富豪外科医は、モテモテだが結婚しない?

青夜

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ダーティ玻璃 Ⅳ5

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 夕飯のカレーを持って行くとハーが喜んだ、
 私たちは防護服を着てる。
 ウンちゃんの浄化場は綺麗なんだけど、何しろハーが「ウンコ病」でクッサイ・
 臭いが付くのも嫌だし、万一にもウンコが付くのはもっと嫌だ。
 さっきも亜紀ちゃんが油断してちょっと付いたもんね。
 少しだけ隙間を空けて、ハーと話し合った。
 何しろ初めてのことで、お互いに何も分からない。
 「ウンコ病」はたいへんだー。
 まず食事のメニュ-について、私たちで話し合ったことを伝えた。
 ハーも別にワガママは言わなかった。

 「食事はそれでいいよー」
 「そうだ、パソコンも持って来たよ。ここじゃヒマでしょ?」

 パソコンがあれば、ネットに接続して映画なんかも自由に見られる。
 音声入力だから、全身ウンコでも大丈夫だ!

 「ありがとー!」
 「スマホは使えそう?:
 「無理っぽい」
 
 やっぱそうかー。
 指先、ヌルヌルだもんなー。
 ウンちゃんのいる所は電灯があるので、灯は平気だろう。
 ハーに聞くと、一応オンオフも出来るそうだ。
 ウンちゃんも寝る時には暗くしているらしい。
 そうなんだー。
 初めて知るウンちゃんの生態……
 気になってたことをハーに聞いた。

 「寝るときはどうする? お布団持って来ようか?」
 「いらない、ウンコにくるまって寝るから」
 「「「ゲェェェー!」」」

 3人で叫んだ。
 そりゃ、お布団もウンコだらけになるんだろうけどさ。
 でも、だからってウンコ布団!
 私たちが叫んだので、ハーがちょっと怒っている。

 「しょうがないじゃん! さっきもちょっと寝たけど、もう慣れたよ」
 「そうなの!」
 「「ゲェェェェェーー」」
 「結構あったかいよ。クサイけど」
 「そうだよねー」
 「「ゲェェェェェ……」」

 物凄いことになってるぞー!
 柳ちゃんの顔が真っ青になって脂汗を流してる。
 ハーがその場で「ウンコ布団」で寝て見せた。
 別に見せなくていいのに。
 柳ちゃんが耐え切れずにアルファードに戻った。

 「早くカレーちょうだい!」
 「うん!」

 フタをちゃんと開いて、上からヒモで吊るした寸胴を受け取り、次にお釜を受け取ったハーは嬉しそうにカレーを食べた。
 あ、お釜に直接カレーを入れてるよ。
 しゃもじで直接食べてる。
 その間もウンコが手にも出て来るので、時々ウンちゃんに綺麗にしてもらってる。
 お行儀は悪いけど、まあ、ここじゃ皿は使いにくいかー。
 私たちもちょっと考えてあげないと。

 「じゃあ、明日の朝にまた来るね!}
 「うん、よろしくー!」

 なんか、ハーもいい加減慣れて来たみたいだ。
 それとも、それもウンちゃんの進化の影響なんだろうか。
 私は慣れない。





 その晩、一人で寝た
 そういえばハーと離れて寝るのは初めてかもしれない。
 ハーが怪我をして入院したことはあったけど、その時にも一緒の病室で寝た。
 ICUに入った時には、私はその前で一睡もしなかった。
 
 「ハー、寂しいよ」

 私たちは生まれた時からずっと一緒なのだ。
 どこに行っても、学校でも一緒のクラスになっていたし。
 本当に一心同体って奴だよなー。
 なかなか寝付けず、やっとウトウトとしだしたら、なんかクサくて目が覚めた。

 「アレ?」

 何がクサいんだ?
 起き上がるためにベッドの布団をめくった。
 すぐに分かった。

 「ギャッァァァァァァァァァァーーーーーーー!」

 すぐにドアが思い切り開いた。
 亜紀ちゃんだ。

 「どうしたぁ!」
 「……」

 タカさんと柳ちゃんも来た。
 ロボは来ない。
 あいつ、もう察したかー。

 「おい、何が……」
 「「「「……」」」」

 私もだったとさ……




 「お前とハーはウンちゃんに繋がってるからなぁ」
 
 亜紀ちゃんがブルーシートを持って来て簀巻きにされた。

 「柳、送ってやれ」
 「ゲェェェ!」
 「しょうがねぇだろう! うちはウンコ運搬はアルファードしかねぇんだから!」
 「いしがみさぁーん!」
 「いいから行け!」

 ルーフに縛られて運ばれた。
 亜紀ちゃんと柳ちゃんは防護服。
 ウンちゃんの浄化施設に着いた。

 「ハー!」
 「あ、ルー!」
 「私も行くねー!」
 「うん、おいでー!」

 すぐにマンホールのフタが閉められた。


 ガコン


 しょうがね。





 ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■




 あの日、亜紀ちゃんと柳がルーを運んだあと、俺がシーツを始末した。
 薄掛けには染みていなかったので、捨てずにクリーニングに出した。
 一応マットは消毒してウッドデッキに干した。
 医療従事者として、排泄物には慣れている。
 亜紀ちゃんと柳が戻って、その晩は寝た。
 
 あれからルーとハーのいない日々を過ごしている。
 朝食の席で亜紀ちゃんが言った。

 「ルーとハーの「ウンコ病」、いつ治るんですかね」
 「わかんね」

 もう四日になる。
 毎日亜紀ちゃんと柳が食事を運んでいる。
 二人になったせいか、食事に注文が多くなったそうだ。
 ウンコの中での食い物に、何を拘っているのか。

 「カレーは辞めてって言われました」
 「まーなー」

 そりゃそうだろう。
 亜紀ちゃんたちがゲッソリしている。
 
 「昨日、ちょっと太ってましたよ」
 「喰っちゃ寝だからなー」
 「激しく動くとウンコが飛び散るそうで」
 「そりゃそうだろ」
 「ウンちゃんに怒られるんですって」
 「まあ、押し掛けて世話になってる立場だしな」
 「そうですよね」

 まあ、カワイソウには思うが、近付きたくはねぇ。

 「石神さん、あそこってしょっちゅうバキュームカーが来るじゃないですか」
 「まあ、最高の浄化場だしな」
 「ルーちゃんとハーちゃんはその度にウンコ塗れになるそうです」
 「……」

 大変だ。
 
 「でも、もう慣れたって言ってました」
 「何でも慣れるもんだな」
 「そうですね」

 「「「……」」」

 まあ、もうちょっとだろう。。
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