富豪外科医は、モテモテだが結婚しない?

青夜

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ロシア核施設急襲作戦 Ⅱ

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 食後に鷹と早乙女たちは城を案内された、
 本物の、しかも現在実際に居住している城などは初めてだろうから、楽しく見て回ることだろう。
 特にルイーサの城は、栄華を誇った王侯貴族以上だ。
 俺はルイーサと酒を飲みながら打ち合わせる。

 「ルイーサ、また頼みがあるんだ」
 「おう、美獣からの頼み事であれば我も嬉しいぞ」

 俺はソーメリアへの侵攻作戦で、ロシアの核兵器が使われ掛けた話をした。

 「ミサイル発射ならよ、幾らでも対応出来るんだ。でも、まさか「ゲート」を通して直接撃ち込んで来るとはな」
 「よく咄嗟に気付いたな」
 「まあな、実は以前から考えていた。「御幸」衛星群を整えてから核兵器は実質無力化したつもりだったが、あれの破壊力は依然として大きい。だからミサイル以外の方法で、どのように使うかをな」
 「なるほど。確かローマでも似たようなことがあったな」

 イサが家族を誘拐され人質に取られ、俺を中性子爆弾のある場所へ誘導するように強制された。
 イサはそれでも俺を裏切らずに死んだ。
 忘れたことは無い。

 「そうだ、輸送で核爆弾を運ばれると俺たちも分からない。そういう設置型だよな。まあ、そっちはあれからある程度は対策もしている」
 「ほう、どのような方法だ?」
 「「御幸」に核物質の反応を察知する機能を与えた。まだ完全なものじゃないが、ある程度は把握出来るようになった。それに多くの国には核燃料や核兵器、施設に監視を付けている。そっちは協力的な国だけだがな。でも半ば強制しているから、なんとかなぁ」
 「なるほど」
 「もう一つは今回の「ゲート」でぶち込む方法だ」
 「そうか、お前は想定していたのだな」

 ルイーサは俺の考えを理解した。

 「ならば、ロシア国内の核兵器を全て破壊するか」
 「そうだ。「グレイプニル」にやってもらいたい」
 「よいとも! 我に任せよ」
 「今、核兵器の発射場と格納庫を探っている」
 「以前の配置であれば分かるぞ」
 
 流石は「ローテスラント」で、核への対策準備はしていたのだろう。
 不死の一族といっても、ルイーサは分からんが、他の眷族たちは核攻撃には耐えられないだろう。
 だから万一の可能性を警戒し、既に対策のために諜報活動も行なっていたようだ。
 ルイーサたちノスフェラトゥは、長い歴史を生きていく中で各国の中枢に枝を伸ばしている。
 もちろん、今のロシアからは完全に撤退しているし、もはや何の情報も掴めない状況だが。
 
 「いや、俺たちで最新の位置を探る。特殊な偵察部隊を作った」
 「今のロシアに侵入するのか?」
 
 ルイーサが驚いていた。
 「業」の支配する現在のロシアは、ノスフェラトゥの潜入すら出来ない状況だ。

 「いや、「ブレイドハート」という偵察部隊を作った。そして「ディケー」という特別な偵察機を建造したんだ。それをロシア国内に送って、核兵器の場所を全て探らせる」
 「ほう、そんなことが出来るようになったか」
 「以前から考えていたさ。俺たちが探った場所を「グレイプニル」で急襲して欲しい。恐らく何十カ所にもなるぞ」
 「構わん。我に任せよ」

 ルイーサは即座に請け合ってくれた。
 本当に俺の頼みであれば、どのようなことでも実現しようとする女だ。

 「もちろん俺たちも協力する。「タイガーファング」での移動ならば敵に逆襲を受けずに急襲部隊を侵入させられるだろうが、何しろ相手はあの「業」だ。油断は出来ない」
 「よろしく頼む」
 「「飛行」で急襲部隊は異動する。俺とスイーサはモスクワあたりでのんびり待つか」
 「なるほど、敵の注意を集めるのだな」
 「そういうことだ」

 「業」の本拠地でどれほどの反撃があるかは分からんが、俺たちを狙えばそれだけ反撃を分散出来る。

 「「虎」の軍も出動する。何しろ数が多いからな」
 「「グレイプニル」だけでやるぞ?」
 「実際の破壊攻撃は頼む。だから「飛行」の出来る連中を揃えてくれ。「花岡」の攻撃では核の誘爆の危険があるからな。「異界魔導」ならば大丈夫だろう。俺たちは万一の反攻の場合に備える」
 「あい分かった。美獣の言う通りにしよう」
 「ありがたい」

 攻略ポイントが決まったら、詳細な作戦を立てると伝えた。




 ルイーサとの話が終わり、二人で楽しく話していると、鷹と早乙女たちが戻った。

 「石神! ここは素晴らしいぞ!」
 「何を観たんだ?」
 「美しい美術品とかな! 本当に信じられない程に感動したよ!」
 「石神さん、私も! 流石はレジーナ様です! 本当に素晴らしい!」

 二人が大興奮だ。

 「あの、石神先生、私、こんなものを頂いてしまって!」

 鷹は困った顔をしていた。
 俺に首飾りを見せ、後ろの従者がドレスを抱えて来た。
 首飾りはエメラルドを基調とした豪奢なものだった。
 ルイーサは鷹には緑が似合うと思っているようだ。
 俺もそう思う。
 ドレスも白のシルクに緑の金糸が施されている素晴らしいものだった。

 「おお、鷹に似合いそうだな」
 「石神先生!」

 ルイーサが微笑んで言った。

 「鷹、どうか受け取ってくれ。我はそなたが大変気に入ったのだ。これは友情の証ぞ」
 「レジーナ様!」

 鷹が卒倒しそうになった。
 早乙女と雪野さんが背中を支える。
 まさかルイーサが「友情」と言うなどはあり得ないことが、二人にも分かったのだろう。

 「鷹、ありがたく受け取っておけよ。ルイーサもそれを喜んでいる」
 「そんな! でも、はい、レジーナ様、ありがたく頂戴いたします。この栄誉は決して忘れません」
 「よいよい。気軽に持ち帰れ。また見繕っておく」
 「いいえ、そんな! どうかこれまでに」
 「ワハハハハハハ!」

 

 全員でルイーサに礼を言って城を出た。
 ルイーサが俺のために創った馬車(?)を使えと言った。
 そうなると断るわけにも行かず、それで帰ることにした。
 庭にプラチナゴールドの馬車に、巨大な角のある黒馬(ウマ?)が6頭繋がれていた。

 「「「……」」」

 中に入り、柔らかなシートに腰掛けた。
 恥ずかしいので、早乙女の家の庭に卸させた。
 俺と鷹は歩いて帰ろうと馬車を降りた。

 「美獣様、それは困ります」
 「いや、近いしここでいいよ」
 「レジーナ様から美獣様をお送りするように命じられております」
 「「……」」

 仕方なく俺の家まで乗ってった。
 途中で走っていた車や道を歩く人が驚いていた。
 家では亜紀ちゃんがぶっ飛んだ。

 でもめっちゃ乗り心地が良かった。
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