違い、桜たちは完全に舐められてやがる。
 
 「おい、お前、どうすんだよ?」
 「ええと、石神さんから何か言っていただけませんか?」
 「そんなこったからバカにされてんだぞ?」
 「はぁ」
 「ヤクザが舐められたらどうすんだよ!」
 「はい!」

 桜が小隊長の関を呼んで耳打ちした。
 関がマルコルムの所へ走って行った。

 「おい、お前よ!」
 
 マルコルムが関を見る。
 関がいきなり腰の「カサンドラ」を抜いて、マルコルムの首に充てた。
 一瞬のことだった。
 関は居合の達人だ。

 「お前、今首が落ちたぜぇ」




 「グレイプニル」たちの気配が変わった。
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